肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

三重県北勢「関宿、七里の渡し&桑名城、願証寺、片樋マンボ」

 

三重県の北部地域を回ってみたところ、豊かな史跡等々をいろいろ見て回ることができ、旧街道地域の雰囲気にたくさん浸ることができてかんたんしました。

三重県の観光といえば神宮や志摩、あるいは伊賀や松阪、熊野等が先に思い浮かぶ(というかこれら地域は行ったことがある)のですけど、北勢地域も見過ごせない魅力がございますね。

 

 

関宿

亀山市の関宿。東海道五十三次、47番目の宿所。

かつては大海人皇子が関を閉ざした故事でも有名な町ですね。

www.kankomie.or.jp

 

 

いまも江戸時代風の町並みが保全されていることで知られています。

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朝早く行きすぎてお店が開いていない笑。

その分、気兼ねなく散策できたのはよかったです。

 

 

 

百五銀行さんのセンスが素晴らしいと思う。

こういう地銀は愛されて残っていくに違いない。

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高札場の復元もあります。

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江戸時代、というか時代劇でよく耳にするワードが多くて楽しいですね。

「働け」「喧嘩すんな」「博打すんな」「鉄砲持ち歩くな」「人身売買すんな」「キリシタン見かけたら申し出よ」等々。

 

それにしてもキリシタンを通報したら「銀500枚」って、けっこうな金額……。

銀1枚が43匁と聞きますので、21500匁相当。1匁が2000円以上の価値があるとすれば、少なくとも4000万円以上の報奨金が得られるということでしょうか?

かばいたい人情をお持ちの方でも人を売ってしまう金額がこれくらいと思えばいいのか、賞金稼ぎ的に魅力ある水準がこれくらいと思えばいいのか。

 

 

 

燕がいてかわいい。

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関宿、西側では東海道(近江)と大和に別れ、東側では東海道四日市方面)と伊勢に分かれているので、交通の要所としてずいぶん栄えたそうです。

「追分」という言葉、情緒豊かで好き。

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そういう交通の要所だった歴史からか、町のホスピタリティが高い印象を受けました。

駐車場に足湯があったり、公衆トイレにウォッシュレットがついていたり。

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休憩所もあちこちにあります。

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ちなみに、関宿には織田信孝さんの墓所もありますのでファンは要チェックですね。

全然知らなかったので驚きました。

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「理由はわからないが織田信孝さんの墓石がどれか分からなくなったので新しい墓石を用意した。位牌はちゃんと祀り続けているよ」という解説がなかなか味のある正直さでいいなあと思います。

 

 

 

 

七里の渡し&桑名城

続いて、同じく東海道五十三次42番目の宿所である桑名へ。

こちらは東海道唯一の海路(⇔名古屋の熱田)として、「渡し」があったことで知られています。

 

www.city.kuwana.lg.jp

 

 

七里の渡し跡。

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「渡し」と聞くと個人的には信長の野望20XXの中間管理職が思い浮かぶようになってしまいましたが、この言葉も情緒深くて好きです。

 

 

渡し跡のそばには、桑名城の「蟠龍櫓」を模したという水門管理施設があったり、

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有名な長良川河口堰が望めたりいたします。

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なんしか、川岸の風景ってのはいいもんですね。

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この日は桜がまだきれいに残っていました。

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芝生が整備されていて、小さい子どもを放牧していたり、犬の散歩をしている人がいたりと、地域の方々に親しまれている感じなのが観光客的にも見ていて嬉しいですね。

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さて、渡しの近くには桑名城址(九華公園)がございます。

歴史ファン的には山城が人気ですけど、水辺の城もいいものですよね。

 

城主本多忠勝さんの像。

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パッと見で本多忠勝さんだと分かる装備がいいですね。

城主時代ということで、壮年期っぽい表情なのが好き。

いまもご当地の方々にリスペクトされているようなのが何より。

 

 

 

