肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

文学・一般書

「西洋菓子店 プティ・フール 感想」千早茜さん(文春文庫)

西洋菓子とパティシエ・お客様を題材にした連作短編集たる当著の、大人方面のビターテイストをはらんだ味わいが楽しくてかんたんしました。 books.bunshun.jp パティシエール(パティシエの女性形)の亜樹さん、 渋くて実力派な彼女の爺ちゃん、 亜樹さんの…

「洋ランの鉢植えは決して万人受けしない」ひととき'19.10感想(JR東海・ウェッジ)

今月号のひととき、千宗室さんが「洋ランは個人的に好みでない」「でも日持ちするので他の花でなく洋ランを贈ってほしいと言われる」「気持ちに折り合いをつけながら仕方なく洋ランを贈っている」という踏み込んだ告白をしていてかんたんしました。 ↓東海道…

「グラビアアイドルの仕事論 打算と反骨のSNSプロデュース術 感想」倉持由香さん(星海社新書)

倉持由香さんというグラビアアイドルの方が書いた仕事論の新書がエッジの効いた単語が頻出する楽しい内容でかんたんしました。 www.seikaisha.co.jp 「尻職人」という帯からしてパンチ効いていていいですね。 ふだんグラビアアイドルさんを観る習慣がないた…

「孤独な散歩者の夢想」ルソーさん/訳:今野一雄さん(岩波文庫)

ルソーさんの死の直前に書かれた随想「孤独な散歩者の夢想」が、痛ましすぎる文章の端々に哀しくも美しい言葉が満ちていてかんたんしました。 www.iwanami.co.jp ルソーさんは世界史の教科書にも「啓蒙思想家」「社会契約論」というフレーズとともに登場しま…

「仮釈放 感想」吉村昭さん(新潮文庫)

吉村昭さんの「仮釈放」が、人の善意を踏みにじる最高に読後感の悪い内容でかんたんしました。 www.shinchosha.co.jp 読者の倫理観形成に影響を与えそうな内容ですので、個人的には青少年には勧めたくない……ある程度年齢や経験を重ねた人以外は読まない方が…

「月と六ペンス 感想」モームさん / 訳:行方昭夫さん(岩波文庫)

モームさんの代表作と名高い「月と六ペンス」を読んでみたところ、一線を越えまくっている芸術家の業深さ描写のキレ味にかんたんしました。 www.iwanami.co.jp 月と六ペンスは、筆者モームさんを仮託する「僕」と、ゴーギャンさんをモデルにした「ストリック…

「青年 感想」森鴎外さん(岩波文庫)

森鴎外さんの「青年」を初めて読んだのですが、イメージとは異なる「人妻(未亡人)の虜になってしまう青年モノ」な物語にかんたんしました。 www.iwanami.co.jp ↓岩波文庫による紹介 現代社会を描きたいという希望をもって東京へ出た文学青年小泉純一が,初…

「近鉄中興の祖 佐伯勇の生涯 感想」神崎宣武さん(創元社)

近鉄を日本有数の私鉄に押し上げたことで有名な佐伯勇さんに関する本が30年ぶりに復刊されており、現代の視点で読んでもなお興味深い事柄が多くてかんたんしました。 www.sogensha.co.jp 佐伯勇さんは近鉄の社長を昭和二十六年から昭和四十八年まで務め、そ…

「家入レオさんのエッセイが面白い」日経新聞のプロムナード

日経新聞夕刊の「プロムナード」という様々な方が日替わりで連載しているエッセイ欄がどれも面白くて好きなのですが、その中でも家入レオさんの文章は、若い時分の繊細な感覚を強く共感させてくれてかんたんいたしました。 ↓家入レオさんのエッセイ r.nikkei…

「カレーライスの唄 感想」阿川弘之さん(ちくま文庫)

ちくま文庫から復刊された「カレーライスの唄」という阿川弘之さんの小説が、まことに穏やかで調和した娯楽小説でかんたんしました。 これぞ昭和期の連続ドラマ的展開。 www.chikumashobo.co.jp あらすじ(オフィシャルHPより) 会社倒産で職を失った六助と…

