文学・一般書
漫画エイハブにかんたんしたこともあり、久しぶりに原典の白鯨をちゃんと読んでみましたらものすごく面白くてかんたんしました。 中学生時代の私は中盤の膨大な鯨ウンチクに心を折られたのですけれども、大人になったいま再読してみましたらあの頃は分からな…
アフリカ小説の傑作と耳にした「やし酒飲み」を読んでみましたら、ナンデモアリな神秘性みなぎるキレキレ小説でかんたんしました。 この世界観や語り口のオリジナリティはすごい。それでいて面白い。 www.iwanami.co.jp 「わたしは,十になった子供の頃から…
世界最古の物語のひとつ「ギルガメシュ叙事詩」を初めて読みまして、3000年以上前の物語なのにわくわくしたり哀しんだりするストーリーや関係性の骨格はこの時点でできあがっていて人類って初期のころからすげえもんだとかんたんしました。 また、このギルガ…
「アメリカ彦蔵」――幕末に漂流してアメリカ船に拾われたことでアメリカ国籍を得、ハリスさんの通訳として日本へ帰国し、明治の日本社会でアメリカ人として生きた方――の吉村昭作品を読みまして、船の上だけでなく、人生そのものが二国の政治情勢のはざまで漂…
直木賞を受賞して各種ミステリランキングでも1位を取って、という小説が平積み販売されていまして、ほへえと思って手にとってあらすじを見てみたらまさかの「主役:荒木村重」「安楽椅子探偵:黒田官兵衛」「舞台:有岡城」という要素にたいへん驚き、内容も…
江戸時代の三井大坂両替店……現代でいえば銀行……の経営っぷりを一次史料ベースで丹念に読み解いた書籍が出ておりまして、その面白さ、時代の社会環境のなかでベストを尽くす経営っぷりの現代と変わらぬ創意工夫にかんたんしました。 現代人が過去に転生して現…
陰陽師 蒼猴ノ巻、いつも以上に安倍晴明さんのビターな一面、源博雅さんの笛、蘆屋道満さん流の人助けが楽しめるほか、新たなライバルキャラが登場したり、「ゆこう」「ゆこう」の掛け合いを外してきたりと、楽しめる巻になっていてかんたんしました。 books…
1940年に発表されたイタリア文学「タタール人の砂漠」、これは読む邯鄲の夢やな、この小説を読むことで人生一回体感したな、と思えるほどのスケール感、加速していく時間のスピード感、そしてなにより没入感を得られてかんたんしました。 かんたんブログと名…
明治時代の北海道開拓……政治犯や凶悪犯を集治監に集めて原野を切り開かせる……様を描いた吉村昭さんの小説「赤い人」を読みまして、情も人権もない冷徹な判断と囚人たちの多大なる犠牲とが北海道の土には含まれているんだなあとかんたんしました。 時代設定は…
先日島根県に行った際、松江の小泉八雲記念館に立ち寄りまして。 小泉八雲さんの妻、セツさんの特集展示を見ていたら涙ぐむものがありまして、原文を読んでみたくなってセツさんの残した小泉八雲さんの思い出の記に目を通してみましたらやっぱりジンときてか…
陰陽師シリーズの酔月の巻、藤原道長さんが大物若者として登場したり山月記元ネタ作品が登場したりと楽しいポイントが多い中、わけても蘆屋道満さんの活躍シーンが多いことにかんたんしました。道満ファンの方はこの巻まで読み進めることを楽しみにしておき…
吉村昭さんの「零式戦闘機」を読みましたら、零式戦闘機開発に尽力した開発者たちの熱い苦闘、零式戦闘機を駆って中国や米国と戦った兵士たちの技量・勇気っぷりと、一方で飛行機の輸送は牛や馬に頼っていて遅々として完成機を飛行場に送れないという身の丈…
陰陽師シリーズの「醍醐ノ巻」、美しいお話から妖異退治の話まで収録作品バラエティのバランスよさ、そして一つひとつのお話の面白さや新登場人物の魅力も間違いのないものでかんたんしました。 books.bunshun.jp 収録されているお話は次の通り。 笛吹き童子…
ナポレオンさん自身の言葉や手紙を収録した本が日本語訳されておりまして、漫画や小説等で有名なあのセリフの元ネタはこれだったのかと理解できたりジョゼフィーヌさんへの態度のアゲサゲっぷりが平凡な若い男性っぽくてウケたり息子への手紙が実際的な示唆…
解体新書訳出の過程を描いた吉村昭さんの「冬の鷹」を読みまして、前野良沢さんと杉田玄白さんの対比がまるで研究者とビジネスパーソンとの対比のようで非常にリアリティ深く、しみじみかんたんしました。 主人公は前野良沢さんなので構成は前野良沢さん寄り…
