肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「漂巽紀畧(ひょうそんきりゃく/全現代語訳) 感想」述:ジョン万次郎/記:河田小龍/訳:谷村鯛夢/監修:北村淳二(講談社学術文庫)

 

ジョン万次郎さんの漂流記「漂巽紀畧」を初めて読んだのですが、思いの外な漂流モノアドベンチャーとしてのレベルの高さにかんたんしました。

これ、高校日本史の副読本とかで紹介してもいいんじゃないなと思いましたよ。

 

bookclub.kodansha.co.jp

 

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江戸時代末期、ジョン万次郎さんが漂流してアメリカへ行って奇跡的に帰国できた顛末を口述した内容をまとめた冊子になります。

聞き取りをしたのが画家の河田小龍さんなので、各所に挿絵もふんだんに盛り込まれていていい感じです。

 

幕末には、当冊子が幕府や諸藩の偉い人たちに大変珍重されたのだとか。

こういう本を通じて、いちおう当時の日本人にも鉄道、軍艦、金鉱、教育、選挙、といった概念は耳には入っていた訳ですね。

 

 

この本、現代語訳ベースで全150ページほどですし、内容がロビンソン・クルーソー十五少年漂流記と同じように漂流からのドキドキアドベンチャーに富んでいますので、学術的なイメージとは裏腹に、ティーンエイジャーへ与える本としても好適ではないかなと驚きました。

幕末にたくさん刷られたというのも、アメリカ社会を学ぶという真面目な目的だけでなく、単純に読み物として面白かったからでもあるんじゃないの? と思えるくらい。

 

 

あらためて当著に記されているジョン万次郎さんのアドベンチャーを紹介しますと。

 

土佐で仲間と漁に出る

 ↓

嵐に遭う

 ↓

鳥島(伊豆諸島)に辿りつき、なんとか数カ月間生き延びる

 ↓

アメリカの捕鯨船に救出される

 ↓

ハワイに寄港

 ↓

アメリカに渡る

 ↓

アメリカで学問に励む

 ↓

アメリ捕鯨船の船員になって世界各地を旅する

 ↓

カリフォルニアのゴールドラッシュでまとまった資金を得る

 ↓

ハワイ経由で上海行の船に乗せてもらう

 ↓

琉球に到着

 ↓

薩摩・長崎での取り調べを経て土佐に帰国

 

 

という経緯でございます。

 

 

吉村昭ファンとしては、「鳥島」というワードだけで胸が高鳴りますね。

アホウドリの楽園! 飲み水はほとんどないよ!! のあの鳥島

ジョン万次郎さんも鳥島ではたいがい苦労されたようですが、当著の筆致は吉村昭さんの文章のような刻々と命をすり減らされるような類ではないのでご安心ください。

 

 

鳥島から救出された後は、まさしく初めて触れるアメリカの文化・社会に瞠目しつつ自身も勉強や労働に励んでついに故郷に帰るという美しい異世界紀行潭でございますので、安心して楽しく読み進めることができます。

当時の日本人の耳による英語のカタカナ表現なんかも妙な楽しさがあり。

 

好みの記述をいくつか紹介しますと。

 

挨拶のあと、ホイットフィールド船長は「こんどの航海において、ふしぎな縁に導かれてこの人たちを救助したのだ」と筆之丞一行との顛末を説明すると、ドクター・ジャッドは筆之丞らにたいして「合掌したりお辞儀をしたりする国の者か」としぐさで問いかけた。

 

万次郎さんたちを救出してくれた親切な船長さんと、ハワイのお医者さんとのやり取り。「合掌したりお辞儀をしたりする国」という表現がいいですね。

レアケースながら、ジョン万次郎さんたち以前からハワイに辿りつく日本人もいたようです。

 

 

船では万次郎を略して「マン」、あるいは「ジョン・マン」と呼ばれるようになった。「ジョン」とは思うに、かの地において身分の低い者を呼ぶときによく使われる名前であろう。