「啄木歌碑アルバム(無料パンフ)」石川啄木記念館

岩手県盛岡市玉山区の渋民、石川啄木さんゆかりの地にあります石川啄木記念館が発行している無料パンフが素晴らしい逸品でかんたんしました。 www.mfca.jp ↓このパンフ。 和歌や短歌といえばご時世的に万葉集の話でもした方がいいかもしれませんが、あえて石…

「太陽のない街」徳永直さん(岩波文庫)

戦前、満州事変直前頃の労働争議を描いた小説「太陽のない街」が、共感はしにくいものの、胸に迫るものが多い濃厚な作品でかんたんしました。 www.iwanami.co.jp 有名な「共同印刷争議」を、労働者側の視点で描いた作品になります。 舞台は東京都文京区小石…

「IQ 感想」ジョーイデさん / 訳:熊谷千寿さん(早川書房)

ロサンゼルスを舞台に黒人探偵「IQ」さんの活躍を描いたミステリ?小説がたいそう面白くてかんたんしました。 ラップとかギャングスタとかのアメリカブラックカルチャーに関心のある方には特におすすめです。 とりわけ2PACさん好きには必読レベルではないで…

「進化は万能である 人類・テクノロジー・宇宙の未来」マット・リドレー / 訳:太田直子・鍛原多惠子・柴田裕之・吉田三知世(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

表題の科学系な本が知的好奇心を刺激する内容で、よく考えると「せやろか」と思う部分も多いのですが「とはいえ全体として面白かったからいい本やな」と頷ける感じにかんたんしました。 www.hayakawa-online.co.jp 本の裏側に書いてある説明が、中身をよく要…

「田舎教師 感想」田山花袋さん(岩波文庫)

前から気になっていた明治時代の小説「田舎教師」を読んでみたら、これが青年期の煩悶をすさまじくクリアに描いた傑作でかんたんしました。 高校の国語の教科書に載せたらいいのにと思うくらい。 私の中では夏目漱石さんの「こころ」に匹敵します。 www.iwan…

「鬼桃太郎 感想」尾崎紅葉さん(青空文庫)

明治時代に尾崎紅葉さんが執筆した怪作「鬼桃太郎」が青空文庫に収録されていてかんたんしました。 一度読んでみたかったんですよね。 ↓青空文庫リンク 尾崎紅葉 鬼桃太郎 子ども向け……という建前になっていますので、10分足らずで読めるボリュームです。 「…

「ヘンリ・ライクロフトの私記」ギッシングさん / 訳:平井正穂さん(岩波文庫)

ギッシングさんによる「ヘンリ・ライクロフトの私記」が現実からのしばしの遊離を楽しめてかんたんしました。 イギリス版、あるいは近代版の徒然草のような趣も。 ヘンリ・ライクロフトの私記 - 岩波書店 波乱ある人生を送った苦労人ギッシングさんが最晩年…

「自註鹿鳴集」会津八一さん(岩波文庫)

久しぶりに“もっと早く出会いたかった”と思えるほどの本を読むことができてかんたんしました。 奈良の寺社、あるいは和歌(とりわけ万葉集)に興味のある方は是非とも一読いただくことをおすすめいたします。 www.iwanami.co.jp 知る人ぞ知る歌人、「会津八…

「土楽食楽」福森雅武さん / 撮影:後勝彦さん(文化出版局)

たまたま手に入れた伊賀の陶芸家さんによる四季の料理本がめちゃくちゃ美味しそうな写真だらけでかんたんしました。 こんな美味しそうな料理写真はめったに見られません。 料理をされた福森雅武さんに加え、写真家後勝彦さんの腕前も素晴らしいですよ。 www.…

「名経営者との対話 コーポレートガバナンスの実践と理論」牛島信さん(日経BP社)

コーポレートガバナンス関係で有名な弁護士「牛島信」さんと、実績ある名経営者の方々との対話を収録した当著が面白くてかんたんしました。 www.nikkeibp.co.jp 二部構成で、2/3くらいがコーポレートガバナンスをテーマにした対談集、1/3くらいがコーポレー…

