肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「ニッポン城巡りアプリ リア攻め金異名&おすすめリア攻め先」

 

ニッポン城巡りアプリ、あちこち出かけるなかでリア攻め(対象3000城の本丸まで行って城攻め)に励んでましたら、無事に金色の異名を獲得できてかんたんしました。

 

 

以下、金異名の名前は伏せていますが条件は書いていますのでネタバレが嫌な方はまわれ右してください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サムネ表示用に、異名ではない謎画像を先に貼っておきます。

 

こちらの駐車場、実は私が金異名を達成した記念すべき城趾なのであります。今や見る影もありませんがかつてはさる政庁だったのでやんすよ。

この画像だけで「〇〇城だね」とわかる人がいたら神。

 

 

 

さて、金異名はこちら。

 

名前は伏せますが、条件はリア攻め1000城です。

「1146城とか1500城だったらどうしよう」とどきどきしていたのですけどキリのいい1000城で安心しました。

 

異名の文章、才能や実績ではなくキャリアそのものにリスペクトを送ってくれていて素敵ですよね。お城に限らず、私もこういう気持ちをちゃんと表現できる人でありたい。

 

 

 

アプリ登録前に訪れたお城や、対象3000城以外のお城も合わせると、私の人生通算でのお城巡り数は1100くらいでしょうか?

まあ、単に1回行っただけ、かつ時間制約で遺構や各郭を充分に見れていないお城が大半なので、何かを語れるわけではありません。

お城って、天気や季節でも表情がものすごく変わりますし、そのお城に関わる知識やイベントも日々変わっていきますしで、数だけではなく質や密度も追求したほうがいい感じだと思います。

「どの世界にも通じることやが…

 中身のないヤツが数を誇る!」

 

私は百名城も続百名城もコンプリートしていないビギナーなので、引続き勉強&エンジョイ勢として各地をお散歩・ドライブしていきたいものです。

 

 

以外、ビギナー同志向けにリア攻めおすすめのお城です。

選抜とかベスト〇〇とかではなく、私が行った範囲のなかでぱっと思いついたところです。百名城や続百名城などの著名なお城以外で、気安く立ち寄れて地味ながら味わい深いところ。このブログで取り上げたことのあるお城は除きました(茨城の小幡城や近畿四国の三好関係等)。

 

 

北海道 大館

 

松前城のすぐ近くです。坂道ゼロ。

特に遺構はありませんがゴローニンさんが捕らえられていたことを示す石碑があって幕末日本の緊迫感の一端に触れられます。北海道はあちこちに南部藩や伊達藩の陣屋跡もあって、ご苦労がしのばれます。

 

 

千葉県 謙信一夜城

 

新潟から千葉まで上杉謙信さんが殴り込んできたことを実感できる城名がいいですよね。

現在は京成臼井駅近くの児童遊園です。坂道ゼロ。近隣には臼井城や佐倉城、本佐倉城もあります。歴史ファンとしては臼井城を取り上げて上杉謙信さんのご苦労とか関東勢の奮戦とかを語るべきなのですが城名の分かりやすさ的にあえて謙信一夜城をアピールしたかったのです。

 

 

東京都 中野長者屋敷

 

東京都中野区の成願寺さん。中野坂上駅の近く、入口から坂道10秒くらい。

城? という感じもしつつですが中野長者伝説であったり肥前鍋島氏のゆかりであったり、境内には見どころが多くよい都内散歩になります。

 

 

岐阜県 小里城

 

岐阜県瑞浪市、近くには岩村城や苗木城、明智城など有名なお城が多数ありますが、個人的には小里城も推し。

ここは今回紹介するお城のなかで、一番まっとうな山城跡です。駐車場から往復1時間くらいはしっかり登り降りします。山城としてはまだマシな歩行時間、山城らしさと石垣遺構の両方を楽しめるコンパクトな見応え密度、お城好きならどうせこの辺り巡りますよね的な立ち寄りやすさでおすすめだす。

 

 

福井県 金ヶ崎城

 

金ヶ崎の地名は有名ながら、意外と現地を訪れたことのある人は少ないのではないでしょうか。

交通の要衝である敦賀駅から近く、氣比神宮などの観光ついでに立ち寄れます。坂道ありですがひどい勾配ではありません。駐車場からゆっくり巡って1時間くらい。

池田勝正さんを始め南北朝・戦国の有名人多数にゆかりがありますのでお得ですし、敦賀の海を見下ろすビュー栄えもイケてます。

 

 

和歌山県 衣笠城

 

白浜観光の際などに。

愛洲氏や畠山氏ゆかりと伝わるお城で、遺構はほとんど残っていないのですが麓を見下ろす山そのものの壮大なスケール感と、みかん畑の絶景を満喫することができます。本丸付近まで車で登頂可能。

城趾って田畑や果樹園になってるケースも多いのですけど、このお城のみかん畑っぷりはマジですごいのでぜひ花や実の季節に。こんな急坂にこんなにみかん植えてるのという、みかん農家さんへの畏敬の念が溢れ出ます。

 

 

岡山県 乙子城

 

岡山市の南東、かつては海城だったようです。登りますが坂道は5分10分程度。

宇喜多直家さんの国盗り始めの地ということで、メジャー大名の成長を追うロマンがあります。近隣の干拓農地をドライブするのも雰囲気があって楽しい。

 

 

福岡県 門司城

 

