肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

2020-01-01から1年間の記事一覧

「日本のルネッサンス人 感想 突然の三好長慶ピックアップに驚く」花田清輝さん(朝日選書)

昭和の名文家花田清輝さんの歴史エッセイを読んでいたら、三好長慶さんの連歌が異常に高く評価されていてかんたんしました。 その評価視点が個人的に解釈一致なのでとても嬉しいです。 publications.asahi.com 花田清輝さんは卓越した文章力で有名な方で、教…

小説「逆軍の旗 感想 明智光秀/戸沢藩暗闘/南部藩仇討ち/上杉鷹山」藤沢周平さん(文春文庫)

大河ドラマ「麒麟がくる」をきっかけに藤沢周平さんの明智光秀短編「逆軍の旗」、および同収録の「上意改まる」「二人の失踪人」「幻にあらず」を読んでみたところ、いずれも場景がひたひたと目に浮かぶような筆致に胸を打たれかんたんしました。 books.buns…

「海帝 7巻 感想 仏教とのフュージョンが素晴らしい」星野之宣先生(ビッグコミックス)

鄭和さんの活躍を漫画化した「海帝」7巻、舞台となる大海原・大自然と、船団への来訪客「ゲンドゥン(ダライラマ1世)」さんとのフュージョンっぷりが素晴らしくてかんたんしました。 仏教思想的なものを表現した漫画としては、近年随一ではないでしょうか。…

「ギャラリーフェイク 35巻 感想」細野不二彦先生(ビッグコミックス)

久しぶりに刊行されたギャラリーフェイクの新刊が、時事ネタを充分に活かしつつ物語としてもアートリスペクトとしても面白くてかんたんしましたぜ。 www.shogakukan.co.jp 以下、ネタバレを一部含みますのでご留意ください。 収められているお話は次のとおり…

信長の野望20XX「クリスマス三好長慶」(聖夜の祝宴 in2020 殿)

メリークリスマス! 2年続いて20XXのクリスマスガチャに三好家武将が登場、しかも当主の三好長慶さんがまともに格好いいコスプレで現れるという果報にかんたんしました。 ↓ 2020クリスマス男性ガチャのリリース nobu201x.gamecity.ne.jp 2020年の時節柄を踏…

ウルトラマンZ「最終回後のジャグラスジャグラー/ヘビクラ隊長 考察」

ウルトラマンZが素晴らしい最終回でかんたんしました。 以下、ネタバレを含みますのでご留意ください。 まこと完成度の高い作品で、俳優、特撮、特空機、BGM、脚本、もう何もかも好き。 振り返って、 一番好きな客演はウルトラマンエース、 一番好きな戦闘は…

「UNFIX 1-12話 感想」田口清隆監督

ウルトラマン等で有名な田口清隆監督がyoutubeで公開している自主製作作品「UNFIX」が噛めば噛むほど的に面白くてかんたんしました。 少年魂が燃える特撮というより、特撮の味わいを活かしたアート的な印象ですね。 www.youtube.com 以下、幾分ネタバレを含…

「じゃりン子チエ 文庫版12巻 感想 マサルの母離れ挑戦」はるき悦巳先生(双葉文庫)

じゃりン子チエ12巻、遂にマサルが男を見せるのかとかんたんしかけましたが、まあ案の定な結末になってしまい気の毒でなりませんでした。 www.futabasha.co.jp 収録されているお話は次のとおりです。 宿題の旅 西萩少年少女探検隊 山へ川へ 男の旅立ち 男の…

「大内氏の興亡と西日本社会 感想」長谷川博史さん(吉川弘文館 列島の戦国史③)

吉川弘文館の列島の戦国史③「大内氏の興亡と西日本社会」が、タイトル通り西日本社会の独自性と大内氏の存在感をビビッドに描いていてかんたんしました。 www.yoshikawa-k.co.jp 16世紀前半、東アジア海域と京都を結ぶ山口を基盤に富を築き、列島に多大な…

信長の野望201X「真・奥州決着 ストーリー攻略 陸前」

20XXならぬ201Xのストーリーが久しぶりに更新されまして、第二部決着に相応しい歯ごたえとストーリー展開にかんたんしました。 nobu201x.gamecity.ne.jp 以下、ネタバレを一部含みますのでご留意ください。 201Xストーリーの更新は久しぶりなので内容を忘れ…

