肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

てんやの「柚子こしょう鶏天丼」

 

てんやの「柚子こしょう鶏天丼」にかんたんしました。

 

www.tenya.co.jp

 

 

天丼は油っぽいのであまり好きではないのですが、
てんやの天丼はけっこう好きです。


……なんでだろう。
油とタレがあまりクドくない、軽いタイプだからか。
いつ食べてもご飯がしっかりおいしいからか。
大根の漬け物が爽やかだからか。


それら全部合わせて、値段のお手ごろ感も加えて、
満足感のバランスが高いからなんでしょうね。

 


何か月かぶりに来訪したところ、
期間限定メニューが出ていたので注文してみました。

てんやでは普通の天丼が一番お気に入りなのですが、
時々顔を出す「肉系」の天丼も侮れません。


この「柚子こしょう鶏天丼」は

 ・鶏天2枚
 ・つくね
 ・れんこん
 ・いんげん

これに半熟卵を加えて、並盛650円です。
味噌汁も付きます。

 


天丼を食べる時、どのタネから食べていくか悩みませんか。

例えば手前のタネからいくと食べやすいのですが、
そうするといきなり海老を食べることになったりして
後半の打線が貧弱になってしまいます。 
貧乏性なので、メインのタネは最後の方まで取っておきたいのです。


そこでこの鶏天丼なのですが、
一番手前に乗っているのは「つくね」なのです。

何も考えずに、メニューもちゃんと読まずに口にしたので、

……これ何や?
肉々しい……あ、これつくねか。そっか、鶏天丼やもんな、
うんうまい。

という感じで嬉しい驚きがありました。
味がよいだけでなく、「大物感」も充分に楽しめて幸先よいです。


次に控えるいんげんとれんこんも、
半熟卵のバフで30%くらい力が増しているため
中盤戦を堅実に繋げていってくれます。


そして終盤に控えるのが鶏天。
10㎝くらいで、思ったより大きい。

メインを張るだけあります。
これは期待通りのおいしさでした。
いい塩梅に熱が入った身肉はジューシーかつぷりぷりと柔らかく。
柚子胡椒ダレとの相性も最高。
ご飯を進ませる力も最高。

むしろご飯が足りないくらいになるのですが、
いまからでも追加でビールを頼みたくなるのですが、
そこは我慢して漬け物と味噌汁で幕を降ろします。

相変わらず、てんやの漬け物と味噌汁はいい。
熱いお茶と冷たいお茶の両方を飲めるのもいい。


この店とこの品を頼んだ自分は間違ってなかったと、
安心し、確信できるような味でした。

やー満足です。


てんやは好きなチェーン店なのですが、
関西に店舗が少ないんですよね。
どうやら関東中心のグループのようです。

いたずらに店舗を増やすのはリスキーかもしれませんが、
私のように待っている客は多いと思います。

関西のJR・私鉄沿線、主要駅への出店が続きますように。

 

 

 

 

「コーエーテクモホールディングスの株価('17.3)」日経新聞 コーテクHD、命運握る「10年越しの新作ゲーム」  証券部 南雲ジェーダ記者

 

今朝、日経新聞(電子版)の目立つ位置にコーエーの記事が載っていて、
かんたんしました。

 

www.nikkei.com

 

 

印象ベースですが、コーエー社の記事が日経新聞のトップ周辺に
掲載されることは珍しい気がします。

記事をざっくり要約すると以下の通り。

  ・コーエー社の4月~12月業績はいまいち
   (連結営業利益は通期計画のわずか30%)

  ・ここから計画をやり遂げ、増益を果たせるかどうかは
   2/9に発売した「仁王」にかかっている

  ・「仁王」は全世界的に好調な滑り出しで、市場も好感。
   株価は7日に上場来高値(株式分割考慮後)となる2310円をつけた
  

 

「仁王」は未プレイですが、評判がいいようですね。
松永久秀なんかも出てくるそうで興味深いです。
このご時世に、死にまくる前提のハードなゲームが売れるというのも驚きです。

 


さて、コーエーの株価ですが、上場来高値とは実にめでたいですね。
社内や関係者は盛り上がっているのかな。

 

