デパ地下によく入っているおこわ屋さん「おこわ米八」のおこわいなりが心にやさしい味わいでかんたんしました。
(写真はオフィシャルHPより引用)
600円ちょいのお手ごろな値段で、いなりずしが5個というお手ごろなサイズ。
おこわの種類は季節によって違うようですが、’18.4月現在だと
・赤飯
・栗
・あさり
・竹の子
・五目
というラインナップでございました。
赤飯・栗・五目が定番品で、あさり・竹の子が季節品でしょうか。
おこわっておいしいですよね……
たまに食べたくなる味というか、老い始めた身体がもち米を欲しているというか。
むちむちした力強い食べ味。
赤飯のハレの日感。
栗のめでたホッコリ感。
五目の贅沢パーティ感。
おこわ米八のおこわは煌びやかなデパ地下ファミリーのお母ちゃん的ポジションです。
季節品もよかった……。
あさりのむちむち感ともち米のむちむち感のむちむちデュエット。
竹の子は薄味の仕立てが鮮やかな旬の風味を呼び起こして。
個人的には5種の中で竹の子が一番好きでした。
日ごろは赤飯推しなんですけどね。
そんな既に完成度の高いおこわさんたちが「いなりずし」としてお揚げに包まれている訳であります。
ともすれば「やり過ぎ」感、「完成度を損なうのでは」感すらありますざんしょ。
ところがところが、このおこわ米八のお揚げはこれまた只者ではありませんでしてね。
こちらのお揚げは「ふわぁ……っ」とした広がりのある包容食感と「じゅわぁ……っ」という濃厚甘辛な情緒深い食味とを兼ね備えた知勇兼備的すごいやつなんです。
このお揚げでおこわを包み込むと。
もう最っ高に、爆裂的にうまい逸品になってしまうのです。
普段地味なお母ちゃんがヒョウ柄をまとった! 的な鮮烈。
一口目はある種どれも同じ印象と言うか、おあげの「ほらほらうまいやろ?」みたいな濃厚攻めを受けるのですけれど。
中に入っているのが実力者なおこわさんたちですからね、二口目からは各おこわの個性がしっかりと味わえて、甘辛お揚げと混然一体化した幸せな味わいが春先の疲れた心にじんわり染み入るぜフッこの野郎的な走馬燈が突っ走るのですよ。
もち米のタフな食べ味が味の濃さをうまいことフォローしてくれて食べ飽きしないし、量が少ない割にお腹のたまりもよろしくてああ万歳。
デパ地下に行くと551とか御座候とか柿安とかまい泉とかあれもこれも素敵ねとついつい目移りしちゃいますけど、いつもそこにいてくれて私たちを幸せにしてくれるおこわ米八、そして「おこわいなり」のありがたさにも我々はもっと注目して敬意を払うべきではないでしょうか。
あー、こんな記事を書いていたらまた食べたくなってきた。
おこわが湧く泉とかがあればいいのにな。
デパ地下という素晴らしい文化、民草の暮らしに根を下ろした名店の数々がとこしえに栄えますように。