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「じゃりン子チエ 文庫版34巻 感想 最終回&描きおろし」はるき悦巳先生(双葉文庫)

 

じゃりン子チエ文庫版、とうとう最終巻が発売されてしまってかんたんしました。

最終回を見てしまうのは非常に寂しいのですけれども、最終回から20年以上を経て描きおろされた短編3話が変わらぬあたたかさで慰められます。チエちゃんファンはぜひ一読を。

 

www.futabasha.co.jp

 

 

 

最終巻に収められているお話は次の通りです。

 

  • 堅気屋をのぞく者
  • 祝・アントニオ カルメラ
  • テツの時代……?
  • 出産バクチ・カルメラ記念賞
  • 極秘・カルメラ出産予定日
  • カルメラ記念賞に群がる者
  • 発表・カルメラ出産予定日
  • カルメラ記念賞〆切日
  • カウント・ダウン カルメラ記念賞
  • みんな揃って記念写真
  • 「チエちゃん」以前のチエちゃん(描きおろし)
  • 夜のヒラメ(描きおろし)
  • チエちゃんの定休日(描きおろし)

 

 

カルメラコンビの奥さんが同時に出産、出産日当てのバクチでチエちゃん登場人物が大集合というラストエピソード。じゃりン子チエらしいめでたさっぷりが素直に嬉しくなりますね。

描きおろし3編はチエちゃんの過去編、ヒラメちゃんの日常、チエちゃん親子の休日、という内容で、いずれもほっとするあたたかさがただただ尊い。年に1編でもいいからこうした新作を読んでみたいものです。

 

 

以下、若干のネタバレを含みつつ印象に残ったセリフを。

 

 

 

 

小鉄&チエちゃん

「あれっ

 あんたひょっとして

 ここんとこずっと

 テツのあとついて走ってるのか」

「ニャン

 チ…チエちゃん

 チエちゃんがワシに

 テツから眼ェ離すなて」

「あんたもよっぽど

 やることないんやなぁ」

 

チエちゃんに命じられてテツを見張っていたのに、命じたチエちゃんは忘れているという恒例の小鉄気の毒ギャグ。

とはいえ、フォローでミルクをあげるチエちゃんもやさしいし素直にミルクを飲む小鉄もかわいいのです。

 

 

 

サッちゃんの手紙を読むチエちゃん

「こ…この夏休みは

 カルメラ記念賞の大穴を当てて

 そちらに遊びに行く

 資金にするつもりです」

 

しっかり者なのに時々大胆なサッちゃん。

大団円に向けて自然な? 流れでサッちゃんも大阪へ呼んでくれる作者の心配りがあたたかいですよね。

 

 

 

カルメラの妻二人

「わたし達どんなことをしても」

地獄組のボスの賭けた日を

 はずしてみせます」

 

地獄組のボスが出産予定日を見抜き、賭けの親たるテツは大ピンチ。

そのテツに対してカルメラ妻たちがかける言葉が非常に格好いい。この妻たちはもともとテツに好意的ですし、ポジティブに言えばテツのこれまでの行動が人の善意を呼び寄せたとも言えなくもないでしょう。

 

 

 

最後の記念写真

ラストは登場人物大集合の記念写真、およびチエちゃんが箒で地面に描いた「完」の字と小鉄で締め。

サッちゃん、お丸、コケザル等もしっかり写真に入っているのが嬉しくなります。

チエちゃんの両サイドにヒラメちゃんとサッちゃんの二人が揃っているのが、この作品においてはとりわけ幸福度高いと思うんですよね。

 

 

 

 

描きおろし3編のネタバレはやめておきますが、幼い頃のチエちゃんや若き日のヨシ江はんの魅力が明らかになりますし、ヒラメちゃんやテツについては変わらぬ魅力で魅せてくださいますのでまことにまことにありがたいです。

多くのファンの目に触れてほしい。

 

 

ああ、ついにじゃりン子チエ文庫版が完結してしまいました。

月に一度の楽しみがこれでおしまいになってしまうのが悲しい。

でも、数年間かけて楽しませてもらった感謝がそれを上回ります。本当に稀有な作品。

 

大阪の町もずいぶん変わりつつありますけれども、まだまだじゃりン子チエの登場人物のような人はいっぱい生息していると思いますし、そんな彼らがいる限りじゃりン子チエもまた愛され続けることでしょう。

 

はるき悦巳先生がこれからもお元気に、長生きしてくださいますように。

 

 

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