私はコーエーの株を買おうか検討したことがあります。
以前、別のアカウントで信長の野望について、

 ・もう少し三好家が強くなればいいのに
 ・畿内勢力配置を正確にやってくれればいいのに
 ・摂津や河内の国力評価を高めてくれればいいのに
 ・それにしても河内畠山家が哀れだ

みたいなファンの戯言を書いたことがあるのですが、
人様に意見するなら株のひとつくらい持っておくのが筋かなと思いまして。

それで去年('16)の暮れくらいに株価を見たところ、
やたら高止まりしている感じだったので買うのはやめにしたのです。

あれから更に上がったとは。


コーエーの株価推移は以下の通りです。

www.nikkei.com

 

アバウトに言うと、'17.3月現在の株価は2,300円弱。
'9の上場時は600円ちょい、
'11頃の底値だった頃は500円前後、
それから'13の「創造」発売前後からずっと右肩上がりに伸びてきています。

底値の頃に買っておけば今頃4倍以上になっている計算ですね。
'11と言えば確か「天道」が良作なのに「革新」ファンから叩かれて、
その後出た「三国志12」ももうひとつ評判がよくなかった頃でしょうか。
叩かれている時こそ株を買っておけ、ということですかね。

まあ、後出しで何を言ってもですけれど。


コーエーの株価が今後どうなるか、素人の私にはもちろん分かりませんが。

ポジティブ材料としては、

 ・「仁王」が日本でも海外でもヒット
 ・コーエーは「日本の歴史もの」という固有の強みを持っている
  (海外でもサムライ・ニンジャコンテンツは一定の需要がある)
 ・テクモ由来の「やわらかエンジン」なる固有の強みも持っている
  

www.gamecity.ne.jp

辺りが思い浮かびます。


反対にネガティブな材料としては

 ・英邁な君主「シブサワ・コウ」の後継者問題
 ・ゲーム業界全体を襲っている開発費の高騰
 ・海外ライバルメーカーの技術力・資金力のエグさ

などが考えられます。

特に「シブサワ・コウ」およびその奥様の実力が上手く後進に受け継がれていくかは
コーエー特有の課題だと思いますね。
任天堂スクウェア・エニックスは既に代替わりを幾度か経験していますし。


「戦国立志伝」発売頃にかんたんした記事なのですが、

gekkan.bunshun.jp

news.denfaminicogamer.jp

 

こういう極めて面白いインタビューが成立してしまうくらい、
この創業者夫婦は偉大で魅力的なんですよね。

まんま戦国時代や三国志の名君だと思います。
織田信長にしろ武田信玄にしろ劉備にしろ曹操にしろ、
彼らが去った後に家運は傾いている訳ですから。

コーエー家」が代替わりして勢力を拡げていく後北条家的なノリでいくのか、
代替わりせずに現役を貫く朝倉宗滴のノリでいくのか、
残念ながら後半シナリオみたいな人材スカスカ状態になってしまうのか。
注目したいと思います。

 


ゲーム会社の株と言えば、ほろ苦い経験をしたことがあります。

もうずいぶんと前のこと。
私はコナミの「悪魔城ドラキュラシリーズ」が好きで、好きで、
応援のつもりでコナミの株をン十万円分買ったことがあります。

ファンコンテンツへの「課金」に近い心情だと思うのですが、
既に2D路線と3D路線の狭間で迷走し始めていた悪魔城シリーズの先行きが不安で、
せめて1999年ユリウス主人公の新作が出るまでは、
悪魔城伝説ドラキュラ伝説2のクロニクル版が出るまでは、
と願って株を買ったのです。

もちろん、株を買ったら好きな作品が出ると本気で思っていた訳ではないですよ。
当時も、預金しても増えない、ATM手数料で目減りするだけの環境だったからです。
生活の足しにするには株なり何なりの投資をするしかなかったから、
どうせなら好きなメーカーの株を買っちゃえと思ったのです。


それから、コナミの株価は大幅に値上がりし。
上手いこと売りさばくこともできたので、私はけっこうな額の小遣いを手に入れました。

 

