肝胆ブログ

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「運命の巻戻士 4-5巻シライ過去編感想 マイ先生の魅力」木村風太先生(コロコロ)

 

コロコロコミックの人気連載「運命の巻戻士」、もともと面白いところに4-5巻で面白さが更にハネ上がっていてかんたんしました。

 

shogakukan-comic.jp

 

 

 

運命の巻戻士は、ざっくり言えば過去に戻れる力を持った主人公たちが、過去に戻って人の生死や運命を良い方向に改編するお話です。

テーマが重いのに、作画の良さ、キャラの良さ、「失敗するたびに時間を巻戻してクリアルートを探る」というゲーム攻略的なストーリーラインで毎号コロコロ読者を魅せてくれているのが素晴らしいんですよ。

 

こうした運命干渉系のお話は相応の構成力が求められる難しい題材ですが、それだけに実力あるクリエイターの手にかかるとめちゃくちゃ面白くなりますね。Astlibraといい。

現在の少年少女は多感な時期に運命の巻戻士を読めて幸せだと思います。

 

 

 

以下、重大なネタバレを含みますので未読の方はご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

4-5巻は、エース格の巻戻士であるシライさんが中学生時代に暗殺されてしまい、戦力が激減した巻戻士本部も敵組織に壊滅させられてしまう……という展開を改変するため、シライさんの中学生時代に巻戻って暗殺者を捕らえよう、という流れになります。

 

 

で、結論を言えば暗殺者である敵組織幹部「クロックハンズ 11時」の正体は剣道部顧問のマイ=ラッセルハート先生だったんですけどね。

 

このマイ先生が当作品の魅力を一層深めてくれる超魅力的なキャラだったんですよ。

 

  • 素の人格の良さと愛情深さ

  • 天才発明家という分かりやすいポテンシャル

  • 正体判明後のデザイン魅力向上&二面性ギャップ魅力

  • デカメガネ、ハート舌、特徴的な物言い、フランス語キメ台詞等のキャラ要素重ね塗り

  • 発明力と時間操作能力と記憶操作能力を併用した敵としての明確な強さ

  • 地味に射撃も上手い

  • 時間操作により「命の選別」を行っている巻戻士たち(と読者)に突きつける、彼女自身の重すぎる過去(クロックハンズ1時による謀略なんじゃないの感もありますが……)

  • ストーリーテーマ上もバトル展開上も、最後は「救われるべきヒロイン」に

 

等々。

濃いし強いしかわいそうな大人だしかわいいし。

 

マイ先生の正体判明後は作者さんも明らかに筆がノッている感じがしまして、敵・味方ともに決めシーンの魅力が激増しています。4巻ラストのカタルシスとか半端ない。

5巻のマイ先生の救い方は主人公クロノさんならではですし、それがマイ先生のつらい過去ともハマリまくるという構成の上手さは現在連載中の全漫画作品の中でも最上級に位置するんじゃないかと思いましたわ。

 

ちびっ子向け雑誌のコロコロで、スゲェ面白さを出力しながら、深いレベルでの「大人の救済」を顕現してくれたってのはごっついことだと思いますの。この上質過ぎるドラマとキャラクター、子どもたちの中でこれからいったいどんな記憶になっていくんでしょう。

 

 

最終的にマイ先生は捕らえられ、現行連載中の次の章でも拘束されたままになっていますが、そのうち光堕ちして巻戻士たちに力を貸してくれるようになるんですかね?

光堕ちしたらしたでもっとおつらい目に遭いそうな気がしなくもありませんが……魅力的なキャラクターなのでこれからも登場・活躍してくださいますように。