某駅で売っていた官能小説がいまどきのエロコンテンツシーンのなかでは珍しいくらいオーソドックスな内容かつライトでとっつきやすい文体でかんたんしました。
エロコンテンツシーンはともすればマニア向け・一般人ドン引き系になりがちですから、こういうとっつきやすい作品がもっと増えた方が新規が参入しやすくなっていいんじゃないかなと思いますね。
以下、アダルトな内容を含みますので未成年の方はご遠慮ください。
作品の内容はタイトル通り主人公が人妻の女友達と関係を持つ……というものですが、女性側に配偶者がいること以外は一般人でも充分に通用するものでよございました。
「恋人や配偶者がいる人」を対象にするのは、成人しているならまあ自由意思かな……と思えなくもないので私のなかでは(創作作品内の話という前提で)セーフです。一般小説や映画でも頻出する題材ですしね。
持って回ったことを言いましたのは、エロ小説とかエロ漫画とかエロゲーとかAVって、
- 未成年が登場する
- 男性が醜悪で清潔感がない
- 男性がブリーフをはいている
- 男性が日常使わないような語彙で女性を責める
- 女性が事後に健全な判断能力をあっさり失う
- 家族を性の対象にする
- 同意がないまま関係を持とうとする(含む暴力系)
- 現実で見たことがないような道具を装備する
- 出す方の穴を使おうとする
- 3人以上で事に及ぼうとする
等々の要素があまりにも多く、生まれてこのかた真面目一筋の私としては非常にとっつきづらいのであります。
たいていの作品はタイトルでこれらの要素を前面に打ち出して一般人が手に取るのを回避させてくれるようにはなっていますし、「時間停止」とか「石化」とかまでぶっ飛ぶと笑えるのでいいんですけどね(積極的に見ようとは思いませんが笑)。
まあ性癖は人それぞれなので人様の趣味はともかくとして、私としてはこの作品のような
- 男女は古くからの友人であり、信頼関係が充分に構築されている
- 同意がある
- 成人している
- 他の竿役やヒロインは登場しない
- プレイ内容も現実的なものばかりである
- 男性の外見についてはいい意味でほとんど描写がない
- 女性は美人で巨乳のようだが男性側がその点をさほど重視していない
というのが非常に「いいじゃない」と思うんですよね。
こういうスタンダードな中身ってあまり売れないのかもしれませんし実際に私もこの手のコンテンツをしょっちゅう買う訳ではないのですけど、長旅のときとか頭を使わない本を読みたくて手に取ることもあるのでスタンダードものがラインナップにあると安心するんだす。
その上で、著者「懺悔」さんの文体が、ライトでテンポよくてまことに読みやすい。
官能小説特有の言葉遣いは控えめ(少しはある)で、どちらかというと最近の漫画やライトノベルへ意識的に寄せてきている感じがします。
例えば女性の胸を見て
「え、めっちゃ綺麗じゃん」
「清楚系でしょ?」
「これは清楚系だわ」
認めざるを得なかった。
ですとか。
もう少し流れが進んで
「……ちょっと挿れてみる?」
「……まぁ、ちょっとだけなら」
ですとか。
スッと言葉が頭に入ってきますでしょ。
性的な世界で使う言葉も日常生活から極端に乖離してしまうとよくないというか。エロワードは時々振りかけるスパイス程度で充分というか。
これくらいの力加減が素人的にはちょうどよく感じますし、出版社も帯に「今いちばん読んでほしい官能作家」と書いてはるので文章表現・読者層の世代交代を企図しているのかもしれませんね。
普通の人が手を伸ばせる範囲内に世界観を落とし込んでいるエロコンテンツがこれからも勢力を失わずにいますように。