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かんたんにかんたんします。

「じゃりン子チエ 文庫版33巻 感想 集合絵が終わりの近さを感じさせて寂しい」はるき悦巳先生(双葉文庫)

 

じゃりン子チエ文庫版33巻、カバー絵の集合絵がいよいよ最終回が近づいていることを実感させてくれて寂しくなりました。

かんたんしながら読み進めてきただけに終わりが見えてくると切ないですね。

 

www.futabasha.co.jp

 

 

このカバー絵、見返しにサッちゃんやコケザルもいるんですよね。

 

 

 

当巻に収録されているお話は次の通りです。

 

  • 雨上がりのゴミ箱
  • 旅猫の求めるもの
  • 小鉄が消えた
  • 小鉄・ジュニア捜索隊
  • もうかくれていられない
  • そして小鉄が消えた
  • もう猫とはつき合わない
  • 光岩丸の帰郷
  • 暴れん坊の到着
  • 女子供の花火大会
  • 放蕩息子の帰還
  • テツの目覚め
  • サラリーマン・テツ
  • 素顔がこわい
  • 面接・実地訓練
  • 就職・待ったなし
  • 予約席の憂ウツ
  • 冷凍倉庫の面接
  • 面接・合格発表の日
  • 感謝感謝の特製料理
  • 鍋と授業料の夜

 

前半が小鉄とジュニアメインのどらン猫エピソード、

後半がテツによるヤクザ更生就職学校エピソード、

となっています。

 

 

以下、各登場人物の名ゼリフを。

 

 

チエちゃん&テツ

「それより借金は命で返す

 ゆう話はどうなったんや」

「ううっ

 い…命ておまえ

 バクチで親の命を……」

「テツの値打ちやったら

 百回は死んでもらわんとあかんで」

 

親子のカブ対決でチエちゃんに一方的に負けたテツ。

数百万円の借金を娘に負ったようです。

どんな親子やねん。

 

 

 

テツ

「しかしもったいないなぁ

 チエのあの勝負度胸……

 学校なんかやめて賭場に通たら

 ビルの二つや三つすぐに建つのに」

 

我が娘のバクチ強さをリスペクトするテツ。

内容はともあれ娘に一目置いているのはいいですね。

 

 

 

お好み焼き屋のオッちゃん(百合根)

「ジュニアの気持ちを分かりたいと

 長年いろんな呑み方研究して

 昨日やっと発見したんや

 清酒「大道楽」と「神無月」の

 絶妙な混合で

 猫語の分かる「猫一番」を

 作ることができるんや」

 

酔っ払うと猫語が分かるオッちゃん。

その秘訣は絶妙な日本酒ブレンドによるものだったのです。

どないやねん笑

 

 

 

ジュニア

「伝説なんてもんはその本人より

 その話をする連中のために

 あるようなもんなんや」

 

ある荒廃した村の救世主猫伝説を効いたジュニアのコメント。

メンタル系の話については若いのに達観しているのがまたかわいいのです。

 

 

 

村の猫たち

「袋をむくだけで

 手品のようにノリがおにぎりを

 包み込んで……」

「包み込むって……

 ノリとおにぎりは別々だし

 ノリの袋をはがす前に

 ノリがビリビリに」

 

コンビニから盗んできたおにぎりに翻弄される猫たち。

コンビニおにぎりに人間も翻弄されていた時代ですねえ。

 

猫たちの抗争の細かいあらすじは伏せますが、相変わらずの小鉄とジュニアの活躍、そしてオバはん(猫)たちの大活躍が楽しいエピソードでございました。

小鉄が婆猫に色気出されて怖気ついている顔がかわいいの。

 

 

 

チエちゃん

小鉄ちょっとこれ頼むわ

 分かってるやろ

 これ今年もろたお年玉や

 あんたにあずけとくのが一番やから

 命がけで守ってや

 

お年玉をテツから守るべく、小鉄に預けるチエちゃん。

小鉄への信頼が分かるいい場面なのですけど、「命がけで守れ」というセリフのキレが半端ないっす。

 

 

 

テツ&マサル

「なにがお年玉じゃ

 ガキが他人のフンドシでばっかり

 相撲取りやがって

 金欲しかったら自分で働かんかい」

「自分でて……

 テツ働いてないのに」

 

久々に登場したら、なかなかの切れ味のマサル

テツに追いかけられて一目散に逃げていくところが相変わらずかわいい。

 

 

 

チエちゃん

「正月明けの一発目から大はずれ

 マサルに一目おいてたウチガッカリや

 マサル最近調子落ちてるんちゃうか

 しっかりせんとマサルの出番なくなるで」

 

そんなマサルもチエちゃんの手にかかればいいところがありません。

物語の終盤を迎え、チエちゃんの無敵ぶりに拍車がかかっています。

 

 

 

テツ&おバァはん

「そ…そんなこと誰から

 ん…?!

 お母はんか」

「……

 昨日ばったりセンセと

 会うたもんやから」

「ば…ばったりてどこで」

「センセの家で」

「こ…こら~

 言いに行ったんか」

 

ヤクザをシバいて就職面接のアドバイスをして遊んでいたら、自分も就職面接を一緒に受ける羽目になったテツ。

花井センセや爺婆も楽しそうで何よりです。

 

 

 

テツ&おジィはん

「ほんま……

 全然見る眼ない

 スカみたいな会社やで」

(うっ

 きっとちゃんとした会社やったんやなぁ)

 

就職面接に元ヤクザ2名が無事合格し、自分は不合格になったテツ。

二人ともそれなりにショックを受けているのがしんみりきますよ。

 

 

 

チエちゃん&お好み焼き屋のオッちゃん(百合根)

「このお好み焼き屋のどこが気に入ったんですか」

「ど…どこて…

 気に入ってるのはその…

 まずオッちゃんがええ人やし」

「う…」

「それに値段も安いし

 味もなかなかおいしいし……」

「う…うんうん

 ほんならもしこのお好み焼き屋で

 仕事することになったら」

「仕事することになったらそらもう

 ウチメチャメチャ働くで

 客商売には自信があるんや

 ほんまやで

 働く少女ゆうだけでも珍しいのに

 年季まで入ってるんやから」

素晴らしい

 

一方、お好み焼き屋のオッちゃんは、チエちゃん相手に面接官ごっこをやってみたら100点満点の答が返ってきて思わずニッコリです。

チエちゃん、何一つ脚色抜きに素で答えているのですけど、就職活動の面接話法としては完璧すぎてほんま素晴らしいですね。

なんていうか、チエちゃんもテツみたいなヒモ男を養う女にならんかじゃっかん心配にはなりますけど。

 

 

 

 

以上、前半も後半も気持ちよくまとまった良エピソードでございました。

なんしかチエちゃんの無敵っぷりに一種の貫禄を感じさせられてしまいます。

 

 

どらン猫3含めあと数冊、無事に刊行されて、じゃりン子チエファンが裾野広く増えていきますように。

 

 

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