……悪魔城シリーズは息絶えました。

 

コナミは株主にとって、正しい経営をしたのです。
資源資本に限りがある中、パフォーマンスのよろしくないコンテンツは
容赦なく切られてしまいました。

投資効率だけで見れば、どの業界でも「舌の肥えた個人客」相手の商売は儲かりません。
品質にケチはつける、
おぜぜは従来作品並かそれ以下しか払わない、
ネットや口コミで悪評は拡げまくる。
オールドでコアコアなファンなんて、経営者から見たら邪魔者なのです。


よくよく考えてみれば、いまにして思えばそれが分かるのですけれど。
好きなシリーズを潰すのに自分が加担して、
それで報酬を貰ったような気になってしまったんですよね。


コーエーの株価とニュースを見て、そんなことを思い出してしまいました。

太閤立志伝6だとか、
ロードとムーブが速くてエンディングの性別縛りをなくしたジルオールだとか、
そういう作品を期待している私はコーエーの株を買わない方がいいのかもしれません。


以上、コーエー(とコナミ)の株価に関する、何の参考にもならない与太話でした。

 


……100年後のイースターの日でいいから、悪魔城ドラキュラが復活しますように。

 

 

「牧師館の殺人」アガサ・クリスティーさん(羽田詩津子さん訳)

 

 

アガサ・クリスティーさんのミステリ「牧師館の殺人」にかんたんしました。

 

www.hayakawa-online.co.jp

 

 

 

ネタバレはしません。


超人気作家なので当然と言えば当然なのですが、
アガサ・クリスティーさんの作品はハズレがないというか、
ミステリが読みたくなった時に迷ったら選んどけという安心感があります。
(と言っても、5-6冊しか読んだことはないのですけど)

去年の末にNHKで「そして誰もいなくなった」のドラマもやってましたしね。


この小説は「ミス・マープル」という女性を主人公としたシリーズの
第一弾になります。

ミス・マープルとはどんな主人公かというと。

いわゆる「職業探偵」ではありません。
もちろん「警察官」「刑事」でもありません。

「片田舎」の「ゴシップ大好き婆ちゃん」であります。

この掴みが既に上手いですよね。
「近所の婆ちゃん」が殺人事件を解決する小説。
これだけで、ちょっと読んでみたくなりませんか。


この小説は、ミス・マープルではなく、クレメント牧師という人物の視点で
物語が進んでいきます。

殺人事件が起きて以降、関係者の話を聞いて回ったり遺留品を捜してみたりと、
いわゆる「にわか探偵役」の行動はすべてクレメント牧師が担当します。

その間、ミス・マープルが何をしているかというと?
ほとんど家から出ていかないで、近所の人(クレメント牧師含む)がもたらす
噂話を集め、分析し、仮説をつくり、検証して……ということを
一人で黙々と行っているのです。

そうして、ミス・マープルの中で完全な確信が得られた時、
始めて彼女は推理を披露し、それにしたがってクレメント牧師や警察が
犯人を追い詰めることになる訳です。


噂話をもとに「犯人はあの人ですよ。動機はこう、トリックはこう」と。
ミス・マープルはどうしてそんな離れ業ができるのか?

確かな記憶力、鋭い観察力に加え、人間心理に対する深い洞察力……
小説を読み進めていくと、彼女の尋常ならぬ能力と魅力に驚かされるばかりです。

 

わたしのように長いこと人間性を観察してきますと、多くのものを期待しなくなるんです。たしかにむだなおしゃべりはほめられたものではありませんし、残酷ですけど、たいてい真実をついていますのよ、そうじゃありません?

