肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

アート・映画・芝居

「ギャラリーフェイク 38巻 感想 シリーズでも指折りの良作揃い」細野不二彦先生(小学館)

ギャラリーフェイクの単行本が久しぶりに発売されておりまして、収録されているエピソードがシリーズの中でも特筆すべきほどに良作揃いでかんたんしました。 ギャラリーフェイクに親しんだことがある方なのであれば38巻は見逃さない方がいいと思いますぜ。読…

映画「ウルトラマンブレーザー大怪獣首都激突 感想 親世代のウルトラ入門に最適」

ウルトラマンブレーザーの映画を軽い気持ちで観に行ってみたら、小さな子どもの育児に悩んだ経験のある大人にとっては刺さりまくる内容でかんたんしました。 制作サイドも「初めて特撮やウルトラマンを見る人」を意識して制作されたという通り、一見さんにと…

'23.7月「足利将軍、戦国を駆ける! 展」と「THE新版画 版元・渡邊庄三郎の挑戦展」の感想(京都文化博物館&美術館「えき」KYOTO)

京都にふらっと出かけまして、足利将軍展と新版画展という楽しみにしていた展示をハシゴ見できて幸せにかんたんしました。 あと、久々にかつくらでヒレカツ食べたり柚子こごりを土産に買ったりと、京都らしい食べものに触れあえたのも幸せです。 京都 永楽屋…

評伝「世阿弥 感想 大衆性と芸術性、一過性と永遠性」北川忠彦さん(講談社学術文庫)

講談社学術文庫で復刊された「世阿弥」評伝を読んでみましたところ、単純な世阿弥さんアゲにとどまらない、同時代の政界・芸能界動向や世阿弥作品の批評・他の能作家作品との比較等々の多角的な視点で実像を解きほぐす内容になっていてかんたんしました。 bo…

陶彫「般若心経」池田満寿夫さん(三重県菰野町パラミタミュージアム)

以前三重県北部を回った際、立ち寄ったパラミタミュージアムで鑑賞した池田満寿夫さんの陶彫「般若心経」がめっぽうアバンギャルドかつプリミティブでめちゃくちゃ興奮するほどかんたんしました。 この美術館は足を延ばして訪れる値打ちがふんだんにあると思…

映画「狂恋(1946) 感想」ジョルジュ・ラコンブ監督

1946年のフランス映画「狂恋(Martin Roumagnac)」が恋愛悲劇としても裁判サスペンスとしても完成度・テンポ高く面白くてかんたんしました。 大まかなストーリーとしましては、 建築士のルーマニャックさん(ジャン・ギャバンさん)が美人の未亡人と出会い…

映画「嘆きのテレーズ 感想 後から倫理観を歪まされていたことに気づく名作」マルセル・カルネ監督

1953年のフランス映画「嘆きのテレーズ」を観てみましたら、ストーリーライン、演技、演出が巧み過ぎて、いつの間にか非倫理的な行為を応援しながら鑑賞していたことに映画が終わってから気づかされてかんたんしました。 以下、ネタバレ前提で感想を書いてい…

映画「悪魔が夜来る 感想 良い中世ファンタジー」マルセル・カルネ監督

フランス映画「悪魔が夜来る」を鑑賞してみましたら、日本人ウケしそうな中世ヨーロッパファンタジーな舞台で人間模様がしっかり描かれている作品でかんたんしました。 ↓映画の予告編 以下、あらすじレベルでお話を紹介します。 結末などの重大なネタバレは…

映画「街の野獣(1950) 感想 薄っぺらい男の追い詰められっぷりが最高」ジュールズ・ダッシン監督

イギリスを舞台にしたノワール(犯罪)映画「街の野獣(Night and the City)」を初めて観たところ、主演リチャード・ウィドマークさんの薄っぺらいのに憎めない演技と悲惨な追い詰められ方が最高でかんたんしました。 あと、必要以上に出てくるプロレスシー…