北九州や下関を観光するついでに。

門司自体が一大観光地で、門司城も公園としてきれいに整備されています。駐車場から本丸へは坂道を徒歩10分〜15分程度。

現代では家族や恋人たちで賑わいますが、かつては毛利・大友が激突したというギャップに萌えましょう。眺めも素晴らしいです。

 

 

宮崎県 祝吉御所

 

宮崎県の都城市、住宅街に石碑が建っております。坂道ゼロ。

こちら、有名な島津氏の発祥の地とされています。鹿児島のイメージが強いのですが、島津ファンはこちらも立ち寄ってみてはいかがでしょう。宮崎南部〜鹿児島東部も見どころが多く、ドライブしていて楽しいですよ

 

 

などなど。

 

 

登山の世界もさいきんは低山登山の人気が上がってるようですし、お城の世界も立派な城趾巡りだけでなく地味ーな城趾巡りも認知が高まって、歴史関心への導線になっていきますように。

 

 

 

 

 

「ミンサガリマスター 8周&極サルーイン攻略の感想」

 

前から気になっていたミンサガリマスター、我慢できずにとうとう購入してしまいまして案の定おもしろくて8周もクリアしてしまうほどかんたんしました。

購入検討時には昔ハマったゲームを何回もプレイするなんて懐古趣味ではないかもっと新しいゲームに挑戦した方がいいんじゃないかという脳内の声もあったのですけど、PS2版のミンサガを充分にプレイした方々がリマスターしたのであろう痒いところに手が届く仕上がりっぷり、噛めば噛むほど味が出てくる匠っぷりに頭が下がりまして何の後悔もありませんわ。

 

 

www.jp.square-enix.com

 

 

8周分の感想ダイジェストは次の通りです。

PS2版では9周ほどプレイし、真サルーインを1回だけ倒したことがある程度のプレイヤーの感想です。

ネタバレを含みます。何周かしたことがあるくらいの方を念頭に記載しています。

極サルーイン攻略を読みたい方は8周目のクローディアさんの箇所を読んでください。

 

 

↓極サルーインさん、紫オーラをまとっていてとても強そうです。実際強いです。

 

 

 

 

 

①アルベルト

  • アルベルトさん、あらためてプレイすると記憶よりも幼い感じでした。でも真っすぐで好人物ですね。かわいくて将来が楽しみ。周囲の大人たちが大事にするのも分かります

  • 進行度45%段階で挑むミニオンワイルさんが明らかに強くなっている……進行度55%まで修行してから倒しました

  • なんだかんだでデスさん、シェラハさん、ジュエルビーストさん(ウエストエンド)の1周目討伐に成功。プレイヤー経験値は活きているものです。1周目からシェラハさんと戦えるのもよい改良ですよね

  • ディアナさん、凛々しい



②アイシャ

  • 裏四天王を討伐

  • ダーク(アルドラ)イベントを完了

  • 仲間にしたことがあるキャラとしたことがないキャラとで引継ぎあり時の成長っぷりが全然違うことに気づき、とりあえず仲間にできそうなキャラは片っ端から一度仲間にしておく

  • エンディングのお爺ちゃんを久しぶりに見て感動

  • タイタスグリーブ、魔石の仮面を人数分収集

  • クロスクレイモアが宝箱から出て感動する



③ジャミル

  • 倍速でジャミルさんのカサカサ走りを見るとなんかこうすごい

  • でも、ジャミルさんの「エスタミルは俺が守るぜ」発言を久しぶりに聞いて感動。ジャミルさんバージョンのエンディング好き

  • ボス戦におけるディフェンスモードの有用性に気づく。PS2版よりも明確にディフェンスモードが強化されていますね

  • 真サルーインをクイックタイム・オーヴァドライヴ有りで討伐。早く追加要素を楽しみたいんだもん

  • 真アルドラさんがウルトラマンタロウみたいに登場

  • アルドライベントがどれも渾身のテキストでとてもよい。ミルザさんへの期待・確信度が強すぎるのも好き

④シフ

  • 素サルーインを普通に倒す

  • 1周+途中まで4周プレイし、龍の目(光)やお守り、怪魚の石麟等を人数分そろえる。引継ぎ機能ってなんて強力なんだ

  • あらためてプレイすると、シフさんが内心ではけっこうなプレッシャーを感じていることと、それでも肝心な場面ではしっかり啖呵を切れる果断っぷりとのギャップにキュンときますね

⑤ホーク

  • 素サルーインを普通に倒す

  • フラーマさんやマリーンさんを使ってみる。マリーンさんを仲間に入れるとウコム父ちゃんの恩寵が出まくってウケる

  • ゲラハさんをゲッコの騎士から城塞騎士にクラスチェンジさせると映え的にハマることに気づく。声やお人柄とディフレクトが相性良すぎてキュンとする。猫背(トカゲ背?)の構えもいとしい

⑥バーバラ

  • 真サルーインをクイックタイム・オーヴァドライヴなしで倒す

  • 極サルーイン以外の追加ボスたちを倒す。どいつもこいつもクセ強で、初見ではジャングルのカウンター野郎にムキーとなりました。真デス様にもかなり苦戦しましたが、開門を4ターンごとにぶっ放してくるのでそのターンは一人が不動剣(ディレイ)使ってから残り四人が回復しておけばいいことに気づく

  • グランドスラム使用時はディフェンスモードが発動していない=ローザリア重装兵に最前列で使わせてたら台無しなことに気づく

  • バーバラさんのアメジストイベント、よく考えるとシェリルさんのダイヤモンド顛末以上に説明ゼロ過ぎてひどい気がしてくる。ユリウスさんは消費者契約法もつくって広めておくべきだったと思うよ

