今日の日経新聞記事「三井三菱を食らう 謎の造船一族」が質・量ともに企業紹介記事のお手本のような出来栄えでかんたんしました。
「今治造船」を取り扱った記事になります。
メディアでその名を聞くことが増えてきたような気がしますね。
船に興味がない人の気も引けるよう、三井・三菱の名を前面に出すタイトルセンス。
キャッチー要素満載な
造船シェアで国内首位、世界でも4位の今治造船(愛媛県今治市)。非上場のオーナー企業ゆえその実態がほとんど知られていないトップメーカーが業界再編に動き出した。トヨタ自動車の次に鉄を買い、ライバルの三井・三菱グループもなびく。謎多き造船集団をけん引するオーナー檜垣家の素顔とは。
という導入部。
ところどころに「藤堂高虎さん」「村上水軍」といった地域歴史ワードを散りばめて日経読者に多そうな歴史好きの親近感を煽る気配り。
電子版だと1ページ目でまずは褒めたたえて、
2ページ目で一族経営の特異性を取り上げて、
3ページ目で財務リスクと情報非公開の様子をしっかり指摘。
様々な点でとてもバランスがいいですよね。
月曜の朝からこういう良記事を読めると勤労意欲も湧くというものです。
経済記事的に一番気になったのは3ページ目の正栄汽船による船主ビジネスを通じたキャッシュフローですが、一番面白かったのは2ページ目の「背番号名刺の異色さ」と「当て馬としてディスられる大王製紙」ですね。
「4―2」「5―1」。今治造船に20人弱が在籍する檜垣一族の社員の名刺には、こんな番号が振られている。左の数字は元会長で実質的な創業者、正一(1989年没)の何番目の息子か、右はさらにその何番目の息子かを示している。
愛媛県といえば、檜垣家に並ぶ有名なオーナー家がある。大王製紙(四国中央市)の井川家だ。創業家の社長が子会社から巨額のカネを借り入れ、カジノに費やして問題となった。「同じ愛媛でも両家の家風はまったく違う」と地元住民は口をそろえる。
「常に正栄汽船の保有隻数を増やし続けることでキャッシュを回している」と関係者も認める。だがリーマン・ショック以降の造船不況下で、海運大手から高い用船料を得ることは難しくなっている。新造船の発注が採算を割る状況になれば、このモデルを長く続けることは困難になる。
透明性の低い財務情報はものすごく気になりますが、私は今治造船製の船が好きなのでこれからも業容が発展していってくださったらいいなと思っております。
(コンテナ船の写真などを見ていると今治造船製のものが多いと分かります)
ちょっと前にこういうニュースもありましたね↓
コンテナ船いいよコンテナ船。
私は歴史好きですが、船に関して言えば丸木舟よりも遣唐使船よりも安宅船よりもガレオン船よりも戦艦よりも現代の商船や作業船の方が好きです。
完全に好みベースの話ですけど、機能美と巨大さと平和な鉄板感がいいんですよね。
造船所や船内生活の写真とかも大好物です。
「メガ!-巨大技術の現場へ、ゴー-」成毛眞さん - 肝胆ブログ
「海上の巨大クレーン これが起重機船だ」編・写真:出水伯明さん / 協力:深田サルベージ建設株式会社(洋泉社) - 肝胆ブログ
島国日本から造船技術を絶やす訳にもいきませんし、造船所は地域地域の経済を支えてくださっていますし、かといって国策で一企業に資本を注入しまくれるような時代でもありませんので、今治造船を始めとした各造船会社が健全に経営していってくださることを祈ってやみません。
色んな人のためにも海運需要や鉄鋼価格が安定的に推移していきますように。