 

ジョン万次郎さんのジョンは、グリムリパーさんとターボメンさんのタッグ名「ジョン・ドウズ(名無し)」と同じ由来のジョンだったんですね。

 

 

才能や学識を持った多くの人のなかから、これぞと思える人物を選んで大統領とする。そして、その任期は、四年を限度とするが、その人の徳が高く、政治力も抜群であるならば、任期を重ねてその職を続けることができる。

 

民主主義・大統領制の紹介パートの一節。

「徳が高く」という表現がいいですね。現代でもそうあってほしい。

 

 

「ここは、どこの国だ?」

万次郎がこう問いかけると、向こうが「陸奥国の仙台だ」と言う。これを聞いた万次郎は、急いで船からボートを下ろし、蒸餅[パン]二桶をもっていって仙台の漁船への贈り物とし、さらに尋ねた。

「土佐の国は、ここからだとどっちの方角になる?」

しかし、返ってきたのは「土佐のことは全然わからない」という言葉であった。そして、その漁船の男たちといくつかの言葉を交わしたのだが、まるで通じない。

 

万次郎さん、なんと捕鯨船員時代に日本近海で日本人と出会う。

しかし、無念、陸奥人と土佐人では言葉が上手く伝わらない……というエピソード。

これも当時の日本国内における地域文化性が察せられて興味深いです。

 

 

およそ世界の国々は、どこへでも航海をし、互いに交流し商いをしているので、万が一遭難したり、万次郎たちのような漂流事態になったときに適宜対応できるように、各国の要地や港に領事館を置いている。

以前、ニューヨークの船がわが江戸に来航したとき、この地に領事館を置いてほしいと要請したが、聞き入れられなかった。

 

アメリカで、アメリカ船が江戸を訪問したことを知る万次郎さん。

「領事館」も当時の日本人からすればとても先進的な事例に聞こえたことでしょう。

 

 

ここで、「シチンボール」[スチームボート。蒸気船]と呼ばれている、これまで見たことのないような船に乗った。

「シチンボール」は、船体の長さが四十間あまりで、帆はひとつもなく、ただ船体中央に巨大な湯罐を設置している。その湯罐で沸かした蒸気を用いて、船体の内外に取りつけた鉄輪を回して動く。進んでいく非常な速さは、たとえるものがないほどのものである。

サクラメントに上陸して、「レイロー」[レールロード。鉄道、汽車]という、これまた見たことのないような車がたくさんは知っていることを知った(この車は合衆国では多く走っていて、万次郎も一度乗ったことがあると言っている)。

「レイロー」は、三間四面の鉄箱に石炭を入れて燃焼させ水を熱し、発した蒸気を鉄箱に充満させ、その蒸気を鉄筒[パイプ]に導くように造られている。そして、先のシチンボールと同じように、鉄筒を通ってくる蒸気を用いて車体に取りつけた鉄輪を回して動くようになっている。

 

蒸気機関で動く鉄の乗り物「シチンボール」「レイロー」のご紹介。

日本の幕末は、アメリカの西部劇時代と重なっているので、外輪船や鉄道敷設の描写がまたロマンを呼んでいいですね。

 

 

ただ、こうした繁栄、繁華のなかで、ひとつ困ったことがあった。ならず者、やくざといった類の人間が徒党を組み、言いがかりをつけては他人の金品を奪ったり、さらには銃を用いて殺人に及んだりといった事態が生じているし、どうにも手のつけようがないような輩もかなり多くなってしまったのである。

 

ゴールドラッシュにおける負の面も描写されています。

まさに西部劇的フィールド!