 

⑦グレイ

  • 9個サルーインを普通に倒す

  • 1周クリア後、噂に名高いグレイマラソン&追加ボス討伐をやるも1回で飽きる

  • ディフェンスモード(術法モードでなく)で回復可能な錬気の有用性に気づく。加撃が微妙でもそのデメリットを補って余りありますね

  • 人通りの多い広場で「クローディア」の名をベラベラ喋るジャンさんに引く

  • 武芸家レベル6にしたところ、乱れ雪月花が30回に1回くらい出るようになって驚く(なお、剣士クローディアさんの素ヴァンダライズの方が強い)

  • シェリルさんにダイヤモンドを渡した際のセリフが、主人公ごとに違うことに気づく。エロールさんはムゴくなかったことになりました



⑧クローディア

  • 極サルーインさんを倒す(詳細後述)

  • ボス戦がディフェンスゲーなミンサガリマスターでは、フォーメーション後列配置(防御効果アップ)が有用であることに気づく

  • 敬語が身についているクローディアさん。オウルさんの教育がよかったのでしょう

  • いまさらながら、ミンサガの作品テーマのひとつ「運命」「ディステニイ」にいちばん向き合っているのがクローディアさんシナリオであることに気づく


    (シェリルさんのセリフを見たいがために、素シェラハさんを倒してダイヤモンドを渡した後にリセット、あらためて真シェラハさんを倒してステータスを上げるという迂遠なこともやってみたり)

 

で、極サルーインさんと対峙したのは次の5人です。

 

装備。

各自の素青の剣には怪魚の石麟を貼っています。

フィールドアーマーには冥界毒爪。毒ってターン終わりにちょっと時間かかるのが嫌なのです。ダメージも積み重なると地味に響きますし。

流星刀は気休めです。精霊石の杖やお薬類の方がいいのかもしれないっす。

 

クラス。

剣士は好みでそうしていますが、アタックモード中心になるので預言者がいないときついかもです。ゴッドハンドが来そうなときはクロスクレイモアをディフェンスモードに切替。

旅芸人は敵の連携=事故死を防ぐ意味で有用だと信じています。レベル6でも追加ボス勢にはちょいちょい連携されますが。

預言者は面白いので使っていましたがいなくてもいい気もします。ボス戦は結局ディフェンスモード中心になりますので。幻体を使ってからのグランドスラムが便利。

竜人。ロザ重に並ぶ固さ、青の剣入手が容易になったことによる大型剣(不動剣・払車剣)ポテンシャルの向上、常時ディレイ行動なのも逆に便利です。

城塞騎士。第一段階で大活躍。でも、第二段階のゴッドハンドはあんまりディフレクトしてくれませんでした……。敵が術法モードの時はフランベルジュ経由のリヴァイヴァに回れるのも便利です。

 

仲間。

集めやすさと好みで選びましたが、ガチで対策するならLPの多いメンバーがおすすめです。

 

対戦。

3回目の挑戦で倒せました。

1回目は、第一段階ではこちらのディフレクト発動しまくり、第二段階ではゴッドハンドまったく使ってこずという神引きだったのですが……心の闇で能力ダウン&呪い(霊木の腕輪未装備)が重なり、こちらの攻撃がことごとくミスするように。結果、柱が折れなくなって剣の雨等のダメージが蓄積していく中で敗北。もったいない負け方でした。剣の雨ってトリックモードで、こちらのディフェンスモードを突き抜けてくるせいかやたら痛いのです。大技を控えて命中率・陣発動重視の技、柱折りに徹していたら勝てたのかもしれない。

2回目は、第一段階の神威~でゲラハさんが即KO・アニメートされ、4人で第二段階のようやく力が隅々にまで進むも、ゴッドハンドを連発される中でグレイさんのLPが尽き、一人ずつ仕留められて敗北。劣勢になるとサルーインさんがめっちゃ煽ってくるのもムキ―となります。1回目の敗戦を反省し、霊木の腕輪を装備、柱が多い時は払い抜け等で無足や陣の発動を重視するようにはしてました。

3回目は、柱が多い時は柱折り重視、リヴァイヴァや幻体を絶やさない、という真サルーイン以来の基本を忠実に守っていたらなんとか勝てました。この回もゴッドハンド率が高かったので、逆に終盤は開き直って回復はしない・リヴァイヴァ前提・LPが尽きる前に多分勝てるやろの精神でなんとか競り勝った感じです。どきどき。

 

 

対策をしっかりやってもなお接戦になる、とてもいいボスですね極サルーインさん。

 

事前対策や知識も大事ですし、プレイヤーの判断力・精神力も大事な気がします。我ながら焦ってくると判断ミスが多いこと多いこと。ウキーとなったときこそ基本に忠実に的な平常心を心がけるといいと思いますよ。ウキーとなりますけど。

 

 

8周・極サルーインさん討伐までのプレイタイム。

 

マリストリクやビルキース等、趣味アイテム入手のリセット戦闘タイムを入れたら120時間くらい……?

