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かんたんにかんたんします。

「陰陽師 玉兎ノ巻 感想 蘆屋道満夢女子が沸き立つ」夢枕獏さん(文春文庫)

 

小説陰陽師のシリーズを玉兎ノ巻まで読み進めたところ、相変わらず秀作打率の高さや妖しく美しい情景の描写ぶりにかんたんしたのですが、とりわけこの巻ではますます自由に活躍している蘆屋道満さんのプライベートエピソードが挟まっていて夢女子勢がはーーっ! となるやつでございました。

 

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木犀の香が漂う夜、晴明と博雅、蝉丸が酒を飲んでいると天から斧が降ってきて――陰陽師安倍晴明の活躍を描く人気シリーズ第十五弾。

 

当巻に収録されているお話は次の通り。

  • 邪蛇狂ひ
  • 嫦娥の瓶
  • 道満月下に独酌す
  • 輪潜り観音
  • 魃の雨
  • 月盗人
  • 木犀月
  • 水化粧
  • 鬼瓢箪

 

道満さんに感情を揺さぶられるほか、西の京の治安の悪さに苦笑いしてしまう巻にもなっております。

 

ネタバレ控えめに一言レベルの感想を。

 

 

邪蛇狂ひ

あの有名な二郎真君(西遊記等。封神演義の楊戩でも)と哮天犬を晴明さんが召喚!

する場面に盛り上がりつつ、お話の筋はビターなところが味わい深くて好き。

「いつまでも、夏であるというわけにもゆくまいよ、おれたちもなあ……」

 

 

 

嫦娥の瓶

こちらも元ネタが有名ですね。唐の国由来のお話が増えてきました。

安倍晴明さんの天文博士な一面が見れるという意味でもよいエピソードです。

藤原兼家さんがいつもなんだかんだでおいしいです。いいなあ月の餅。

 

 

 

道満月下に独酌す

「来よ……」

 

ひゃーーーー!!! ってなりました。

 

 

 

輪潜り観音

「それでかまわぬから、言わせてくれ」

「晴明よ、おまえ、それはこのおれに頼んでいるのか――」

「う、うむ」

「そうか、晴明がこの博雅に頼むということなれば、聴かぬでもない――」

 

にやにやしてしまいますね。

 

 

 

魃の雨

干ばつ対策ということで、こちらも安倍晴明さんに対する朝廷の期待といいますか、本業感のあるお話です。

晴明さんと源博雅さんコンビの頼もしさがますます。

 

 

 

月盗人

初見で何もかも気づきながら最後までつきあうつもりのない蘆屋道満さんが好き。

そのくせ酒だけはちゃっかり飲みにくるところも好き。

 

 

 

木犀月

笛の音と琵琶の音に乗れば月にも行ける。

そんな世界観が美しくて、陰陽師シリーズにメロついてしまいます。

 

 

 

水化粧

ルッキズムな業のお話ですので、現代にあっても刺さる読者は多いのでは。

顔のよさってなんなんでしょうね。

 

 

 

鬼瓢箪

呪によって、異国の鬼が生じることもある。

呪とは、呪いとは、鬼とは、祓うとは。そんな根源にソフトタッチするようなお話なので、そういう視点に興味がある方におすすめですわ。

呪術廻戦でも古典的な術式と現代的な術式が入り混ざっておりましたが、文化的というか民俗的というか、こういう価値観の成り立ち・変容っておもしろいですよね。

 

 

 

 

 

 

もうこれでシリーズ15弾なんすねえ。

最近は本が売れないせいか、出版される小説って安定して売れるシリーズものが増えてきている印象で、それって一見勢にはとっつきづらくてなあと日ごろは思いつつ、こうしてシリーズものを読んでいると安定して面白いんだから買っちゃうの、我ながらアンビバレントです。

 

シリーズのあとがきを読んでいると夢枕獏さんもだんだんいい年になってきてはるようですが、ご本人も陰陽師シリーズも他のシリーズも健やかでいてくださいますように。

 

 

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