肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

大河ドラマ「直虎 第42回 長篠に立てる柵」夜の初陣に挑む井伊直政(万千代)さん

 

 

直虎42話、ゴールデンタイムとは思えぬ衆道演出などにかんたんしました。

 

www.nhk.or.jp

 

徳川家康阿部サダヲ)はついに武田との決戦地・長篠へと出陣する。井伊から材木を調達して初手柄をつかもうとした万千代(菅田将暉)だったが、直虎(柴咲コウ)がその動きを阻んだため無念の留守居を命じられることになる。長篠では家康と合流した信長(市川海老蔵)が、鉄砲を用いた奇策を披露していた。この戦に徳川勢として参戦していた直之(矢本悠馬)と六左衛門(田中美央)は不足していた材木を調達した功が認められ、信長と対面することに。褒美として見事な茶碗を賜る。一方、日本一の留守居役をめざし武具を修理し続けていた万千代と万福(井之脇海)だが、小姓の小五郎に手柄を横取りされてしまう。しかし、その働きに気づいていた家康は浜松に戻り、万千代を労う。

 


見どころを端的に紹介しますと

新しいふんどしを持てーい!!

インパクトが圧倒的だったんですが、それ以外の細やかな演出も大変よございましたよ。

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


既に大河ドラマ「直虎」は実質的に「直政」に変わってきておりますね。

 


昨夜の放送では、直政さんが長篠の戦で初陣を飾りたかったんですがその願い叶わず、留守居役を任されたところから始まります。


直政さんは城中の設備・武具のメンテナンスに励み、立派な留守居役ぶりです。

一方、長篠では織田家・徳川家が史実通りに武田勝頼さんを撃破いたします。


戦後。

残念ながら直政さんは武具メンテの手柄を他の人に奪われてしまいました。

がっかりです。

ところが、がっかりしていたら徳川家康さんの寝所に呼び出しがかかりました。


これは……

夜の初陣を先に果たそうということでしょうか!?


危うし貞操、こんにちは寵愛!

 

 

続く

 

 

 


という流れ。

お茶の間へ大爆笑か沈黙かの二択を迫る素晴らしい内容でございました。

 

 

すごいですね。

衆道というか男色というかBLというか。

ここまでぶっ込んできた大河ドラマは久しぶりな気がします。

 


若干演出が現代の価値観的というか、当時の人ならもう少し「はい喜んで」となりそうな気もしますが、この辺の衆道文化は地域や家中や個人によって違いまくりますので一概に批評できないっすね。

直政さんが自らの肉体城を主君に差し出して出世したというのは俗説っぽいですし。


「織田家の前田利家さんも武田家の高坂弾正さんも」と、諸先輩方への熱い風評被害を呼び込んでいるところは笑えました。

これで直政さん側近の万福さんが「大寧寺の変を思い起こされませ」とかもう一言入れていたら収拾つかなくなるところでしたね。

 

 

何がよかったって、直政さんの覚悟っぷりがよかったです。


設定上、彼は「はじめて」「その気はない」というスタンスなんですが。


寝所への呼び出しを受けて、そういうことかと驚愕しつつ、怯みつつ。

自らの意志の力で直ちに覚悟を決め、「新しいふんどしを持て」ですもんね。


これはひとかどの漢ですよ。


周囲にぐちぐち相談したり、時間稼ぎしたり、逃げ出したりしないんですよ。


不本意な展開でも主君の命ならばと迅速な決心ができる人材。

この若さでこれほど腹ができあがっているならそりゃ寵愛待ったなしであります。

自我と上昇志向が強過ぎるきらいもありますが、それに釣り合う能力と心胆があるなら、やっぱり周囲は応援したくなっちゃいますね。

 

 

 

と、衆道関係だけに目を奪われそうになるんですが、昨日の放送は他の要素もさまざま良かったです。

 

 

徳川家中の描写。

 


阿部サダヲさん演じる徳川家康が実にいいですね。

こんなに味のある家康さんはめったにないと思います。


初期回では重臣たちの言いなりだったのに。


最近では独自の人事評価により直政さんたちを取り立て、重臣たちのあしらい方も随分上手くなり、更には大将として家来へ肌理細やかなフォローをなさっております。

人柄の良さ、頭脳の冴え、腹の底を見せない辛抱強さ。


いいっすねえ……!

これで今後(直虎さん死亡後)黒い部分も出てくると思うとたまんないっす。

 


また、この家康さんが息子信康さんや石川数正さんとめっぽう仲良さげなのがずるい。

ひどい。

いただけない……。


さりげなく岡崎派と浜松派の存在を匂わせていましたし。


直虎さんは1582年に亡くなる訳ですけど。

1579年のエピソードで、視聴者をもうひと泣かせしてきそうですね。

(あんまり井伊家関係ないですが)

 

 

徳川家中では本多正信さんも渋く目立っています

直政さんとの対比演出がいいですね。


「さすが正信さん」と視聴者は感心しているけど、物語の中ではまだまだ全然評価されていない。

そんなところが視聴者の歴史オタ心をくすぐってきます。

 

 

 

 

織田信長さんの描写。



信長さん本人はよかれと思ってやってるんだけど、微妙に相手の立場を踏まえた細かい配慮ができていなくて、周りは対処に困っている感じ。
(天目茶碗の扱い方とか)

地味に最近の信長さん研究が反映されている気がします。


このドラマ、井伊家はともかく、今川家・徳川家・織田家あたりのこだわり考証ぶりがいいですよね。


長篠合戦の描写もよかったです。

少ない人数でけっこうな迫力を醸しだす熟練の映像づくり。
殺陣に慣れた大部屋俳優というものが消滅した現代では充分な成果ではないでしょうか。

馬防柵づくりの丁寧さは材木と縁が深いこのドラマならではですね。

 

 

 

