2013~2015年にWeb連載され、その後初めて単行本化されたという「帰って来たどらン猫3」が、いつものじゃりン子チエ長編シリーズ以上にシュールなキャラが多数登場する怪作でかんたんしました。
この世を捨てた猫の終着駅、いやしの地、来世への扉。それは霊女様が治めるというビヨンド学園!その謎を探るため旅に出た小鉄とジュニアだったが…。『じゃりン子チエ』の名脇役、猫たちが主役になって大活躍するスピンオフストーリー第3弾!!
ビヨンド学園を支配していたのは、猫たちの来世を見透し救いを与える霊女様だった。入園早々なぜか彼女の新しい夫に選ばれたジュニア一派と、暴力によって学園の支配を企む前夫・竜巻ゴロー一味は激しく対立する。そして、ついに霊女様とジュニアの結婚式が始まった!
スピリチュアル×任侠、出てくる猫は常軌のラインがやや崩れている者が多く、敵ボス一派は戦闘前にう●こをすることで相手をビビらせるというお下劣個性等々。
もともとじゃりン子チエはシュールな展開が多い作品ではありますが、今作は本編連載終了後にWebで掲載されたということもあってか思いつくままにキャラや展開を構成した感がございますね。
そんな中でも小鉄とジュニアのキャラや活躍はブレていませんので、この二匹が好き放題に動くかわいさ・魅力は健在です。
以下、名セリフの紹介を。
ネタバレを少し含みます。
小鉄&ジュニア
「それより昨日からまだ食事してないんですけど」
「うるさい
猫は三日くらいメシ食わんでも死なへん
腹減ってるくらいの方が頭まわってええんや」
この世を捨てた猫の終着駅と言われる謎の学園「ビヨンド学園」の噂を聞き、探し求めて旅する二匹。相変わらず掛け合いがこなれていますね。
ナメクジ(猫)
「ワシはこの頃やっと一メートルを一時間かけて
進むナメクジに
徒労の尊さ
無益の安らぎを
感じるようになったんじゃ」
霊女様(猫)に来世はナメクジだと告げられ、ナメクジになりきろうとする猫。
なかなかのキレっぷりです。
敵を裏切った猫
「どっちの味方もしたくねえが
同じハンデで勝負してもらいたいぜ」
最終決戦において、敵を裏切り対等の勝負となるようおぜん立てしてくれた猫。
悪の美学的なものをお持ちで好漢です。
小鉄
「立ち位置守ってやり返す~~」
巻末のオマケ漫画より。
チエちゃんや小鉄から出てくる「やり返す~」というセリフは、じゃりン子チエキャラの負けん気の強さを象徴しているようで好きですね。
今回の文庫化に当たって、小鉄&ジュニアの漫才漫画を描き下ろしてくれたのが何よりうれしいです。
次巻はいよいよ文庫版最終巻。
じゃりン子チエのフィナーレが盛り上がりますように。
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