「高村光雲 幕末維新懐古談 感想」青空文庫

青空文庫に、彫刻家高村光雲さんの懐古談が掲載されていてかんたんしました。 上村松園さんであったり、青空文庫は芸術家関係の文章を復刻してくださっているのがありがたいですね。 www.aozora.gr.jp 高村光雲さん(1852-1934)は写実的な生き物の彫刻で名…

「東京「街角」地質学 感想 この本はガチおすすめ」西本昌司さん(イースト・プレス)

東京都市部のオフィスビルや商業施設で使用されている石材を題材に、石の美しさ、石の種類と成り立ち、近代の石材利用史、石を通じた地球の歴史等々を軽妙に教えてくださる書籍にかんたんしました。 都市部での散歩が飛躍的に面白くなってしまう、散歩道の開…

「ギャラリーフェイク 35巻 感想」細野不二彦先生(ビッグコミックス)

久しぶりに刊行されたギャラリーフェイクの新刊が、時事ネタを充分に活かしつつ物語としてもアートリスペクトとしても面白くてかんたんしましたぜ。 www.shogakukan.co.jp 以下、ネタバレを一部含みますのでご留意ください。 収められているお話は次のとおり…

「UNFIX 1-12話 感想」田口清隆監督

ウルトラマン等で有名な田口清隆監督がyoutubeで公開している自主製作作品「UNFIX」が噛めば噛むほど的に面白くてかんたんしました。 少年魂が燃える特撮というより、特撮の味わいを活かしたアート的な印象ですね。 www.youtube.com 以下、幾分ネタバレを含…

舞台「迷子 感想 とりわけ青柳尊哉さんの業が深すぎませんか」劇団時間制作

久しぶりにお芝居を見に行ってみたところ、あまりにも業が深い内容に重いものを抱きつつ、それだけに演じられている役者方の生命力が満ち満ちていてかんたんしました。 zikanseisaku.com 青柳尊哉さんが出ているのかあ。 DXダークリングの販促で「迷子を見…

映画「相撲道―サムライを継ぐ者たち― 感想」

映画「相撲道」がたいそう面白くてかんたんしました。 これは相撲ファンは観るべきだし、相撲に興味のある方や海外の方にも胸を張って見せられそうだし、何より後進の力士方のモチベーションアップに繋がりそうですね。 sumodo-movie.jp 前半は境川部屋・豪…

「特撮のDNA―ウルトラマン展 感想」&「小石川後楽園」

あまり行ったことのない水道橋界隈に立ち寄り、特撮のDNA展と小石川後楽園にかんたんさせていただきました。 ウルトラマンを眺めていたり、何も考えずに庭を歩いたり池っぺりを見つめたりしていると倦んだ心も紛れますね。 特撮のDNA―ウルトラマン Genealogy…

「桃山―天下人の100年展 感想」東京国立博物館

東京で悲しいことがあって少し落ち込んでいたのですが、帰り道に立ち寄った桃山展が素晴らしい内容でかんたんしたので元気を取り戻しました。 tsumugu.yomiuri.co.jp 政治史における安土桃山時代は、1573年の室町幕府の滅亡から1603年の江戸幕府開府までの30…

映画「夜は我がもの 感想」ジョルジュ・ラコンブ監督

ジャン・ギャバンさん主演の映画「夜は我がもの」を観てみたらものすごく面白くて、これはきっと名作映画として広く知られているんやろなあと思ってネット検索したら情報がほとんど出てこなくてびっくりしましたが、もう1回観てみたらやっぱり面白くてかんた…

映画「ウルトラマンタイガ ニュージェネクライマックス 感想 ガイと大地とホマレ先輩」

延期していた劇場版ウルトラマンタイガが無事に開幕いたしましてかんたんしました。 ドラマ少なめ、バトル多めの子ども心に響く映画でしたよ。 m-78.jp 以下、少しのネタバレ含みで感想を。 ドラマ面 ドラマパートはかなり少なめですが、その中で歴代ニュー…

映画「白い馬(1953)感想 美しい馬と少年、無垢な感情」アルベール・ラモリス監督

「白い馬」というフランスの短編映画(40分)の馬と少年が、容姿も心根の表現も美し過ぎてかんたんしました。 短編映画ということもあり、ストーリーはシンプルです。 野生の白い馬がいた 牧夫たちは白い馬を捕獲しようとするが上手くいかない 漁師の少年が…

