肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

信長の野望20XX「細川晴元権力 vs 伊邪那美」

自己満足ネタながら、信長の野望20XXにて細川晴元権力再現を実現することができてかんたんしました。

やはりキャラゲーは妄想や思い入れを詰め込んでなんぼですよね。

 

 

完成した細川晴元権力パーティ。

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権力の盟主、細川晴元さん。

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細川晴元さんが関わる戦乱は火力がマシマシになるという史実に則り、味方全体の現代兵器与ダメージをアップしてくれる主君になっていただきました。

元の特性の持ち主には失礼な表現で恐縮ですが、京で何万人もの暮らしを背負っている晴元さんの特性が「小京都の主」「百人組の棟梁」というのはアレですね。

 

ちなみに愛用兵器は織田信秀さんから鷹の代わりに献上してもらったグレネードランチャーオブハルモト1514です。

 

 

 

続いては東の守護神、六角定頼さん。

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近隣に睨みを効かせるには充分な火力を発揮してくださいます。

その辺のボスが相手なら、3連鎖めの定頼ファウストあたりで撃破可能。

 

細川晴元権力の実質的な主体は彼なのではという見方もございますが、本人は裏で暗躍するフィクサータイプを志向しているような気もしますね。

 

 

 

同じく西の守護神、波多野稙通さん。

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六角定頼さん同様、強大な火力で敵を粉砕してくださいます。

 

彼の息子さんもまた、六角定頼さんの息子さんと同じように、細川晴元さんにとことん尽くしたことで知られておりますね。

やはり、細川晴元さんにはどこか見捨てておけない魅力があるのかもしれない。

 

 

 

細川晴元権力のマスコットキャラ、木沢長政さん。

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得も言われぬチャーミングさで味方の士気を高める馬印キャラにしました。

元から異常者なので状態異常に強いという解釈です。

 

どうでもいい話ですが、部隊の中で彼だけは突破師範以外の訓練を受けたことがなく、現場の叩き上げでレベルを上げてきたという私好みのキャリアだったりもします。

 

 

 

最後に部隊のフィニッシャー役、三好長慶さん。

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史実では細川晴元権力そのものをフィニッシュしてしまいましたが。

この世界線では晴元さん配下の内衆として筆頭奉行を務めている、但し晴元さんは彼をあまり信用していないので相模守として東国に出向させて第二の伊勢宗瑞さんにしようと企んでいるとかいないとかという解釈にしています。

 

職業相性導入等を踏まえ、堅固な兵器役に切り替えました。

手練のカッチカチ大筒です。

スキル音にも合います。

永く汎用的に活躍してくれたらいいなあと思っています。

 

 

 

かくして誕生した細川晴元権力パーティ。

畿内の激しい戦乱を兵器火力で再現しつつ、全員戦術家で守りが弱いということで権力基盤の脆弱さまで表現できているのでとてもお気に入りです。

生命力や防御スキルの関係で、基本的に最後まで生き残るのは三好長慶さんというのも史実らしくていいの。

 

 

晴元さんの威光で頼もしい援軍を招聘し、道中の雑魚さえなんとかしていただければ、ボスは兵器祭りで瞬殺できるので意外と強かったりもするんですよ。

 

 

黄金九頭龍さんも楽勝でした。

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1戦目は卜部季武さんに頑張っていただく、

2戦目は長慶さん以外の兵器で瞬殺、

3戦目は長慶さん兵器で瀕死にして卜部季武さんスキルでとどめ、

という感じです。

 

 

 

調子に乗って伊邪那美さんとも戦ってみましたよ。

 

バン!

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バン!!

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バン!!!

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まあ攻撃されたらあっさり沈むので2回コンティニューしたんですけどね。

京から追い出されてもすぐに舞い戻ってくるのが細川晴元さんなので、コンティニューに抵抗がなくなってしまいました。

いけないいけない、政権運営に締まりがなくなっている。

 

 

本家も含めて、好きな武将で好きなように遊べるのが信長の野望シリーズのいいところだと思うんです。

これから先の20XXも、特定武将が必須にならず、推し武将中心のパーティでも工夫すればなんとかクリアできるようなゲームバランスを保ってくださいますように。

 

 

 

 

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おまけ

 

以下、いわゆる二次創作です。

即興で書いた細川晴元パーティの物語。

痛いやつなのでそうゆうのが苦手な方は何卒ご遠慮くださいませ。

あと、201X第1部ラストのネタバレ要素を含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *

 

