肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

日刊工業新聞の東大阪市動画「踊る鎧かぶとロボ」と「ピタゴラ装置」

 

日刊工業新聞の動画ニュースで、東大阪市の技術が取り上げられていて
かんたんしました。

 

「踊る鎧かぶと」ロボ 人形工芸士と東大阪の企業がコラボ(動画あり) | 中小・ベンチャー ニュース | 日刊工業新聞 電子版

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 連携力で“ピタゴラ装置”−東大阪市、市内44社の製品で作成(動画あり) | 地域経済 ニュース | 日刊工業新聞 電子版

 

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踊る鎧武者ロボットかわええ……。



少子化節句離れで人形業界がピンチだ。

⇒じゃあ人形が踊ったらいんじゃね?



そんなアイデアをきっちり実現してしまう技術力がすごいと思います。

節句の鎧兜だけやなく、ひな人形とかにも応用できそうですね。
五人囃子が踊り狂うひな壇とかあったらちびっ子が喜びそう。

どっかのデパートやら高級ホテルやらがスポンサードしてあげたら
ぜったい話題を呼ぶと思います。


以前、居合切りをするロボットの動画も見たことがありますが、
そのうち殺陣やアクロバットで、人間では無理なアクションで
魅せるようなロボットショーが誕生してくるんでしょうか。

実態的にはプログラミング技術を競う形で、
いまのアニメーターがバトル作画を競っているようなノリで。

 

あるいは、ガチのファイトをロボットにやってもらうような
悪趣味なショーが……?


うーむ。
明るい方向で東大阪独自のパフォーマンスが誕生していくことを願います。

 

 


もう片方の動画でも、よくいわれるところの
「歯ブラシから人工衛星までつくれるモノづくり」の力を
アピールされていますね。


NHKピタゴラスイッチと違って、転がっているアイテムが
どれもこれも力づよい機能美に溢れていて最高です。

ギラギラした男くさい輝き。
ゴリゴリした男くさい重量感。


いっすねえ……!

さすが河内鋳物師の末裔です。

 

 

経済面でも文化面でも河内地方が盛り上がっていきますように。

 

 

 

映画「華岡青洲の妻」原作 有吉佐和子さん / 監督 増村保造さん(大映)

 

 

映画「華岡青洲の妻」における嫁姑の確執にかんたんしました。

  

www.kadokawa-pictures.jp

 

 

和歌山県の英雄、華岡青洲

全身麻酔を使用した乳がん手術※を世界で初めて成し遂げた方であります。

 ※女性の方はなるべく定期的にマンモグラフィ受けましょう

 

 

……華岡青洲のつくりだした麻酔薬「通仙散」の原料は、
マンダラゲ(別名キチ●イナスビ)という毒草です。

 



青洲さんはどうやって麻酔薬を完成させたのか。




それは当然……動物実験および人体実験であります。



 

人体実験には青洲さんの母・妻も参加いたしました。

賢母・良妻の美談はいまも土地に残っておりますが……

 

果たして単純な美談だったのか?

そこには嫁・姑の確執を軸としたドラマがあったのではないか?


と、小説として創作されたのが有吉佐和子さんであります。



この小説「華岡青洲の妻」は大ヒットし、映画化もなされました。

 

映画がまた、ものすごくおもしろいのですよ……!

 

役者さんがまずすごい。

青洲は市川雷蔵さん。
青洲の妻に若尾文子さん。
青洲の母は高峰秀子さん。


モノクロの画面に眉目秀麗な三人が映えること映えること。


女性陣の方言「~よし(~です)」がまた品よくてねえ。
(「~しよし(~しなさい)」とはまた違うんですよ) 

 