直虎さん。



長篠合戦跡に出向いて経をあげるシーンはすごく良かったです。

直虎さんの人物造形にとても合っていますし。


いまだ遺骸が転がる戦場跡、兵どもが夢の跡。

(さすがに鎧を剥ぎ取られた裸の骸が転がっているような演出はありませんでした。なくていいです)


批判も多いと思いますけど。

私は「戦を避けたい主人公」でもいいと思いますし、その上で「戦を止められない無力感」の“あわれ”を充分に演出してくださっているので満足しています。

 

 

 

以上、楽しい回でございました。


もう残り少ないですね。

充実感を保ったまま美しいフィナーレを迎えてくださいますように。

 

 

 

 

「成年後見制度の課題……押領の温床から既得権益マターへ」

 

 

いろいろ興味や事情があって成年後見制度について調べていたんですが、もとの高齢者問題が難しいだけに制度もまだまだ課題が多く、日本社会が試されている感満載でかんたんしました。

 

↓制度

www.moj.go.jp

 

 

↓統計情報① by 最高裁判所

http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20170324koukengaikyou_h28.pdf

 

 

↓統計情報② by 内閣府

http://www.cao.go.jp/seinenkouken/iinkai/2_20161003/pdf/sankou_6.pdf

 

 

 

成年後見制度というものをご存知でしょうか。


年を取って意思能力が危うくなってくる(認知症とか)と、お金の管理や不動産取引や介護施設入居やらの契約手続きを自分で出来なくなってくる訳であります。


ひと昔前ならば子どもが親の代わりに銀行や農協に行って親の口座からお金を下ろせたり、子どもが親の土地を勝手に売ったりもできていたんですが。
(大らかな時代でした)

いまどきそんなことをやっていたら子どもは逮捕されるし、ルーズな実務を手掛けた金融機関は処分されちゃったりする訳であります。

 


でも、実態として高齢者はたくさんの資産を有しておりまして、思いの外長生きしちゃった高齢者の面倒を見るためには高齢者自身の資金を使うことが不可欠だったりもします。
(親が金持ちでも子どもや孫がお金持ちとは限らないですし)


でもでも、高齢者の意思能力が怪しかったら高齢者の資産は活用できない……各種契約も締結できないよ……



そこで登場してくるのが「成年後見制度」なんですね。

(なお、高齢者以外でも活用できる制度です)

 

 


リンク先の法務省HPから引用しますと。

Q1

 成年後見制度ってどんな制度ですか?


A1

 認知症,知的障害,精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は,不動産や預貯金などの財産を管理したり,身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり,遺産分割の協議をしたりする必要があっても,自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。また,自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい,悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し,支援するのが成年後見制度です。

 

Q4

 「後見」制度を利用した事例を教えてください。


A4

 次のような事例があります。

○ 後見開始事例

ア 本人の状況:アルツハイマー病 イ 申立人:妻 ウ 成年後見人:申立人
エ 概要
 本人は5年程前から物忘れがひどくなり,勤務先の直属の部下を見ても誰かわからなくなるなど,次第に社会生活を送ることができなくなりました。日常生活においても,家族の判別がつかなくなり,その症状は重くなる一方で回復の見込みはなく,2年前から入院しています。
 ある日,本人の弟が突然事故死し,本人が弟の財産を相続することになりました。弟には負債しか残されておらず,困った本人の妻が相続放棄のために,後見開始の審判を申し立てました。
  家庭裁判所の審理を経て,本人について後見が開始され,夫の財産管理や身上監護をこれまで事実上担ってきた妻が成年後見人に選任され,妻は相続放棄の手続をしました。

 

といったことが紹介されています。



これから高齢者はますます増えていき、更に団塊世代が70代に突入したりもしますから、日本は高齢社会どころか認知症社会になっていったりすることが想定されている訳で。

成年後見制度の利用もまた、ますます増えていくことでしょう。

 

統計を見てみると、毎年34,000件前後の成年後見人制度申出がなされているようですね。


最高裁判所統計から抜粋。

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 ↓同統計から申立動機を引用。資金管理、監護、介護保険、不動産……。

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ただ……

成年後見制度は有意義なものなんですけど、課題もいろいろあるんです。

 

 

おおきな課題その①が「押領」。


親の金は俺の金。

どうせ親は認知症なんだからバレないでしょ。

どうせ親が死んだら相続で俺のものになるんだ。
使い込んでもいいでしょ(外車購入)。


的な横領事件が跡を絶たないんですよね。

判明しているだけでも、毎年数十億円の財産が横領されているんですよ……。


内閣府統計から抜粋。

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財産が「個人」ではなく「家」に紐づく意識でいる人もまだまだ多いですから、使い込んじゃうルーズな気持ちも分からなくはないんですが……。


駄目なもんは駄目ですからね。

 

 

 

おおきな課題その②は「既得権益化」。


横領事件が多いこともあり。

裁判所の制度運用が近年変わってきております。


何かというと、後見人選任の「家族」から「司法書士等」へのシフト。


横領事件の実情を見ていると、素人&欲望丸出しの家族なんて信用ならんと。

やっぱり知性と責任感に溢れるプロを後見人につけるべきだよねと。


家族からの後見人申立でも、実際の後見人にはプロを選ぶ裁判所が急増しています。

 


例えば、申立を行った人のうち、子どもが約10,000件

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一方、実際に後見人となった人のうち、子どもは5,000件に過ぎず……。

代わりに弁護士が8,000件、司法書士が9,400件となっていますね。

 ※後見人を選ぶのは裁判所で、申立人は意義を挟めません

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そりゃ素人よりは、実務に精通しているプロの方がいい。

それはそうなんですけど……。

 


問題は後見人への支払手数料が「高い!」こと。



司法書士 成年後見人 報酬」などでグーグルさん検索をしてみると……

司法書士 成年後見人 報酬 - Google 検索

 


相場観として、


 ・月額2万円

 ・財産が1,000万円~5,000万円となると
  月額3万円~4万円

 ・財産が5,000万円~となると
  月額5万円~6万円


あたりなんだな、という結果がゴロゴロ出てまいります。

しかも、不動産取引等で財産が増えた場合は別途報酬を貰うよ、的な。

 


いや、そりゃ弁護士や司法書士という立派な人材を雇ったら普通それくらいするんでしょうけど。


紛争解決やら登記やらの用件ならともかく、「預金を下ろしたい」だけで月2万円~6万円は高過ぎます。

一般庶民はATMの数百円の利用料でもぶーぶー言ってるんですから。



年間で24万円~72万円!

