レイトショーの「翔んで埼玉」を観に行ったら完売満席だわ観客笑いまくりだわ終わったら拍手起こるわと大好評で実際めっちゃ完成度が高かったのでかんたんしました。
これは良い漫画原作映画、上質な地方ディスプロレスエンターテイメントですね。
関西人が見ても充分笑えましたので、関東人が観たらもっと楽しいんだろうな。
パタリロで有名な魔夜峰央さんの原作を映画化した作品になります。
言葉ッ面だけ引用したら大変な誤解を生みそうな名台詞※満載、しかも全3話で未完の原作をどうやって映画化するんだろうと思っていたら。
※私のお気に入り台詞は「ああいやだ! 埼玉なんて言ってるだけで口が埼玉になるわ!」です。
これが原作の毒と味とBLをしっかり活かしつつ、完成度を抜群に高めたすんげえ仕上がりになっていて、正直驚きました。
ぶっちゃけ、映画としては爆死すると予想してたんですよね笑。
それが意外な繁盛ぶり、実際観たらこらおもろいわ、でしたもので。
ネタバレはしませんが、監督さん(武内英樹氏)や脚本家さん(徳永友一氏)の構成力・テキスト力に何よりかんたんしました。
かなり原作からアレンジが入っているにも関わらず、原作のテイストを忠実に再現しているような視聴感覚があり、
展開のテンポよさ、埼玉および関東諸都県のご当地ネタがふんだんに散りばめられた笑いどころの連続があり、
何より各土地への強い愛情がしっかり伝わってくる、丁寧な画面づくり展開づくりがあってですね。
他所の土地で生まれ育った者でもしっかり共感できるような、普遍的な楽しさに満ちておりましたよ。
関東にあまり馴染みがなくても、ニュアンスは充分に伝わってくると思います。
皆ご当地いじりが好きなんだよね。
画としては、後半の合戦シーンの膨大かつローカルな大軍っぷりがよございましたね。
人の数が多い画面は純粋に迫力と勢いがあって好き。
GACKTさんはハマり役でGACKTさんのままでいてくれれば脚本に完全マッチしているものですから素敵でした。
体当たりの、濃厚なキスシーン(二階堂ふみさんとではありません)も一見の価値はあると思います。
伊勢谷友介さんは匂い立つような色気があっていい俳優さんですね。
執事 兼 千葉解放戦線リーダーというシュールな役柄に謎の説得力とドラマ性を与えてくれる存在感にときめきました。
原作にないオリジナル要素、現代パートの登場人物であるブラザートムさん、麻生久美子さん、島崎遥香さんの空気感も好き。
この3人の噛み合わせがしっかりしているから、GACKTさんや二階堂ふみさんの熱演や超現実的な展開の楽しさが一層引き立っていたと思います。
共通して言えるのは、主演さんも助演さんも演技が皆すげぇ楽しそうなんですよね。
たぶん撮影スタッフも編集スタッフも楽しかったんじゃないかな。
他人が突き抜けるくらい楽しそうにしているのを見たら、羨ましいとか妬ましいとかじゃなくて、もうなんかこっちも楽しくなってきちゃうじゃないですか。
この映画の総評としては、要はそんな感覚なのであります。
だからいいエンターテイメントだと思うの。
はなわさんのエンディングテーマのネタの数々にも笑っちゃいました。
はなわさんの出生の秘密にも驚き。
最後まで楽しい映画でした。
自然と観客から拍手が起こった映画は久しぶりであります。
映画館の帰りのエスカレーターやエレベーターで、口々に「面白かったね~」「あのシーンが~」とか語っている時間も含めて、いいですよね。
こんな映画や原作漫画を受け容れてくれる埼玉県、すごいと思います。
伊達に畠山氏とか武蔵七党を生んでないっすわ。
こうした愛ある地方ディスプロレスが受け容れられる程には度量ある世の中であり続けますように。