2Dアクションゲーム「ENDER LILIES QUIETUS OF THE KNIGHTS(エンダーリリーズ、あるいはエンダーリリィズ)」が美麗画質、最高BGM、物語魅力、爽快操作、ドM難易度を兼ね備えた傑作でかんたんしました。
これで2,500円とは頭が下がる思いであります。
適正価格の1/3以下ではあるまいか。
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「エンダーリリーズ 攻略した感想④ 白巫女の歴史、穢れの王の考察」(Binary Haze Interactive) - 肝胆ブログ
さいきんは、メトロイドや探索型悪魔城ドラキュラ(キャッスルヴァニア)的な2Dの探索型アクションゲームを「メトロイドヴァニア」というそうでして、このエンダーリリーズもそういう感じのゲームです。
マップを探索する、ボスを倒したりアイテムを手に入れたりするとできることが増える、探索できる場所が増える、また新しいボスやアイテムに出会う……を繰り返すのが楽しい! 的なやつですね。
こちらのエンダーリリーズは、「穢れ」が満ちて滅びた国の廃墟で、眠りから目覚めた記憶喪失な少女の白巫女リリィさんと、白巫女さんを守る謎の黒衣の騎士さん(亡霊)とが、この国に何が起きたのだろう……を探索しつつ、穢れを浄化していくようなお話の作品です。
Wizardry#6のような、滅びた国を探索して何が起こったのかを類推するような作品が好きな者にはたまりませんね。
ゲーム的な特徴としては、冒頭書いたように次のような美点が挙げられます。
- めっちゃ画質がきれい。
ダーク系な雰囲気ですが悪趣味なグロさはない、むしろダーク系の雰囲気がいい意味で幻想的な物語性をハネ上げている。 - 音楽グループ「Mili」が手掛けるBGMが抜群にいい。
メロディラインもさることながら、ピアノの響き一つひとつが印象に残ります。
一番好きなBGMは魔術協会の「The Witch's Breath」ですかね。崖の村の「Harmonious」、ウルヴさん戦の「Bloom_Intro」も好き。 - 物語の奥ゆきに引き込まれる構成。様々なテキスト・演出から、滅びた国に起こった出来事やリリィさんたち白巫女のドラマをいろいろと堪能できるのですが、特に「みなまで語り過ぎない」ように言葉を抑えているのがプレイしていて気持ちが乗れるので好き。
大人向けの絵本といった味わいの、母と娘の繋がりが描かれる幻想譚ですので、女性ユーザーや娘のいるユーザーにもおすすめです。 - 操作感が素晴らしい。
操作していて楽しいし何のストレスもない。
アクションとしてできることが多い上に、極端に偏った強さ/弱さのスキルがないバランスの良さもいいですね。色んな攻略法を楽しみたくなります。 - 難易度がエグい。
これは好き嫌いが別れる要素かと思いますが、ある程度アクションゲーム慣れしている方であればいい意味で歯ごたえを楽しめると思います。
ゲーム初心者にはちょっとつらいかもしれませんが……。
とりあえずゲームは2週クリアしてみました。
ゲームをクリアすると、ロード画面で次のように2週目を選択できるようになります。
2週目は難易度が更に上がります。
1週目でレベル100にしたから余裕やろ、という見通しが甘かったことにすぐ気づかされるやつです。
ちなみに画面表示の通り、1週目でレベル100、マップや実績をすべてコンプリートして、プレイ時間は20時間くらいでした。
その後、2週目をクリアしたらロード画面に「NG+:1」と出ました。
以下、少しネタバレを含みますのでご留意ください。
本筋のネタバレは含みません。
主人公リリィさんの目覚め。
印象に残るきれいなマップ。
リリィさんの可憐なアクション。
最重要なのが回避です。
阿修羅旋空や色即是空並の無敵回避移動ですので、この操作を覚えないと当ゲームの攻略は始まりません。