 

直感は言葉をつづらずに、言葉を読むようなものなんです。子どもはほとんど経験がないので、それができません。でも大人はその言葉を何度も見ているので、できるんです。

 

誰かを知るには、これまでに知っている人や出会った人と比較するしかありません。はっきりした類型は全部あわせてもほんの少ししかないとわかったら、驚かれるでしょうね


ミス・マープルはこうした台詞通りに事件を観察し、関係者の内面・人間性を洞察し、
人生で得た経験・類型と照らし合わせて……直感的に真実を見つけ出してしまうのです。
唸ってしまいますね。
安楽椅子探偵」という言葉があるそうですが、
この作品なんかがまさに当て嵌まるのでしょう。


ちなみに、私はクレメント牧師同様、ミス・マープルによる説明抜きには
犯人もトリックも分かりませんでした。

真相に関係する情報と関係ない情報が手元で混ざっていて、
関係ない情報の方に振り回されてしまったのです。
口惜しいですが、口惜しいだけミス・マープルの凄さが引き立ちます。

ミステリというやつはトリックを解けた作品よりも、
解けなかった作品、騙されてしまった作品の方が印象に残りますしね。


この作品の舞台となる「セント・メアリ・ミード村」も印象に残りました。

イギリスの話のはずが、なんか日本の地方部っぽい雰囲気なんですよね。
(これは訳者の羽田詩津子さんの力量も大きいのでしょう)

若者が少なくて、噂話が好きな年寄りはいっぱいいて、
表向きは平穏だけど裏では隠し事や揉め事や嘘がいっぱいあって。
人の数と出入りが少ない分、コミュニティメンバーの経歴や思想やプライバシーを
互いに知り尽くしてしまって、互いに複雑な感情も溜まっていて……。

こうした舞台設定が一人ひとりの登場人物に強力に作用し、
リアリティある性格や台詞に繋がっているように見受けられました。
ミステリに限らず、その時代や土地の匂いがするようなキャラクターを
生み出すことができれば、作品の質はぐっと上がるのでしょうね。


他の読んでいないミス・マープルものにも手を出してみようと思います。

その時もまた、事件に振り回されて、あっと驚かせてもらえますように。

 

「今朝見たかっこいいサラリーマン」

 

今朝、かっこいいサラリーマンを目撃してかんたんしました。

 

少し人通りの多い道を歩いていたところ、
私の3メートルくらい先で、横から飛び出してきた自転車のお婆ちゃんが
通行人にぶつかって転んでしまいました。

幸い、頭など危ない箇所を打った様子はありませんでした。

その時です。
お婆ちゃんが転んですぐさま、
ぶつかった通行人のサラリーマンがお婆ちゃんに手を差し出し、
隣を歩いていたサラリーマンがお婆ちゃんの荷物を拾い、
少し後ろを歩いていたサラリーマンがお婆ちゃんの自転車を立ててあげたのです。

3人の兄さんおじさんたちの迅速で当然感溢れる親切は本当に格好良かった。


私はただ、離れたところで一部始終を見ていただけです。
格好悪い。

や、私とて、難儀している人に親切をしたことくらいありますよ。

でも、今朝は本当に格好悪くて、自己嫌悪したのです。
脇道からふらふら出てきた自転車の動きが不自然で、
一瞬「酔っ払い? 当たり屋?」と感じてしまったんですよね。

よく見たら足腰の弱そうなお婆ちゃんだったという。

不審……? → あ、お年寄りやん、助けなきゃ。

と思った頃には、既に3人の紳士がお婆ちゃんに善意を施していたという顛末です。


別にウドやメトロシティで暮らしている訳でもなし、
変な警戒心に囚われて歩いている自分はみっともないと思いました。

 

次似たようなことがあったら、すっと親切に加われますように。

 

 

 

「出没!アド街ック天国~越後 湯沢温泉~」

 

出没!アド街ック天国~越後 湯沢温泉~」にかんたんしました。

録画していたのをいまさら観たんですが、これはすごいですね。
上杉謙信も女犯の禁を破るレベルです。

 

www.tv-tokyo.co.jp

 

 

私はアド街ック天国が好きです。

出てくる街の9割5分は知らない土地なんですが、
それでも観ていて面白いんですよね。

例えば15位に入る「○○物語」。
その土地のちょっとした歴史を気楽に紹介してくれて、
知り合いができたような気分にさせてくれるのが快いのです。


この番組で見知らぬ街の商店街なり名物店なりを観ていると、
「ああ、どこも変わらないなあ」という気分になります。
私は田舎者なので関東……東京……と聞くとすこし身構えてしまうのですが、
この番組を観ていると親近感が湧いてきます。