ウルトラマンZ「ジャグラスジャグラー/ヘビクラ隊長の目的予想」22話視聴時点

ウルトラマンZが毎話毎話まことに面白くかんたんしていたらもう終盤ですね。 気がつけば、もともと好きだったジャグラスジャグラーをますます好きになり、 「劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!」田口清隆監督 - 肝胆ブログ 「劇場版ウルトラ…

小説「陰陽師 鳳凰ノ巻 感想 書き出しの文章がいいよね」夢枕獏さん(文春文庫)

小説陰陽師、4巻めまで読み進めてあらためて実感したのが、夢枕獏さんによる導入部の文章のよさ。 陰陽師シリーズはこの書き出し部分があまりにも心地よくてかんたんするので、読み続けたい気持ちになりますね。 books.bunshun.jp 以下、ネタバレを一部含み…

「ウルトラ6兄弟 THE LIVE in 博品館劇場 -ウルトラマン編- 感想 マン兄さんが更に強い」

ウルトラマンのライブステージを動画配信で初めて観てみたところ、大好きな6兄弟が勢揃いで活躍する上にウルトラマンがますます強くなられるというホクホクの中身でかんたんしました。 m-78.jp ultraman.spwn.jp 以下、ネタバレをけっこう含みますのでご留意…

舞台「迷子 感想 とりわけ青柳尊哉さんの業が深すぎませんか」劇団時間制作

久しぶりにお芝居を見に行ってみたところ、あまりにも業が深い内容に重いものを抱きつつ、それだけに演じられている役者方の生命力が満ち満ちていてかんたんしました。 zikanseisaku.com 青柳尊哉さんが出ているのかあ。 DXダークリングの販促で「迷子を見…

大相撲'20.11月場所感想「貴景勝関はいい大関」

コロナや横綱・大関陣の休場、更には琴奨菊関らの引退と、寂しいニュースが多過ぎた20年11月場所を、一人残った大関貴景勝関が見事に締めくくってくださってかんたんしました。 場所後の八角理事長のお言葉通り、貴景勝関はいい大関ですね。 www.sumo.or.jp …

「足利義晴と畿内動乱 分裂した将軍家 感想」木下昌規さん(戎光祥出版)

足利義晴さんの中世武士選書が出ていて、しかも非常に分かりやすく畿内戦国史研究の進展が整理されていてかんたんしました。 さいきんのこの界隈の盛り上がりっぷり、出版の充実ぶりはすごいものがありますね。 畿内戦国史の研究でごはんが食べられるなら何…

「じゃりン子チエ 文庫版11巻 感想 テツの結論、ヨシ江はんに酒」はるき悦巳先生(双葉文庫)

じゃりン子チエの文庫版11巻にて、テツとヨシ江はんの関係にちょっとした進展があってかんたんしました。 www.futabasha.co.jp 収録されているお話は次のとおりです。 待つ身はつらい カルメラの運だめし 淀に向かって走れ 淀は荒れていた ツキまくる三人 最…

季刊大林「No.60「技術者」感想 古市公威、青山士、八田與市等」

季刊大林の、近代日本の発展に尽力された技術者方を特集した最新号がたいそう面白くてかんたんしました。 個別にお名前や事績を伺ったことがある方もいますが、こうして通観的にまとめてくださるととてもとてもありがたいですね。 ↓リンク先の公式HPで記事を…

「中華一番!極 8巻感想 シェル・レオン再び」小川悦司先生(マガポケ)

好評連載中の「中華一番!極」にて、シェルさんとレオンさんが遂に再活躍(しかも@敦煌)してくださりかんたんしました。 この二人の噛み合わせが好きな往年のファン的には非常に嬉しいっすね。 kc.kodansha.co.jp 詳しい説明は省きますが、「中華一番!極…

「享徳の乱と戦国時代 感想」久保健一郎さん(吉川弘文館 列島の戦国史①)

吉川弘文館「列島の戦国史」シリーズの第一弾、「享徳の乱と戦国時代」が期待にそぐわぬ面白さ・完成度の高さでかんたんしました。 このシリーズ、とてもいいですね。 www.yoshikawa-k.co.jp 15世紀後半、上杉方と古河公方(こがくぼう)方が抗争した享徳(き…