画集「神業の風景画 ホキ美術館コレクション 感想」芸術新聞社

休館しているホキ美術館の画集が発売されていたので購入してみたところかんたんするような美麗な風景画が満載でした。 www.gei-shin.co.jp ↑ 絵です。 以前も別の画集を取り上げたことがありますが、写実絵画と呼ばれるジャンルに興味を持っています。 「息…

映画「雨月物語 感想 日本固有の美と物語の普遍性」溝口健二監督(大映)

1953年に制作された映画「雨月物語」が映像も物語も美しくてかんたんしました。 おおきくは上田秋成さんの原作をベースにしながら、日本固有の美と物語の普遍性を兼ね備えた傑作に仕立てられています。 海外での評価が非常に高いと耳にしますが、さもありな…

「ぜいたく列伝 感想」戸板康二さん(文春文庫)

往年の富豪・文化人・政治家等の個性際立つ贅沢エピソードを記したエッセイ本がなかなか読み応えがあってかんたんいたしました。 books.bunshun.jp 著者は戸板康二さん。 「ちょっといい話」で知られる、歌舞伎評論、小説、エッセイ等様々な文章で才を発揮し…

「長襦袢の魅力 感想」編著:岩田ちえ子+中村圭子+中川春香(河出書房新社)

着物の中に着る「長襦袢」のアンティークものを特集した書籍がたいへん美しく興味深い内容でかんたんしました。 これは江戸~戦前頃の創作をする方にはぜひ読んでいただきたいですね。 www.kawade.co.jp 現代では「下着」のように扱われがちな長襦袢ですが、…

映画「エドワールとキャロリーヌ(1951) 感想」ジャック・ベッケル監督

夫婦喧嘩コメディ映画「エドワールとキャロリーヌ」が親近感の湧く喧嘩描写が大変優れている上にヒロインのキャロリーヌ(若いときのアンヌ・ヴェルノン)さんが非常にキュートでかんたんしました。 以下、ネタバレを含みます。 ストーリーはあってないよう…

映画「アイアン・ホース(1924)」ジョン・フォード監督

アメリカ初の大陸横断鉄道の建設史を描いた西部劇サイレント映画「アイアン・ホース」が正統派のエンターテインメントと濃密なオス臭さがブレンドされた傑作でかんたんしました。 大陸横断鉄道の完成は1869年です。 それまで、アメリカの東海岸から西海岸へ…

「ハマスホイとデンマーク絵画 展の感想」東京都美術館

楽しみにしていたハマスホイ展を見に行ってみたところ、心をニュートラルにしてくれる静かな作品の数々にかんたんいたしました。 artexhibition.jp www.tobikan.jp '20/1/28現在は東京都美術館で開催されています。 4月以降は山口県立美術館に移るそうなので…

映画「大いなる幻影 感想」ジャン・ルノワール監督

あけましておめでとうございます。 年末年始に積んでいた映画を何本か観てみたところ、「大いなる幻影」という古い戦争もの映画があたたかい傑作でかんたんいたしました。 ↓映画館で観た訳ではないのですが、参考になるリンクを貼っておきます。 kac-cinema.…

夜の京都「大文字の送り火、岡崎神社、祇園界隈」

久しぶりに大文字の送り火で京都に行きまして、夜の京都をふらふら散歩したんですがやはり古都ならではの景色に風情がありましてかんたんしました。 ja.kyoto.travel okazakijinja.jp 大文字の送り火、通称では大文字焼き。 素人が遠方で燃える火をきれいに…

「夜桜お染 概要と見どころと若村麻由美さん」フジテレビ/映像京都

BSフジで夜桜お染の再放送をやっていたので、まとめ撮りして久々に全話見返したところ、やっぱりこの作品は面白いなあ、ちょっと早すぎたなあとかんたんしました。 わざわざ録画で観なくてもDVD持ってるんですけどね。 www.bsfuji.tv ↓このオープニング題字…