後見人制度は一度始めると途中でやめられない!

高齢者はいつお亡くなりになるか分からない!

資産から年間数十万円が消えていく!

このマイナス金利の時代に!


……なんてこった!!!

 


と、子どもやお孫さんサイドが不満を抱くのもしゃーない訳です。

まして一部の司法書士さん(年々従来業務が減っていっている業種)が「成年後見制度バブルが来た! イエーイ」とか軽口たたいている現状を目撃すると、なお不信感が高まるのも分かります。

 ※サラ金の過払金返還訴訟とかと似たような印象を持つ人も多いようです

 


ちょっと前に「女性自身」で取り上げられていたくらいですからね。

じわじわこうした問題の認知が高まってきています。

 

「夫の年金を取り上げられた…」成年後見制度に潜む落とし穴 | 女性自身[光文社女性週刊誌]

 


裁判所もよかれと思ってプロを後見人に選んだり追加したりしているんでしょうけど、あんまり一般人の支持を得られない結果に繋がっていっている気がします。

満足度が低いのは、弁護士・司法書士に紐づく「高い能力」「高い報酬」と、「預金を下ろしたい」といった地に足の着いた「職務のレベル感」が釣りあっていないからなんでしょうね。

 

  

 

 

 


以上、後見制度の二大課題を紹介してみました。


家族に任せたら押領しよる、プロに任せたら費用がかかり過ぎよる。

そうとう運用が難しい制度だと思います。

(裁判所の窓口の人たちも悩んでいると聞きました)



一方で高齢者はますます増えていく……。

 


ひょっとしたら、お年寄りが意思能力を失った時点で「相続開始」するくらいの乱暴な議論も今後求められていくのかもしれません。

守るべきは高齢者なのか、高齢者の面倒を見る家族なのか。


アウフヘーベンが不足していますね。

 


すぐに解の出る問題ではありませんが、我が事としても世の中全体としても考え続けざるを得ない内容だと思います。

 


ああ、こんなことに悩むくらいなら。


私自身、ピンピンコロリと旅立てますように。

やっぱり子どもや孫に負担をかけるのは嫌ですねえ。

 

 

 

 

やさしい映画「台北の朝、僕は恋をする」アーヴィン・チェン監督

 

台湾の映画「台北の朝、僕は恋をする」を観たら、なんだかやさしい気持ちになれた気がしてかんたんしました。

 

www.youtube.com

 

 

以下、映画の一部ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


舞台は台湾の夜。


パリに行きたい青年「カイ」くんが、怪しげな荷物を運ぶ「運び屋」で手っ取り早く大金を得ようとしたところ、刑事とカラーギャング的チンビラに追いかけ回されて……

本屋さんで働く美少女「スージー」(アンバー・クォ)さんも巻き込まれ、一緒に逃げているうちにカイくんとスージーさんは心を通じ合わせていく……


的なあらすじのお話です。

 

 


「夜」

「台湾裏社会」

「刑事」

カラーギャング

「運び屋」

「拳銃」

「拉致」

「監禁」

 


……などなどの黒い要素がふんだんに登場する映画ですが。


実際は日曜日の昼下がりにオープンテラスでお茶しているような穏やかやさしい内容となっております。

 


毒はありません。

薬はほんのりです。

 


スージー役のアンバー・クォが愛しい……

チンピラのボス「ホン」役のクー・ユールンが素敵……


そんなことを思っているうちに話はテンポよく流れて行き、特に誰も死んだり大怪我したりすることもなくハッピーエンドを迎えます。

ハッピーエンドといっても大げさな内容でなく、ほどよい幸せさがいいですね。

 

 

見どころとしては先に挙げたヒロイン「スージー」さんとチンピラ「ホン」さんのナイス演技が目立ちますが。


個人的にとても気に入ったのが脇役「カオ」さん、省略が効いた編集・セリフ回しの妙、それに台湾ならではのグルメシーンです。

 

 

 

脇役「カオ」さん

 

主人公の親友です。
(名前がカイとカオで似ているのがややこしいです)

不幸なことに、主人公の運び屋騒ぎに巻き込まれてチンピラに拉致・監禁されてしまいます。


ところが……。


このカオさん、まったく動じない。

突き抜けたマイペースの持ち主なんです。


拉致られた車のなかでチンピラたちが「腹減ったな」と呟いたら、「あそこの餃子がうまいよ」と教えてあげる親切さ。

しかもアドバイス通りに水餃子を買い込むチンピラたち。


汚いラブホに監禁されていても、いつの間にかチンピラたちに混じって麻雀に興じるカオさん。

しかもカオさんの恋バナに夢中になって助言に励むチンピラたち。


なにこのやさしい世界。


カオさん

「好きな子がいるけど、もうすぐ兵役にいくんだ」


チンピラ

「兵役に行くと伝えたら女はブラを外すだろ」


というやり取りが青春十代感出過ぎていて最高でした。



チンピラさん方の無能感もごっつうかわいいです。

こんなにかわいい無能も珍しいと思います。

 


「お前ら何してんの?」とチンピラたちを叱りに来たボス役のホンさんも、結局はカオさんの恋バナに夢中になっちゃいますしね。

 


チンピラ連中から「とにかく告れ」と背中を押されながら、結局はモジモジして上手に好きな子と話せないカオさん……


すんごいよかったです!

