「白い馬」というフランスの短編映画(40分)の馬と少年が、容姿も心根の表現も美し過ぎてかんたんしました。
短編映画ということもあり、ストーリーはシンプルです。
- 野生の白い馬がいた
- 牧夫たちは白い馬を捕獲しようとするが上手くいかない
- 漁師の少年が白い馬と心を通わせようとする
- 牧夫たちが白い馬を追いつめる
- 少年が白い馬に乗って逃げ去る
というもの。
セリフも必要最低限で、ストーリーそのものよりも少年と白い馬の姿を通じて、万人の胸にある無垢な好奇心や冒険心や喜びや友情や意地をダイレクトにぶつけてくれるような映画なんですよ。
主人公その①、白い馬さん。
真っ白なイケ馬、野生馬たちのリーダー。
色気と野性味を併せ持つ駿馬さんであります。
まあ馬社会も色々あるようですが。
ガチファイトする馬と馬。
昔の映画は遠慮なく動物を傷つけていて慄きますね。
主人公その②、少年さん。役者はアラン・エムリイさんです。
小さな川船で魚を捕って暮らしています。
馬さん同様、白い出で立ち。
格好良さや意志の強さが立ち昇っているのに、少年らしい無邪気さも同時に感じ取れる姿がスゴイ。
馬を発見したときの顔。
冒険心溢れる美少年っぷり。
からのこの笑顔。
幼子らしいピュアな「やったぜ」。
ころころ表情が変わる美少年。これは値千金です。
夢見る少年。
寝顔も美少年。
スキがない。
夢の中、馬といっしょ。
このカットはすごいと思う。
1953年、白黒、最低限の素材で最高に美しい。
こんな無垢で美しい夢を見てみたいと思いませんか。
現実、馬さんを捕まえようとするところ。
ひたすら引きずられていきます。
西部劇のリンチシーンみたい。
馬と少年相手にどうやって安全対策して撮影したんでしょう。
でも、遂には心を通わせますよ。
既に長年連れ添った戦友感が出ています。
こやつら、相性が良すぎる。
そこに、白い馬を奪おうと追いかけてくる牧夫さんたち。
特に邪悪な連中という訳でもないのですが、馬&少年の苦難と挑戦を描くためには必須の存在なのであります。
駆けゆく馬さん少年さん。
ひたすらに疾走感のある美しい場面が続きます。
ずっと見ていられます。
苦難、挑戦、からの爽快感・開放感。
少年期最高の気分を追体験できる気がしますね。
カメラワーク、撮影技術、素晴らしいです。
逃避行の果て、ラストの展開はネタバレいたしません。
「白い馬」は短い時間、僅かなセリフとストーリーで、抜群に美しい情景を堪能させてくれるよい映画なのですよ。
機会がありましたら、実際に動いている場面をぜひご覧になってくださいませ。
私どもいい大人の胸の奥にもかような無垢で美しいものが眠っていて、ときどきは目を覚まして生活によい刺激や開放感を与えてくださいますように。
それにしても主人公の少年、美形ですわ。
ちなみに弟役さんもたいそうかわいいんですよ。