「なんだあれは」

「あれが伊邪那美だというのか」

「化け物ではないか、あんなやつとわしが戦うのか!? そ、宗三はどこじゃ!」

「宗三殿を外の国へ視察に出したのは晴元様でしょう」

 

細川晴元たちが喚いている。

無理もない。

眼前に現れた化け物は、女神と呼ぶには醜悪に過ぎる存在だった。

 

 

 

細川晴元は、錚々たる大名たちが伊邪那美封印のために上洛してきたのは、自分の威光のおかげだと信じ込んでいた。

その上で、最後の敵は京の主たる自らの手で討ち果たしてこそ、と言ったのだ。

 

それが、戦闘が始まったとたんに後悔の悲鳴を上げている。

 

 

好都合だった。

この戦いは、晴元の指示通り、「偵察用どろーん」によって大名たちや京の町衆たちへ映像が送られている。

伊邪那美に対する戦いぶりが、そのまま戦後の力関係に反映する。

晴元が怯懦な本性を示せば、細川京兆家の権勢が揺らぐ。

逆に、木沢長政が――成り上がった下衆として知られる自分が――戦功をあげれば、希望なき民どもを奮い立たせることができる。

 

 

瞬間、地が揺れた。

伊邪那美が放った光が大地を割ったのだ。

大木の杭を何百人がかりで打ちこんでもこのような威力は出せまい。

 

 

 

「な、何をしている、わしを守れ、守らぬか!」

「晴元殿、落ち着かれよ。外の国の銃も、威力では負けていない。巨体とはいえ、神とはいえ、これまで打ち倒してきた化け物とそうは変わらぬ。皆、構えを」

六角定頼が冷静に晴元をなだめ、そのまま部隊を指揮し始めた。

定頼からすれば、自慢の六角家弓衆を指揮するのとそう変わらないのかもしれない。

 

……気に入らない。

定頼の身体が、いつものように金色に輝いている。

長政の目につけている「すかうたあ」を通してみると、武将たちの「格」を見ることができるのだった。

 

定頼は「金」。

晴元も「金」。

波多野秀忠、いや、稙通も「金」。(いつの間に改名したのだ?)

 

特筆すべき家格や能力を有する者は、どうやら金色に輝いて見えるらしい。

凡愚は「緑」や「青色」。

没落した守護も「緑」や「青色」。

 

三好長慶は虹色に光っているが、これはよく分からない。

長政は他に虹色の光を見たことがなかった。

三好家は呪われた家系だから、元長の死霊でも憑りついているのかもしれぬ。

 

 

自分は「銀」だった。

あの筒井や柳生たちですら「金」なのに、その上位に君臨する自分が「銀」なのだ。

成り上がり者の限界を見せつけられているようで、無性に気に障った。

 

 

 

定頼や稙通の放った銃弾は、確かに伊邪那美に効いていた。

 

だが、伊邪那美は倒れる素振りもない。

 

……埒が明かない。

 

 

「陣を組もう」

この戦いで、初めて意見を述べた。

皆の視線が自分に集中する。

「縦に陣を。わしが先頭に立つ。隙をつくってみせる」

 

「危険です」

長慶がしたり顔で言う。

前に出るなら自分が、という態度。

それも気にくわない。

 

「わしの命が一番軽い。

 わしはお前の父に借りがある。

 わしは京を放棄して逃げたこともある」

 

仲は悪いが、付き合いは長い。

これだけで一同が納得した。

 

 

 

「続け!」

先頭に立ち、「えむしーきゅーびー」を放った。

たいした威力はないが、敵の隙をつくり、後続を支援するのに向いている銃だ。

 

突破力に優れた縦陣から、次々と銃が放たれた。

轟音と、硝煙の匂い。

伊邪那美の切り裂くような悲鳴が重なる。

 

 

そして――

 

激怒した伊邪那美の光線が、長政の胸を貫いていた。

 

 

 

これでいい。

一番槍をつけたようなものだ。

残った四人なら、後は何とかするだろう。

 

木沢長政のおかげで勝てた。

木沢長政のようになりたい。

この戦いを見ている民の中から、そのうち金色の成り上がりも生まれてくる。

下衆共の「えむしーきゅーびー」になれたのなら、それでいい。

 

身体から、銀色の光が消えていく。

金色にはなれなかった。

だが、銀色とて、あの足利義晴と同格なのだ。

 

悪い気分ではなかった。

 

 

 *

 

木沢長政の働きは極めて大きかった。

 

波状攻撃に耐えられなくなった伊邪那美が、翼を拡げ、なりふり構わず襲ってくる。

攻撃は酷くなったが、それだけ余裕がない証だ。

 