馴染みのない土地の生の暮らしに触れて、自分の中の原風景に気づく。
人によっては「鶴瓶の家族に乾杯」だったり「にっぽん縦断こころ旅」だったりすると思うのですが、私にとってはアド街ック天国がそういう機会を与えてくれる番組なのであります。

 

アド街ック天国は取り上げる街によって、けっこう特徴が分かれます。

下町回。
昭和懐古回。
グルメ特集回。
最新人気スポット回。

そしてビーチ回と温泉回。


それぞれ面白いし見応えがあるのですが、
夏場の海・プール、冬場の温泉を紹介する回は
とりわけスタッフの気迫を感じます。
端的に言えば、女性の露出がすごく増えるのです。

先週末の越後湯沢温泉回はその中でも白眉の出来でした。

既にネットでも話題になっているようなので
未視聴の方は適当に検索でもしていただきたいのですが、

(参考)

アド街ック天国 越後湯沢温泉 ありのまま - Google 検索

 

胸の突端や脚の付け根を断固として隠しつつ、
風景と温泉と女性の美しさを徹底的に引き出した映像美は、
千言万語を尽くしても太刀打ちできない動画像の力を知らしめてくれます。

そして、夜9時放送の限界に挑んだその勇気は、
「制約は新たな創造を産む」という人間賛歌を思い起こさせてくれます。

放送終了時に出演者の一人がスタンディングオベーションしていましたが、
あの行為は多くの視聴者の気持ちをこれ以上なく代弁してくれていました。
素晴らしい創意工夫に立ち会った時、人は自然と拍手してしまうものなのです。


この回については私の周囲でも話題になったのですが、
老若男女関係なくみんなが絶賛していたのが印象的でした。

けしからんシーンをつくることに知恵と情熱を注ぎ込みまくった結果、
けしからんを超越した何かになってしまったということなのでしょう。
新たなアートの誕生です。
我々視聴者は乳首に勝るとも劣らない偉大なものを目撃したのです。


いつの日か再放送されたり、この回を上回る回が放送されたりしますように。

 

 

 

「2017大相撲春場所 番付表」

 

いただいた春場所の番付表にかんたんしました。

 

f:id:trillion-3934p:20170304123425j:plain

 

www.sumo.or.jp

 


横綱稀勢の里
横綱時代。

白鵬日馬富士鶴竜も好きな私にとっては、夢のような時代です。
それぞれ怪我を抱えていますが、この贅沢な布陣は失うに惜しい。
それぞれ発奮して、土俵を一層盛り上げてほしいと思います。


関脇琴奨菊
関脇琴奨菊……。

日本人No.2を長らく続けてきたこの力士、去年は気の毒にバッシングを浴びました。
優勝して調子に乗ってたとか、嫁さんが前に出すぎとか。

いいじゃないですか。
人前で嫁さんを自慢できる男とかむしろ立派じゃないですか。

彼が優勝したから他の力士も続いたのに。
白鵬の時代にヒビを入れたのは間違いなく琴奨菊なのに。
去年一年を通じて相撲が盛り上がったのは琴奨菊あってのことです。

前頭の時代から彼を応援している私としては、
そりゃ難しいとは分かっていますが、大関復帰を信じて祈りたいと思います。

チャーミングな力士は多いですけど、
琴奨菊はその中でも一際チャーミングですよ。

白鵬は「凄い!」、
日馬富士は「熱い!」、
鶴竜は「上手い!」
稀勢の里は「強い!」、
そして琴奨菊は「大きい!」のだと思います。

琴奨菊がいなくなってから、初めてその存在の大きさ、
大らかな人柄、大らかな表情、大らかな強さの魅力に気づいて、
「なぜ我々は琴奨菊に辛く当たってしまったんだ……」と
後悔する人は絶対多いと思います。

あの気持ちが入っている時の当たりの威力、ガブりの強大さ。
日頃多少成績が落ち込んでいようが、
会心の立ち会い(主に稀勢の里戦で)一発で盛りあげてしまう立ち位置のずるさ。
思い出してください。

いなくなったらさびしいでしょ?