ちなみにジョン万次郎さんは、七十幾日間で一ドル銀貨六百枚あまりを得たそうです。物価はよく分かりませんが、その後カリフォルニアからハワイに渡る船賃は銀貨二十五枚だったとのこと。

 

 

 

挙げればキリがないほど興味深い文化紹介がございますが、とりあえずこの辺りで。

 

それにしても当時のアメリカという異世界において、ジョン万次郎さんはよくも正確に観察・記憶されているものです。

よほど頭の優れた少年だったのでしょうか。

蒸気機関の原理なんて普通の人なら「妖術(断定)」となりそうなものですが。

 

 

このように、当著は異文化紀行としても、主人公ジョン万次郎さんの懸命・努力あっての成功アドベンチャー潭としても面白い内容になっていますから、もっと広く読まれてもいいんじゃないのと思いましたよ。

 

現代グローバル社会においても、各国それぞれ、難儀している他国人に親切な風潮でありますように。

 

 

 

信長の野望20XX「沖田畷異聞 感想」

 

信長の野望20XXにまさかの沖田畷異聞が実装されてうわっほーーいとかんたんいたしました。

 

イベント実装のリリース

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やー、まさか本当に実装されるとは。

信長の野望20XX「肥前アナザー攻略(龍造寺家)」 - 肝胆ブログ

 

 

 

私はこの記事を書くために、今日、わざわざ佐賀料理を食べて気合いを入れてきましたからね。
肥前桜ポーク、日本酒「古伊万里」、超美味でした!)

 

 

さあさあ沖田畷の戦いですよ。

最近発売された「歴史群像」で特筆されていたあの沖田畷の戦いですよ。

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中西豪さんの手による良質な記事なので龍造寺ファンは読みましょう。

そもそも「沖田畷の戦い」ではなくて「島原森岳の戦い」ではないか、というところも含め、龍造寺隆信さんの事績や評価を色々教えていただけますよ。

 

 

 

20XXの話に戻りまして沖田畷異聞、実装されたことも驚きながら、その内容が龍造寺目線でのストーリーになっていたことに驚愕でございます。

三好家といい龍造寺家といい、20XXはなぜに陽の光当たらぬマイナー私推し家をこんなに愛でてくださるのか。

ありがとうございます。好き。大好き。

 

 

この異聞、同時にリリースされたガチャのバナーを見て、

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ああ、これは201X肥前ストーリーの爽やか鍋島直茂さんが

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隆信様の哀れなお姿に向き合い、形見の血まみれボロボロマントを羽織って

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こういう姿になる内容なのかなと思っていたら。

 

 

全然違いましたね笑。

 

 

以下、異聞のネタバレを含みます。

攻略に役立つ内容は一切ありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

物語はいつも通り主人公たちが戦国時代に飛ばされ、偶然出会った龍造寺主従と一緒に幽魔をやっつけるというものなのですが。

 

龍造寺主従の画面の圧が強いよお!!!

 

のっけのNPC援軍画面からしてこれですからね。

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吹きますよね。そりゃ!マークもつくわ。

 

 

この異聞、詳しい展開や内容はもういったん置いておいて、ひたすらに主従の圧を堪能させていただけるという誰狙いやねんというくらいニッチ殺しな代物なんですよ。

 

 

圧が強いイケ顔義弟! 私も探してもらいたい。

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イケ顔義弟に向き合う逆十河額の義兄上。鼻息が甘い匂いしそう。

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難しき理を吐く義弟! 顔がいい……顔がよすぎてこれは諫言が耳に入らない……。

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はあはあ。

こんなん序の口なんですよ。

 

 

鍋島直茂さんはひたすらに格好よく頭よく!

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龍造寺隆信さんは伝統的イメージを踏まえつつ、厳かな信念と隠れインテリが垣間見える演出で!

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そんな主従がですね!

この異聞、エラいことになるのですよ!!

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あああ゛、

ああ゛、ああ゛あ゛あ゛ああ!!!!


なにこれ、なにこれ!?

 

 

 

私、生まれて初めて異世界転生したいと思いました。

 

どうしたらこの世界線龍造寺隆信さんに転生できるんですか。

 

 

 

ツーブロックソフトモヒカン。

ガチムチ。

圧の強いイケ顔の義弟。

忠誠心みなぎる四天王等の家臣団。

 

 

私にないものをすべて持っているじゃないか龍造寺隆信さん。

 

 

こんなん、こいねがうしかないじゃないですか。

 

 

 

何、小説とか書けばいいの?