 

 

 


省略が効いた編集・セリフ回しの妙

 


この映画、台詞やシーンの省略がたいへん巧みでおしゃれです。

主人公カイさんがパリの遠恋中彼女に振られたと思しきシーンも、ラスト付近の主人公とヒロインスージーさんとの関係も。

決定的な「別れよう」「好きです」「付き合ってください」といった分かりやすい言葉は一切登場しないんですよね。


ハッキリとした言葉は劇中ほとんど出てこないんですが、役者方の視線・表情・行動だけで起こっていることも思っていることも充分過ぎるほど伝わってくる画面づくり。


これが観ていてとても気持ちよいんです。


主人公のカイさんは劇中何度も原チャに乗るんですが、その際、原チャ運転中の表情を映すシーンが度々挿入されます。

運転中なので基本的に台詞はなく、ただ前方を見つめるのみです。

それでも、運転しながらカイさんが考えていることが視聴者に伝わってくるんですよ。


ダンスシーンも含め、こうした無言の「間」が各所で効果的に配置されていて、映画全体のリズムが快くなっています。

好みの脚本・編集です。

 

 

台湾ならではのグルメシーン

 


主人公のカイさんは食堂の息子で料理できる系男子ですし、舞台は夜の台湾ということで屋台があちこちに出ていますし。

出てくる食べものが実においしそうなんですよね……。


特に水餃子


茹で上げたあのプリッとしたヤツを……

口でトゥルルンって吸い込んでいく場面。


わあ……

台湾行きたい。

同じの食べたい。


食欲がヘイヘイヘイと挑発される感じです。

そういう点からも、深夜に見るより昼下がりに観た方がいい映画だと思います。

 

 

 

 

 


アンバー・クォさんとクー・ユールンさんが画面を素敵に飾ってくださりつつ、映画を支える脇役・脚本・編集・アイテムも称賛するべきところ多数。

よい映画ですよ。

やさしいボーイミーツガールを観たいときにどうぞ。

 


若い世代に幸せなボーイミーツガールが増えて、少子化に歯止めがかかりますように。

 

 

 

 

 

 

「ブラックティガー 3話 溟海の銃撃手」秋本治先生(グランドジャンプ)

 

 

 

ブラックティガーの3話が引き続きおもしろくてかんたんしました。

もうなんだか、「現代に劇画が復活した」という趣すら感じますね。

 

↓1話を無料で読むことができます

grandjump.shueisha.co.jp

 

↓もっと見くだしてください

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以下、グランドジャンプ'17.22号の一部ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 


以前も紹介しましたが、「ブラックティガー」は凄腕の巨乳美人ハンターが悪党どもを片っ端からブッ●すバイオレンスアクション漫画です。

「ブラックティガー 第2話」秋本治先生(集英社グランドジャンプ) - 肝胆ブログ



舞台設定は南北戦争直後のアメリカなんですが、今回、ブラックティガ―姐さんが太平洋航路を横断したことがあるらしいことが語られました。

そのうち幕末の日本やアヘン戦争後の殺伐とした清国に来ていた番外編とかやるのかもしれません。

 


今回のお話は「海戦」です。

南北戦争期の海戦とは、また絶妙に面白マニアックなところを持ってきはりますね。

 


合衆国軍(旧北軍)の船を次々に破壊し乗員を虐殺・略奪してまわる旧南軍残党兵どもをブチ●せ的なミッション。



ガトリングガンといった南北戦争っぽい武装、帆船&老船夫部隊で敵の大型装甲蒸気戦艦を襲うカタルシス

秋本治先生のミリタリー造詣を活かした舞台構築・ギミック配置が最高です。

取材・考証に良質な手間をかけていることが存分に伝わってまいります。

 


練り込んだ舞台があるからこそ、迫力ある作画が活きるというものですね。

今回もスクリーントーンを極力使わない「真っ黒な」誌面構成がめちゃくちゃ格好いいですよ。



とりわけ。



敵艦に馬で飛び移るシーン。
(煙幕で敵艦の位置が見えないのに、老船夫の計算を信じて飛んだんですよ)


次のページの見開き無双シーン。
(一瞬で6人くらい殺害しています)


「ティガー一群の強さを見せてやれーっ」の次のページの、銃身で敵の鼻を砕きつつ、次の敵にもう一丁の銃を向けるシーン。
(超怖い)



この辺りの描写は凄まじいの一言です。

 


今回はバイオレンスシーンが後半に集中しております。

中盤まで丁寧に丁寧にドラマを展開し、緊張感をじわじわじわじわ高めて……

溜めに溜めたエネルギーを一気に爆散させる極上の暴力。


もうほんまにブラックティガー姐さん素敵過ぎます。

 

 

 

更に更に。

 


脇役の「ボブ・スミス」さんがめちゃくちゃ良かった……!


詳細は書きません。

書きませんが、秋元治先生の「こち亀」っぽいひょうきんで人間味あふれるキャラが、こういう行動を取ると。

こち亀」っぽい、楽しくあたたかい線で描かれたキャラが、こういう行動を取ると。

こんなに胸に迫るシーンを生み出すんだ……! と驚きました。


映画的物語(特にかつての西部劇・時代劇)としては珍しくない役割かもしれませんけど、秋本治先生の絵柄を組み合わせたらこれほどドラマにアクセントがつくんですね。


ボブ・スミスさん、ぜったい家族からも友人からも信頼抜群だと思います。

理想の男性像のひとつです。

一読者として「超格好良かったよ!」と惜しみない賛辞を贈らせていただきます。

 

 

いい物語はいい悪役といいバイプレイヤーがあってこそ。


第2話はいい悪役に、第3話はいい脇役に恵まれた作品でしたね。


第4話も楽しみです。

 

 

 


このたびのグランドジャンプ、他には「こううんりゅうすい<徐福>」、「すんどめ!!ミルキーウェイ」、「王様の仕立て屋」あたりがよかったですね。

 


