肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

PSP「起業道」コクヨ/ディンプス

 

あのコクヨPSPで出していた「起業道」というゲームの
微妙なおもしろさにかんたんしました。

(↓制作はディンプスさんです)
ビズ体験シリーズ 起業道 | 製品情報 | 株式会社ディンプス

 

 

PSやPSPの黎明期は妙なゲーム? ソフト? が
たくさん世に送り出されたカオスな時代でございました。


こちらの起業道というゲームもそのひとつで、
ゲームプレイを通じて「ビジネスセンスを磨こう」という
シュールなコンセプトの製品であります。

中古ショップにて500円で投げ売りされていたので買ってみましたが、
「500円なら満足、1,000円なら許容可能、2,000円以上なら不満」
という感想・評価を抱きました。

 ※定価は4,800円(税抜き)です


格安で手に入れ、暇つぶしに数時間プレイするという条件なら
充分に良作だと思います。

フリーソフトなら名作扱いになっていたことでしょう。

 

 

内容は脱サラして起業して業界ナンバー1になってやるぜ! という
トーリーのノベルゲームです。

ありていに言うと「一本道の弟切草」「分岐しないかまいたちの夜です。


トーリーの要所要所で行動・発言の選択肢が入りますが、
常識的かつ前向きなものを選んでおけば問題なくストーリーが進行します。

「やっぱりサラリーマンがいい」みたいなものを選べばゲームオーバーに
なることはできますが、ほぼほぼ分岐はありません。
間違った選択肢を選んでも「やっぱり考え直した」と自動補正されて
正しい選択肢を選んだことにしてくれたりします。
ゲームとしては極めてイージーモードで、初見殺し要素はありません。


また、ストーリーの合間にビジネス知識の理解度を問うテストがありますが、
こちらも社会人としては超イージーです。
ある程度の商売経験があれば満点は容易いことでしょう。

うっかり間違っても、問題は毎回固定ですので2週目以降は満点確定です。

 

トーリーのシナリオは3本入っていて、それぞれ初回は1-2時間でクリア、
2週目以降は30分程度でクリアできるボリュームです。

開始時にプレイ可能なシナリオは「アパレルショップ編」
アパレルをクリアすると「フラワーショップ編」「雑貨ショップ編」
選ぶことができるようになります。


 ※要注意

   3つのシナリオは、ストーリー開始時に選択することになります。
   シナリオ途中で分岐する訳ではありません。
   トラップとして、「人物紹介モード」等からスタートボタンで抜けると
   攻略情報がリセットされてシナリオ選択ができなくなります。
   前プレイのクリアデータをロードすれば回復可能ですが、
   うっかりアパレルショップ編を開始してクリアデータを上書きすると
   アパレル再クリアまでは他の2シナリオを選べなくなります。
   なんてこった。

 

 

ささやかなエンディング分岐要素を書き留めておきますと、
アパレルショップ編は選択肢の積重ねで妻と離婚するかヨリ戻すかが変わります。

フラワーショップ編は4章の選択肢でバリキャリ女性、お水風女性、
離婚間際の人妻、独身ヤリチンの道、いずれかを選ぶことができます。
バリキャリの車同乗誘いをOKするとバリキャリorお水、
車同乗を断ると人妻or独身になります。

雑貨ショップ編は皆幸せみたいな平和な流れでまったりできます。

他にも隠し要素があるかもしれませんが、各シナリオ2週程度プレイすると
お腹いっぱいになりましたので掘り下げる気力は湧いてきません。

 


シナリオの特徴としてはこち亀ばりにサクサク成功していくことが挙げられます。
成功しないと企業の成長ステージごとの学習ができないので仕方ないっすね。

現実でもタイミングと運がよければ急成長することはあり得ますから、
なかなか芽が出ない方向のリアルさを追求するよりも
急成長後の内紛とかを語るリアルさを採用したということでしょう。


主人公はほどよくダメな男です。
とりわけ女性対応に難があります。
イデアセンスと行動力はありますが脇が甘いタイプです。

こちらもほどよいリアルさかもしれません。
テキストで客観的に読んだら突っ込みどころは多いのですが、
実際に動いているときは自分の判断の甘さに気づかないものです。


あとは全編通じて人妻系人材が優秀です。
迷ったら人妻です。
若い男はあまり役に立ちません。
この辺もリアルなビジネスセンスというものかもしれません。

 

まとめると、そうとうにご都合主義的ながらある程度のリアルさを有する
トーリーかと思います。

市販の経営学系教科書のケーススタディもだいたいこんなもんだと思えば、
社会人の暇つぶしには充分耐えうる水準であります。

じゃあ勉強になるかと聞かれれば、それはまあお察しですが……。

「ためになる」度で言えば、ゴルゴ13こち亀当作品島耕作>>>漫画太郎
といったところでしょうか。

 

ゲームとしては問題もたくさんありますけど、
コクヨさんがわざわざPSPに参入して実験されたという点で
大きな意欲を感じる作品ではありました。

こういう社会人向けゲームが増えてくれたらいいなと思いましたが、
その後まったく増えていないことを思えばちっとも売れなかったんでしょうね。

「ビズ体験シリーズ」と銘打ちながら続編も僅かしか出ていないようですし……。

 


シニアゲーマーが増えゆくいまこそ、これ系ゲームの逆襲が始まりますように。