 

 

人間不信の社会人女子が龍造寺隆信に転生したら死亡フラグをへし折って顔のいい義弟ができました」みたいなやつ書けば大ヒットするの!?

 

 

令和は龍造寺の時代かよ!!!

 

 

 

 

……みたいな感情の暴走を抑えきれない異聞になっています。

 

全部貼りませんが、この後の主従も更に最高にイイんですよ。

是非皆さんストーリーを進めて見て燃えて悶えてください。

 

 

 

本当に、龍造寺ファンからすると鼻血モノでしてね。

 

龍造寺四天王なんて、細かく逸話を拾っていただいてね。

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命がけで奮迅する面々、命がけで諫言する面々。

こんなん泣くわ。

 

 

 

他にも龍造寺家の皆様がしっかり登場いたしまして。

 

後の世の展開が察せられる政家さん。

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楽しい脳筋主従のお二人。

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長くなってきたので控えめに紹介しますが、沖田畷ということで登場する島津家久さんや有馬晴信さん・晴純さんなんかもイケてる活躍をいたします。

 

フィンファング的なものを装備した新しい家久さん。

(奇跡的に手に入った。隆信さんは手に入らなかった)

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クソコラ化はされていないもののされていないだけに想像以上の存在感を発揮した有馬晴信さん、およびまさかの登場有馬晴純さん。

(晴信さんの活躍はどうしてもネタバレになるので、晴純さんだけ貼ります)

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有馬家ファンは沖田畷ステージを17周しましょう!

 

 

 

以上、おそらく龍造寺家コンテンツとしては下手したら史上最高なんじゃないかというくらい熱量のこもった異聞になっております。

嬉しい。

ありがたい。

桜咲く春うららの下、私は龍造寺主従を想い身悶えするばかり。

 

 

大志の鍋島直茂さん(上から目線の死狂い)もよございましたが、

20XXの鍋島直茂さん(悩みながらのカカァ天下)もよございますね。

 

 

今回の異聞を機に、ユーザー、戦国時代ファンの間で龍造寺家の人気がますます高まってまいりますように。

 

 

 

 

ところで、肥前ガチャ2倍で慶誾尼さんをついにゲットできました。

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全身図では着物姿だったんですね。

迫力と貫禄がとても素敵です。

 

 

 

 

大相撲'20春場所感想「相撲協会の底力」

 

大相撲2020年春場所、史上初の無観客開催を乗り切った相撲協会・力士一同の尽力にかんたんいたしました。

 

www.sumo.or.jp

 

 

千秋楽の八角理事長による協会御挨拶、とてもよかったですね。

沈黙を挟みながら、言葉を振り絞るような理事長の姿。

背負っていた凄まじい重圧があれだけでも察することができるようでした。

 

何もかもが異例な中、親方・幕内力士が勢揃いしての協会御挨拶・表彰式はなぜか相撲ファン・視聴者を安心させるような力強さがあったように思います。

成績や勝敗のこと以上に、一同が並々ならぬ決心のもとに春場所に臨んでいたこと、このコロナ禍を乗り切ろうと尽力していたことが伺えて、結果として無事に15日間を務めあげられたことには敬服の念を惜しみません。

 

色々ありましたし足下でも色々あるかもしれませんが、その色々の中で相撲協会は少しずつ確かな実力をつけていっているのかもしれません。

この春場所、そんな相撲協会の底力が何よりもファンに感銘を与えてくださいました。

 

 

NHKでは出世力士手打ち式や神送りの儀式までも放送に組んでくれました。

協会同様、マスコミサイドも何とかしてこの春場所を盛り上げよう、相撲ファンの心に残るものを伝えよう、と取り組んでくださっていたように思います。

いつも以上に協会とマスコミに一体感があったような気がするんですよね。

 