 

かつても250時間くらいプレイしてたはずなので、累計では400時間近くやっているのでしょうか。なんとすごいゲームなのでしょう。

 

クセは相応に強い作品ながら、リマスター化してますます遊びやすく触りやすくなりましたので、これからもご新規さんが続々とミンサガに運命を絡みとられ、その上でお一人お一人のプレイヤーさんがご自身のミンサガディステニィを切り開いていかれますように。

 

 

 

 

 

 

 

「ヰタ・セクスアリス 感想 性との距離感、明治硬派の男色趣味等」森鴎外さん(新潮文庫)

 

津和野の森鴎外記念館の展示で文章が多く引用されていたヰタ・セクスアリスについて、読んだことがなかったので購入してみましたところ、自然主義と画する性衝動への距離感自伝描写が現代人的には「オレ、エロいことにあんま興味ないのよね、まあ知的好奇心で経験するくらいならいいけど」「童貞捨てたけどたいしたことなかったわーー」アピール男子に見えなくもなくてこれはこれで一周回って自然主義味がありかんたんしました。

 

https://www.shinchosha.co.jp/book/102003/

 

おれの性欲の歴史を書いてみようか――。人間の本質に迫る自伝的小説。

哲学講師の金井湛君は、かねがね何か人の書かない事を書こうと思っていたが、ある日自分の性欲の歴史を書いてみようと思いたつ。六歳の時に見た絵草紙の話に始り、寄宿舎で上級生を避け、窓の外へ逃げた話、硬派の古賀、美男の児島と結んだ三角同盟から、はじめて吉原に行った事まで科学者的な冷静さで淡々と描かれた自伝体小説であり掲載誌スバルは発禁となって世論をわかせた。

 

 

ヰタ・セクスアリス。

ラテン語で「性欲的生活」。

100ページちょいの性的な自伝なのでひょいと読めます。

特に濃厚なエロ描写や異常な性癖描写はありませんが、明治当時の硬派男性(某地方出身者に多かったとか笑)は美少年との男色を好む者が多く主人公も何度か尻を狙われ云々のくだりは「ほぉ……」となるかもしれません。

 

 

主人公の金井さん(作者自身がモデル)は、自然主義文学が寝ても覚めても性欲ハアハアしがちなのをどうかと思い、性に対して比較的クールな自分の自伝を書いてみたようです。それに対する私の感想は冒頭の通り。

 

その上で面白かった描写などをいくつか。

 

  • 少年時代の描写が多いのが良い。性意識の芽生えといいますか、近所のおっさんが「お前が寝たあと父と母が何をしてるか」とか要らん話題振ってきたり、近所のおばちゃんと娘がエロ本読んでたり、盆踊りのあとに若い衆が山の暗がりに消えていったり等の一つひとつにリアリティがあります

 

  • 先輩から男色レイプされそうになったあと、父に報告したら「うむ。そんな奴がおる。これからは気を附けんといかん」と平気でいたというシーンが面白い。舐めなければならない辛酸経験なのだと。ほほーー

 

  • 友達の義母が熱い息を吐きながら顔を近づけてくるエロさ(エロ行為に至らず)、現代的だなあ

 

  • 主人公の友達のイケメンが栗きんとんを黙々と食べている様子をうっとり眺めている芸者さんが愛らしい。いい男がひたむきに食事するシーンっていいですよね

 

  • 主人公が風俗で童貞を捨てる際の、主人公・女性両者をサポートするおばちゃんの奪衣婆呼ばわり描写が面白い

 

  • 童貞を捨てたあとの自身の心理上の変動を冷静に観察・記録している主人公も面白い

 

などなど。

読んでみるとやはり面白まっとうな文学で、情欲を煽る本ではないなという感想です。それにしても自然主義といいヰタ・セクスアリスといい、近代小説は初期段階からこういうテーマ方面でもハイレベルですね。高校生くらいの教科書に載せてあげてもいい気がします。

 

 

他人を傷つけない前提で、誰もがその人の人柄や性質に沿った性欲的ライフを過ごせますように。

 

 

 

 

 

 

大相撲'26名古屋場所感想「夏の暑さに琴栄峰たちの爽やかさが効く」

 

今年の名古屋場所、連日異常な暑さのなかで血が煮えそうなほど苦しいところでしたが、安青錦関が見たことないような偉業を果たしてくださったり獅司関もようがんばらはったり土俵が全体的に爽やかで、とりわけ琴栄峰関は取組も名高い四股も冴え渡っていてかんたんいたしました。

あまり相撲を見ていて涼しげという言葉を使ったことがないのですが、今場所は観客に活力を与えてくれるような味があったと思います。

 

 

今場所幕内で勝ち越した方々は次の通り。

 

12勝 安青錦(優勝・技能賞)、霧島、熱海富士(敢闘賞)

11勝 琴栄峰(敢闘賞)、高安(敢闘賞)

10勝 大栄翔、藤凌駕、錦富士、尊富士、獅司

  9勝 大の里、伯乃富士、狼雅、朝乃山、金峰山、朝紅龍

  8勝 琴櫻、藤ノ川(殊勲賞)

 

今場所は暑さのせいかなんなのか分かりませんが、大勝ちした方と大負けした方がくっきり分かれまして、10勝勢がいつになく多いですね。

 

 

安青錦関はお見事としか言いようがない、10勝した時点でマジかとみんな思っていたはずなのですがそこから12勝&巴戦制覇。精神力の一言では片づけられない……!

