じゃりン子チエの文庫版29巻、久しぶりに猫バトル巻でございましたが、素の実力ではもはや小鉄&ジュニアに勝てる猫もいそうにありませんので、ドーピング的な格闘漫画あるあるネタが繰り広げられていてかんたんしました。
本当にバトル漫画でもないのに間口が広い漫画でございます。
29巻に収録されているお話は次の通りです。
- 今年の目標
- 年賀状ありがとう
- 新年会は雪見酒
- 一夜明ければ……
- 目がさめると いきなり「ツキ」が……
- 「疑惑のステーキ」
- ジュニアの容体
- 「マフラーでジュニアの代役」
- ジュニアの帰還
- バカヅキの待ち伏せ
- 小鉄の仇討ち作戦
- 第58部を始めるにあたって
- 小鉄のマタタビン疲れ
- パワーアップ小鉄
- 人間マタタビン
- 片手に日本酒 片手にマタタビン
- ギブアンドテイクで大繁盛
- 闘猫の日の朝
- 闘猫の日の夜
- 闘猫の果て
- 闘猫場立入禁止
- 長い長い闘猫の終り
一巻通してほぼほぼ闘猫、かなりの大長編バトルです。
以下、ネタバレをしつつ、各キャラの名ゼリフを。
テツ
「あかん………
ヒラメの顔 粘土みたいやから表情が分からん」
相変わらず、悪意なく少女に暴言を吐くテツ。
ヒラメちゃんは引きずるからやめてあげてほしいっす。
チエちゃん
「やり返す~~~」
「ハハハ…
小鉄もジュニアも逃げて行きよった」
雪が積もった日の朝、ジュニアに雪玉を不意打ちでぶつけられたチエちゃん。
そこから全力で反撃して猫たちを撤退させてしまいます。
相手が猫でもヤクザでも、落とし前はしっかりつけにいくチエちゃんの負けん気が大好きです。生きていく上でとても重要な力だと思う。
お好み焼屋のオッちゃん(百合根)
「誰も来るな」
「それでも来る奴は
生命保険かけて来い」
(店先の張り紙)
ジュニアが何者かとの戦いに敗れて帰ってきたため、ショックで暴れるオッちゃん。
生命保険かけて来いという啖呵がいいセンスですね。
チエちゃん
「な…なんやこれ
まさか爆発したあとの
抜けガラやないやろな
こうゆうのマナ板の猫てゆうんやな」
ジュニアの仇を取るべく、小鉄に「マタタビン」というドーピング薬を飲ませまくったお好み焼屋のオッちゃん。
結果、小鉄はねずみ花火のように走り回るも、薬が切れると抜けガラ状態に……。
小鉄
「あんなもん飲みたないけど
こう体に力が入らんとなんか……
ワシまたマタタビン飲んで
体をシャキッとさせたいような誘惑に……」
主人公サイドがヤク中になるという展開、危な過ぎますね笑。
アントニオジュニア
(これや……
この感じを確かめたかったんや)
一方、小鉄のマタタビン中毒症状を見て、敵猫もまたヤク中であることを見破るジュニア。小鉄のセコンドとなって勝利を得る糸口を見出すという活躍を見せます。
周センセ
「動物みんななまけ者ね
あまり助けるダメになっちゃうね」
小鉄のヤク中を針で治療してくれた周センセ。
冷静なコメントが名医っぽいぞ。
実際、その後の小鉄はジュニアの攻撃からしっかり身をかわす等、元通りのコンディションを取り戻し始めます。
アントニオジュニア
「オレはおまえにやられたんやない
その薬にやられたんじゃ」
ジュニアの名采配の甲斐あり、小鉄は相手猫に辛勝。
周センセの治療で薬の抜けた相手猫へ、今度はジュニアが勝負を持ち掛けます。
しかし、相手猫の権八さんは、そういう純粋な勝負を望むジュニアの精神性に心を打たれてしまい、勝負はお流れに。
結局、シナリオを通してジュニアが男を上げるような展開になりました。
ジュニア自身にとっては不本意な結果ですけれど。
一般的にバトル漫画でドーピング的な敵が現れた場合、主人公の知恵や技術や覚醒で対抗することが多いような気がするのですけど、このじゃりン子チエでは「小鉄もドーピング中毒にされる」→「薬が抜けた時の反動という弱点を掴む」という小鉄からすれば迷惑極まりない展開になるのがさすがでございました。
なんというか、じゃりン子チエだから許されるというか、動物愛護の精神的には完全にアウトな目に遭う小鉄と相手猫の権八さん、気の毒でなりません。
猫の世界も人間の世界も、ドーピングに頼らないフェアな勝負が今後とも保たれていきますように。
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