詳しいネタバレは避けますが、妻と義母の確執が深まる経緯がすごい。


映画冒頭、青洲さんは京に遊学していて不在なのです。

妻は旦那不在の家に嫁いできた訳です。


旦那不在の三年間。

妻と義母の仲はすこぶる良好だったのですが……。



青洲さんが帰ってきた途端、義母の態度は急転直下の冷たさに。


ああ、嫌な感じにすごくすごくリアルです。

男がいなけりゃ女は仲良くできてたのです。
男が間に入って取り合いが始まったのです。



ネタバレしませんが、ネタバレしたくなるほどの対立好演が
ビシリバシリと火花を散らし、義母が妻を見詰める視線の
鋭さ妬み深さに背筋がうぞぞぞと凍えます。


時代劇ですがチャンバラなんてまるでありません。

これは時代劇の器を借りた昼ドラです。
不信のときです。ウーマンウォーズです。

この手のドラマが好きな方には超オススメです。




男どもの能天気っぷりがまたいいんですよね……。


劇中でも青洲さんの妹が「兄は嫁姑の確執を理解した上で
自分の実験に利用している」と吐き出すシーンがあります。

確かにそれは的を得ていると思います。

嫁姑の争いに何ら口出しすることなく、夢・使命を追う医師として
まっすぐな青洲。

演じるのは当代最高のイケメン市川雷蔵
医師風のモジャ髪モジャ眉毛でもやっぱり美青年。

何もかもが超颯爽。
母も妻も意地を張りあう対象として最適です。
絶対、自分の魅力を確信したうえで振る舞っています。

 

そして、それ以上に能天気なのが青洲の弟子たち。

嫁姑問題には誰一人としてまったく気づかずに
「大奥様は偉い」「若奥様も偉い」と無邪気に褒めているだけなのです。

これ。
男どものこれ。

ええ憎らしい。

これですよ。
男の冷たさというのは気づかないふり以上に、
本当に気づいていないところにあると思いますよ私は。



このように。
100分の短い映画の中で、身もだえするほどの人間ドラマを
堪能することができます。

たいへん面白い作品だと思います。

 

ただ、劇中で「猫をつかった実験」「切り裂く系の外科手術」シーンが
ありますので、こうした描写がダメな方は避けた方がいいと思います。

この辺りは現代の作品では見られない感性ですから、
慣れていない方はびっくりしてしまうかと……。

 

 


最後に、女性中心の映画ですが、伊藤雄之助さんによる
青洲の父役演技が素晴らしかったことを紹介しておきます。


映画最序盤は嫁姑の対立もなく、市川雷蔵演じる青洲も帰郷していません。


導入部に盛り上がりがないのです。


そこを怪演で引っ張ったのが伊藤雄之助さんです。
存在感、アクの強さが最高です。

近所にこんな爺ちゃんおったなあと思わずにいられない、
すんごいマイペースなアクの強さ。
いまでは珍しくなった演技の方向性です……。



この映画は往年の時代劇役者の魅力がよく出ていると思います。

 

颯爽とした主人公。
凛とした女性。
デンとしたおじさん。

 

こうした役者が増えて、再び時代劇に活況が訪れますように。



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ところで、華岡青洲のご先祖はあの畠山高政に仕えていたという
伝承がございます。

意外なところで登場しますね高政さん。


遊佐長教・安見宗房という実権握りたい系謀臣の魔の手から逃れ、
河内・紀伊の支配者として権力を取り戻した高政さんは、
あの時代の守護大名としてはかなりの器量の持ち主だと思うんです。

応仁の乱からずっと分裂して内乱に励んできた畠山家が
かつての力を取り戻しかけたというのはすごいことですよ。

三好長慶松永久秀の登場で世の中の家格秩序が大きく揺らぐ中、
保守系世論の強力な受け皿になっていたんだろうな。


和歌山各地に残る伝承を丁寧に拾って読み解いていけば、
滅び去った畠山家の知られざる一面が見えてくるかもしれませんね。


ちょっとやってみたい作業です。

 

 

「アルベルト・ジャコメッティ展」国立新美術館@東京の六本木

 

 

ジャコメッティ展の迫力にかんたんいたしました。

 

www.tbs.co.jp

 