リスペクトの一言ですね。白鵬関とかとはまた別の高みに昇っていくのかもです。

 

霧島関はこの安定したハイパフォーマンスが素晴らしいものの、強い! 大勝ち! みたいな突き抜けに至らないのがよくも悪くもらしさですね。よく見て、よく反応して、時に厳しく攻めてと、私は霧島関の取り口が好きなのでもう一段の突破を願いたいです。

熱海富士関は一日一日、寝るごとに強くなっていっている感じですね。スタミナ切れたような顔をときどき見せつつ、今場所も終盤に近付くほどコンディションは上がっていたような気もします。次の大関候補と長年言われるようなことのないよう、もうこの機に駆け上がってほしいところですよね。

 

11勝勢、琴栄峰関はファンを増やしましたね……! もともと四股の美しさ、体バランスの良さは知られていたところに、今場所は取り口までが美しく。琴勝峰関ともども上位陣に居座っていただきたいですね。まだまだ更に強くなりそうで楽しみです。

高安関はあと一勝してたら優勝争いやん、と言い続けて幾星霜なのですけれどもやっぱり強くて応援したくなります。朝乃山関ともども長年のファンに希望を見せ続けてほしい。突き落としの威力がえぐいのも好き。

 

10勝勢では錦富士関の好調が目を引きました。尊富士関も戻ってきて。

獅司関は敢闘賞あげたかったなあ、これだけ10勝が多いとなあというところですね。

 

あと、負け越しましたが朝白龍関もなかなか良かったと思います。

中盤ちょっと調子が狂っていましたけれど初日の寄り切りなんてとてもスマートで。

 

 

 

一方で悔しい思いをした方も多い名古屋場所になりました。

なかなか全員がコンディション最高で場所が始まるという風にはなりませんけれども、今年ももうあと2場所だけなのですから次場所も爽やかな切磋琢磨を見て応援したいですね。

 

力士たちの熱気と取組が世間や気候の穏やかな鎮まりに繋がってまいりますように。

 

 

 

 

「『細川両家記』を読み解く――細川・三好氏と戦国畿内騒乱 感想」嶋中佳輝さん(戎光祥出版)

 

畿内研究で新たに若手の研究者さん方が出てきておられる中、細川両家記をテーマにした新進気鋭の書籍が出版された上、細川三好などの畿内戦国騒乱が日本史に与えた影響をピシリと論じてくださっていてかんたんしました。

おおきくは分かりやすい細川両家記解説本、畿内戦国史の通覧本なのですけれども、それ以上に荘園制の解体や町村の直接掌握過程を掘り下げることで細川三好に歴史的意義を与えているところが野心的ですし注目されてほしいな! と思います。

 

https://www.ebisukosyo.co.jp/item/825/?mode=pc

 

管領細川氏の分裂、三好氏の台頭から信長上洛まで、70年の歴史を俯瞰した重要史料『細川両家記』。

本書では平易な現代語訳と最新の研究成果による詳細な解説・補足を付し、畿内戦国史を再構築する。

 

 

ちょっと長いのですが目次も引用します。

そもそもの細川両家記が扱っている/扱っていない題材がわかりやすいかと。

【目次】

戦国時代の畿内関係図(全体)/戦国時代の畿内関係図(京都周辺)
戦国時代の畿内関係図(大坂周辺)/本書関係系図


本書の方針
『細川両家記』解題
 書名について/作者について/成立について/内容から見る地域性と政治意識/後世への享受と評価

『細川両家記』上巻を読む
 細川政元と二人の養子(~一五〇三年)
 政元に反旗を翻した薬師寺元一の乱(一五〇四年)
 政元が暗殺された細川殿の変(一五〇五~〇七年)
 細川澄之が滅亡した遊初軒の変(一五〇七年)
 澄元の京都追放――第一次細川澄元の乱(一五〇八~〇九年)
 船岡山合戦――第二次細川澄元の乱(一五一一年)
 等持寺合戦――第三次細川澄元の乱(一五一九~二〇年)
 桂川原合戦で細川高国が大敗(一五二六~二七年)
 足利義維の畿内渡海と川勝寺口合戦(一五二七~二八年)
 山崎・伊丹合戦で三好と柳本が対戦(一五二九年)
 柳本賢治の死に端を発する依藤城合戦(一五三〇年)
 浦上氏を頼り細川高国が反攻(一五三〇~三一年)
 大物崩れで高国が敗北、自害(一五三一年)
 三好軍が木沢長政を攻めた飯盛城合戦(一五三一年)
 三好軍が柳本甚次郎を滅ぼした三条城合戦(一五三二年)
 享禄・天文の一向一揆(1)――三好元長の死(一五三二年)
 享禄・天文の一向一揆(2)――一揆と細川全面戦争へ(一五三二~三三年)
 享禄・天文の一向一揆(3)――細川晴国の乱(一五三四年)
 都を炎上させた天文法華の乱(一五三六年)
 三宅国村が裏切り、細川晴国死す(一五三六年)
 木沢長政の乱――太平寺合戦(一五四〇~四一年)
 第一次細川氏綱の乱――松浦守の活躍(一五四三年)
 第二次細川氏綱の乱――内藤国貞の籠城(一五四五年)
 第三次細川氏綱の乱――舎利寺合戦(一五四六~四七年)
 高国残党の主力だった細川国慶の死(一五四七年)
 三好長慶の謀反、晴元と袂を分かつ(一五四八年)
 江口合戦で氏綱・長慶が大勝(一五四九年)