「脂肪のかたまり」作:モーパッサンさん / 訳:高山鉄男さん(岩波文庫)

モーパッサンさんの短編小説「脂肪のかたまり」が最高に胸糞悪い内容でかんたんしました。 www.iwanami.co.jp 100ページ足らずの内容なのですぐに読み終えられます。 100ページでこんな気分悪い名作を作り出せるもんなんやと唸りましたよ。 以下、ネタバレを…

「悪い女」草凪優さん(実業之日本社)

「悪い女」という官能小説がこれはもはや官能文学やなというほどに人間の機微を描き出していてかんたんしました。 www.j-n.co.jp 草凪優さんという作家さんをご存知でしょうか。 官能小説というジャンルの中で実力者として活躍されている方で、記号的なエロ…

「マルチバース宇宙論入門 私たちはなぜ<この宇宙>にいるのか」野村泰紀さん(星海新書)

マルチバース宇宙論について勉強してみようと思って当著を読んでみたら想像以上に壮大で面白くてかんたんしました。 www.seikaisha.co.jp ざっくり紹介しますと 「なるほど、分からん」 「でも、好き!」 という本です。 マルチバース。 我々が全宇宙だと思…

「会社法の学び方」久保田安彦さん(日本評論社)

ちょっくら会社法でも勉強してみるかと何冊か本を読んでいたのですが、一通り基礎テキストを読んだうえでこの「会社法の学び方」を読むとイイ感じに理解を定着させていただけてかんたんしました。 ※あくまで素人理解レベルの話です www.nippyo.co.jp さいき…

「島抜け」吉村昭さん(新潮文庫)

吉村昭さんの文庫「島抜け」収録の三編がいずれも良作でかんたんしました。 www.shinchosha.co.jp 438円+税で2時間みっちり楽しめるんだから名作系の文庫っていいですよね。 収められている作品は「島抜け」「欠けた椀」「梅の刺青」になります。 島抜け 天…

「年金詐欺 AIJ事件から始まった資産消失の「真犯人」」永森秀和(講談社)

講談社のノンフィクションルポ「年金詐欺」終盤の著者課題意識が共感できる内容でかんたんしました。 「年金詐欺 AIJ事件から始まった資産消失の「真犯人」」既刊・関連作品一覧|講談社BOOK倶楽部 本の構成は前半がAIJ事件、後半が厚生年金基金そのもの…

「さらばわが青春の『少年ジャンプ』」西村繁男さん(飛鳥新社)

少年ジャンプ創刊メンバーにして3代目編集長である西村繁男さんの自伝を読んでみたところ。 ジャンプ創刊時の熱気や個性に満ちたエピソードは期待通りに面白く、その上臨時労働者組合活動潰しのエピソードが昭和経営史の一幕感があって予想外に面白かったも…

「瓶詰地獄の矛盾と解釈」夢野久作さん(青空文庫)

夢野久作さんの短編小説「瓶詰地獄」が何度も読み返してしまうような仕掛けがいっぱいでかんたんしました。 ↓青空文庫 夢野久作 瓶詰地獄 有名な小説で、解釈も読んだ人の数だけあるんじゃないかという内容です。 かんたんなあらすじを申しますと。 海岸で手…

「阪堺電車 177号の追憶」山本巧次さん(ハヤカワ文庫)

阪堺電車をストーリーの縦糸にした連作短編集「阪堺電車 177号の追憶」にかんたんしました。 www.hayakawa-online.co.jp 表紙でジャケ買いしてしまいました。 乗ったことあるかどうかは覚えていませんが、間違いなく見たことある車両です。こういう個人的な…

「海上の巨大クレーン これが起重機船だ」編・写真:出水伯明さん / 協力:深田サルベージ建設株式会社(洋泉社)

起重機船……巨大クレーンを備えた船を題材にした写真集 兼 取材誌がたぎるほどにエキサイティングでかんたんしました。 海上の巨大クレーン これが起重機船だ - 株式会社洋泉社 雑誌、新書、ムックなどの出版物に関する案内。 こんな人におすすめの本です。 …