このまま押せば、

とりわけ長慶の銃をあと数度撃ち込むことができれば――

 

 

そこまで考えた時、初めて頭を覆っている違和感に気づくことができた。

 

なぜ、あの長慶なぞを当てにしているのか。

 

天下之執権として名高い、この六角定頼が、である。

 

 

定頼の記憶にある長慶と、いま眼前にいる長慶。

 

どこかが違っていた。

 

 

定頼の記憶にある秀忠と、いま眼前にいる稙通。

 

何かが違っていた。

 

 

何より、

記憶にある己と、いま「ふぁうすとぴーすりー」を振り回している己が。

 

 

「全く違う」

 

 

「何か仰ったか、定頼殿」

「稙通殿、この世界、何かおかしいと思わぬか」

「…………」

 

稙通の表情に微妙な揺らぎが伺えた。

言葉にしたことはないのだろうが、感じるものはあるのだろう。

 

 

「おのぉれええ!」

伊邪那美が腕を叩きつけてくる。

 

鬱陶しい。

再度「ふぁうすと」を放って距離を取った。

続けざま、稙通も「ふぁうすと」を喰らわせる。

二人の連携に、晴元は喜色満面だ。

 

 

「ふぁうすとぴーすりー」はよい武器だった。

しかし、いったい自分はいつ、このような武器の操り方を覚えたのだろう。

使い方は分かるのに、どうやって使えるようになったのかは思い出せない。

 

 

「…………」

「定頼、どうした」

「晴元殿。わしも長政に続こうと思います」

「な、何を。お主は最後までわしの傍におれ。突撃ならば長慶にさせよ」

「いや、ここはわしでなければ」

 

問答を続けようとは思わなかった。

「ふぁうすと」に次弾を装填し、稙通・長慶に連携を指示。

 

伊邪那美に的を向ける。

ひとつ、ふたつ。

呼吸を整えた。

 

「早く撃て! 何をしておる!」

 

晴元が叫んだ瞬間、伊邪那美の口許が怪しく輝き始めた。

同時に引き金を引く。

 

刹那、いままで以上の爆炎が周囲を包んだ――――。

 

 

 

 

「殿、ご無事で」

「ご苦労。お主に借り受けていたもの、役に立ったわ」

 

迎えに現れた三雲定持に「すてるす迷彩」を手渡す。

舞い上がる粉塵に身を隠し、定頼は京の郊外まで無事に辿りついていた。

 

「よろしいのですか、戦列を離れて」

「よい。邪神などと争うておる暇はないことが分かったのでな」

「は……?」

 

 

元々、晴元のために六角家の力を使い切るつもりなど毛頭なかった。

 

そして、それ以上に、やらねばならぬことができた。

 

 

「定持よ、外の国のえーじぇんとは、観音寺城にほとんど現れぬだろう」

「浅井や蒲生の館にはしばしば訪れてくるようですが」

「それよ。近江に来るえーじぇんとは多い。されど、六角を相手にしておらぬ。公方、京兆家、近国の領主ども、比叡山本願寺。誰もがわしの顔色を伺おうとするのにな」

「言われてみれば……」

「外の国の者どもに、なぜか六角は知られておらぬのよ」

 

今後は、外の国の武器や知識なしには戦も政も成り立たない。

 

「新たな戦は、六角の徳と武威を外の国に知らしめる戦ぞ」

「雲をつかむような話ですが、難儀な戦になりそうですな」

「わしがその気になれば、出来ぬことなど何もない」

 

 

わしたちの戦いはこれからだ。

 

伊邪那美との戦いは、あの長慶が首尾よく仕上げるだろう。

わしの記憶よりも大きくなっていた、あの長慶ならば。

 

 

 *

 

「まさか……定頼まで……馬鹿な……こんな……」

「晴元様、お気を確かに」

「ええい、煩い! なぜお主らが残ったのだ! なぜ宗三がおらぬのだ!」

「宗三殿に頼り切りのように見られたくないと、宗三殿を外の国に送り出したのは」

「わしじゃ! 分かっておるわ!!」

 

事態は最悪と言ってよかった。

 

先ほどの連続砲撃が功を奏し、伊邪那美を相当追い詰めた手ごたえはあった。

それはよい。

だが、そのせいで定頼を失った。

後に残ったのは、あまり信の置けない波多野稙通(息子ならよかったのだが)と、全く信の置けない三好長慶である。

 

このままだと、おちおち伊邪那美を攻撃してもいられない。

とりわけ長慶は、涼しい顔をして背中を撃ってきかねない不気味さがあった。

 