『細川両家記』下巻を読む
 伊勢殿の変――三好長慶暗殺未遂事件(一五五一年)
 六角承禎の調停で足利義輝が帰京(一五五二年)
 三好長慶に不満の芥河常信が反乱(一五五二年)
 足利義輝の三好不信が高まり、和睦が崩れる(一五五三年)
 見性寺の変で細川氏之が殺害される(一五五三年)
 芥河常信を逐い、三好長慶が芥川城入城(一五五三年)
 数掛山合戦と松永長頼の内藤氏継承(一五五三~五四年)
 安見宗房の悪心、三好氏と疎遠に(一五五四年)
 第一次三好兄弟会談と天文の三木城合戦(一五五四~五五年)
 三好長慶による摂津の支配(一五五六年)
 北白川合戦で義輝と長慶が激突(一五五七~五八年)
 第二次三好兄弟会談と足利義輝の二回目の帰京(一五五八年)
 安見宗房を排除した畠山高政の復帰戦(一五五九年)
 足利義輝から三好家への栄典(一五六〇年)
 三好家が河内・大和を制圧(一五六〇年)
 足利義輝の三好邸御成と細川晴元の降伏(一五六一年)
 将軍地蔵山合戦――六角承禎の焦り(一五六一年)
 久米田合戦で三好実休が戦死(一五六二年)
 教興寺合戦で三好方が大勝(一五六二年)
 永禄六年の情勢――畿内の有力者が次々に死去(一五六三年)
 安宅冬康の粛清と三好長慶の死(一五六四年)
 永禄の変――将軍義輝を殺害できた理由(一五六五年)
 新たな支配体制・三好三人衆の結成(一五六五年)
 上野芝合戦――松永・畠山と三人衆の激突(一五六六年)
 三好三人衆の勝利と畿内平和(一五六六年)
 東大寺大仏殿合戦――松永方となった三好義継(一五六七年)
 足利義昭・織田信長の上洛戦(一五六七~六八年)
 本圀寺の変と幕府再興(一五六八~六九年)
 義昭・信長の軍事、畿内周辺への出兵(一五六九~七〇年)
 野田・福島合戦――三人衆方と義昭・信長が激突(一五七〇年)
 第一次大坂本願寺合戦――本願寺が三人衆方に加担(一五七〇年)
 松永久秀の調停で織田・三好和平が成立(一五七〇年)

〔視点〕
① 畠山家の分裂
② 畠山稙長の没落・復帰戦と「天下」
③ 三好長慶の乱(一五三九年)
④「天下」の支配者・六角定頼
⑤ 高屋城の変(遊佐長教暗殺事件)
⑥ 三好家の河内・大和支配
⑦ 伊勢貞孝の乱(一五六二年)
⑧ 三好家と宗教勢力
⑧ その後の阿波公方

 

 

本の構成としましては、細川両家記という本の概要や来歴をまず解説いただき、その上で両家記記述と著者解説を一つずつ追っていっていただく、大変わかりやすいものになっています。

しかも、著者は畿内戦国史や日本史全体にも相応の知識をお持ちで、両家記には記載の薄い畠山・六角・足利幕府の動向※や戦国時代の前後の時代を踏まえた補足が逐次挟まれるのが素晴らしい。単なる両家記解説にとどまらず、これ一冊で全体観が一定養われると思いますのでこの時点でとてもおすすめです。

 

※両家記の著者は不確実ながら摂津人のようで、例えば池田家や伊丹家、周辺の地理は詳述されるのですが、河内や京や近江の記述は伝聞感が強い感じです

 

 

以降は、私の個人的なお気に入りポイント。

 

既存の荘園制が強いものであるがゆえに、そこに変革が及ぶと国家そのものが変化してしまうのが畿内の特色と言える。前者に注目すれば、戦国時代の畿内は保守的な社会となるし、後者に注目すれば革命的な先進地域となる。

 

前書き的な「本書の方針」でいきなりこうした内容をぶち上げてくれた時点で、後続本編を読み進める期待感が高まらざるを得ないのです。

 

 

足利義澄が細川澄之に京都市内を託したことは、幕府の役職とは関係なく、その時点で勝者であれば、本来は幕府の直轄である首都・京都を支配できる道を開くことになったのである。

 

こうして言語化していただくことで気がつく、細川政元暗殺事件の大きな影響。単なる下剋上・お家分裂だけに留まらないぞと。

 

 

将軍・細川家不在の京都を三好・柳本が支配したことで、京都支配の主役に「大名の家臣」が力を持つようになったが、それは「大名の家臣の部下」が京都支配に参加してくるきっかけでもあった。

 

柳本とある通り、細川高国さんと細川晴元さんが戦っている頃の話です。畿内、特に京近辺でこれまで知られてなかった氏素性の人材が生えてくるようになりましたね(おそらくは地元の町や村の成長・自立化を背景に)。

 

 

義晴は自分に送られた高国の最後の希望を叶えたと見ることもできる。

 

高国さんの辞世(庭を見てたい)と、義晴さんが作らせたという洛中洛外図屏風歴博甲本における細川家屋敷で庭を見る主人。こういうコメントみんな好きでしょ? 私は超好き。

 

 

荘園領主ら既存権力では村や町を制御しきれないが、村や町もその領域を超える統治を自分で行えるわけではない。

 

一向一揆と法華一揆を通じて明らかになる現実課題。こうして守護代格の人物たちの存在感がさらに高まっていきます。

 

 

国慶が編成してきた今村・津田・小泉らが主君を失ったことである。短期間とはいえ、彼らが作り出した支配ノウハウは京都を統治するうえで有用なものであった。

 