「中世の罪と罰 感想」網野善彦/石井進/笠松宏至/勝俣鎭夫(講談社学術文庫)

復刊された「中世の罪と罰」で語られた仮説が、非常に切れ味鋭い一方、現代の視点で読むとかなりスレッスレなことを闊達に提唱していたりしてドキドキとかんたんいたしました。 bookclub.kodansha.co.jp 「やーい、お前の母ちゃん、でべそ!」 誰もが耳にし…

映画「相撲道―サムライを継ぐ者たち― 感想」

映画「相撲道」がたいそう面白くてかんたんしました。 これは相撲ファンは観るべきだし、相撲に興味のある方や海外の方にも胸を張って見せられそうだし、何より後進の力士方のモチベーションアップに繋がりそうですね。 sumodo-movie.jp 前半は境川部屋・豪…

篠原古戦場「斎藤実盛の首を抱え天を仰ぐ木曽義仲像」石川県加賀市

私用で北陸に遠征(大成功)していたところ、念願の「斎藤実盛さんの首を抱え天を仰ぐ木曽義仲さんの像」を拝見することができてかんたんしました。 www.hot-ishikawa.jp 石川県の南端、小松空港や加賀温泉がある辺りに位置する篠原古戦場。 木曽義仲さんの…

亀屋陸奥「松風 大人になってから食べると超うまい一向一揆の兵糧」

ものすごく久しぶりに亀屋陸奥さんのお菓子「松風」を食べてみたところ、ものすごく美味しくて何コレこんなにうまかったっけ!? と3切れ連続で食べてしまうほどかんたんしました。 kameyamutsu.jp (画像はオフィシャルHPから引用) 松風は、小麦粉、砂糖、…

信長の野望20XX「異聞 近江騒乱 感想」

信長の野望20XXの戦国時代イベント「異聞 近江騒乱」のストーリーが完成度高く面白い上にさりげなく六角家の存在感も高まっていてかんたんしました。 ↓イベント実施のリリース(終了済) nobu201x.gamecity.ne.jp 以下、一部ネタバレを含みます。 攻略に役立…

「じゃりン子チエ 文庫版10巻 感想 チエちゃん台詞キレッキレ」はるき悦巳先生(双葉文庫)

じゃりン子チエの文庫版10巻が、いよいよ各登場人物がしっくりと円熟してきてそれぞれの魅力を充分に発揮する中、主人公のチエちゃんがキレッキレな彼女らしさで活躍していてかんたんしました。 www.futabasha.co.jp 収録されているお話は次のとおりです。 …

「特撮のDNA―ウルトラマン展 感想」&「小石川後楽園」

あまり行ったことのない水道橋界隈に立ち寄り、特撮のDNA展と小石川後楽園にかんたんさせていただきました。 ウルトラマンを眺めていたり、何も考えずに庭を歩いたり池っぺりを見つめたりしていると倦んだ心も紛れますね。 特撮のDNA―ウルトラマン Genealogy…

「桃山―天下人の100年展 感想」東京国立博物館

東京で悲しいことがあって少し落ち込んでいたのですが、帰り道に立ち寄った桃山展が素晴らしい内容でかんたんしたので元気を取り戻しました。 tsumugu.yomiuri.co.jp 政治史における安土桃山時代は、1573年の室町幕府の滅亡から1603年の江戸幕府開府までの30…

映画「夜は我がもの 感想」ジョルジュ・ラコンブ監督

ジャン・ギャバンさん主演の映画「夜は我がもの」を観てみたらものすごく面白くて、これはきっと名作映画として広く知られているんやろなあと思ってネット検索したら情報がほとんど出てこなくてびっくりしましたが、もう1回観てみたらやっぱり面白くてかんた…

「海辺を行き交うお触れ書き 浦触の語る徳川情報網 感想」水本邦彦さん(吉川弘文館)

臨海部を舞台にした江戸時代の通信網に関する研究書が、歴史学の地に足の着いた楽しさをふんだんに味わわせてくれる良書でかんたんいたしました。 モチベーションが上がると思いますので、歴史学に限らず何らかの学問をしている方におすすめですよ。 http:/…