雑魚敵であろうがボス敵であろうが、まずは敵の攻撃をきっちり回避することを覚えましょう。攻撃は「まだいけるやろ」の手前で止めて、常に回避を優先する気持ちが大事です。
ゲームを進めると、レッドアリーマーさんのように壁に貼りついたり、しがみつきダッシュを覚えたりできるのですが、主人公がかよわい少女なのでやっているアクションとのギャップがあって面白いですね。
せっかくなので攻撃スキルを一通り紹介します。
黒衣の騎士さん。
回数無制限。
オーソドックスな剣攻撃で、バランスが良いので序盤から終盤まで使えます。
但し、強化方法が特殊なので中盤は若干息切れ気味です。
守り人シーグリッドさん。
以降のスキルは相手を倒して浄化する必要があります。
設置型の回転ハンマースキルです。地上と空中で挙動が変化。
メインスキルと並行して置けるので便利。序盤から終盤まで安定して使えます。
崖の村の少年さん。
前方に向かって飛び込む攻撃を発射します。悪魔城ドラキュラで言えば聖水。
性能的には使いやすいのですが、無辜の少年の亡霊を発射しているという性質上、精神的には使いにくいのが玉に瑕でしょうか。
首なしの騎士さん。
その場で攻撃をガードする騎士が現れ、ジャストタイミングで敵の攻撃を防ぐと強力なカウンター斬撃を発動します。
タイミングがシビアな反面、使いこなすととても強い感じ。
上級者向けですね。
西の商人さん。
弾を吐いて自動攻撃してくれるカラスを召喚します。
とりあえず悩んだら入れておいて間違いのない、便利なスキルです。
初心者におすすめ。
老戦士ゲルロッドさん。
回数無制限。
でっかい棍棒? 槌? でぶん殴るスキルです。
大振りなので隙は大きいものの、威力、攻撃範囲、空中の敵の叩き落し、ボス敵のノックアウト(スタミナ削り)等々の長所が極めて大きい、初心者から上級者までおすすめできる素敵なスキルです。
二連撃可能ですが、初見の敵は一発殴る、回避、一発殴る、回避……で敵の行動を見切ることを心がけるといいと思います。
盾を持っている敵が苦手なのと、水中発動できない点はご愛敬。
菌の魔術師さん。遠距離恋愛の彼女がいるそうです。
前方に毒霧を出すスキル。
毒霧は長時間漂い、防御無視のダメージを与え続けます。
個人的にはけっこう好き。
花の魔女さん。遠距離恋愛中の彼氏の帰りを待っているそうです。
前方に竜巻を発生させます。
威力はそこそこながら、当てやすい上に、敵のスタミナを大きく削って空中の敵を落下させたりボスを気絶させたりできるので個人的にはかなり好き。
黒の魔女イレイェンさん。白巫女が好き、ファーデンさんのことは嫌い。
追尾性のある魔法弾を発射するスキルです。
初心者におすすめ。
意外と隙が大きいので、調子に乗って連射しないようにしましょう。
古き墓守さん。
頭上から前方上空に魔法弾を連発するスキルです。
癖のある挙動ですが、全弾当てるとかなり強い感じ。敵の動きを若干硬直させてくれたりもします。
堕ちた弓使いさん。
斜め上空に複数の矢を発射するスキルです。
隙が少ない上に、近距離で全弾当てたら威力も高いのでおすすめですよ。
守り人シルヴァさん。妹のシーグリッドさんのことが大好き(一方通行気味)。
回数無制限。
ハンマーでぶん殴るスキルです。
シーグリッドさんといい、守り人の方々は重厚な武装を好むようであります。
溜め攻撃で通常はダメージを与えられない敵を撃破できたり、空中で発動するとリリィさんが少し浮くので探索性能も強化できたりと、なにかと便利なスキル。
なれ果ての衛兵さん。
前方に衛兵さんが突っこんでくれます。
強いし格好いいのですが、スキル回数が少ないのが悩ましいところ。
腐竜の孤児さん。
広範囲に防御無視の毒ガスを撒いてダメージを与え続けてくれます。
ボス戦、特にラスボス戦で便利なのですが、視界が悪くなるので慣れない敵が相手だと被弾リスクが上がったりする気もします。
狂い騎士ウルヴさん。出会いシーンが情緒深くて好き。
回数無制限。
リーチは短いが素早い攻撃を繰り出したり、溜めて強力な攻撃を出したりできるスキルです。