城址は公園化していて、居心地がよい感じです。

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天守閣が失われているのは知っていたのですが、驚いたのは、代わりに公園の脇に柿安城が建っていること。

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柿安さんといえばデパ地下の牛めし弁当で著名ですが、桑名の企業だったんですね。

(書いていると牛めしを食べたくなってきました……)

 

 

 

 

願証寺

蓮淳さんや証恵さんや証意さん、何より織田信長さんとの激戦で知られる願証寺

現在の「ナガシマスパーランド」や「なばなの里」の隆盛と、「長島一向一揆」の距離感がすごすぎて、長島を訪れると一瞬感情が迷子になりそうです。

 

www.city.kuwana.lg.jp

 

 

 

現在の願証寺は後に再興されたものとのことですが、境内には一向一揆鎮魂の石碑がございます。

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一方、織田信長さんと戦った元の願証寺は、明治期の治水工事で、現在は川の底とのことで。

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そういう訳で、往時を偲ぶような遺構はほとんど見当たりませんが、長島の地をドライブしているといかにも輪中っぽい土地のフラットさ、複雑に張り巡らされた水の流れ、名古屋にも四日市にも近い交通の利便性……をひしひしと感じられます。

 

交通の要所だけに、現在の長島が賑わっている理由もよくわかりますし、当時も賑わっていたのでしょう。

そして、どっちを向いても川が見えるような土地で、当時はもっともっと湿地帯であったであろうことを踏まえれば、「こんな寺(城)攻めるの無理っす」を強く実感できますので、一度現地を訪れてみるのもいいと思いますよ。

 

 

 

 

片樋マンボ

北勢地域を旅していて、一番シビれた、「三重人スゲェ」と思わされたのが、こちらいなべ市の「片樋マンボ(間風)」です。

 

atago-kmk.net

 

 

江戸時代に何十年もかけて掘削された農業用水路なのですが……。

 

 

案内板に従って、

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まずは石碑・解説板とご対面。

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……書いてある内容が壮絶すぎて、現実感を得るのに時間がかかります。

「水が足りない(分かる)」

「トンネル掘って地下水流してこようぜ(お、おう)」

「準備だけで10年、落盤相次ぎ犠牲者多数(…………)」

「100年かけて出来あがったトンネルは全長1キロ(マジっすか)」

 

 

長島のあたりなんて困るくらい水がありそうなのに、少し上流のいなべに行くと水不足問題が出てくるんだなあ。

 

 

 

で、こちらのマンボ(地下水トンネル)、実際に覗くことができるのです。

 

階段を降りていくと……

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…………。

 

 

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いやいやいや、こわいこわいこわい。

 

「水がない時期は、100メートルくらいなら入っていけますよ!」と案内してくれているのですが、むりむりむり。

真っ暗やし。

かがまないと入れない狭さやし。

一人で中に入って、途中で誰かにあったり生き物にでくわしたり見てはいけないものを見つけたりしたら失神するわ。

 

めっちゃビビッて即回れ右しました。

普通に中に入って見物する人がいたらすげーよ。

掘った人はもうメチャクチャすげーよ。

 

 

近代建築とはまったく違う、プリミティブなスゴさと怖さを直感的に味わえるので、この片樋マンボは見た方がいいと思うし、この町の子孫はどれだけ誇りにしてもし過ぎということはないと思います。

 

 

 

 

 

三重県北部は経済的な意味で知名度が高い一方、(ナガシマリゾートを除いて)観光的には初めて接する地域だったので、新鮮な気持ちで楽しめました。

関西からも名古屋からもアクセスがいいので、機会があれば訪れてみてくださいまし。

 

現代の交通インフラが新たに賑わう地域を生み出す一方で、

往年の交通インフラで栄えた地域も引続き魅力を維持・向上していけますように。

 

 

 

おまけ

 

鈴鹿で、コスパで人気だといううなぎ屋さん「あおき」に行きました。

すごいボリュームで味もよく(ふっくら・薄味系)、大満足!

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