じゃりン子チエの文庫版15巻、ギャグのキレが高い巻でかんたんしました。
脂がのっている時期というやつですかね。
15巻に載っているお話は次のとおりです。
- テツに客は来ない
- 商売繁盛ゲン直し
- テツの白星ホルモン
- さぁ勝ち越しだ
- エイハブの逆襲①
- エイハブの逆襲②
- エイハブの逆襲③
- エイハブの逆襲④
- ユニフォームの品切れ
- 黒シャツパワー
- 黒シャツの群れ
- 黒シャツ騒動お忘れ会
- 梅雨の出前「ラーメン一つ」
- 梅雨の出前「ラーメン三つ」
- 「リメンバーヘルクラブ」
- 男は黙って「ばくだん」!?
- 堅気屋突撃
- フルチン・カブ
- 暑い夏のすごし方
- 即席太極拳
- 早朝氷食べ放題
- 呪いのパッチワーク
- お化け退治
- それぞれの反応
以下、ネタバレを含みますのでご留意ください。
内容としましては
テツが真面目に働き出したら力士のゲン担ぎで大繁盛する話、
巨大猫モービーディックと小鉄・アントニオジュニアの戦い、
コケザルのしょうもない銭稼ぎ、
地獄組再び、
おバァはんのお化け退治、
等々が収録されています。
全体的にギャグの勢いがよくて満足度が高い感じです。
主な登場人物の名ゼリフを紹介しますと。
チエちゃん
ハッキリゆうとくけどな
身内以外の客が来て初めて働いてるてゆえるんやで
辛辣ゥ!
おジィはん相手にホルモンを焼いているテツにこのセリフ。
小学五年生にして年季の経た商売人らしくなっているのが実にたくましいっす。
ウチ
テツのこと考えんですむのは学校に居る時だけなんやで~~
常識あんのかオッちゃん学校に来て…
ウチ爆発するのおさえてるんやで~
授業中、テツのことで相談に来たヤクザを追い返すチエちゃん。
たいそうな迫力ですが不憫でならない感じもしますね。
テツ
ド…ドアホが
ワシをタダのホルモン焼屋と思うなよ~~
力士のゲン担ぎでテツのホルモン焼屋は大繁盛。
はじめは喜んでいたテツも、もともと働く意欲が低いのでそのうち疲れ果ててしまい。
幕内力士3人を闇討ちして自ら繁盛騒動にピリオドを打つのでした。
……幕内力士3人に重傷を負わせるってバキ道の主要闘士並みですね。
ヨシ江はん
宿題ですか!?
宿題やったらお母はん手伝えませんなぁ
チエちゃんとヒラメちゃんに洋裁を教えてくれるという話だったものの、宿題なんだったら自分たちでやりなさいと突き放すヨシ江はん。
趣味なら手伝う、勉強なら自分でやらせる。
こういう教育スタイルも筋が通っていていいかもしれません。
おバァはん
これを着て…
それから頭を…
どぉだすこんなもんで
お化けとどっちがこわいか勝負ですわ
潰れた生地屋に夜な夜な出没するお化けに対して、自分もお化けの格好して殴り込むおバァはん。
結果としてお化けの正体はしょうもない陰謀だったのですが、おバァはんの無駄に高い迫力がキレッキレで愉快なお話です。
テツ
ヒラメー
ワシや
もぉなにも心配することないどー
明日からワシも一緒にやったるからなぁ
そやからもぉドンくさいことなんか気にせんでもええどー
諸事情あって自分のドンくささに落ち込むヒラメちゃんへ、彼女の家の外からデカい声で励まそうとするテツ。
動機は立派だったんですけど、ヒラメちゃんがひっくり返ってしまう結末に。
小鉄&アントニオジュニア
アントニオ「ヒラメちゃんランランランゆうだけでも調子はずれてるで」
小鉄「こ…こら失礼なことゆうな」
人間を観察してニヤニヤ笑う若猫と、たしなめるオッサン猫。
アントニオは毎々はねっ返り者でかわいいです。
酒を飲み過ぎて腰が抜けるアントニオもかわいい。
(※猫にお酒を飲ませてはいけません!)
ヒラメちゃん
そやけど周のオッちゃんのゆうてたことほんまやわ
そやから基本のこぉゆうハズ押し
ウチあのやり方で兄ちゃんと相撲取ったんやけどニ十回やってニ十回とも問題にならんと勝ったもん
周センセに相撲を教えてもらって、まんざらでもないヒラメちゃんがかわいい。
彼女は周りの大人たちから愛されていていいですね。
お好み焼屋のオッちゃん(百合根)
おまえ相手に日本酒じゃまわりが遅いわい
これからはウイスキーで即 人間やめるんじゃ
うるさいわい!!
ニャオニャオニャオニャオゆうんやないわい
男はこぉゆう時は黙って酒呑むしかないんじゃ
そのために神さんは酒を発明してくれたんじゃ
ワシを素人やと思とるな~~~
ワシは悪酔いのプロやど~~
どいつもこいつも皆殺しじゃ~~~
力士の騒動や地獄組の騒動に巻き込まれたり、
チエちゃんに酒の中身を「ばくだん」に変えられたりして、
いつも以上に荒れ狂うオッちゃん。
この方に火がつくとテツですら逃げるしかない訳ですが、寿命は確実に縮んでそうで心配になります。
ふだんは気のいいオッちゃんなだけに。
でも、この両面性がキャラクターとして愛しいんだよなあ。
変わった新キャラに頼ることもなく、いつものメンツでいつも以上に盛り上がっている巻というのもいいものですね。
早くコロナを克服して、この巻で描かれたような春先に力士がうろつく大阪の風景が戻ってきますように。
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