細川氏綱さんの乱において、京都を占領・支配するも横死した細川氏綱さん。町との直接折衝で軍事費確保に一定程度成功しておりました。そして、彼の残した部下たちがやがて三好長慶さんのもとに集まっていくわけですね。

 

 

 

江口合戦は、大きく見れば晴元対氏綱の構図を保ちながら、実態は畿内政治の主役を細川家から守護代クラスに移行する転換をもたらす戦いでもあった。

 

この段階で長慶さんだけが突出したわけではありませんが、遊佐、松浦、内藤、芥河、そして三好が大きく前に出てきます。そして、これまでもこれからも、これら有力者が欠けるたびに残った人物の権勢が強化されていき、やがて前代の権力者を超えていくわけですね。

 

 

新たに登場する言葉が「一職」である。

「一職」支配では、長慶が推進した町村を基盤とする支配論理が荘園制よりも優先される

 

松永久秀さんの西摂津など、荘園領主を克服する支配が出てまいりました。長慶さんは直接村や町の代表者と話して、長慶さんの文書も彼らが(荘園領主でなく)保管。

 

 

将軍と政所が一体化することは、将軍が京都からいなくなると、それが幕府の滅亡に直結してしまう危険を抱えることでもあった。

 

伊勢氏滅亡により、将軍不在時も幕府の京支配が一部動いていることすらなくなりました。

 

 

永禄十一年(一五六八)一月には、義継が津田城に入り河内へ侵攻しようとしている

 

私も伏見の津田氏と思い込んでました。津田城にはやはりなんらかの軍事施設があったのかもですね。

 

 

今回、中島で尾張の信長と阿波の三好方で戦ったことは、日本国の三分の一が双方の軍勢に集まり、四国の軍勢が一万三千でしっかりした勢力を保ちながら、運を開かれたのは殊勝なことだった。[一九九]

信長方の軍勢六万人が敗北したが、遠路を何事もなく帰国し終えたのも、これもまた名将だなあと申したのである。

昔の中国の項羽と劉邦の戦いもこのようであったかと申したのである。[二〇〇]

 

細川両家記、完!

こちらの引用は原文の訳です。当時の人的には関ヶ原が痛み分けに終わった感じに見えてたのかもですね。現代人で野田福島の戦いをそういう風にとらえている人は少ないと思いますけど、先を知らずにこの瞬間だけを切り取れば確かにそうなのです。

 

 

三好家は江戸幕府的な支配体制のソフトを揃えた一方で、新たな政権秩序というハードを作ることはなかった。これは信長も同様であり、室町幕府体制に見切りを付けつつも、完全に決別もできないまま死を迎えることになる。新たなハードの創出は、信長死後に権力を握った羽柴秀吉が、武家関白として諸大名を官位官職による主従関係に編成し完成させることになった。また、秀吉が三好・織田の支配体制をパッケージ化して各地に押し付けることで、中世的な支配体制も全国的に終わりを告げていくのである。

 

どうでしょう、言い過ぎでしょうか妥当説でしょうか。

長慶さんや畿内皆さまの歴史的意義について、各所からより充実した指摘や反論、補強説が集まってくるといいですね。

 

 

最後に、あとがきで触れられた「三好長慶の母」いいですよね。彼女と、彼女亡き後の長慶さんの行動にもっと注目が集まると私も嬉しいです。

 

 

主に私目線で「新しい」「気鋭だ」と感じたところを中心に触れましたけれども、当著では畿内戦国史の主な人物たちの活躍もめっちゃ触れられていますので、各人物のファンにももちろんおすすめです。

個人的には三好宗三さんや三好三人衆の評され方が好き。

 

 

畿内戦国史界隈、良著も実力ある研究者も盛り上げてくれる市井の方々もますます層が厚くなってまいりますように。

 

 

こち亀全コマ検索「からね、からな構文が好き」

 

こち亀の全コマ検索にかんたんしている人は多いと思うのですが、あらためてこち亀に頻出するイメージの「からね」「からな」セリフを検索したらやはりめっちゃ出てきてかんたんしました。

 

https://kochikame-50th.com/panels

 

 

こち亀といえばテンポのよいセリフ回しも魅力の一つでして、毎々多様なテーマを扱うにも関わらず両さんや中川が「〜だからな!」とか「いまや〜〜は〇〇ですからね」とかでサラッと因果を説いてくれると読者もなんか納得できて話が順調に進む、そんな効能を感じます。

落語とか昔の日本映画の脚本とかにも通じそうな、秋本治さん独特のセリフ回しでなんか好きなんですよね。

 

 

で、からね、からなをそれぞれ検索してみました。

 

 

からね。

 

めっちゃ出てきた……1巻から頻出していたのね。

 

好きなからね。

 

この断定・確信的な言い切りが一種の信頼感まで帯びていて好き。

 

 

続いてからな。

 

同じくめっちゃありますね。

(文字検索なので「わからない」なども含まれていると思いますが)

 

好きなからな。

 

読むたびに「どういうこと……?」となるコマ。

1日80発撃っても1万日かかるのですが笑

 

 

こち亀はスイスイ展開が進むテンポ感が本当にいいですね。今回あれこれ見ていて、私の中で特に評価を高めたのがこのコマ。

 

普通の漫画家なら半ページくらい使いそうな流れを一コマで。この思い切りの良さが作品の魅力密度を高めています。

 

 

あと、こち亀ボキャブラリーとしてはキエエとかも好き。

 

