じゃりン子チエ文庫版14巻、周センセやジャリ屋の玉ちゃんが登場してますます賑やかになるとともに、各キャラのイキイキとした掛け合いが面白い、満足度の高い巻になっていてかんたんしました。
14巻に収録されているお話は次のとおりです。
- 秋風にいきなりギックリ
- 不幸な顔でシアワセに
- 鍼でイチコロ
- 不幸がいっぱい
- 逆襲の関節はずし
- 花井センセのおみやげ
- 眠る小鉄(上京編)
- 眠り続ける小鉄(奥多摩編)
- テツのバクチ相手
- おバァはんの出張カブ
- 周センセとアベックカブを
- 周センセのイジワル
- 誰にでも出来る催眠術
- ガラクタで大儲け
- ガラクタと一緒にお正月
- ファイティングポーズのカルメラ
- 戦うカルメラ
- 風呂敷をかぶっておたのしみ
- 風呂敷男の逆襲
- ジャリ玉が…ダンプに乗ってやってきた
- 目まいのする一日
- テツからの手紙
- カレンダーがこわい
- おバァはんのバースデー
以下、少しネタバレを含みます。
鍼の名人でカブ狂いの周センセがようやく登場です。
周センセは好きなキャラなのですが、こんなに登場が遅かったんですね。もっと早期に出てきていたものだとばっかり。
収録されているお話としては、周センセの登場、小鉄・アントニオジュニアの上京、カルメラ兄弟の過去、おバァはんの旧友ジャリ屋の玉ちゃん登場……という流れです。
濃いなあ。
ブリキのおもちゃが高騰し始めていたり、●年殺しという最近耳にしない空手の奥義が登場したりと、当時の時事ネタも嬉しいです。
この巻はそれぞれのエピソードが面白い上に、キャラ同士の掛け合いもレベルが高いのでいくつか紹介したいと思います。
小鉄&アントニオジュニア
「どぉしたらええんや
もぉチエちゃんの頭からワシは消されてしもたんやないやろか」ジュニア
「おまえチエちゃんがらみになると全くタダの猫やな」
悪人と勘違いして周センセをKOしてしまい、焦る小鉄がかわいいのです。
ヤクザ×2
ヤクザA
「正ちゃん……そろそろ潮時やないかなぁ」
ヤクザB
「…………」
ヤクザA
「ワシら会社の帰りによぉ一緒にこぉして飲んでたよな
こんなカッコしてぶつぶつ文句言いながら」
ヤクザB
「……ワシもずっとそれ考えてたんや
文句ばっかりゆうてたけど今みたいな中途半端なヤクザやってるよりはまだ……」
テツの企みに巻き込まれて、サラリーマンの格好をすることになった通りすがりのヤクザ二人組。
サラリーマンのふりをしてチエちゃんの店で飲んでいるうちに、足を洗うことを意識し始めるのが結果オーライで好きな展開です。
周センセ&花井センセ
周センセ
「でも…今日初めて会ったけど ヒラメちゃんいい子ねぇ」
花井センセ
「ああヒラメちゃん
あの子はええ子やワシも好きや
あれでなかなか気持ちの繊細な子でな」
周センセ
「そ…それ分かるね わたし会ってすぐ分かったね」
いないところでヒラメちゃんを褒める大人ふたり。
ヒラメちゃんは、この作品の裏ヒロインというくらいに登場人物からも読者からも愛されていますね。
この後、チエちゃんの催眠術で爆睡してしまうヒラメちゃんも子どもらしい表情で大層愛らしいんですよ。
テツ&おバァはん
テツ
「誰か喜んでる奴がおったら 必ずどっかで誰かが泣き見とるんじゃ」
おバァはん
「うーん……なかなか現実的なええ意見だす
そやけどテツがゆうとまちごうてる」
この二人にしては珍しく含蓄のある会話ですね。
いいセリフは、言う人間にもそれだけの器量が求められます。
ちなみにこの後、テツはおバァはんに拉致されて堺で監禁されます。
カルメラ兄弟の昔話をバカにした罰で。
カルメラ兄のキックボクサー時代のお話、いい話でした。
カルメラ兄弟は出てくるたびに株を上げていきますね。
チエちゃん&ヤクザ
チエちゃん
「なんか知らんけどその…
ウチちょっと聞きにくいんやけど」
ヤクザ
「な…なんでしょうか」
チエちゃん
「失礼やけどその…オッちゃんヤクザとちゃう」
ヤクザ
「エッ
わ…分かる?」
チエちゃん
「やっぱり」
一目で客がヤクザであることを見破り、テツに乱暴される前に帰らそうとするチエちゃん。どんな小学生なんでしょうか。
ヤクザは既にテツに乱暴されて店で待つように指示されているので、帰ろうにも帰れないところが涙を誘いません。
ヒラメちゃん&小鉄
ヒラメちゃん
「こ…小鉄~
店手伝うて~~」
「ニャ!?」
チエちゃんが玉ちゃんに拉致されてしまい、残されたヒラメちゃんがホルモン屋をやることに。
半泣きで小鉄にすがるヒラメちゃんが涙を誘います。
チエちゃん&ヨシ江はん
チエちゃん
「そやからテツは今ジャリ玉のオバちゃんとこで住み込みの就職してるてゆうてるやろ」
ヨシ江はん
「アホなこと言いなさんな」
テツが玉ちゃんのところで強制労働させられているのですが、ヨシ江はんはテツが働くことなどある訳ないと全く信用しようとしません。
夫に対するある種の厚い信頼を感じさせられますね。
そんなこんなで、じゃりン子チエは14巻まで来ても特に中だるみすることもなく面白いですね。
こち亀とかゴルゴとかもそうですが、長期連載作品の息切れしなさってのはえらいものであります。
以降の巻でもヒラメちゃんがますますヒロイン力を高めていってくださいますように。
「じゃりン子チエ 文庫版13巻 感想 小鉄の巻き込まれ属性が板につく」 - 肝胆ブログ
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