信長の野望201X、波多野家の星4人材「波多野稙通さん」登場にかんたんしました。
(はたのたねみちと読みます)
↓11月勾玉交換武将のニュースリリース
「幕府評定の器」。
評定衆就任が元ネタだと思います。
室町幕府の生命力が危うくなると波多野家が元気になる。
そんな史実を踏まえてはるのかもしれません。
とりあえず5人ご招待して開眼30%にしてみました。
能力はベーシックな戦術家アタッカーという感じですので、いずれ強行戦とか波状戦とかの布陣を厚くするために使ってみようと思います。
全身図がたいへん素敵で驚きました。
義父にしたい戦国武将No.1ですね。
ところで、そもそも皆さま波多野稙通さんってご存知ですか。
信長の野望シリーズではたまに登場していて、能力がかなり高いので印象に残ってはる方も多いかもしれませんが。
(画像は「創造」の武将紹介)
通説の波多野稙通さんなる人物は。
細川高国政権下で、弟の「柳本賢治さん(超強い)」「香西元盛さん(超強い)」とともにブイブイ言わせていた。
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細川高国さんが無実の罪を負った香西元盛さんをうっかり殺してしまった。
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ブチ切れた稙通さんと柳本賢治さんが細川高国政権に反旗を翻した。
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チャンスとばかりに阿波からも足利義冬さん・細川晴元さん・三好元長さんなどが上陸してきた。
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みんなで細川高国さんを京都から追い出した。
(あの朝倉宗滴さんが細川高国派の援軍として参戦したりもしています)
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堺公方府が成立した。
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柳本賢治さんと三好元長さんが大喧嘩して、三好元長さんは阿波で謹慎することになった。
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柳本賢治さんが何者かに暗殺されてしまった。
(丹波衆大ショック)
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復帰した三好元長さんと赤松晴政さんが「大物崩れ」で高国さんと村宗さんを討ち取った。
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柳本賢治さんの遺児が三好元長さんに因縁をつけられて殺された。
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混沌とした晴元政権の下、稙通さんは丹波守護代の内藤氏※を破ったり、京や丹波の治安をよく守ったりして、名声と支配力を高めた。
(※後に松永長頼さんが後見したり、内藤ジョアンさんやジュリアさんが誕生したりするあの内藤氏です)
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たいへん立派なので稙通さんは幕府役職「評定衆」の栄典を与えられた。
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三好元長さんの遺児「長慶さん」が三好家の割に素行も実力も立派なので娘を嫁に出した。
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三好長慶さんたちと一緒に「細川高国派残党」「木沢長政さん」と戦ったりした後、お亡くなりになった。
……という感じの生涯を送ったことになっております。
とてもダンディですよね。
筋が通らなければ「時の天下人」にも刃向ってみせる胆力。
実力で一国人から丹波の支配者にまで成り上がったスケール。
丹波衆のみならず都人からも頼りにされるカリスマ。
遺恨ある三好元長さんの息子と仲直りし婚姻まで結んでしまう度量。
丹波戦国史の中でもトップクラスの英傑だと断言してよいでしょう。
ただ…………
実は波多野家。
滅んだお家ということもあって、まともに史料が残っておりません。
その割には江戸時代の軍記物や明治時代の偉い人にそうとう称揚されたこともあって……
なんだかよく分からない面が多いんですよね。
まず、こちらの波多野稙通さん。
一次史料ではどうも実在しない、というか斎藤道三さんよろしく二代に亘る活躍を一人にまとめてしまった気配が濃厚です。
恐らく「波多野稙通」とは「波多野元清」「波多野秀忠」という父子が元ネタかと思われます。
高国さんに反旗を翻した武闘派は元清さん、
丹波支配を進めたり長慶さんに娘を嫁がせたりした統治者は秀忠さん、
ではないかと。
もちろん波多野氏に二代続けて立派な人が出たのは間違いありません。
「稙通」という名前や系譜が怪しいですよというだけで、当時の波多野家が強大な勢力だったことは動かない事実です。
私自身、よく分かっていないことも多く。
稙通の“稙”は10代将軍「足利義稙さん」から一字を拝領したということになっていますが、この辺の真偽がどうなのかよく分かりません。
201Xの特性の由来にもなっている12代将軍「足利義晴さん」による「評定衆就任」も果たして史実なのかどうか……?
波多野家の家格等を考えたら“貰い過ぎ”な扱いだと思えるのですが。
どなたか詳しい方がいらしたらご教示ください。
波多野家周辺は他にもよく分からないことだらけです。
過小評価されていることに定評がある「波多野晴通さん」は「波多野元秀さん」ということでいいんだよね? とか。
「波多野宗高さん」って誰やねん……「秀親さん」のことかなあ? とか。
「波多野秀治さん」って本当に正親町天皇の即位式に参加していたの? とか。
(波多野宗高さんが秀親さんなら、こちらは先に三好家に降っていたはずなので警護に加わっていても不思議ではない)
201Xでも一般ガチャで人気のある「籾井教業」さんって結局実在するの? しないの? とか。
本当に謎の多い地域だと思います。
でも、そんな謎の多い丹波が時の天下人を常に揺るがせてきたことは間違いなく。
細川高国政権崩壊のきっかけをつくり。
三好政権のエース格「松永久秀・長頼兄弟」を何度も撃退し。
織田政権のエース格「明智光秀さん」をも相当に苦しませております。
丹波の独特な地勢(盆地・霧が出やすい等)に助けられたところもあると思いますが、やっぱり丹波武士という連中自体がめっぽう強かったんでしょうね。
いろんな講談が残っていること自体、民から慕われていた証なんでしょうし。
「謎が多い」「超強い」……
うん、やっぱり「鬼」という言葉が似合う土地柄です。
私見を述べさせていただければ、「波多野稙通」さんというニコイチ人格も好きなんですよね。
たとえファンタジーな存在だったとしても。
三好家ファンの目線で見れば、「元長さんと因縁があって」「長慶さんと良縁を結んで」という経緯が、二代に分かれているよりも一人の人格に集中している方が物語としては映えると思うのです。
「史実を曲げるな」と言われればそれまでなのですが。
物語と言えば、「柳本賢治さんを“誰”が暗殺したのか」の料理も創作者の個性が出ますよね。
通説通り浦上村宗さんの手によるものなのか。
なんでもこの人のせいという感じで木沢長政さんに寄せるか。
はたまた三好元長さんの黒い面にしてしまうか。
マニアックながら、けっこう解釈が楽しい事件だと思います。
信長の野望でも、引き続き波多野家が強化されていくといいですね。
というか、201Xは現時点でも星4がひとり、星3が3人……
既に三好家の戦力とあんまり変わらない気もいたします。
その他扱いの家の中ではそうとう優遇されている方だなあ。
これで「長慶夫人」が「星4の女性薬師」かつ「波多野家所属」で登場したら。
いろんな意味で哀し過ぎて、最高ですね。
こんなディープな記事からでも、畿内戦国史に興味を抱く人が増えてくれますように。