それにしても、観客の不在がこれほどに大きいとは。

相撲の観客といえばマナーの悪さばかりが取り上げられて、あまりいい印象もなさそうなものなんですが。

いないとこんなに寂しい。

プロスポーツにおける観客、声援の力を再認識させていただいたような思いです。

 

 

 

そして、再認識といえば白鵬関。

先場所ではもうダメだみたいな感想を書いてすみませんでした。語る資格なしとはこのことです。

大相撲'20初場所感想「白鵬幕府崩壊からの徳勝龍下剋上・戦国時代到来」 - 肝胆ブログ

 

先場所の様子には本当にショックだったんですよ。

ああ、もう、時代が変わるのか……という心境だったんですが。

 

今場所はすっかり力が戻っておられましたね。

足利尊氏ですか貴方は。

乱れたりバタバタしたりした取り組みもありましたが、あれも弟弟子の炎鵬関をリスペクトして色々試しているんじゃないかとすら思えてきました。

 

白鵬関については、リアルタイムで色々語っちゃいけない気がしてきています。

彼の評価は、引退後も含めてこれから何十年も長い期間、相撲ファン皆が落ち着いて考えていかないと着地することがないのかもしれません。

 

 

あらためて今場所の勝ち越し勢は次のとおり。

 

13勝 白鵬(優勝)

12勝 鶴竜、隆の勝(敢闘賞)

11勝 朝乃山、碧山(技能賞)

10勝 御嶽海

  9勝 阿武咲(殊勲賞)、宝富士、霧馬山、照強、石浦、志摩ノ海、琴ノ若

  8勝 正代、大栄翔、隠岐の海豊山、輝、勢、魁聖千代大龍

 

 

朝乃山関がいよいよ大関ですね。

個人的には近年稀にみるほど順当な出世だと思います。

白鵬関や鶴竜関の次の時代を担う方だと思いますから、実力はもちろん、人・看板としての器量もすくすくと育っていっていただければ嬉しいですね。

 

そして、その朝乃山関に土をつけた豊山関も素晴らしかったです。

あのハズ押しは技能賞レベルに光っていました。

私の中で今場所一番の取組みはこの朝乃山-豊山戦の技術的攻防です。

炎鵬関との手四つも含め、今場所の豊山関は実力と研究成果を存分に発揮してくれてよございました。

推したい度がぐんぐん上がったファンも多いのではないでしょうか。

 

私の推し力士である大栄翔関と隆の勝関がしっかり勝ち越し、しかも隆の勝関は終わってみれば12勝という大暴れっぷり。

これは嬉しい。

負けた取り組みも含めどれも内容がよかったですから、引続き楽しみに推していきたいと思います。

 

 

今場所は本当に見どころが多くて、番付相応に看板力士たちが活躍して、充実した内容だったように思います。

それだけに高安関の怪我が痛ましく、ファンとしてもショックでしたが……。

 

 

この土俵の充実と、朝乃山関の大関デビューと、相撲協会としての成し遂げた自信とを全部活かして、夏場所はコロナも収まりにぎにぎ盛り上がって開催されますように。

 

 

 

 

定点観測

 若隆景(十両二枚目)  10勝5敗

 若元春(十両十一枚目) 8勝7敗

 若隆元(幕下十三枚目) 3勝4敗

 

 

 

 

「長襦袢の魅力 感想」編著:岩田ちえ子+中村圭子+中川春香(河出書房新社)

 

着物の中に着る「長襦袢」のアンティークものを特集した書籍がたいへん美しく興味深い内容でかんたんしました。

これは江戸~戦前頃の創作をする方にはぜひ読んでいただきたいですね。

 

www.kawade.co.jp

 

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現代では「下着」のように扱われがちな長襦袢ですが、少し前の女性は様々な長襦袢を使って着物との取り合わせを楽しんだりしていたんですよ、という本です。