「こううんりゅうすい<徐福>」本宮ひろ志先生の古代日本漫画なんですが、めっさ毒舌な卑弥呼さんが素晴らしかったです。

求婚してきた狗奴国王に向かって……

「お前の顔を見ているだけで吐きそうになる」
「下品で己の事しか考えず… 常に自分こそがこの世で一番の人間と目立ちたがる」
「それはお前が誰にも認められぬどうでもいい人間だからだ」
「そんな吐きそうな顔を…」
「夫婦になって毎日見なければならぬ事など」
「考えられぬ…」
「さっさと吉備へ帰るがよい」



おいおい、


この卑弥呼さん……

 


最高かよ。


仕えたい貴女に。

 

 

 

「すんどめ!!ミルキーウェイはものすごくアホな設定のエロ漫画なんですが、エロ画力がとても高いのでつい読んでしまいます。

今号の水中●●●もたいへんけっこうでした。

 


王様の仕立て屋パタリロっぽいテンポの良さと、絶妙に省略された絵の味わいが素敵です。

今号はファッション漫画というよりグルメ漫画でした。
栗食べたいです。

「行(ゆく)秋や 手をひろげたる 栗の毬(いが) 芭蕉


いい句ですねえ。
秋ですねえ。

 


あと、「竹田役員待遇」で、「ラブホ街の半地下にある、デリヘル嬢の出入りをこっそり眺めて楽しむだけの秘密倶楽部」というネタがあまりにも上級者向けの洒脱味に富んでいて笑いました。

とがしやすたか先生は変わることのない風格をお持ちですね。

 

 

 

 

グランドジャンプもどんどん充実してきています。


引続き各連載が好調に盛り上がっていきますように。

秋本治先生やゆでたまご先生だけでなく。

ベテラン漫画家さん方のルネサンスがますます輝きますように。

 

 

 

「時代劇の「嘘」と「演出」」安田清人さん(洋泉社歴史新書)

 

「時代劇の「嘘」と「演出」」という本が看板に偽りありというか、ウンチク本だと思ったら著者の時代劇への愛をめいっぱい詰め込んだ情熱テキスト集でかんたんしました。

 

時代劇の「嘘」と「演出」 - 株式会社洋泉社 雑誌、新書、ムックなどの出版物に関する案内。

 

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週刊ポストの「時代劇を斬る!」というコラムを再編成した書籍とのことです。

内容は「斬る!(斬ってない)」といいますか、初めこそ時代考証の誤りや苦労を指摘するような連載だったぽいんですけど、だんだん時代劇への愛が溢れてとまらなくなっちゃったような勢いを感じる愛おしい文章が楽しめるものとなっております。

 

 

各章の概要と、私の感想を紹介してまいりますね。

 


第一章 時代考証が支えるNHK大河ドラマ

 

歴史好きや大河ドラマファンにとっては「あるある」なエピソードが並んでおります。

一番本書のタイトルに忠実な章と言うことができるでしょう。


例として……

 


江の序盤。


スタッフ「小谷城燃やしましょう」

 ↓

小和田哲男さん「小谷城は実際には燃えてませんよ」

 ↓

スタッフ「落城がひと目でわからないから、ちょっとだけ火をつけましょう」

 ↓

小和田哲男さん「ちょっとだけですよ」

 ↓

放送「大炎上」

 

といった有名なエピソードであったり。

 


二木謙一さんが


 ・織田信長の時代にタバコはない

 ・毛利元就の時代に打ち上げ花火はない

 ・村上水軍の時代に望遠鏡はない

 ・豊臣秀吉の時代に真っ赤なスイカはない


といった指摘をして、ドラマへの登場を水際で防いだり。

 


篤姫のときに「幾島」さんの新史実が判明したので急遽台本を変更し、松坂慶子さんのスケジュールを押さえ直して結果として名シーンを生むことができたり。
(江戸総攻撃の中止を嘆願する書状を西郷隆盛さんに届けるシーン)

 


などなどのウンチクネタの数々を披露いただいております。


素直に「へえ」と楽しめる章ですね。

 

 

第二章 時代劇黄金期の考証家たち

 

この章からは時代考証そのものの歴史、といった趣になります。

とりわけ二章はストイックな厳しさに溢れていて、史実重視主義の方から見れば「そうだそうだ」と頷くような内容が多いですね。


三田村鳶魚さんや稲垣史生さん、森銑三さんなど考証家の先達方のエピソードを交えながら、当時の時代劇・歴史小説家がバッサバサ斬られていたということを紹介いただいています。


三田村鳶魚さんのコメント

「小説だから、善人を悪人に、夜を昼に、どう扱ってもいいけれども、どうしてもその時代にないことを書き出すのは、どういうものだろうか。例えば、現代のことを書くにしても、昭和の今日、洋服姿で大小(の刀)を指しているものを書いたら、どんなものだろうか。それを考えれば、すぐ分かる話だ」

であったり、

稲垣史生さんのコメント

歴史小説は史実的拘束を離れ、芸術的形象を追うことにおいて自由である。そうでなければ小説ではない」と綴る一方で、「作品の現実感のために、史実を変えてはならぬというリアリズムの立場」が歴史小説には必要で、「歴史小説では、徹底した史実主義によってのみ、過去の人間を描きうるのだし、人生の心理に肉薄しうるのである」

であったり。


背筋が伸びるような思いがいたします。

 

 

第三章 歴史小説家の功罪

 

一章でウンチクを語り、二章で厳かな時代考証の先達を紹介いただいたのですが。

三章からは著者さんの本音と言いますか、「時代劇・歴史小説の持つ懐の深さ」話が増えてまいります。


例えば司馬遼太郎さんが亡くなる前後から、読者の多くが「司馬が書いているのだから、それは全部史実なのだろう」という残念リテラシーな感じになってしまったり、歴史小説が「行き過ぎた教養趣味」「史実か否かばかりを問う姿勢」「自己啓発のように作品を扱う」のような感じになっていってしまったりという世相を挙げつつ。

