禅とカンフーをチャンポンしたカオスな映画「少林寺 達磨大師」が思った以上に面白くてかんたんしました。
達磨大師。
日本でも超有名人。
群馬県ではお弁当にもなっていますよね。
中国の南北朝時代(5-6世紀)の人。
もとはインドの王子だったところ、仏門に目覚めて100年くらい修行。
教えを広めようと中国に渡って、梁の武帝と対談。
(武帝を怒らせて追い返されるも、後に武帝は後悔)
中国の少林寺に移り、壁に向かって飲まず食わずで9年間座禅。
慧可さんを弟子にしたり少林寺に拳法を教えたりした後、若干150歳で遷化。
達磨大師の教えは「禅宗」として、中国全土、やがては日本にまで伝来。
鎌倉武士たちの信仰を集めることにもなります。
(伝説上の逸話ですので大師の年齢等は突っ込まないでください)
ネタバレもへったくれもなく、こちらの映画ではこうした大師の生涯を素直に描写していくつくりになっております。
仏教映画としてはけっこうよくできている気がしますね。
達磨大師を追い払った後に後悔した武帝が「縁」について考えるシーンや、ラストの慧可さんとの問答シーンなどはしみじみとした味わいがありました。
「寺」という組織のありようについてもまっとうに切り込んでいると思います。
もちろん宗教的な話ですので、詳しい方にとっては解釈に疑義があったりもするでしょうけど。
「初期仏教ってなんかいいよね、ストイックで」くらいの関心をお持ちの方にはちょうどいいのではないでしょうか。
そういった仏教伝説的なストーリーを背骨にしつつ。
タイトルに「少林寺」と書いてはるとおり、観客を眠くさせないようにという配慮からか随所にカンフーアクションが入っているのが楽しいです。
このカンフーアクションが無駄によくできていて、仏教イズム溢れる会話をしながらワイヤーで空を飛んだりしている画面は謎の中毒感があるんですよ。
達磨大師が大河をジャンプで飛び越えるシーンとか、ワイヤーがうっすら見えているのも相まって異常なシュール味を醸しだしています。
映画のなかで一番「よくできているなあ」とかんたんしたのが、本筋にあまり関係のない「攻城戦」の場面でしたしね。
「鉤縄で城壁を登る→縄を切られる→落ちる」の流れとか名助演賞を贈りたいくらいです。
ラスト直前の達磨大師と盗賊団の戦いも超現実的な決着方法(「大師ーーーーッ!!」 からの 「生きとったんかワレ!!」)が素晴らしゅうございました。
さすが大師。
思わず視聴者も合掌三拝ですよ。
こんな尊い映画もそうそうないと思いますよ。
弟子の慧可さんはすこぶるイケメンですし。
色んな意味で見どころの多い映画でございました。
達磨大師の生涯150年を僅か90分で描くテンポの良さも素敵です。
シュールかつファンタスティックな展開に笑えつつ、芯となる仏教哲学は意外とまともで考えさせられる映画。
興味が湧いたらご視聴してみてくださいませ。
日本仏教も檀家の減少とか葬式離れとかでいろいろ大変そうですが、いまこそ初期仏教の魅力が再評価されますように。