陰陽師シリーズの天鼓の巻、読みやすい短編ものが多数収められている巻でございまして、その中でも「器」という作品が家族ものとして非常に優れ、かつ哀しいお話で胸を打ちかんたんしました。 books.bunshun.jp 以下、ネタバレは抑えつつもほんのり展開と感…
映画の雨月物語が面白かったので、あらすじくらいしか把握していなかった原文の雨月物語をあらためて読んでみましたところ、日本型ドラマのオリジン感、純粋に面白い部分を抽出して蒸留したような透明感が際立つ面白さでかんたんしました。 「読む能」とでも…
たいへん寒くなってまいりました折、めっちゃ寒くてめっちゃ面白い小説に出会えてかんたんしました。 www.shinchosha.co.jp 1962年の暮、全世界は驚きと感動で、この小説に目をみはった。当時作者は中学校の田舎教師であったが、その文学的完成度はもちろん…
佐賀県で手に入れた神代勝利さんの小説が思った以上に面白くてかんたんしました。 龍造寺・鍋島コンテンツはまだまだ少ないので、龍造寺隆信さんのライバルサイドから見た佐賀戦国史ってのは貴重ですし面白いものですね。 ↓ 本のオフィシャルHPが見つからな…
芥川賞を受賞したという「鯨神」を含む宇能鴻一郎の短編集を読んでみたところ、「エロいよ」という一般的イメージのさらに上を行くといいますか、頭のいい人がエロとは何かを考え抜いている感じがするといいますか、一部登場人物がエロい変態というよりはも…
ジッドさんの「地の糧」という本を読んでみましたところ、言い回しや文体はなかなかに難解でありながら、言いたいことはなんとなく伝わってくる気もしますし、パーツパーツでぐっとくるいいこと言ってはる気がしますし、何よりも世の中の見知らぬ土地には美…
トロイア遺跡発掘で名高いシュリーマンさんが清国・日本(幕末)を訪れた旅行記を文庫で気安く読むことができてかんたんしました。 本の存在は聞いたことがあったのですけどまさか文庫で普通に読めるとは思っていなかったのでありがたいですね。 bookclub.ko…
陰陽師シリーズの絵物語第3弾にして、「鉄輪」まさかの3度目作品化。 あらためて「鉄輪」の完成度に唸らされるとともに、この人気作品に村上豊さんの絵がふんだんに挿入されるというのが贅沢でかんたんしました。 books.bunshun.jp 他の女に心変わりした男を…
「謎解きはビリヤニとともに」というインド系ミステリがなかなか面白くてかんたんしました。 ピュアに本格的なミステリを楽しめるというよりは、ミステリ要素を持ちつつインド人青年元刑事がロンドンで異邦人としても挫折からの復帰としても現実と理想のはざ…
幸田露伴さんの小説「蒲生氏郷」を青空文庫で読みまして、もともとぼんやり好感を抱いている蒲生氏郷さんのことを一層好きになれたり、当然出てくる豊臣秀吉さんや伊達政宗さんや前田利家さんの描かれ方もそれぞれ素敵だったり、葛西大崎一揆の当事者にとっ…
ブルーバックスの海底地形本「見えない絶景」が、海底の巨大にもほどがある地形の数々を案内してくれるだけでなく、地球の成り立ちや宇宙論まで壮大にもほどがある時の歩みをも案内してくださる良著でかんたんしました。 海、大地、地球、宇宙……いち人間より…
吉村昭さんの短編作品集「天に遊ぶ」、1編10ページ程度の超短編ばかりを集めた書籍でして、いずれも吉村昭さんの巧みな文章力・表現・人間描写を満喫できる作品ばかりでかんたんしました。 www.shinchosha.co.jp 見合いの席、美しくつつましい女性に男は魅せ…
某駅で売っていた官能小説がいまどきのエロコンテンツシーンのなかでは珍しいくらいオーソドックスな内容かつライトでとっつきやすい文体でかんたんしました。 エロコンテンツシーンはともすればマニア向け・一般人ドン引き系になりがちですから、こういうと…
コロナ禍によるロックダウン環境下を舞台にした海外ミステリ「56日間」が同時代性と、サスペンス描写・恋愛描写を両立する叙述の緊張感とに富んでいてかんたんしました。 www.shinchosha.co.jp 新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、ダブリン市内の集合住…
ちくま学芸文庫の「動物と人間の世界認識」が教養としても面白いし、社会に生きる一人間としてもわきまえておきたい視点やなとかんたんしました。 巻末解説でもちらと書かれているとおり、上級管理職を目指すような方は特にこういう視点を持っておくといいん…