じゃりン子チエの文庫版復刊にかんたんしている3巻目です。
3巻に収録されている話は次の通りです。
- 「大阪カブの会」序の巻
- ガンバロウの巻
- ああ ホンコン マカオの旅の巻
- お正月には初詣の巻
- 「大阪カブの会」いよいよその日が来たの巻
- 「大阪カブの会」猫もしゃくしも地獄組への巻
- 「大阪カブの会」ポリ公が来たら はいビスコの巻
- 「大阪カブの会」地獄組乱闘篇の巻
- ゴミ箱のアントニオの巻
- テツの格闘技指南の巻
- 内股がやってきた"オエッ”の巻
- 刑ム所訪問の巻
- 古いものには思い出がの巻
- ヒラメちゃんの かくれた才能の巻
- パチンコでミルクの罐詰の巻
- 気になるオミヤゲの巻
- おジィはんの気持ちの巻
- カブで金を賭けない時はの巻
- イヤな所にテツが居たの巻
- たまにはパーッやりたいけれどの巻
- ヒラメの憂ウツの巻
- ヒラメ絶唱 いかるが篇の巻
- ミルクのチエちゃんへの巻
- ヒマなヒマな大人達の巻
- (特別付録)ヒラメちゃんの日曜日
「カブの会」という博打イベント~警官隊との乱闘、
ミツルさんのお子様誕生、
ヒラメちゃんのすさまじい歌唱力、
等が収録されている回です。
セクシャルマイノリティへの配慮の程度や、そもそも街を普通にヤクザが闊歩している点等は、現代とだいぶ距離感があります。
一方で妊婦にミルク缶(さすがに液体ではなく粉でしょうが)を贈る配慮を示すチエちゃんのイケてる感は現代も当時も変わりませんね。
以下、若干のネタバレを含みつつ、各キャラの名言と見どころのご紹介です。
取り上げる基準は私の好みですのでご留意ください。
チエちゃん
(なんか悪いことゆうたみたいやから 公平に考えよ)
マサルとの勘違い・疑念・気まずさ的いきさつがあってからの、学級委員選挙に臨む姿勢。真剣にフェアであろうとするチエちゃんがとても素敵です。
遠足のお弁当がまっ黄ィ黄ィ(卵焼きとこおこ(たくわん))と馬鹿にされたんを気にしているところも不憫ながらかわいい。
ヒラメちゃん
「ウチ一生懸命やったから」
お絵かきで異常な集中力と画力を発揮する場面がいいですね。
お相撲といい、ヒラメちゃんの秘められた実力シリーズは好きです。
歌唱力は……うん。気持ちはわかります。
テツ
「なにボーッとしとるんじゃ 行かんかい!」
ヒラメ兄妹の喧嘩にチエちゃんをけしかける場面が(ダメなんですが)イイ。
その後相手の援軍に来たヤクザを無傷でボコボコにするのも(ダメなんですが)イイ。
「大阪カブの会」篇では意外な知力を発揮したのも侮れないですね。
ヨシ江&花井先生
「そやけどわたし… 時々ああゆうことに気のまわるチエがかわいそうになりますわ」
「…………」
「あの子の時分はそんなことに気がつかんでも もっともっと楽しいことが一杯あるんやないかと思て……」
「……むずかしいとこやな そやけど子供らしいないとはいえんやろ 子供やから気がついたらすぐに出来たことや」
「…………」
二人でチエちゃんについて語っているシーンが好き。
その向こうでチエちゃんがカルメラ兄弟と楽しそうに野球してるのも好き。
お好み焼きのオッちゃん(百合根)
「不思議やなあ テツとつき合うとみんなカタギになるなあ」
しみじみと人生のあり方を見つめるオッちゃんがいいんですが、本人はその直前に酔っぱらってカブの会で大乱闘しているという事実にもウケます。
普通に小学生を刑務所まで連れ歩いてるし笑。
おバァはん
「人間に一番悪いのは腹がへるのと寒いゆうことですわ」
「長いこと生きてますとな ほんまに死にたいちゅうことが何回かありますのや」
「そうゆう時 メシも食べんともの考えるとロクなこと想像しまへんのや ノイローゼちゅうやつになるんですわ」
「おまけにさむ~~い部屋で一人でいてみなはれ ひもじい…寒い……もう死にたい これですわ」
「いややったら食べなはれ ひもじい寒いもう死にたい 不幸はこの順番で来ますのや」
ものすごくいいことを言ってはりますね。
まったくその通りです。
おバァはんのこのセリフを聞いて、ラーメン屋台のおっさんが人知れず人生をやり直す決心をしているのもステキ。
小鉄&アントニオJr.
「ジュニア ワシカッコ良かったか」
「そらもう小鉄先生を中心に バッチリとらせてもらいましたがな」
ポーズをとる小鉄を外して写真を撮るジュニアがいいの。
というか普通にカメラを操作している猫たちがウケる。
この巻では、警察隊を撃退したり、カブに励んだり、ジュニアがノイローゼ気味になって治しに奈良まで二人で出かけたり、耳栓を手作りしてみたりと、相変わらずとても仲良く活躍していて素晴らしいんです。
読み応えが減るどころか、ますます熟練していっている気がする3巻でした。
まだまだ刊行が続いて展開が面白くなっていきますように。
それにしても我ながら驚くほどエピソードを覚えていない。
非常に新鮮な気持ちで読めています。
「じゃりン子チエ 文庫版2巻感想」はるき悦巳先生(双葉文庫) - 肝胆ブログ
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