 

どうやら去年(2019年)東京の弥生美術館でこうした展覧会をやっていたようですね。

時すでに遅しですがナマで観たかったなあ。

 

 

とは言えこちらの書籍でも、大半がカラー印刷というぜいたくな仕上がりで、アンティー長襦袢の魅力を思う存分知らしめてくださいます。

 

百聞は一見に如かずですので、少しだけ引用いたしますと……

 

「菊」柄の長襦袢。右上の長襦袢の色がいいなあと思います。

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「雲取り」「源氏香」柄の長襦袢。独特の格調高さ・美しさがございますね。

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モノクロなのが惜しい「流水・波」柄の長襦袢。イキですねえ。

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左下の解説がまた面白いんですよ。

女性の長襦袢の柄にしては、猛々しい荒波であるが、着物の下にこれを着ていると思うと、勇ましい気分になり、勝負襦袢となるにちがいない。

 

着物のたぐいの書籍というと、堅苦しいというか、何らかのしきたりを押し付けられるような印象を抱くこともございますが、この本は解説文も含めて自由に伸び伸びとした空気感が伝わってくるのがいいんですよね。

 

 

貼りませんが、他にも菖蒲柄、芙蓉柄、世界旅行柄、市松柄、扇柄、鞠柄、そしていかにも遊女らしい赤襦袢等々、さまざまな長襦袢の魅力を堪能させていただけます。

現代は長襦袢といえば白いものばかりで、あのスッキリした白色も個人的にはけっこう好きなんですけど、あらためてこうしたアンティークの柄物長襦袢の美しさに触れると着物に対する世界観が広がったような思いを抱きます。

 

 

 

本の後半では古今の浮世絵や絵画に描かれた長襦袢の有様を沢山見せてくださいます。

 

高畠華宵さんの「情炎」という八百屋お七を描いた絵がとてもいい。

戦前の読み物「愛の戦車」の挿絵なんかも紹介されますが、挿絵以上に「愛の戦車」の内容が気になって仕方ありません。

伊藤晴雨さんまで取り上げられているのには驚きました。(子どもは検索しちゃダメ)

唐人お吉のストーリーも載っておりまして、まこと長襦袢は女の悲劇や情念や衝動によく似合うモチーフなんだなあと唸らされます。

 

 

こうした切り口で和装の美しさを取り上げた本は珍しいですし、こうした切り口を知っておけば過去の歴史の楽しみ方も広がっていくことと思いますので、多くの方の目に留まるといいなあと思います。

 

今後の世代も含め、着物に親しむ機会がなんらか増えていきますように。

 

 

 

映画「エドワールとキャロリーヌ(1951) 感想」ジャック・ベッケル監督

 

夫婦喧嘩コメディ映画「エドワールとキャロリーヌ」が親近感の湧く喧嘩描写が大変優れている上にヒロインのキャロリーヌ(若いときのアンヌ・ヴェルノン)さんが非常にキュートでかんたんしました。

 

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以下、ネタバレを含みます。

ストーリーはあってないようなものですが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

駆け出しピアニストのエドワール(ダニエル・ジェラン)さんと、お金持ち家出身のキャロリーヌさん夫婦。

 

キャロリーヌさんが夫を親戚主催のパーティで売り出そうとしたところ。

 

キャロリーヌさんのドレスのスカートが短すぎるという理由で烈しい夫婦喧嘩になり、パーティでもすったもんだがあったりキャロリーヌさんが他の男に口説かれたりエドワールさんもマダムにすり寄られたりするものの、最終的には特に深いきっかけもなく仲直りするという。

 

この夫婦喧嘩の発端のくだらなさ、ぎゃあぎゃあ騒ぐんだけど頭が冷めたらなんとなしに仲直りしてしまう間合い、非常に古今東西変わらぬ夫婦喧嘩のリアリティコメディ味があっていいのですよ。

 

 