 

アルベルト・ジャコメッティというアーティストがいらっしゃいます。


特徴的な彫刻をおつくりになる方で、
百聞は一見にしかずなので作品の画像を貼らせていただきます。

(今回のジャコメッティ展で撮影OKな作品を撮ったものです)

 

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ご覧の通り、ものすごく細長い人物の彫刻をつくられることに
定評がございます。


10年くらい前にも兵庫県立美術館ジャコメッティ展が開かれていて、
その際の印象が強く残っていたので、今回も移動ついでに六本木まで
行って参りました。

 



行ってよかったです。

空いててじっくり見れたし。


展示されている作品の中では、
後半の大きめの彫刻群と、篇5のスケッチ群※を気に入りました。

ペロポネソス戦争本の挿絵を構想していたものだそうで、
 彫刻とはまた違う味わいがあります。
 巨人と小人が向き合う構図のものとかおとぎ話感あっていいですね。



ジャコメッティさんの彫刻は、パッと見では「削ぎ落した」ように
映るのですけど、近くで見ると「凝縮した」かのような力強さを
感じて、とてもとても圧倒されるのです。

力士やグラビアモデルの肉付きとは真逆の造形ですけど、
力士やグラビアモデルに負けないくらいのエネルギーを受け取れますよ。

 

完全に素人の感想になりますが、
彫刻の中に力のベクトル、力の矢印が埋め込まれているようなんです。

特に後頭部から鼻先・顎先にかけてのライン、
水平かつ平たい肩から平たい骨盤にかけての背骨のライン、
特徴的な細長い手足のライン、

それぞれに「←」「↓」といったエネルギーの方向性が
埋め込まれているように思えるんですよね。


侘びしさとか哲学とかを受け取るというより、
私はパワーを受け取ることができる展覧会だと思います。

日常のなんやかやで疲れている方におすすめですよ。



哲学といえばサルトルなど実存主義系の人がこのジャコメッティ
愛好していたそうです。

戦後ヨーロッパの各種アートで「実存主義的」と評される作品が
生まれましたが、個人的には「但しイケメン・美女に限る」系のものが
多いなあと思っております。
(具体名は挙げません)


そうした中で、このジャコメッティ彫刻はまさしく実存主義的、
人が人であるがまま、あらまほしきままの迫力を有していると
言えるのではないでしょうか。




それにしても「アルベルト・ジャコメッティ」とは
日本語使い的には独特に思えるお名前ですね。

10年前の兵庫県立美術館で友達とこんな会話をしたことを覚えています。

 友「ジャコメッティって覚えにくいね」
 私「せやね」
 友「じゃこ道くんとかなら親しみやすいのにね」
 私「がぜん愛媛生まれっぽくなったね」


今回の国立新美術館の物販でも「ジャコメッティー(茶)」
「ジャコリントウ(かりんとう)」といった趣深いグッズが売られていて、
なじみが薄い文化圏のお名前に懸命に親しもうとしている日本人の
姿勢を感じることができます。

物販では白トートバッグのデザインがけっこういいんじゃないと思ったのですが
よくよく考えたら使う場面も思い浮かばないので購入は見送りました。

 

 

以上、ジャコメッティ展のご紹介でした。

 

 

 

ちなみに、美術館の2階でやっている「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」も
よかったですよ。

政治歴史的な背景がありますのでメッセージ性が強いものが多いのですが、
暗くならずにはっちゃけている作品が多くて楽しかったです。

階段から世界地図っぽいデザインのブロック板を延々落とし続ける映像作品とか、
アーカイブ」で紹介されている楽しそうな写真の数々とか
(ダッチワイフにドレスを着せて結婚式を挙げたりしていました)、
物販店が100円で石を売っていたりとか、

それぞれでくすくす笑えました。

 