 

すると。

 

「……晴元様、お退きくだされ」

「えっ」

「ここは、わしと婿殿で引き受けましょうぞ」

 

稙通が、唐突に、渡りに船な提案をしてきた。

 

 

「よいのか」

「このままでは禁裏に被害が及びかねませぬ。晴元様は皇宮を守護し、我々は晴元様の指示通りに伊邪那美を討伐した。そういう筋でどうでしょう」

 

長慶も事も無げに言う。

 

 

考えてみれば、こやつらの言う通りではあった。

自ら言い出したこととはいえ、このような危険な場に京兆家当主たる自分がいつまでもいていい道理はない。

むしろ、晴元の身を全力で守るのがこやつらの役目である。

 

「うむ、苦しゅうない」

「それでは、あのコケラを撒かれ身動きが取れなくなる前に、疾く疾く――

 むっ、晴元様、危ない!」

 

一瞬のこと。

 

今までないほどに凝縮された呪力が伊邪那美から放たれた。

そう理解できたのは、長慶が身を挺して晴元をかばい、重傷を負ってからだった。

 

「ご無事で」

 

長慶。

なぜ微笑む。

なぜわしを庇う。

わしは、お前の。

 

「晴元様の身に何かあれば、美しい京の都は再び戦乱に塗れてしまう。

 そのような光景はもう、見たくはありませぬ」

「な、長慶……」

「今のうちに、お退き、あそばせ……」

 

 

もう見たくはない光景。

 

もう見たくはない光景だと。

 

わしは。

わしが、もう見たくない光景は。

 

 

「晴元様、早う! 次の攻撃が参りますぞ!」

「ええい!」

 

二人を避難させようとした稙通を突き飛ばし、駆けた。

 

駆けて、駆けて。

 

伊邪那美の眼前に躍り出た。

 

 

「図が高いぞ! このタワケ神がァ!!」

「な……私を……タワケ神……だと……」

「わしを誰だと思っておるのか!!」

 

呆気にとられた伊邪那美を睨みつけ、両腕をいっぱいに広げて叫んでいた。

 

「我こそは細川京兆家正嫡、天下を統べる細川六郎晴元であるぞ!

 タワケ神よ、望みがあるならば媚びよ! 憐憫にすがってみせよ!

 気が向けば社のひとつも建ててやろうぞ!」

「愚かな……あの人の子は……これほどに愚かな……」

「妄執と笑わば笑え!」

 

伊邪那美の全身から、幾筋もの光が襲いくる。

そのすべてを、晴元は身を挺して受け止めていた。

 

「稙通! 長慶!

 いまのうちぞ、手当せよ! 次弾を装填せい!」

呪力の帯が晴元の身を縛り上げ、無防備な肉体を光が貫く。

 

「苦謀なり……苦謀なり……」

「黙れ! 

 思い出したわ、わしは、次こそは! 

 誰も見捨てぬ! 誰からも見捨てられぬ!

 真の天下管領の位を、築いてみせると誓ったのよ!!」

「次の命も……まもなく果てよう……」

「ぐっ……ゴフッ」

 

血が止まらない。

意識が朦朧としてきた。

痛みはとうに通り越し、痺れが全身に広がる。

 

だが、背後の二人が準備を終えたことは分かった。

 

 

ゆけ、誇り高き我が内衆よ。

細川の、天下の敵を滅して参れ――――。

 

 

 *

 

終わりは近い。

晴元と引き換えに、二人は伊邪那美に決定的な傷を与えていた。

 

だが、伊邪那美はいまだ斃れてはいない。

 

決着に向けて互いに気を練り上げている、奇妙な静けさ。

戦のさなか、不意に訪れるそんな瞬間が稙通は好きだった。

 

「二人きりで話をするのは、久しぶりだな」

「ええ、養父上」

 

自慢の婿は今日も朗らかで、冷静で、大きい。

 

伊邪那美は、自分を棄てた旦那を恨んでいる」

「……はい」

「そして、旦那にもう一度会いたいとも願っている」

「…………」

「二柱の婚姻を寿いだ神々たちも、天で怒っているだろうな」

「養父上、目が怖いのですが」

「肝を冷やすのはこれからぞ」

 

婿は苦笑いするのみである。

自分に向ける表情はそれでよかった。

 

 

「動くな、婿殿はもう少し充填に時間をかけた方がよい」

「充分でなくとも、二人で同時にかかれば」

「そんな甘い敵でないことは分かっているだろう。

 次はわしの番だ」

「借りがあるのは私の方です」

「返す相手はわしではないはずだ」

 

