絵本「ひとりになったライオン」の迫力とおかしみと現実感にかんたんしました。
夏目義一さんという動物画家さんがいらっしゃいます。
私は↓のリンク先の、猫とカエルの絵が好きで。
動物画家 夏目義一の作品を紹介するWebギャラリー/動物画作品集1
動物特有の動き、表情、造形の美しさを緻密に細密に表現しつつ、
どこか愛嬌や親しみやすさ、彼らの生活感が匂い立つ作品の数々。
すばらしい絵描きさんだと思います。
その夏目義一さんが手掛けた絵本がこちら。
あらすじとしては……以下、ネタバレを含むのでご留意ください。
少し大きくなったライオンは親元から離れ、
サバンナでひとりで生きていかねばなりません。
↓
あっ、シマウマの子どもや! チャンス!
↓
シマウマの群れが集まって来よった……
これやと襲いかかられへん……
↓
腹減った……
↓
……
↓
もうええわ! どいつでもええから襲ったろ!
↓
ちょうどシマウマの子が転びよった! 大チャンス!!
↓
シマウマの母親に顔面を蹴り飛ばされた!
↓
シマウマの父親に鼻を噛まれた!
↓
あかん、大勢には勝てんわ……
↓
がんばれライオン、そうやって何度も失敗して成長していくんですよ
という流れになります。
ライオンも初めから強い訳ではない……
ひとりは集団には勝てない……
でも、諦めないひとりはいつの日か集団を凌駕し得る……
サバンナでも人間社会でも変わらない現実を子どもに教えてくださいます。
この地に足の着いた教訓、私の駄文紹介ではなんの印象にも残りませんが、
氏のいきいきとした絵が一緒になると突き抜けるような印象を残すのです。
ライオン・シマウマの迫力ある挙動、妙にユーモラスな表情、構図の巧みさ。
遠くアフリカの情景を思わせる空の青色・草の緑色・土の茶色。
シマウマの群れがうじゃうじゃと湧いて出て子シマウマが隠れているおかしみ。
絵と文章それぞれの心地よいテンポ。
大人にも子どもにも鮮烈な印象を与えてくれる、
“力”に満ちた絵本だと思います。
本屋さんなどで見かけたら、ぜひ手に取って眺めてみてください。
私の場合、まわりのちびっ子たちに読み聞かせてあげたら
「もう一回読んで!」と一気にお気に入り認定されましたよ。
いつか、夏目義一さんの展覧会や画集に出会えますように。