要するに上級者向けのスキルでして、使いこなすとめっぽう強い感じです。
個人的には対ラスボスでの相性がいちばんいいと思います。
守り人の長さん。
鎖付きの円盤ノコギリ(クロス?)を振り回す凶暴なスキル。
男塾で言うと独眼鉄さんですね。生前は「守り人とはなんぞや……!?」とかシーグレッドさんに言っていたのかもしれません。
攻撃範囲が広くて便利な気もするのですが、実際に使ってみると意外と使いにくいような気もする不思議なスキルです。カラス避けにいいかも。
隠れ潜む実験体さん。
その場に壺を出して、ジャストタイミングで敵の攻撃が当たると絶叫してカウンターを入れるスキルになります。
首なしの騎士さんの広範囲版みたいな感じ。
首なしの騎士さんよりも便利な気がしますが、やはり上級者向けです。
暗部の執行人さん。世が世ならユリウスさんとの薄い本が出てそう。
敵の背後に現れて斬りつけるスキルです。疑似的な遠隔攻撃。
便利だしリキャスト早いしルックスもイケメン。
他の近接攻撃スキル・遠隔攻撃スキルの中間みたいなスキルなので、中途半端に使うと中途半端な活躍になっちゃいます。使い倒すつもりでどんどん使うとどんどん活躍してくれるでしょう。
深淵の番人ヘニールさん。人格的には登場人物の中で一番好き。
前方にちょっぱやで短剣を投げるスキル。
連打可能でスキル回数も多いので、雑に連発できるのが好き。
主人公のリリィさんを除いて、ヘニールさんが守っていた白巫女さんが一番果ての地の泉に肉薄できていたという事実にグッときます。ユリウスさんの保護といい、この方の高潔さ、使命感の高さは最高に格好いい。
あるいは、この白巫女さんもまた、エンディングAを拒んだのだろうか……。
スキルに戻って崖の村の村長さん。
前方に向かって巨体が飛び込むスキル。
崖の村の少年さんのデカい版です。
威力や範囲がどうこうより、村長さん本人が嘆いていた通りビジュアル的な問題で使いにくい気もします。
城下の娘さん。
自動攻撃してくれる狼を召喚するスキルです。
地上戦限定なのですが、地上戦では確実にダメージを底上げしてくれるのでけっこう便利ですよ。
この方との出会いは、こちらを攻撃してくるというより、ただただ浄化を待ち望んでいた感じがして切ないのです。
隻眼の王の盾さん。
デカい兵士が降ってきて地上の敵に衝撃波でダメージを与えてくれるスキル。
見た目が重厚で格好いいのですが、スキル回数が少ないこともあって使いどころが難しい気もします。
騎士長ユリウスさん。詳しくは後ほど。
回数無制限。
前方に向かって槍で攻撃します。
高低差のある場所にいる敵は苦手ですが、その分同じ高さにいる敵には無類の強さを誇ります。敵のリーチ外から一方的に攻撃できる感じ。
こちらの位置取りが重要という点で、上級者向けのスキルと言えましょう。
なりそこないの罪人さん。
前方に向かってリリィさんごと突進するスキルです。
無敵時間があるので、回避がてら攻撃できるスタイリッシュな楽しさがあります。
リリィさんごと突進するので、前方向への移動が一回増えるという探索性能強化という点でも重要です。
異端者ファーデンさん。
溜めてから強い魔法弾を複数発射するスキルです。
威力は高いので、使いこなせればとても強い感じ。上級者向けですね。
美的センスが独特な割に、ちゃっかり職場内恋愛しているのがこしゃくであります。
禁域の戦士さん。
リリィさんごと昇竜拳するスキルです。
無敵時間があるので、回避がてら攻撃できるスタイリッシュな楽しさがあります。
リリィさんごと上昇するので、空中への移動が一回増えるという探索性能強化という点でも重要です。
こうしたたくさんのスキルがある中、私の場合1週目は鈍器縛りで攻略、
2週目はオーソドックスに便利なスキルを使い分けて攻略しました。
あと、攻略要素として、実績(トロフィー)は次の通りです。
これから攻略する方の参考になれば幸いです。
エンダーリリーズを通じて、良質な2Dアクションの魅力を知る方が増えますように。
いやあ、素晴らしい作品でした!