拳を長慶に突き出す。

長慶もまた、拳を突き出して当て合う。

 

 

「婿殿よ。

 神々も不便なものよな、不滅であるが故に来世へ往くことができぬ」

「…………」

「夫婦の契りは二世の契り。

 人は来世でまた、結ばれればよい」

「……今この時が来世なれば」

「そう、娘も孫も婿殿も。健やかに、長生きするのだぞ」

 

 

 

右手に「ふぁうすと」を、左手に「予備弾倉」を。

 

棄てられし女神よ、来たれ。

丹波は鬼の住まうところ、神の喉笛噛み砕く馳走で迎えようぞ。

 

さらば。

さらば――――。

 

 

 *

 

「なぜ……なぜ……私を滅ぼそうとする……

 私は……あの人のことも……

 あの人の子……お前たちのことも……」

 

「……神よ。

 貴女を滅ぼすのは我々ではない。

 貴女自身の怨念であろう」

 

「愛する者を失う苦しみ……

 お前は……お前こそは……

 誰よりも分かっているはず……

 分かってくれるはず……」

 

「どれほどの嘆きを孕んでいようと。

 高位の者が私心に囚われていては

 天下のためにならぬ。

 それが神であれば尚更よ。

 旧き神々は異界に大人しく控え、

 人の世は人にすべてを委ねるがよい」

 

「おのれ……おのれ……許せぬ……許せぬ……

 その魂……黄泉に連れてゆく……」

 

崩れゆく伊邪那美の総身から黒い炎が吹き上がり、長慶を包んだ。

 

 

されど。

 

 

長慶の周囲は藍色に眩しく輝き、黒炎が身を焼くことはなかった。

 

 

「馬鹿な……

 なぜ燃えぬ……なぜ滅びぬ……

 その力……いったい……」

 

「もはや思い出せぬか。

 これこそ貴女が失った力。

 寛容の力である」

 

「寛容……

 許す……力……だと……」

 

伊邪那美命に畏み申す。

 貴女を許し、貴女の苦しみをほどいてみせよう。

 三好長慶介錯し奉る――」

 

 

引き金を静かに引いた。

 

「じゃべりんわんふぉーえいと」から放たれた巨弾が、伊邪那美に吸い込まれてゆく。

 

 

やがて、悲嘆にも喜悦にも聞きとれる叫び声とともに、伊邪那美の存在が過ぎ去っていった――――。

 

 

 

 

 

「――さん、長慶さん。大丈夫ですか?

 勝利の反動でいつもの症状が出ていませんか?」

 

「む……気分は晴れやかである。

 聞いてみよ、伊邪那美を封じた穴から、

 妙なる音色が漏れ聞こえてくる」

 

「あーー本当ですね。

 はつなさんが言ってたんですが、

 たまに他の時代と穴が繋がっちゃうらしいですよ」

 

「この調べは、長慶子であろうか」

 

「長慶子といえば、宴の閉幕を知らせる雅楽ですね。

 平安時代源博雅さんという公卿が作曲したと伝えられています。

 (この場面、そして長慶さんにぴったりかもしれませんね!)」

 

「王朝時代の京へまことに繋がっているのなら、

 九条稙通卿がこの場にいれば歓喜するであろうな」

 

「あはは。そうかもしれませんね。

 魔境が頻繁に発生していても、さすがに平安時代へ行く

 機会なんてないでしょうし。

 たぶん……。

 あっ、京の各地を守護していた方々がお見えですよ」

 

「おう、お主らは下がっておれ。

 殿! よくぞご無事で……くう」

「殿の大勝利じゃ!」

「この上もなくめでたいのう!」

「はっはっは!」

 

 

神は去った。

細川家の一同は行方知れずとなった。

諸大名の処遇も含め、当面は大きな混乱が続くだろう。

 

それでも、

この生、この時を、いまはただ慈しんでいたい。

 

長慶を必要とする民や家臣、家族がいる限り――――。

 

 

 

おしまい。

 

 

 

 

イザナミさんと戦っているとだんだん前世の記憶が戻ってくる」という余計な設定を思いついてしまって、さらさら書き始めたらこんなに長くなってしまいました。

 

最後まで読んでくださった方がいるのなら申し訳ございません。

暇つぶしになったのであれば幸いです。

つまらなかったり気持ち悪くなったりした方にはマジすみません。

 

 

 

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おまけ2(2020/9/5追記)

 

イザナミさん、このパーティで戦えば楽勝でした。

やっぱり防御キャラは大事ですね。

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