肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「怪盗くいしん坊 感想 ビッグ錠先生の絵はスプーンづかいがいいよね」ぶんか社

 

令和4年の年の暮れにビッグ錠先生の食漫画の新刊が発売されるという信じがたい事件が起きていてかんたんしました。

 

www.bunkasha.co.jp

 

 

ビッグ錠の最新コミックスが登場! 料理上手なドロボウ・コングが活躍する「快盗くいしん坊」のほか、名作「スーパーくいしん坊」の香介がおじさんになって登場する「想い出のくいしん坊カレー」、ラーメン作りの天才・免馬麺平(めんまめんぺい)とラーメンロボの対決を描いた「対決ラーメンロボ」の2本を巻末収録! そのほか、ビッグ錠の書き下ろしによる、グルメコラム12本、想い出コラム12本、計24本のコラムも収録!

 

 

主人公は表紙のヒゲハゲの汚らしいおっちゃん。

あまり食欲がわく顔ではありませんが、なかなか楽しそうに暮らしている好漢ですので読んでいるとだんだん好きになっていきます。

 

このおっちゃん「コング」さん、刑務所を出所したばかりでどこにも雇ってもらえず、仕方なしに刑務所リターン狙いで強盗に入るのですが、生来の人の良さと料理の上手さで住人に気に入られてしまい刑務所に戻れない……というのがお話の基本軸。

 

 

出てくる料理は

第1話 カップ麺のお好み焼
第2話 サンマの塩焼き
第3話 ラーメン
第4話 すき焼き
第5話 コンビニ弁当
第6話 お粥①
第7話 ハヤシライス①
第8話 ハヤシライス②
第9話 湯豆腐
第10話 ふぐ雑炊
第11話 お粥②
第12話 フランス料理
想い出のくいしん坊カレー
対決ラーメンロボ

 

という目次の通り、なかなか庶民的なラインナップです。

ビッグ錠先生のお好みらしく中華風の粥が二回出てくるのが特徴かも。

個人的には、読んでいて一番食べたくなったのはふぐ雑炊です。

 

 

ビッグ錠先生の作画、現代の食漫画との比較で言えば決して精緻ではないのですけど、独特のキャラデザインに色気があっていいんですよね。

主人公のコングさんがヒゲハゲのおじさんだけに、ちょいちょい登場するヒロインや子どもたちの指の長さ、歯や唇の動き、角度の効いた身体のライン、それぞれの線にこなれたチャームさがあって好きだし、色あせないおしゃれさがあると思います。

 

そして、そうしたビッグ錠先生の絵の魅力である指や唇にぴったりハマるのがスプーンづかいの作画でして、「うんめぇ~~」という名ゼリフ以上に、ビッグ錠キャラがスプーンを口にしてモムモムしている絵にはシズル感みなぎるパワーがあるんですよね。

ビッグ錠作品、カレーの印象が強いのもさもありなんですわ。

 

 

テキストもビッグ錠ブシでして。

 

主人公が強盗をたくらむにしても

しかしコンビニはどうもねぇ落ち着かねぇや

やっぱり強盗はちゃんとした住宅でないとな

 

みたいなセリフがポンと出てくるのがさすがです。

登場人物がその人なりのクセのある美学を持っているのがいいんですよね。

 

 

ビッグ錠先生は現在83歳。

これからもお元気に、そして元気みなぎる漫画を引続き発表してくださいますように。