国立新美術館の展示は文章が少なくていいですね。

能書きが多すぎると作品見ずに文章ばっかり読んでるになりますし、
足を止める客が増えて流れが悪くなりますし。

こちらの美術館は広いしゆったりしてるし実に私好みです。

 

これからもほどよい混み方で存続していきますように。

 

 

「お奈良さま」坂口安吾(青空文庫)

 

坂口安吾さんの短編「お奈良さま」の味わいにかんたんしました。

 

坂口安吾 お奈良さま

 

坂口安吾さんの小説は軽妙でキレがあって読みやすいですから、
硬い文章が多めの青空文庫の中でもとっつき易い方だと思います。

 


お奈良さま。


「お」「さま」と敬意を示す接頭・接尾がついていて
一見奈良県民が歓喜しそうなタイトルですが、
どちらかというと奈良県民が憤死しそうな内容です。

 

以下、ネタバレを晒します。
程度の低い下ネタも含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お奈良さまとは、オナラがとめどなく漏れ出ている
放出系のお坊さんの物語です。


くだらねー、出オチかよと思ってしまいそうな設定で、
私もそう思いながら読んでいたのですが。

意外と「むむ、なるほど」「確かに」と唸らされる
人間描写があったのでついかんたんしてしまったのであります。

 

常にオナラがブウブウ出ている住職さんですから、
檀家の方々も反応が分かれてまいります。

温かな目で接してくださる方もいれば、
ありえねぇとマジ切れしてくる方もいる訳です。

そりゃ葬式やらの愁嘆場でブウブウかまされたら
日頃取り澄ましている人でも激昂しますよね。

 


で、この屁こき住職だけだったら話もそう膨らまなかったと
思うのですが、もう一人の屁こきオヤジが登場するあたりから
話がおおきく展開してくるのです。


屁こき住職にも屁こきオヤジにもブチ切れている
屁こきオヤジの女房。

屁こきオヤジは「家の中でも屁をこくな」と奥さんに厳命されてしまいます。


この仕打ちを受けてオヤジが語る語る。

 

夫婦の関係というものは強いようで脆いものですな。たかがオナラぐらいと思っていると大マチガイで、家内がオナラを憎むのはオナラでなくて実は私だということに気づかなかったのです。

夫婦の真の愛情というものは言葉で表現できないもので、目で見合う、心と心が一瞬に通じあい、とけあう。それと同じように、手でぶちあったり、たがいにオナラをもらして笑いあったりする。オナラなぞは打ちあう手と同じように本当は夫婦の愛情の道具なんです。オナラをもらしあってこそ本当の夫婦だ。

夫婦の愛情というものは、人前でやれないことを夫婦だけで味わう世界で、肉体の関係なぞは生理的な要求にもとづくもので愛情の表現としては本能的なもの、下のものですが、オナラを交してニッコリするなぞというのはこれは愛情の表現としては高級の方です。

オナラを愛し合わない夫婦は本当の夫妻ではないのです。要するに妻は私を愛したことがなかったのですよ



オナラを通じて紡ぎだされる理想の夫婦論。

 

 

……うん。確かになあ。

単に肉体関係のある二人より、平気でオナラをしあえる二人の方が
絆は強いような気もします。

初対面SEXは珍しくありませんが、初対面放屁は多量の勇気が必要ですよね。

 

いや、しかし、デリカシーのなさ過ぎる人はやっぱりちょっとな。
恥じらいを保ち続けるのも夫婦のたしなみだ。

 

なんだか、立ち飲み屋で変なおっさんの隣になってしまって
酔った勢いの愚痴交じり説教をされたような気分です。

でも、そういう酒の記憶はずいぶん強く残るんだよな。

 

 

 

飾り気がないというか、なさ過ぎるきらいもありますけど、
人間生活の根っこの部分を端的に軽やかに描写していると思います。

物語のオチは伏せますが、あっさりこっくり終わってしまいますので
多大な期待はなさらないでくださいね。

 

 

皆様のおなかの調子が爽やかでありますように。

 

 

