じゃりン子チエの7巻、テツの悪行が個人的に「さすがにそれはアカンやろ」案件でかんたんしました笑。
収録されている話は次のとおり。
- 遅れた年賀状
- 値上げはほどほどに
- 百合根を待つ者達
- 落ちつかない屋根の上
- 必殺のトランペット
- 復讐のトランペット
- 知恵の輪騒動① うまくいったらタダ
- 知恵の輪騒動② 変な猫がやって来た
- 知恵の輪騒動③ 頭に火をつけたのは誰?
- 知恵の輪騒動④ 団長がやって来た
- 知恵の輪騒動⑤ みんなでひょうたん池へ
- 知恵の輪騒動⑥ ヨシ江はんの一発
- ツルピカ男とダンボール男
- ガマンのテツ
- ガマンにガマンにガマンのテツ
- ヤーさんが二人消えた!! その①
- ヤーさんが二人消えた!! その②
- ヤーさんが三人消えた!!
- 良い子の作文は体に悪い
- トモダチって何?
- 胸騒ぎの命日
- アルバムを見る時は落ち着かない
- 「花井恥ずかしアルバム」
- ジュニアの憂ウツ
以下、ネタバレを一部含みます。
前巻から続くお好み焼屋のオッちゃん(百合根)の別居・離婚話が一応の決着をみせ、続いてテツと大学応援団の抗争、テツのヤーさんへの復讐、小鉄・アントニオJr.と釜虎なる故アントニオの盟友との因縁、等々の話が展開されていきます。
巻の最後ではアントニオJr.が恒例のノイローゼから、いつも以上に深刻な憂ウツを抱くに至っておりますが、次巻では再び晴れやかになっていてほしいものですね。
個人的に一番印象に残ったのは、テツが、コケにしてきたヤーさんを拉致・監禁してウサ晴らしにぶん殴る相手にしていたというエピソード。
もちろんしっかりと花井氏たちの手でテツが成敗され、しかもヒラメちゃんの作文で良心まで抉られるというオチに繋がるのですが、「さすがにアカンやろ」感があまりにも強く思わずドン引きであります。
いくらヤクザ相手とはいえ拉致・監禁はなあ……
と思ったところで、
よく考えると話のフォーマットは「今日から俺は!!」15巻、伝説の今井廃ビル監禁回と一緒やなと思い至り、まあじゃりン子チエやからええか、大阪ファンタジー大阪ファンタジーと消化することにいたしました。
読者が脱落していかないことを願うばかりであります。
各キャラの印象的なセリフは次のとおりです。
チエちゃん
(大学生が頭突きで瓦を割るのを見て)
なんや今の…
アホになる練習か
この小学生、本当に強い笑
テツ
なんかカンオケみたいないやな臭いがするどあっ… まさかクソババ来とるんやないやろな
確実や これはクソババか花井のカンオケの臭いや
表現が親子やなあという感じがしますね。
殺気を感じ取れるのは素直にすごいのですが。
ヨシ江はん
やめなさい!!
だんだん物語の中で最強の一角を占めるようになってきたヨシ江はん。
「ノルマンディー上陸作戦の真っ最中に世の中がいきなり停電になったような」一喝だったそうです。
応援団団長もヨシ江はんに一目惚れ状態になっていましたが、だんだんテツのライバルがヨシ江はんに見とれて、それでますますテツを憎むようになるのが恒例行事になってきましたね。
おバァはんを評すカルメラ兄弟
ワシらあの人信用してますけど なんせテッちゃんの血の元ですさかい
あの人がケンカ止めるとどうもややこしいことになりますのや
ほんまでっせ
ラグビーでポリ公とケンカになった時も止めに入ったあの人が一番ようけポリ公なぐりましたんやさかい
ほんまでっせ
その頃おバァはんは、大学生たちに逆エビをかけたり顔面に飛び足刀喰らわせたりしているのでありました……笑
ワタル先生を評すモブ生徒たち
(マサルをブン投げるヒラメちゃんを見て見ぬふりしている先生に対し)
センセ プロレスのレフリーみたい
かんじんな時よそ見してる
ワタル先生もだんだん処世術が身についてきた模様です。
お好み焼屋のオッちゃん(百合根)
ええ奴ちゃ……
みんなええ奴ちゃ
百合根を励ますためにみんながお好み焼屋に集まってくれて、感激するオッちゃん。
丸太・ヒラメ兄妹がトランペット・歌を披露し始めたので、テツ以外のみんながチクワで耳栓して難を逃れているのもウケます。
花井先生(拳骨)
(妻の命日に仏壇の前で)
面白いなあテツの子供を渉が教えとるんや
チエちゃんゆうてなかなかええ子や
おまえが生きとったら気に入るような子供や
ええとこは全部ヨシ江はんに似とる
テツに似てるのはケンカの強いとこだけやー
仏壇の前で語りかけるシーンがある物語はいいものだと思います。
実写でやると演技力が試されるところですね。
小鉄
ワシのことを知りたいんやったら知恵の輪やらせてもらおかい
ワシこの頃知恵の輪にこっとるからちょっとしたもんやで
故アントニオの盟友、釜虎に対して。
いちおう然るべき経緯があってのセリフなんですが、ここだけ抜き書きすると大変シュールでいいセリフだと思います。
この巻は、チエちゃんに与えられた知恵の輪を一所懸命解いている小鉄がひたすらかわいいですよ。
アントニオJr.
オレ昨日まで自分のこと鉱物やと思っとったのに
俗物とゆう息をするカナヅチにどつかれて繊細な頭を粉々にされたのさ
定期的にノイローゼにかかるアントニオJr.。
これもひとつの幼さで、それを小鉄が温かく見守っている感じなのがいいですね。
猫たちの方が人間よりシリアスなドラマを繰り広げているのにジワジワきますが。
花井先生の亡くした奥様の話等、ますます物語が豊饒に広がっていきますように。
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