一方では山田風太郎さんたちの伝奇小説や、佐伯泰英さんたちの文庫書き下ろし時代小説が、歴史エンターテイメントを盛り上げてくれたということを紹介しております。


佐伯さんのコメント

自分の作品は「消耗品」でかまわない。いっとき、読者が実生活の憂さや悩みを忘れるための「慰め」となれば、作品自体は忘れ去られてしまってもかまわない

は、二章の厳格な考証家たちに負けず劣らずの信念を感じたりもしますね。


歴史をあくまで舞台設定として活用して、読者を楽しませることに徹するのも立派な娯楽というスタンス。

確かに、どれだけ史実に忠実だったとしても、創作作品として面白くなかったら意味ないですもんね。

 

 

第四章 新しい時代考証を求めて

 

二章の厳しめな時代考証、三章の緩やかな時代考証を踏まえて、今後の歴史考証のあり方について様々書いてはる章となります。

学問としての正確性はともかく、日本人が歴史好きなのは「鞍馬天狗」の存在が大きかったのではないかという著者の意見はおもしろいと思います。

個人的にはこのご意見は賛成です。
人は面白いものの周りにしか集まってこないもので、細部知識のマウント合戦場と化したコンテンツは衰退しちゃいますもんね。


また、一章の大河ドラマの話にも繋がるのですが、ドラマ制作現場は明確に「〆切」がある訳でして。

一方で歴史研究の専門家も「大奥で将軍と正室は同じ布団で寝るか否か」といったTV制作上必要な生活風景の細部までは知らないことも多かったりと(質問されて慌てる)。

限られたスケジュールのなかで、視聴者が思っている以上に制作側と考証側が協力し合って細部クオリティを高めようとしている、といった話もよかったです。


というか、本当に「時代物」の製作現場って大変なんでしょうね……。

 

 

第五章 時代劇復興の牽引者たち

 

大森洋平さん、山田順子さん、市川久夫さん、西村俊一さん、逸見稔さん、能村庸一さん、ペリー荻野さん、春日太一さん、小池一夫さん、大石学さん、天野隆子さん、中野良さんといった、近年の時代劇を取り巻く数々のキーパーソンを紹介いただいております。


大森洋平さんの著書「考証要集」(文春文庫)は私も小説を書いた時に参考にさせていただきました。
とても勉強になったとともに、修正すべき個所が数多あることに気づいて目の前が暗くなったことを覚えております。

文春文庫『考証要集 秘伝! NHK時代考証資料』大森洋平 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS

 

 

第六章 これもまた時代劇

 

著者さんの時代劇愛は高まるばかりで、歴史小説の挿絵や、「タイムスクープハンター」、「センゴク」「信長のシェフ」「へうげもの」といった漫画作品まで、どれもこれもいいよねといった章になります。

ほんとに間口広いですね著者さん。


学習漫画の監修を担当した川口素生さんが、連携されてきた漫画の源義経死亡シーンに桜が舞っているのを「現代の暦でいえば六月十五日のことだから桜はおかしい」ということで漫画をちょっと修正してもらったというエピソードは印象的でした。

 

 

第七章 特撮時代劇の系譜

 

著者さんの時代劇愛はとどまるところを知らず、特撮ものと時代劇の系譜まで語り始めます。

もはや時代劇史というより特撮作品史といった佇まいの文章になっていて超面白い。


著者さん一押しの作品「変身忍者 嵐」が「ウルトラマンA」に惨敗して迷走し、シリーズ化が実現することもなかったというくだりの文章は情念が籠りまくっていてとても良かったです。


仮面ライダーオーズ」の劇場版で「暴れん坊将軍」とコラボした件も拾ってはりました。

主人公らが江戸時代にタイムスリップし、暴れん坊将軍こと八代将軍徳川吉宗と出会う。そこに特段の意味もストーリー展開もないのだが松平健演じる吉宗と仮面ライダーオーズが交互に敵を倒していく立ち回りは、明らかに時代劇へのオマージュだろう。

あれは楽しい映画でしたもんね。

 

 

 

 

 

……と、歴史考証の話を真面目にやっていたはずが最後の方は特撮史や「るろうに剣心」の話をして締めるという楽しい新書になっておりますよ。

考証ウンチク以上に、著者さんの時代劇(+特撮)愛を受け止めて共感いたしましょう。

 

 

本のソデに書いてはる通り、時代考証がしっかりしていれば面白い作品になる訳ではない……フィクションにはエンターテイメントを追求する自由がある」「その一方、真実を追求する歴史学には犯すことのできない固有の価値がある」「その両者が交差する地点にこそ理想の時代劇があるのではないか」といったところが著者さんの主張かと思われます。


まったく同感であります。

 


読者視聴者側も、「おおらかに楽しむ心」と「言うべきことは言う心」を両立できる器量の大きい人が増えていきますように。

 

 

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いや本当に、一度書いたら痛感しましたけど、考証ってほんま大変ですよ。

食べものとか衣服とかはもちろん、台詞の単語一つひとつを「その時代にあったんだっけ」「語源……語源は……」って検証していくんですよ。



戦国時代の話ですと。


「もなか」はまだ発明されてないとか。

「醤油」は紀伊か堺ならセーフ……? とか。

当時は「幕府」という言葉は使わないとか。

「~~的」という言葉は明治以降に使われるようになったんだとか。

ていうか明治時代にできた言葉多すぎ問題だとか。

和製漢語 - Wikipedia

 

真面目に拾っていったらキリがないので最後は割り切りましたけど。

 

 

更に言えば、まだ戦国時代はマシです。

史料が少ないから。


この本を読んでいても「考証要集」を読んでいても、「江戸時代の考証」はほんまディープですよ……。

マニアがたくさんいらっしゃいますよ……。


明治以降は明治以降でミリタリーマニアが合流してくるし……。

 


歴史創作って、楽しいけど難しいものであります。

調べるの自体が楽しいんですけどね。

 

 

 

 

