肝胆ブログ

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映画「拳銃魔 感想 テンポが良い、悪女セリフが良い」ジョセフ・H・ルイス監督

 

1950年のアメリカ映画「拳銃魔」、主人公が悪女に諭されてテンポよく闇落ちしていきテンポよく犯罪を重ねテンポよく追い詰められていく様が非常に見ていて趣深くかんたんしました。

 

 

 

以下、ネタバレを含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

拳銃魔」は、銃が得意だけど銃で人を傷つけることはしない男性が、銃が得意で悪事を躊躇しない美人女性と恋に落ち、一緒に強盗事件を繰り返してしまい、最後は追い詰められてしまうというお話です。

カップルの強盗話ということで、ボニー&クライド伝説のオマージュが入っているのかもしれません。

 

 

二人の出会いは、見世物ショーでヒロインが拳銃の曲撃ちを披露していたことから。

 

 

 

拳銃で対決することになった二人は、あっという間に恋に落ちます。

 

展開が早くていいですね。

ちなみにこの時点で、ヒロインは殺人歴があり、見世物ショーの座長の愛人でもありますが、そんなことは関係なしに話が進みます。

 

 

 

結婚する二人。

 

本当に展開が早い。

80分ちょいの映画ですので、どんどん進んでいく必要があるのです。

 

 

 

生活に行き詰まる二人。

 

ヒロインの悲惨な過去がほんのりほのめかされますが、深入りはされない。

映画って、設定を全部語らずにテンポ優先するくらいの方が好き。

 

 

 

主人公を悪の道にいざなうヒロイン。

 

主人公も良心にもとづき抵抗しますが、「じゃあ別れましょう」という必殺カードで陥落させられてしまいます。

 

私、この「何でも笑顔でこなして私を満足させて」というセリフ好きだな。

飾り気がなさすぎる直球要請。

言っていることはめちゃくちゃなのですけど、心からの言葉であることがいやおうなしに分かりますよね。こういうワードが飛び交う恋愛もいいものだと思います。

 

 

 

やってしまう二人。

 

この、びくびくしている主人公と、キリっとしているヒロインの表情ギャップも好き。

 

 

 

車で逃走したり、追手の車のタイヤを撃ち抜いたり。

 

銃を撃つときは格好いい主人公。

なまじ拳銃の才能があるだけに、強盗事件で連戦連勝、どんどん罪が重くなっていきます……。

 

 

 

最後のデカい事件で、ヒロインが人を射殺してしまい、マジ逃げする二人。

 

次々と場面が変わるテンポよさもいいし、ちょいちょい挟まれる運転シーン自体もスピード感があっていいんですよね。

「映画にはとりあえずカーチェイス(か爆発)を入れておけ」という鉄則はこういう映画の積み重ねで生まれていったのでしょう。

 

 

 

警察に加え、主人公の幼なじみ(マスコミ&保安官)も捜査に加わり、追い詰められていく二人。

 

幼なじみの説得に良心が揺さぶられまくる主人公と、赤ん坊(主人公の姪)を人質にして身の安全を図るヒロインの揺るがぬ悪女っぷりの対比がイケてますね。

何もわからぬ赤ん坊がニッコニコなのも印象深いシーンです。

 

 

 

いよいよ後がない二人。

 

二人が具体的にどのような結末を迎えたかはいちおう伏せておきますが、「だよね」感があって良い予定調和を感じられます。

 

犯罪者の無残な最期、友情や家族愛が無残に裏切られる様まで含めて、余韻に富んだ良い映画になっていますよ。

悪いことすると、自分も罰を受けるし、周りの大事な人もめっちゃ傷つくんだよということが映画を通して伝わってくるのって良心的ですよね。

 

 

そんなわけで「拳銃魔」はいい映画だと思います。

ヒロイン役を演じたペギー・カミンズさんの演技がいちいちイケてますし。

 

現代にもいろんな悪女がいらしゃると思いますが、それぞれがいい感じに更生したり満足感ある人生を送ったりできますように。