じゃりン子チエ文庫版27巻。
テツが小遣い欲しさに反省日記を書き始めたところ、アドバイスを送る花井センセの中に、作家としての矜持とお金稼ぎとの間のせめぎあいを垣間見れてかんたんしました。
このおじさん、シレッと格好いいですよねいつも。
27巻に収録されているお話は次の通りです。
- 一年の計は……何
- テツの懸賞日記
- 日記のコツで大儲け
- 反省は突然 体にやって来る
- 日記をやめて元気になろう
- 元気の出る日記のコツ
- ジュニアの失踪
- おたずね猫 ジュニア
- あの世のおたずね猫
- 逆さまの再会
- ジュニア帰還説明会
- 西萩桜前線①
- 西萩桜前線②
- お花見がこわい
- サクラチル
- 「サクラチル」余話
- 人生持ちまわり
- 「上がり」から「ふり出し」へ
- からまる糸でグルグル巻
- 素顔の痛み
- 傷だらけでクラックラッ
- 永ァ~~~すぎた春
前半はテツがおバァはんに乗せられて日記をつけ始める話、
中盤はアントニオジュニアがダイエットに励む話、
後半はカルメラ兄弟が結婚に進み始める話ですね。
以下、各キャラクターの名ゼリフを交えて感想を。
ネタバレも含みますのでご留意ください。
テツ&チエちゃん
「な…なに~一ページ五百円!!」
「つ…つまりそれは
二日で千円
三日で一万円」
「千五百円や」
おバァはんに乗せられて反省日記をつけ始めるテツ。
素なのかボケなのかが分かりにくいセリフが好き。
テツ&花井センセ
「人間セッパつまらんと勉強って
身につかんもんですね」
「あわててかしこなると
アホに戻るのも早いど」
小遣い欲しさに、花井センセの作文のコツ授業をまじめに聞くテツ。
花井センセのツッコミが名言だと思います。
花井センセ
「静かに……
今テツの中で
賞金と作家の血が格闘しとるんや」
(テツ、慣れぬ反省でとうとう倒れる)
「立派やテツ
文章を書く人間の鑑や
ワシそれ疲れるから仕事イヤで……
チエちゃん一杯頼むわ」
お金がかかったとたん、皆の予想を超えて立派な文章を書き始めたテツ。
しかしながら、心底からの反省という未経験の挑戦に疲労が溜まり、花井センセに懸賞金を吊り上げられてプレッシャーも増え、遂には倒れてしまいます。
倒れたテツの姿に、職業作家としての自分に通じるものを感じ取ったか、めちゃくちゃ花井センセが嬉しそうでこちらも嬉しくなります。
アントニオ(霊)
「帰れ~
おまえが芸者遊びするのは十年早いわい
くそ~
せっかく盛り上がってるとこに
ガキが来たんじゃツヤ消しだぜ」
「バカヤロ~~~~
こんな遊びがしたけりゃ
おまえもシャバで
もっと苦労して来い」
無理なダイエットでぶっ倒れたジュニア、三途の川っぽい場所で父に会う。
父は芸者遊びに夢中。
……再登場するたびにダメな面を見せるアントニオがけっこう好きです。
ミツル
「オレはそんなんでテッちゃんと
つき合うとるんやないんじゃ
好きとか嫌いとか……
ほんまの友達は
ええことも悪いことも
丸がかえにつき合う気やないと
やっていけんのじゃ」
テツとの関係をボソッと語るミツル。
幼友達の核心を突くようなことをおっしゃっていますね。
この巻はテツとミツルの関係性、ミツルとカルメラの関係性、それぞれが濃く描かれていますので、ミツルファンは必読の内容になっていますよ。
カルメラ兄弟の結婚話、そこに絡むミツルとの長年の因縁、詳細やオチは伏せておきます。いい意味で非常にガチャガチャした下町人情ものになっていていいですね。
見合いや仲人という言葉もだいぶ死語になってきている気もいたしますが、今後も若者が結婚に夢を持てるような世の中でありますように。
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