【私は】「ぼくたちは勉強ができない 問35.人知れず天才は[x]どもの戯言に踊る」筒井大志先生(週刊少年ジャンプ)【文系派】

 

 

ジャンプの「ぼくたちは勉強ができない」のうるかさんが突き抜けたかわいさを発揮していてきょうたんしたのですが、それでも私は文乃さんの閑静な魅力の方にかんたんしている次第です。

 

www.shonenjump.com

 

↓3巻表紙。右手前がうるかさん、奥の青髪が文乃(文系)さん。

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以下、週刊少年ジャンプ'17.46号のネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぼくたちは勉強ができない」はジャンプで連載中のラブコメ漫画です。


連載開始間もないので試行錯誤している感じでして、微エロ要素がときどき入ったりしつつも。

最近は登場人物の内面描写クオリティがメッキメキ上がってきていて、「読ませる」「読み返してしまう」実力派ラブコメとして存在感抜群になってきているように思います。

 


ざっくりしたストーリーとしましては、優しくてがんばり屋さんな男の子「唯我成幸」さんが、その名のとおり様々ななりゆきで同級生の「緒方理珠」さん(理系)・「古橋文乃」さん(文系)・「武元うるか」さん(水泳)に勉強を教える役目を引き受けるというものです。

女の子三人はそれぞれ魅力的な人物造形がなされておりますし、成幸さんも「初恋の相手に最適」な人物像ですから、そりゃなりゆきで恋愛的な展開もしてくる訳であります。

(他にも魅力的な女性キャラが複数登場しているのですが今回は割愛します。先生とか先生とか)

 

 

 

女性陣の中で、とりわけ物語に大きな活力をもたらしてくれた貢献者が「うるかさん」です。

連載当初の文系・理系二人だけ状態のときは展開がぎこちなかったのですが、うるかさんが投入されて以降、話の筋も人間模様も格段に面白くなってまいりました。

 

 

 

うるかさん。


「鮎の内臓の塩漬け」という凄まじく個性的な名前をしていますが、彼女は全登場人物の中でも随一の乙女可愛さを有してはります。

見た目も褐色元気系でキュートなんですが、それ以上に、彼女は当初から「成幸さんのことが大好き」という唯一無二の特長の持ち主なんですよね。

 


他の女の子たちは成幸さんに大なり小なり好意を持ってはいても、「恋」と自覚するレベルにまでは至っておりません。


一方で、うるかさんは「成幸さんのことが心底好き」なのに、「成幸さんの勉強の足を引っ張りたくないから思いを封印している」という心持ちなのです。


……なんといういじらしさ。

 

 

 

以前の展開で、成幸さんは「うるかさんは好きな人がいるらしい」という話を知り、「それって俺のことか」とうるかさん本人へ思いを質すに至ったことがあります。

その時も、うるかさんは自分の気持ちに蓋をして「成幸ではない」と嘘をついたのです。


本当になんといういじらしさ。

 

 

 

で、それ以来、成幸さんとうるかさんは何となく気まずくなり、二人になるととっても話しづらいよ……というのが今週の導入部分でございました。

 

 

 

詳細な説明は省きますが、今週のジャンプは「文乃さんのフォローで」「成幸さんとうるかさんの間のもやもやが解消する」という展開なんですけど。



その過程のうるかさんの表情の移り変わり、発する一言一言がとんでもない破壊力のかわいさだったのです。

とりあえず立ち読みでもなんでもしておくれ。

当作品を初見でも「なんやこの愛しい娘っ子」と衝撃を受けること間違いなしの穿ち力ですよ。

こんなん男性読者も女性読者も「うるかさん推し」コンクリートですよ。

 

当たり前じゃん


中学から
ずっとずっと


もう意味
わかんないくらい
好きなんだから


でもだめ


ただでさえいつも
いっぱい
抱え込んじゃう人
なんだもん


受験が終わるまで


心の重荷に
なっちゃうくらいなら
別に好きな人が
いるって思われてる
方がいい


だから もしも


もしも叶うなら、ね


元の関係に
戻って…


本当に…本当に
たまにでいいから


女の子として
可愛いって
思ってもらえたら


今はそれが
一番


幸せかなあ

 

 

からの……「●●●●」ですよ。

 

 

かあ!!

たまんねえなこの若い衆めてやんでえ!!!

 

 

となれますのでなんしか必読ものであります。

 

 

 


そういう訳で、35話にして早くも「うるかさんエンド間違いなし」で決着ついたんじゃないかなと思わなくもないほどのエポックな回でした。

 


文系さんも理系さんも、究極的には「成幸さんである必要」が薄いですからね。


理系さんは恋愛という概念そもそもがよく分かっておりませんし、
文系さんは恋愛というものに理解と興味はありつつもまだまだ自分ごとじゃないので。


二人とも成幸さんのことを好きになったり好きだと自覚したりする日が来るかもしれませんが、それは多分成幸さん以外の相手でもいずれはそうなれる気がします。

 


でも、うるかさんは「成幸じゃなきゃダメ」ですからね。

 

 

ブコメというと男性主人公に自身を投影する読者も多いので、「一番人気の女の子エンド」になりがちですけど。

私は漫画の中の話とはいえ各登場人物の心情を大事にしてほしいので、「一番主人公のことを好きな女の子エンド」になってくれたらいいなと思います。

 


……まあ、下手したらうるかさんは「一番好き」かつ「一番人気」という高みに到達するかもしれませんが。


よくこんな素晴らしいキャラクターを生み出せたものです。

 

 

 

 


と、これだけうるかさんを上げておいてなんですが、私は文系の文乃さん推しです。


今週も友人として二人を的確にフォローしていたりシレッと替え玉を頼んでいたり、静かにマイペースに魅力を振り撒いてはりました。


何より、ラスト1ページの文乃さんが……。


目立たないんですけど。

さりげない仕草なんですけど。


今週は明らかにうるかさんが(読者を)穿ち抜いた回だったんですけど。


文乃さんだって僅かラスト1ページで「五分に戻す」ほどの魅了を見せつけてくださったんですよ。

 


うるかさん大勝利! 