ストーリー的にはなんてことない映画なんですが、ジャック・ベッケル監督の腕がいいためか、夫婦模様、パーティ模様、脇役の話への入り方、一つひとつが写実的で、現代の日本人が観てもまるで違和感を覚えないのがすごいと思います。

 

主人公がピアニストという設定を活かして、要所要所で流れるピアノシーンがメリハリを効かせてくれますしね。

ピアノを弾く男というのもなかなかセクシーでよい。

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脇役たちも気の利いた演技でよい。

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なにより、とにかくキャロリーヌさんがかわいい。

 

 

夫の辞書を粗末に扱うも、とぼけて知らないふりをするキャロリーヌさん。美人。

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ロングドレスのスカートを切って得意になるキャロリーヌさん。かわいい。

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スカートの短さにマジギレする夫。

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キレ返して挑発するキャロリーヌさん。腹立つ顔してるのがかわいい。

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ビンタされるキャロリーヌさん。これは現代ではあぶない。

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ビンタし返すキャロリーヌさん。三倍くらいやり返すタイプです。

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泣きわめくキャロリーヌさん。うっとい表情がかわいい。

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泣きわめき続けるキャロリーヌさん。子ども染みていてかわいい。

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パーティ後、にじり寄ってきた夫への距離を測りかねるキャロリーヌさん。

上手く表情をつくれない様を上手く演技できている表情がかわいい。

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夫の電話相手が気になるキャロリーヌさん。素でかわいい。

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仲直りする夫婦。Fin!

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最初から最後まで、かわいいキャロリーヌさんの活躍を見ているだけで充分以上に楽しい映画でございました。

 

アンヌ・ヴェルノンさん素敵ですね。

まさしく

彼女は"観客"を知っている

幼く無邪気で悪戯で それでいて美しくあることが

いかに“観客”を虜にするのか

 

という感じです。

 

 

いい夫婦喧嘩コメディでございました。

親近感の湧くような夫婦喧嘩はいいものですね。

不倫とか借金とかアル中とか常習的DVとかじゃないし。

 

リアルタイムで喧嘩や冷戦や熱戦している世の中の夫婦方もそのうち上手く仲直りができますように。

 

 

 

 

映画「アイアン・ホース(1924)」ジョン・フォード監督

 

アメリカ初の大陸横断鉄道の建設史を描いた西部劇サイレント映画「アイアン・ホース」が正統派のエンターテインメントと濃密なオス臭さがブレンドされた傑作でかんたんしました。

 

 

大陸横断鉄道の完成は1869年です。

それまで、アメリカの東海岸から西海岸への旅は船で南アメリカ大陸をぐるっと回っていく事例も多かった(ジョン万次郎さんがゴールドラッシュに参加したのもこの船ルートだったそうな)ようですから、横断鉄道の敷設はまさに画期的な国家事業だった訳ですね。

 

 

「アイアン・ホース」とはずばり鉄道のこと。

当時、インディアンから鉄道はこういう風に呼ばれていたのだとか。

 

映画では、鉄道の敷設工事を縦軸に、主演のジョージ・オブライエンさんによる父親の仇討ちですとかマッジ・ベラミーさんとの恋愛ですとかを織り交ぜて物語が展開されてまいります。

 

ジョージ・オブライエンさんとマッジ・ベラミーさん。 

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ジョージ・オブライエンさんは端正な顔立ちながら、荒涼とした大地で肉体労働に励む姿がサマになっていて汗臭くて格好いいんですよ。 

 

 

物語の詳しいネタバレはいたしませんが、見どころとしては迫力のある構図・画面が純粋に楽しくていいですね。

 

例えば工事関係者の食料として、大量の牛(牛肉)を移送するシーンですとか。

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大河を渡る牛さんの群れ。

撮影も史実のカウボーイさんも大変だったろうなあ。

 

「いつまでバッファローの肉ばかり食わせるんだ牛肉を出しやがれ」とキレる労働者の方々の不満もリアルでよござんす。

 

 

この作品の労働者は、白人も中国人もジメジメウジウジしたところのない、カラッと働いたり歌ったり戦ったり騒いだり文句言ったりしているのが実にいいんですよね。

 

 

歌いながら働いて!(なお無声映画

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(セリフはすべて字幕で表示されます)

 

 

 

インディアンが襲ってきたら応戦して!!