さあ応援しましょう。


ご当地の豪栄道、勢、宇良、大翔丸の活躍も楽しみですが、
琴奨菊が気になって集中して応援できなさそうです。

千代の国と石浦は顔もスピードも格好いいので更に番付を上げてほしいです。

ああ、観に行きたい。
でも稀勢の里効果で混みまくってそうだし、当日券も厳しいだろうなあ。


春場所、旧大阪府立体育館
昔、体育館の向かいにおいしいカツ丼屋さんがあったんですよね。
力士の方もよく来店していました。

もうずいぶん前に閉店してしまいましたが、
あそこのカツが2枚乗ったカツ丼はいまだに忘れられません。


お気に入りの食べ物も力士も、
いつかはいなくなってしまいます。
体育館の前を通るたびに無常感を抱いてしまいます。

いまの大相撲は本当に土俵が充実していると思います。
このよき時代が少しでも長く続きますように。

若手力士にとっては逆にきっつい時代だと思いますが、
いまの上位力士陣を超える逸材がたくさん出てきますように。

 

 

「2017大相撲春場所 結果」 - 肝胆ブログ

 

 

 

「ラーメン発見伝&らーめん才遊記」作 久部緑郎先生/画 河合単先生

 

漫画「ラーメン発見伝」と「らーめん才遊記」にかんたんしました。

 

www.shogakukan.co.jp

 

www.shogakukan.co.jp

 

食べもの漫画が好きで、時々目についた作品を買って読むようにしています。

この作品は、コンビニのペーパーブックスで購入していました。

 

私は先に「才遊記」から読んでしまったのですが、
作品の時系列としては「発見伝」→「才遊記」となります。
ストーリーの繋がりは薄いのでどちらから読んでも問題ありませんが、
発見伝から読んでいれば才遊記の数箇所でニヤリとできる感じです。

ちなみにこの2月末に発見伝の最終巻が出たところで、
3月末からは才遊記の1巻がコンビニで出るようです。


以下、若干のネタバレを交えつつ、両作品を紹介します。

 

 

 

 

 


発見伝は脱サラしてラーメン屋になりたい男が主人公、
才遊記は料理研究家の親許から逃げてきた女が主人公です。


発見伝のあらすじ。

主人公はラーメン屋を開く開業資金を貯めるため、
昼間は商社でサラリーマン勤めをし、
夜は修行のために公園でラーメン屋台を出しています。

二重生活な訳です。

そんなある日、主人公は会社でラーメン事業の担当になることに。
ラーメン事業の開発、ラーメンを通じた人助け、ラーメンライバルとの対決等を経て、
主人公は念願の脱サラ・ラーメン店開店を果たす……という流れになります。

 

才遊記のあらすじ。

主人公は著名な料理研究家の一人娘です。
世間常識はありません。B級グルメであるラーメンの知識もありません。
名前はゆとりちゃん。まんまかいな。
但し、母の薫陶により料理スキルだけは並外れたものがあります。

とあるきっかけでラーメンという食べもののワクワク感を知った彼女は、
前作発見伝の主人公のライバルが経営するラーメンコンサルに入社します。
そこでラーメン関係のコンサルや人助け、ライバルとの対決に励んでいった末に、
最後は料理研究家の跡を継がせたい母と、ラーメンで生きていきたい娘の
母娘対決に繋がる……という流れです。


この両作品、作者さんの「ラーメン業界に対するリスペクト」が
素晴らしいんですよね。
ここまで敬意を尽くしてくれれば、取材先のラーメン屋さんも満足を超え、
誇らしいとすら感じていただけるのではないでしょうか。


ストーリー。

この両作品は一貫して「ラーメンの進化・発展」を掘り下げているのですが、
面白いことにこの漫画自体も「既存の料理漫画の進化・発展系」なんですよね。

昭和風シンプルラーメンが「美味しんぼ」や「ミスター味っ子」だとすれば、
この漫画はダブルスープとこだわりタレを絶妙のバランスで仕上げた、
いかにもな21世紀型ラーメンというところ。
先達の優れたところを取り入れつつ、独自の魅力を加えて正統進化させた感じなのです。