ん? 


いや。


待てよ……。


そう言い切っていいのだろうか……(煩悶)

 


てな感じに読者を悩ませる締めくくり。

 


いいですね。


ますます巧みになってますねこの漫画。

 

 

文乃さんは文系の天才というだけあって、この漫画で唯一「あらゆる登場人物の思考心情を直ちに確かに理解できている」という特長を持ってはります。

数学や水泳は直接恋愛と結びつきませんが、「この女の子の気持ちを類推しなさい」は国語力そのものですもんね。

(ラブコメにおいてはジョーカーとなり得る存在だと思います)


恋愛やら人間模様やら何やらかんやらを通じて、文乃さんが「文系学問がいかに世界を豊かにしているか」に気づいてくださったりしたら個人的には嬉しいです。

もちろん、天文学の夢はそのままで。

 

 

 

 


今週のジャンプは、他にもいじらしい女性が目立つ展開でした。

 


Dr.STONEのコハクさん。

めっぽういい女ですね。

 


火ノ丸相撲の礼奈さん。“ぐっ…”

ラストの豪栄道関っぽい顔のライバルも気になります。

 


ゆらぎ荘の幽奈さんの緋扇さん。

「色好い答え以外聞く気はない!」という、残念な人が口にすれば超ヤバくて、魅力的な人が口にしても超ヤバい台詞を決めてくださりました。

 

 

最近の少年はいじらしい女の子が好みなんでしょうか。

「Wrestling with もも子」のように男を導いていくような女性像もいいもんなんですけどね。

 

 

 

他、まったくいじらしくはありませんが、食戟のソーマが久しぶりにけしからんイリュージョンを見せてくれて満足度が高かったです。

 

 

後は、磯部磯兵衛物語が唐突に終わっていて悲しかったです。

カムバックアーリィ仲間りょう先生。

 

 

 

 

本題に戻しまして。


ぼくたちは勉強ができない」のキャラクターの掘り下げが更に進んで、きれいに着地いたしますように。

 

 

 

「モスチーズバーガーがうまいことを再発見」

 

 

長い長いハンバーガー歴を経て、自分が「モスチーズバーガーこそ至高」というポジションに還ってきたことに気づいてかんたんしました。

 

mos.jp

 

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※画像はオフィシャルホームページより引用

 

 

 


モスチーズバーガーがうまくてうまくてたまらない……



やわらかい食べ味のハンバーグ。

モスを象徴するトマト。

安心するうまみのミートソース。

モスならではの白いまったりチーズ。

驚くほど鮮やかなオニオン。

すべてを抱き留めてくれるバンズ。

 


はしたなさとか何もかもを忘れて、紙で包んだヤツを大口で喰らう。

かぶりつく。

気持ち的にはがぶり寄り。

 


ああ、個々素材の一体感……漲る感……ハピネスチャージ……!

 

素材がいいだけではないんです。

渾然一体。

ハンバーガーの一種というより「モスチーズバーガー」という独立した食べ物になっているくらいのまとまり良さ。

 

 

やさしくて……あたたかくて……うまい!

 

 

 


モスチーズバーガー。

こんなにおいしい食べものでしたっけ。

 

 

<回想>

 

数十年前、初めてモスチーズバーガーを食べたとき。

私はたちまち彼のことを大好きになった。


そうだ、あの時も私は彼との出会いを感謝していたんだ。

 

 

 

時が経って。

 


私はたくさんの恋を重ねた。


ライスバーガー。


ホットドッグ。


とびきりハンバーグ。

 

 

白状するとフレッシュネスバーガーに心を移してもいた。


「他のチェーンと俺はちょっと違うで」感。

パティもバンズも個性的な強さの持ち主で。

あのアボガドを入れようが収まることのないクラシックバーガーの肉汁の迫力。

ちょっとしょっぱめのマッシュルームクリームスープもセクシー度が高い。

だいたいあそこのオレンジジュースはなんであんなにおいしいんだ。

 

 

 

世間は「ボリューム・肉汁たっぷりハンバーガー」が花盛り


次々に現れるハンバーガーがウリの個人店舗。

ビールとハンバーガーを合わせる喜び。

流行っているものを食べているんだというイケてる社会人感。

 

 

 


そんなこんなで、私はモスチーズバーガーを注文しない大人になっていた。

 


だが。

転機が訪れた。

 


身の回りのちびっ子たちが大きくなって、ハンバーガーを食べたがるようになってきたのだ。

 


モスワイワイセット


あれはいいものだ。

500円もするだけはある。

手づくり感漂うおもちゃもいい。


何より、モスバーガーではシニアが積極的に活躍していて、お婆ちゃん方の対子ども接客が素晴らしい。

子連れにとっては最高の店のひとつなのである。

 

 

 

私は再びモスバーガーのメニューあれこれを食べるようになった。


子連れで昔の恋人に会っているような背徳感を胸に抱きつつも。


肉汁感や流行感を無理強いしない、居心地のよい包容力が私を捕らえて離さない。

 

 

そして、行き着いたのはモスチーズバーガーだった。

数多いモスのメニューラインナップのなかで、私が選んだのはやっぱり「はじめての味」だったのだ。

 

 

モスチーズバーガー。


私が他のハンバーガー野郎たちに目移りしている間に。


あなたは静かに着実に実力を磨いてはったんだね。

優しい人柄は何も変わることなく……!


若い頃に気づかなかったあなたのオニオンのよい仕事ぶり、いまなら分かるわ。


もうあなたから離れたりしない。

私はずっとモスチーズバーガー一択よ。

 

 

<回想終わり>

 

 

そんな心持ちで最近おる次第です。


ハンバーガーに限らず、「定番品」の味を再発見したり回帰したりした時って、なんか妙に嬉しいですよね。

 

 

これからもモスチーズバーガーが堅調にブラッシュアップされていきますように。