今週の週刊ダイヤモンドの特集「廃業 or 承継」が親近感の湧く内容でかんたんしました。
団塊世代の大量引退時期が迫り、大廃業時代の足音が聞こえる。廃業するか、事業承継を検討するか――。オーナー経営者のあなたは、わが子のように育ててきた会社への“最終決断”をどう下すべきなのか。10年後のゴールを目指して、あなたらしい「会社の畳み方・譲り方」を検討してほしい。
日本の企業の大半は中小企業、その経営者の大半は高齢者で引退間近。
中小企業庁試算によれば2025年に大廃業時代を迎える――
・廃業予備軍127万社(日本企業の1/3)
・雇用喪失650万人
・GDP喪失22兆円
・技術立国崩壊
などなど大変なことになりますよ、だから事業承継などをそろそろまじめに考えようよ! という特集になります。
最近こういうニュースやコラムが増えてきましたね。
私の周りにも70歳前後の社長さんがごろごろいます。
子どもは東京や海外でサラリーマンやってたりして戻ってくる気配はありません。
馴染みの中華料理屋とかうどん屋とかお好み焼き屋が高齢で閉店するとか。
黒字なんだけどおっちゃんが腰を痛めて工場を閉めちゃうとか。
意外と誰にとっても親近感のある内容じゃないでしょうか。
印象に残ったページ。
「廃業で消えるニッポンのお宝企業」というページでは
・羽衣文具「世界一書きやすいチョーク」(愛知県春日井市)
といった聞いたことのあるような企業がすでに廃業していたり廃業を予定していたりという悲しい事実を教えてくださいます。
越前和紙……。
「業績不振でも諦めないで! あなたの会社のチャームポイント」というページでは事業売却に向けて高く売れるポイントを整理いただいています。
免許・資格や顧客基盤・技術の有無は分かりやすいですが、「大手企業との取引口座は休眠していても重宝がられる」「親族間で相続問題が発生していない」などは地味ながら大事だなあと頷いてしまいました。
「顧客対応どころではない! 仲介業・士業を襲う承継地獄」では中小企業のよき相談相手である各士業さんたちが、まず自分の事業承継の目途がたっていないというあるあるネタを書いてはって面白かったです。
中小企業が減っていく中、更にはIT技術が発展するばかりな中、士業さんが顧客基盤をしっかり次世代に託していくのはそうとう難易度が高いですよね……頑張って……。
「トヨタを襲う技術流出の危機」では
「なぜ、系列部品メーカーの身売り情報がM&A市場に出回っているんだ!」
さかのぼること約2年前、調達を担当するトヨタ自動車幹部は怒り心頭に発していた。
というエピソードを紹介いただけますが、「アンタの会社が充分な対価払ってへんからちゃうか」と突っ込んだ読者も多いのではないでしょうか(笑)。
や、トヨタのサプライヤーであれパナソニックショップであれ、報酬面関係なく、社長の高齢化や後継者不在等で店を畳み始めて結果として本体にまで影響が出ているという趣旨の記事なんですけどね。
「近親者への事業承継を検討するあなたへ」は社長さん必見モノです。
お子さんなどへの株式譲渡などについて、今年からの税制改正のポイントを教えてくださいます。
実質的に納税を一世代分スキップできるような制度になっていますので、さっそく税理士先生に世間話がてら会話を振ってみましょう。
「200社に居座るプロの正体」は、いわゆる“整理屋”とされる人物を「ほぼ特定できる形で」紹介していて驚きました。
大手企業の不祥事とかならともかく、こうした中小企業界隈のグレー人物が誌面で取り上げられるのは珍しいと思います。
とりあえず社長であれ一般人であれ、「無料セミナー」みたいなもんには近寄らないのがいちばんですね。
「金融庁も後押し 銀行が挑む“新陳代謝”」では、 南都銀行の事例がよかったです。
80歳近い会社代表者に、後継者をどうするつもりか従業員も聞けなくって、南都銀行の担当者が勇気を出して聞いてみたら「ずっと一人で悩んでいた」ことが判明したというケース。
ええ話や。
そして、一番面白かったのが同じ銀行取組ページの中の「県外資本はお断り」という実態の話です。
地方によっては、地元企業に県外資本を入れてはいけない、入れるなら頭取決裁だ、というケースがまだまだ多いのだとか。
マジか。
ずっとご当地地銀「畠山銀行」をメインバンクにしてきた「木沢商事」が、隣県の地銀「細川銀行」に融資してもらったり新興企業グループの「三好ホールディングス」に買収してもらったりしたら大問題になっちゃう、というやつですね。
うーん中世的。
こういう事業承継ネタは室町時代っぽい視点で見ると面白いです。
人前では話せないので脳内で設定しているだけなんですが。
あそこの企業は息子がボンクラやから番頭さんに事業を託すらしい……
あそこの工場は従業員(組合)がうるさいから買い手がつかんらしい……
国衆一揆……集権化が不足してるな……とか。
社長交代したけど引き続き債務保証を求められたらしい……
人質を出せということやな……とか。
また、巻末の編集後記にて。
「地元に『事業継承を余儀なくされた娘たちの会』というのがあって……」というコメントが。
何それ面白そう。早速、取材を申し込んだのですが、「嫌だ。地元じゃ『余儀なく継承している』なんて表沙汰にできない事情はいっぱいある。誰にも言えない女の悩みを分かち合う、秘密結社なんだから」と、かたくなに拒否されました。残念、このネタ欲しかったなあ。(深澤)
すごい読んでみたいです。
めちゃくちゃ反響を呼ぶんじゃないでしょうか。
読者が待っているからと、ぜひ説得していただいて続編特集を組んでください。
今週の他の記事についても。
出足鈍い「つみたてNISA」
そりゃそうだ……
どれだけいいモノでも売り手が儲からないなら普及するはずがありません。
(iDeCoも同様)
いいモノ並べているだけで金融商品が売れるなら、まず国民年金基金がもっと普及しているはずですもんね。
モノは本当にいいので、つみたてNISAもiDeCoもおすすめですよ。
つながる家電の未来
パナソニック社長の津賀一宏さんへ、記者さんが
――100周年を迎えたパナソニックは何の会社なのでしょうか。
と直球質問を投げていて面白かったです。
社長さんの回答が率直かつ真摯なもので素敵でしたよ。
社内が「ビクトリーラップ」のような雰囲気になっている
と引締めを図ってはったのも同じく好感度が高いです。
ものつくるひと 第103回
「ビヨンドマックスシリーズ」木田敏彰さん(ミズノ グローバルイクイップメントプロダクト部 用具開発課 課長)の紹介ページです。
軟式野球において革命を起こした「軟らかいバット」とのことで。
野球は詳しくないのですが、記事はとても面白かったです。
天皇賜杯のエピソードを含め、スポーツ選手を本気で応援しているメーカーさんの矜持のようなものを感じました。
世界遺産を撮る(周剣生)090
まじまじと見つめてしまいました。
裏表紙をめくったところに掲載されていますので見てみてください。
ダイヤモンド1/27号の感想でした。
廃業or承継。
個人的には、潰れるべき会社は潰れた方がいいと思っていますが……。
潰したくないなら「なんで本気で後継者育ててへんねん」とも思いますが……。
こういうのは何世代かかけて、社会全体で学んでいくべき事柄なんでしょうね。
昔のさむらいがお家断絶を避けるためのあらゆるノウハウを蓄積していたように。
廃業するならするで、いつするのかをちゃんと従業員や取引先に伝える・相談する誠実な経営者さんが増えていきますように。
「どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!」