具体的には。

 ・料理を通じて人助け……美味しんぼミスター味っ子
 ・料理対決での盛り上げ……〃
 ・豊富なウンチク……美味しんぼ
 ・親子関係の葛藤……美味しんぼ
 ・主人公を導く強大なライバル……美味しんぼ
 ・問題を拾ってくるダメ上司……美味しんぼ
 ・審査員のオーバーリアクション……ミスター味っ子(アニメ版ほどではない)
 ・パートナーのかわいい女性……美味しんぼ(序盤)、ミスター味っ子(未亡人)
 ・ネタが切れたら三角関係……美味しんぼ

などなど、先人が築いた料理漫画の骨組みをよくよく研究し、
自分のものとしている感があります。
とりわけ、美味しんぼの影響は明らかですね。

 

その上で、この漫画の大変優れた工夫なのですが。
コンサルや対決のテーマに「実際的な店舗経営」を取り入れているのです。


印象的なエピソードをひとつ。
町の中華料理屋が高齢の為、後継者を探しています。
適切な後継者を主人公たちが探してくるという話の流れなのですが。

普通の料理漫画はここから「おいしい料理をつくった人」「心をこめた接客ができる人」を選ぶところ、この漫画では「自分では料理を作らず、店から出て、地域との信頼関係づくりや広告宣伝に力を入れた人」が大勝利するんですよね。
元々の中華料理屋のポテンシャルを踏まえれば、売り込み方を変えれば充分繁盛するんだと。飲食店経営は皿の中、店の中だけを見ていては駄目なんだと。

もちろん、ラーメンの出来栄え、味の良さで対決する話が多いのですけど。
ちょこちょことこういう経営ネタを入れてくる、
ラーメンの味のことだけを考えていたら大失敗、という戒めを刺してくるのです。


漫画のジャンルを「料理漫画」+「経営漫画」のダブルスープにしたようなもので、
下手なストーリーテラーならばとっ散らかってしまうところなのですが。
原作者の久部緑郎先生という方は相当に頭がよいのかセンスが巧みなのか、
漫画としてきれいに、読み易く、読み応えがあるように成立させています。

「主人公すげえ」より「作者すげえ」の方が正直な感想になります。
まったくジャンルは違いますが、「暗殺教室」の読後感に近いかもしれません。
研究と洗練の果てに完成した良作漫画、という印象です。


発見伝と才遊記の違いについては、どちらも面白いのですが
発見伝の方がいい意味で意識高めで、才遊記の方がいい意味でアホですね。

発見伝の主人公、昼間はグータラサラリーマンで一見美味しんぼ風なのですが、
第一話の時点で夜には屋台を出してラーメンの研鑽に励んでいるのです。
これって、凄いことですよね。
相当の覚悟がないと、普通の社会人はそんなことできません。続きません。

物語が進む中、一部界隈で有名な「ラーメンハゲ」こと芹沢さん

ラーメンハゲ - Google 検索

を始めとして、主人公の周りには強力なライバルや支援者が次々と登場します。

皆が皆、それぞれの方法で主人公に気づきを与え、主人公の成長を導くのです。
これは単なるラッキーではなくて、実力ある者ほど主人公の本気・努力を認めているからなんですよ。

 

発見伝は主人公を取り巻く、「格好いいおっさんたち」を愛でる漫画です。
よほど取材がしっかりしているのでしょう。
協力者である石神秀幸さんもよほど手厚い支援をされたのでしょう。
それぞれにモデルがいるのだと思いますが、
まあ出てくるおっさん一人ひとりの実に男前なこと。

ライバル芹沢さんばかりが目立ちがちですが。
昼間の上司、油断させて腹の中はキレッキレの四谷さん。
日頃はニコニコ、仕入れ先の不手際には激おこのギャップ萌え小池さん。
粗野で粗暴ながらも実は商売の本質を掴んでいる賢マッチョ武田さん。
カリスマ×復讐者×ツンデレ×メガネヒゲ×仏頂面という盛り盛りな千葉さん。