 

数は少ないですが「こうですか」とかも印象に残るコマが多いですね。

 

 

今後も100巻以降のコマが収録されていくようですし、こうした施策を通じてこち亀人気が根強く盛んだと嬉しいですね。とてもいい企画。

ギャグ漫画界隈全体も活況でありますように。

 

 

「孟子 全訳注 感想 シビアな時代環境性と普遍性、両方を感じる」宇野精一さん(講談社学術文庫)

 

ちゃんと読んだことなかった孟子を読んでみまして、いわゆる性善説的な優しい世界の話が多いのかなという先入観を持っていたのですが実際は戦国時代にあって諸家の論争激しきなかで孔子の教えを保って再興の機をつくってという緊張感みなぎる契機の内容であることが分かりましてかんたんしました。

その上で、普遍性のある内容もしっかり見出し偉い人にまっすぐ語らっていただいているのがさすがですね。単に教訓だけを学ぶなら論語のほうが読みやすいと思いつつ、時代環境の中でなおぶれない良さという意味では孟子もいいなと感じました。

 

www.kodansha.co.jp

 

 

 

有名な人・内容ですので細かい解説は省略しまして、個人的に気に入った箇所の感想をいくつか。現代語訳ベースで引用・紹介します。

ちなみに孟母の話は出てきません。後世に付け加えられたエピソードなんですかね? 忠孝の教えを説きつつ孟子個人の父兄の話も出てきません。まあ教えに属人性がない方がいいのかもです。

 

取って燕の民が喜ぶというならお取りなさい。昔の聖賢でそのようにした人が、すなわち周の武王であります。もし取ったら燕の民が喜ばぬというなら、お取りなさいますな。昔の聖賢でそのようにした人が、すなわち周の文王であります。

 

こういう、顧客本位的な姿勢を王道と説く姿、いいですよね。

 

 

かりに今、国家が平穏無事として、それをよいことに楽しみにふけり怠惰遨遊したならば、これこそみずから災いを求めるものである。

 

孟子さんの説く王道、施政者にとっては耳に優しくないのがいいですね。

 

 

人々はみな人に忍びざるの心、すなわち人の難儀を見過ごしにできない心持ちがある。

 

いわゆる惻隠の心ですね。幼児が井戸に落ちようとしてたら誰でも助けるよねと。

 

 

仁者の態度は射術と似ている。弓を射る人は、自分の精神・姿勢を正しくして、しかるのちに矢を放つが、放った矢が当たらなくても、当たって自分に勝った相手を恨むことなく、当たらなかった自分に落ち度があったことを反省するだけである

 

これも自分に厳しい。ストイックさがいいですね。

この時代から弓道的な精神性があったんだなということも興味を引きますね。

 

 

いったい、上の者が好むことがあると、下の者は必ずそれに輪をかけてはなはだしくなるものです。たとえば、上に立つ君子の持ち前は風、下にいる小人の持ち前は草のようなもので、草は風が吹けば必ず倒れるものです。

 

孟子さんの組織観察力が冴え渡っています。常に上の者への諫言がキレてるだけに、天下を望む英邁な方と出会いたいんだろうな感も引き立ちますね。

 

 

定職のない者は、恒心がなく心がぐらつくものです。もし恒心がなければ、どんなわがままかってや悪事でもやりかねません。人民をそのようなはめに追い込んでおいて、罪を犯したからといって、当然のこととして刑罰を加えるのは、いわば人民を網に掛けるというものです。

 

いわゆる恒産なくして恒心なしですが、それを自己責任論にせず政治責任とみなして王様に直言しているのがイケメンです。

 

 

人が軽々しく物を言うのは、責任感がないからだ

人の通弊とするところは、好き好んで人の師となろうとすることだ

 

ごもっともです……。

 

 

心の徳はみずから求めれば得られるが、ほっておけば失ってしまう

 

性善説を説きつつ、そのことを絶対不変とはおっしゃっていない。この辺に性悪説との交点を指摘する人もいますよね。

 

 

元来なそうとせぬことをせず、欲しようとせぬことを欲せぬ、君子の道はそれだけのことである

 

この内観の極みのような姿勢は、老荘や禅にも通ずるところがありそうです。賢人の共通姿勢かもしれません。

 

 

ただ禄を与えておくだけで親愛しないのは、豚として扱うようなものだ。また、愛しても敬意を持たないのは、犬や馬のごとき獣を飼うのと同じである。

 

これも表現はきつめですが、見過ごせない感性ですね。

 

 

 

この他、あえて引用はしませんが、原始社会主義みたいな他学派の言説にめっちゃ強く反論していたり、弟子の(まあまあぶっ込む)質問にもかなり厳し目に返していたりと、この時代独特の「気を抜くとすべてを失う」感が豊富です。そんな中にあって、王や諸家に耳障りのいいことを言わず、上述の厳しいストイックな王道を説いて回る姿は、確かに厚いリスペクトに値しそうです。

 

孟子は法制度の整っていることを批判はしておらず、それよりも徳治で治まっているのがなお良いと言っている印象です。それはハードローよりソフトロー、ルールベースコンプラよりもプリンシプルベースコンプラのメリットに共通する感覚かもです。

 

 

 

なにもかもが施政者の王道の是非によるとは言いませんが、施政者本人はそのような矜持を持っておいていただきたいですね。

なにはともあれ現代社会も諸家の良いところを活かしてよりよい方向へ向かっていきますように。