その中で、ニューズウィークの記事が一際重厚な内容でかんたんいたしました。
難民問題でありジェノサイド問題でもある「ミャンマーのロヒンギャ族問題」。
島耕作会長も見物に出かけるくらい世界中から投資が集まるミャンマー。
そんなミャンマーの暗部として、現在世界中からバッシングが集まっております。
以前「海外子会社リスク」として紹介したこともありますが、昨今は「人道上まっとうでない」取引先・投資先と付き合っていると世界中から激しいバッシングを浴びる時代です。
⇒「海外子会社のリスク管理と監査実務」長谷川俊明さん(中央経済社) - 肝胆ブログ
「兵器をつくっている企業の株を持っている」だけでも相当な非難を受けるのですから、「投資したマネーがジェノサイドに流用していた」と見做されようものなら冗談抜きで「人類の敵」扱いされるリスクがあります。
どの業界もミャンマーミャンマーと数年来のブームになっていますけど、こうしたリスクは冷静に見据えておいた方がよさそうですね。
ロヒンギャ族問題。
ミャンマーには少数部族がたくさんいますが、その中でロヒンギャ族は「イスラム教徒」です。
さまざまな歴史的経緯もあって、ミャンマーの中ではハブられている民族になります。
(イギリスや日本も歴史的経緯に関わっています)
民主化しました。
民主化したら更に弾圧が激しくなりました……。
大半のミャンマー国民はロヒンギャ族のことを嫌いなので、民主的に判断すると「ロヒンギャ族を弾圧すべし」になってしまうようです。
差別問題や格差問題はどんな国にもありますけど、ロヒンギャ族問題においては「民族浄化」「ジェノサイド」疑惑が付きまとっている点が大きな特徴になります。
この点、ミャンマー政府は「ロヒンギャ族がむしろテロリスト」というスタンスを取っていますので、真相は素人には判別しがたいものの……。
国際世論は「ミャンマー政府が悪い」「ロヒンギャ族を救済すべし」にだいぶ傾いてきています。
大事です、国際世論。
ミャンマーに投資をしている人間としては、真実ももちろん大事ですが、国際世論はもっと大事です。
やっと民主化したミャンマー政権がバッシングを浴び過ぎれば、再び軍政を招く恐れもあります※。
ミャンマー国民が海外勢に反感を抱く可能性も出てきます。
投資計画がクラッシュするリスクは充分にあるということです。
※だからこそ、ロヒンギャ問題でスーチー女史を
過度に叩きたくないロヒンギャ族も多いそうです。
ましてや投資マネーが「軍」に流れていると、思いもよらぬアキレス腱になってしまうかもですよ。
かと言って、日本企業らしく「ロヒンギャ族問題は大丈夫なんですか」「軍にどれくらいおぜぜが流れてるんですか」と馬鹿正直に現地でヒアリングしようものなら、それだけで現地の信頼関係が崩壊してしまいそうですし。
こうしたリスクを踏まえ、然るべき目標リターンを考えておくべきですね……。
何はともあれ本当にジェノサイドが起こっているのであれば、一刻も早く停止なされますように。
子どもの命が失われませぬように。
自分の知らないところで、自分のお金が人殺しに使われていませんように。