さて、ここからは少しネタバレ濃度が増します。
騎士長ユリウスさん、および果ての国の王についての考察を少し。
ユリウスさんと言えば、王殺しにして父殺しの悲劇を背負っている方なのですが。
各エリアを探索して得られた文章をあらためて読んでいると。
王と、暗部の血が流れる娘との間に生まれたユリウスさん。
娘は自分が暗部の一族であることを知らず。
それ故に命を失い、ユリウスさんは暗部のヘニールさんに育てられる。
成長したユリウスさんは騎士としての誇りを胸に国を救う戦いへ身を投じるも、やがて王の野望を知り、穢れに飲まれ滅びゆく国にあって王の命を絶つ……
という物語がよく伝わってまいります。
なお、画像最後の王の手記2に書かれている「愛する息子」というのは、時系列的には双子城砦の戦い後に書かれた手記なので、ユリウスさんのことを指している訳ではなさそうですね。王の行状的に、シンプルに恨みをかって別の息子さんをさらわれて、衛兵候補として売りとばされたりしたのかもしれない。
(これで犯人がユリウスさんだったら更に救われないお話になるのですがやめようそういう想像は)
で、ユリウスさんの記憶や、この王の手記2に書かれている「王の計画」ってなんなんだろうと思っていましたところ……。
泉の白巫女フリーティアさんや王城の白巫女さんの手記に
みたいなことが書かれていることを思い出しまして。
察するに、王は、王家と白巫女さんそれぞれの血を受け継ぐハイブリッドな子孫を残そうとしていた感じでしょうか。
もともとこの地では、白巫女さんは穢れを浄化する唯一無二の信仰対象となっていますので、王家と結びつけばその権威は倍増することでしょうし。
そもそもの穢れ浄化能力からして軍事的に囲い込みたい力でしょうし。
嫌なことを想像すれば、最年長の白巫女さんを囲い込んでいることからして早期の子孫誕生を望んでいる感がありますし(体調不良等で未遂に終わったのでしょうが、フリーティアさんもかつて城に囲われて口説かれていたんじゃないの感がほんと嫌)、
更に邪悪なことを想像すれば、本編の核心に位置する禁術を用いて、王族・白巫女ハイブリッドな子孫を多数誕生させて世界制覇の尖兵軍団にしようとしていたんじゃないのと想像することも可能ですし、
もっと邪悪なことを想像すれば、他の国に穢れ・穢者を送り込んでガタガタにしてから上記軍団を連れて救世主ヅラで乗り込んでいくような戦略を描くこともできましょう。
こんな感じ悪い推測が当たっているとしたら、ユリウスさんの成した王殺し・父殺しは、最悪の未来から世界を守った一閃だったと言えるのかもしれません。
国は守れなかったけど、ユリウスさんは世界を救っていたんだ。
そんな言葉をかけてあげられたら、ユリウスさんの浄化もはかどるかもしれませんね。
エンダーリリーズは「母と娘の物語」だと私は思っていますが、そのサブストーリーであるユリウスさんと王の「父と息子の物語」もまた、奥深く、哀しい味わいがあると思います。
いろいろ発見があるので、みんなTIPSを読んで妄想してみよう!