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物語としては調査とかケンカとか仇討ちとか色々あるんですけど、

とにかく働く! 働く! 

肉体労働こそが映画の主役だ!!!

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非常にオスオスしくて愉しい!!!

 

人様が一所懸命汗水流して働いているところを見ると、元気が出てまいりますね。

 

 

これはいい映画、これぞ人間賛歌ですよ。

 

働いた!

 ↓

世の中よくなった!!

 ↓

仇討ちできて彼女もできた!!!

 

 

物語ってのはそれでいいのよ。

 

 

働くってのはつらいことも嫌なことも退屈なことも多いものですけど、一方でこういう熱くなったり汗をかくのが不快でなかったり達成感があったりドラマがあったりすることも多いものですからね。

 

 

100年前の映画ながら、面白さもパワーもまるで色褪せておりません。

シンプルに、力強くて、夢も希望も叶う世界を再認識させてくださいます。

 

 

どうか現実もそういう現実であってくれますように。

 

 

 

「あいうえおの燻製たまご」と「KYKのたまごかつサンド」新大阪駅

 

新大阪駅の新幹線ホーム売店(対面型でなくステップイン型の店)のおつまみコーナーに売っている「あいうえの燻製たまご」がやっぱり美味しくてかんたんしました。

よい旅のおともです。

 

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2個入りのものと1個入りのものがありますが、さいきんは2個入りのものをよく見かけるイメージ。

 

 

名前の通りの食べ物でございますが、パッケージを開けるとこういうビジュアルのたまごさんがお目見えいたします。

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これはエロい。

美褐色の艶めかしい肌合いがそそりますね。

子どもに気安く与えちゃうと健全な嗜好の育成を阻害しかねない蠱惑的なビジュアルだと思います。

 

 

この燻製したたまご閣下がですね、燻製の風味を楽しめつつもクセを上手いこと抑えて穏やか味わいに仕立てた調味でございまして。

 

味が濃すぎないからお茶や水でも余裕、おやつ使い可。

燻製香がいい仕事をしてビール等お酒のつまみにも活躍。

ほどよいサイズ感が、駅弁のボリューム不足を補うプラスワンおかずとしても取り回しがいいというね。

 

とりあえず1つ買っておけば、旅のどこかで必ず活躍してくださるナイスな連れ合いなのであります。

ドラクエ5でいうと終盤でも馬車にホイミスライム入れとけみたいなやつですよ。

 

 

欠点は、新幹線の座席からうっかり落としたら、どこまでも果てしなく転がっていってしまうこと(体験談)。

 

あとは、取扱い店舗が微妙に少ないことですかね。

どこの売店でも売っている訳ではない、というのが微妙にレア度を高めています。

私はいつも新大阪の新幹線ホームで買うんですけど、他の売店や他のJR駅でも売っているのかしら。

 

 

いい商品だと思いますので、めんどりさんに負担をかけない範囲で取扱い店舗が増えていってくださいますように。

 

 

 

 

そうそう、新大阪駅のたまご商品といえば、KYKのたまごかつサンドもいいですね。

www.tonkatu-kyk.co.jp

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(画像はオフィシャルHPより)

 

 

このたまごかつ、からしマヨネーズで味付けされていてとてもいい感じなんですよ。

そそる味。

ビジュアルも食欲が湧くいい色味ですし、やさしい味わいですし、ヒレカツで力強さも加味できますし、このコンビサンドはバランスのいいパーティだと思います。

 

KYKさんの店舗はJRと御堂筋線のあいだ、アルデ新大阪の2階にあります。

改札外ですのでご留意くださいませ。