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映画「狂恋(1946) 感想」ジョルジュ・ラコンブ監督

 

1946年のフランス映画「狂恋(Martin Roumagnac)」が恋愛悲劇としても裁判サスペンスとしても完成度・テンポ高く面白くてかんたんしました。

 

 

 

 

大まかなストーリーとしましては、

建築士のルーマニャックさん(ジャン・ギャバンさん)が美人の未亡人と出会います、

美人未亡人のブランシュさん(マレーネ・ディートリヒさん)は過去も現在もいろいろあった女性です、

二人は熱愛しますが、やがて嫉妬と誤解から関係が破綻します、

そして物語は悲劇&サスペンス展開へ……

 

というもの。

 

 

以下、ネタバレを含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

ボクシングの会場で二人は出会います。

建築士は常連、未亡人は田舎町がつまらなくて気晴らしに初めて来た感じ。

 

未亡人の美貌と脚線美に浮かれる建築士さん、

初めて見るボクシングの迫力に圧倒される未亡人さん。

 

 

 

 

再会した二人は、あっという間にデートしたり肉体関係を結んだり。

 

フランスの恋愛は展開が早くていいですね。

 

このお二人、プライベートでも恋人同士だったそうで。

そういう話を聞くと、お互いを見つめる視線に意味深さをはらんでいるような気になるのが不思議。

 

 

 

 

二人は別荘を建てることになり、パリに家具の買い出しへ。

建築士さんは田舎者なのでパリの居心地があまりよくないのですが、未亡人さんは奔放に美貌アピール。

 

 

 

 

 

そんな感じで仲睦まじかったのですが、未亡人さんは美人さんですので、いろんな男性から口説かれています。

 

 

若者からも一目ぼれされ。

 

この若者、「エドワールとキャロリーヌ」の旦那さんじゃないか。

映画「エドワールとキャロリーヌ(1951) 感想」ジャック・ベッケル監督 - 肝胆ブログ

 

 

 

 

最近奥さんを亡くした領事さんからは特に執拗に口説かれています。

 

未亡人さんも建築士さんと出会う前は彼と上手く付きあっていたのですが(彼は裕福ですし)、建築士さんのことをバカにされてブチ切れ。

スレているようでピュアな未亡人さんが素敵ですね。

 

 

 

 

ところが、建築士さんは彼女と他の男たちの関係に嫉妬・誤解して、最悪のキレ方をしてしまいます。

 

ここの憎たらしいジャン・ギャバンさんの演技、

無表情なのに傷ついていることがめっちゃ伝わるマレーネ・ディートリヒさんの演技がどてもいいですね。

 

田舎男子の素朴さが悪い方向に出てしまう展開、よくある話だけに見ていてつらいものがあります。

 

 

 

 

未亡人さんはたいそう傷つき、お店(小鳥屋)の鳥を逃がしてしまいます。


恋人の前では無表情を維持していたのに、恋人が去ってから顔を歪ませて感情をあらわにするタイプの美人、いいものだと思います。

かくありたいものですね。

 

 

 

 

更に、憤りがやまない建築士さんは…………

 

「アバズレ」2回目。

語彙力の少なさが彼の出自とコンプレックスを語っているようで哀しい。

 

建築士さん、とうとう未亡人さんを手にかけてしまいました……。

 

 

 

 

そして、映画はここから趣をガラッと変えて、裁判サスペンスパートに。

 

 

時計をずらしてアリバイ工作をやってみたり。

 

 

 

 

かなり熱と勢いのこもった裁判劇が繰り広げられたり。

 

地元びいきの証言人・聴衆の存在もあり、裁判を有利に進める建築士さん。

 

 

 

 

しかしながら、最後に未亡人さんの叔父さんが証言台に立ち。

 

真実の嘆きとでも申しましょうか。

自覚した自らの罪に押しつぶされる建築士さん。

 

裁判では無実を得るも、己の愚かさと過ちに向き合うことからは逃れ得ません。

 

 

 

 

映画の結末は伏せておきますが、プロセス、ラストともに美しい作品でした。

クラシックな人間らしさがよく表現されていると思う。

見る機会があればぜひご覧になってくださいませ。

 

 

世の中から、美人につきまとう誤解が少しでも減っていきますように。