中公文庫でゲゲゲの鬼太郎本編以外の鬼太郎作品刊行が始まり、初めて読んだ「鬼太郎夜話」に「鬼太郎の誕生」以降の水木さんや美人版猫娘等が登場してかんたんしました。映画「鬼太郎誕生」も面白かったことですし、この界隈にますます注目が集まっていくといいですね。
住む場所をなくし、あてもなくさまよう鬼太郎親子は、いくつもの怪事件に巻き込まれる。危機に直面する鬼太郎を襲う悲劇とは? 第1~10回を収録。
傷心の鬼太郎は家を出てスリルと刺激を満喫するが、人にだまされ、お金のための仕事を頼まれ、はては水神に命を狙われる。第11回から最終回まで収録。
掲載誌は何と「ガロ」。
マガジンの初期鬼太郎シリーズや「鬼太郎の誕生」と同時期に執筆されていたようで。
掲載誌がガロということもあってか、ストーリーはあるようであまりない、どちらかというと一場面一場面の展開の妙やおかしさを鑑賞する系の作品な印象です。
それでも、あの水木さんのその後や、美人版の猫娘、何よりクセが強過ぎるセリフの数々を拝めるのでなかなかの値打ちものだと思います。
以下、印象に残った場面やセリフを。
- 牛鬼vs4代目ドラキュラが怪奇的な迫力があってよい。
- 血液銀行頭取や水木氏が再登場。二人とも地獄に落とされてしまって気の毒でなりません。水木氏はなんとか生還することになりますが。
それにしても水木さん、原作でもなかなかの男前であります。 - 生還後も、鬼太郎父子と一緒に暮らす羽目になる水木さん。映画を見たあとだとエモく感じますが映画抜きで考えるとエンドレス恐怖でしかありません。
- ねずみ男の頭をリアルに齧りとる猫娘(寝子)さん。そのせいで一部の記憶を失いつつピンピンしているねずみ男さんもタフであります。
その後、歌手として成功したりおつらい目にあったり鬼太郎さんとの関係性であったりと、この作品の猫娘さんはヒロイン性ばつぐんですね。「そりゃあ お前の顔では無理だ ねこさんのようなきれいな子は つげ義春ぐらい男前でなくちゃウンと言わないよ」
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「もしもし はなはだ突然で おそれいりますですが そこの上品な喫茶店「ザ・パンティ」に行ってコーヒーでもいかが」
相変わらず普通の頭では思い浮かばないようなネーミングです。 - 鬼太郎世界では権威と実力をしっかり発揮する日本学術会議。
「インチキダ イカサマダ」
の表情がものすごく良い。 -
「うまく二つ取り立てれば二百万円か ボロイ」
鬼太郎夜話の鬼太郎さんは荒んでいて底知れない怖さとかわいさがあります。なんかあるたびにタバコ吸うし。
鬼太郎夜話のオチ的に結局水木さんがどうなったのかは分からぬままですが鬼太郎父子と離れられたのであればそのうちまともな暮らしにもありつけることでしょう。
妖怪や幽霊族に遭遇した一般人がなんとか命や生活を保持できますように。
「ゲゲゲの鬼太郎 決定版 4巻感想 “鬼太郎の誕生”って墓場の鬼太郎時代じゃなかったのか」水木しげる先生(中公文庫) - 肝胆ブログ