これはもうおっさんフェチには堪りません。

経営要素なんかを取り入れて人生は厳しい難しいといった態を取りつつ、
よく見ると「真摯に頑張った者がきちんと報われる」ストーリーになっている。
下手な自己啓発本を読むならこの漫画を3回読んだ方が遥かに良いと思います。


続編の才遊記は逆に、主人公のキャラクターで皆を引っ張っていく漫画です。
ゆとりちゃん(本名)は最高にアホで、最高にかわいくて、最高にすごい奴なのです。
前作最大の強敵芹沢さんですら、彼女にはペースを狂わされてしまうのです。

発見伝でラーメン屋経営がいかに厳しいか、
ラーメンをつくるのがいかに難しいかを散々やった後だからこそ、
ゆとりちゃんの天才性が引き立つのです。

発見伝ほど肩肘を張らず、勢いでピッコーンピッコーン言いながら
読み進めていくのが楽しいと思いますね。
ゆとりちゃんを見ていると元気が出てきます。

とは言え、一人のキャラでいつまでも引っ張っていくのは難しいのでしょう。
発見伝に比べれば短めのストーリーになるのはやむなしです。
真の意味でゆとりちゃんを食うような脇キャラも出てきませんでした。
そしてそれが、正しいスピンオフのあり方だとも思いますね。

 


作画。

河合単さんのイラストは独特の味わいがあります。
私がいいなと思う点を3つ挙げたいと思います。


1つ目。
写実的なラーメンの描写。

やはり取材をしっかりされた上で、写真などを参照しながら
描かれているのだと思いますが。
漫画の主題、ラーメンが実においしそうです。

ただトレースしているのではなくて、
ラーメン現物や取材先への敬意が伝わってくるかのようなのです。

さすがプロ! と唸らされてしまいます。

そして何より、見ているとおなかが減ってきます!


2つ目。
おっさんたち。

先ほどストーリーのところで散々書いたので短くしますが、
とにかくおっさんたちが格好いい。

イケメンなんてほとんど出てこないんですよ。
ゲジ眉主人公、ハゲ※、デブ無精髭、タラコ唇ロンゲ髭……とかばかり。

 ※万が一にも髪の毛をラーメンに落としたくないから剃っているという設定

絶妙にリアルな、その辺にいそうなビジュアルのおっさんばかりです。
でも、読んでいるうちに彼らが輝いて見えてくるんですよねえ。

若いうちにこんな漫画を読んでいたら(青年誌全般がそうですが)
おっさん好きの女子が増えてしまうじゃないですか。
不倫とかが増えて治安が乱れるじゃないですか。

そういう意味では禁書になりかねませんね。


3つ目。
女の子。

河合単さんが描く女性は……おっさんたち同様、体型がリアルなんです。
親近感を覚えざるを得ません。

平たく言えば、全体的に足が太いのです。
その癖、微妙に短いスカートをはいていたり薄着だったりします。
その状態で足を組んでいたりもします。

下着だとか裸だとか性的な描写だとかはまったくないのですが、
ちょいちょい挑発的な表紙であったり、
下ネタ混じりの会話であったり、
巨乳キャラが放り込まれたりしてくるんですよね。

ううむ、けしからんと言ったらよいのか、もっとやれと言うべきか。
サービスやテコ入れで書いているのか、作者の趣味で書いているのか。
判断に困りますが、味わい深い魅力があるのですよ。
なんかこう、いわゆる若い人向けの漫画にはない、
青年誌系の女性特有の艶ってありますよね。

 

 

さて、色々と発見伝・才遊記の魅力を書いてきました。

私はラーメンは京都派というか、
白状すると天下一品と新福菜館があれば幸せという人間なので、
東京の左の方っぽいシュッとしたラーメンの魅力は
実のところたぶんよく分かっていないのですが、
それでもこの漫画は面白いと思います。

繰り返しですが、ラーメンへの強いリスペクトが感じ取れるのがいい。
職業系の漫画はけっこうな数がありますが、
取材で流した汗の量を想像できるような漫画は多くありません。

ちょっと文字が多いので読むのに時間はかかりますが、
読んで後悔することはないのではないかと思います。

コンビニ等で見かけたらぜひ。
そして、私の家の近所に天下一品ができますように。