「ウルトラ怪獣幻画館」実相寺昭雄さん(ちくま文庫)

 

 

往年のウルトラマンシリーズの監督のひとり、実相寺昭雄さんによる
怪獣イラスト集「ウルトラ怪獣幻画館」にかんたんいたしました。

 

www.chikumashobo.co.jp

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実相寺監督は様々な領域に関心や才覚をお持ちの方だったようです。

お絵かきもお好きだったようで、誰に見せるためでもなく
膨大な数のイラストを遺されたのだとか。



監督作品としてはウルトラマンジャミラ回(故郷は地球)や
ウルトラセブンメトロン星人回(狙われた街)が有名ですが、
ガマクジラ回やガヴァドン回も手掛けてはったんですね。

言われてみればシュールな演出と脚本に共通項があるような気になります。



こちらのイラスト集でも、監督された回の怪獣を中心に
様々な情景を描かれています。

(写真を貼りたいのですが怒られそうなのでよしときます)


どの怪獣もウルトラマンも、愛嬌と、あの頃への憧憬が漂っていて、
心が豊かになるような思いです。

構成上はやはりメトロン星人ジャミラが目立ちがちですが、
個人的にはテレスドンスカイドンへの愛着が増しました。


ご自身で監督されていない怪獣たちの中ではぺスターがよかったですね。
「造形には美学あり」とコメントが添えられています。
お気に入りだったんでしょうか。
私もぺスターの着ぐるみ・スーツアクトが好きです。

 

とりわけ郷愁を感じたのは旧円谷プロ怪獣倉庫を描いた
「怪獣たちは何を夢見る…」というコメント付きの作品です。

撮影を終えた怪獣の着ぐるみが多数吊るされている光景、
これこそが本当の怪獣墓場なような、案外居心地のよい墓場なような、
一種の艶やかな妙を感じる素敵なスケッチなんですよ。

 ※まさかこの怪獣たちも後にウルトラファイトレッドマン
  撮影に駆り出されるとは思ってもいなかっただろう

 

 

この作品は製本もよい仕事がされています。

イラスト集という性質を踏まえ、ノド元までしっかり開くような
特別な仕立てがなされているのです。

こういう配慮、地味ながら素晴らしいと思います。

 

 

文庫でページ数も少ない作品ですが、見応えがあって
思い出に耽れて新鮮な発見もある、とてもよい本であります。

将来古本屋さんとかで珍重されることでしょう。

ウルトラマンファンの方はいまのうちに是非ご覧になってください。

 

 

成田亨さんの画集も欲しいんですよねえ。

青森県立美術館に作品や資料がたくさん収められているそうですけど、
なかなか青森には行く機会が……うごごご。


青森出張の予定が入りますように。
あるいは関西か東京辺りで回顧展が開かれますように。

 

 

 

「テニプリ布教集会」に参加してみた結果

 

 

テニスの王子様」ファンの熱烈なエネルギーに当てられてかんたんしました。

 

www.tv-tokyo.co.jp

 

テニスの王子様……通称テニプリ

広い範囲の女性から強い支持を得ている人気コンテンツであります。

 

その信者が布教集会を開きたいというので参加してみました。

大人になってくると趣味が多様化してきて、なかなか推しテーマについて
熱く語ることが難しくなってきます。

たまには友人の趣味話を互いに聞き合うのも紳士淑女のデトックスとして
意義がありましょう。

私もかつてこの友人に「バイオレンスジャック」を全巻読んでもらった
恩がありますので即座に快諾させていただきました。

 

参加者は初め3人、遅れて1名が追加となりました。

便宜上、参加者を以下の通り呼称いたします。


 司教……主催者。テニプリファン歴10年以上のガチ勢

 子羊……テニプリ知識ゼロの生娘状態

 私………テニプリは原作漫画をサラッと読んだことがある程度

 パウロ…遅れて参加。ミュージカルメインのガチ勢

 

プログラムとしては司教のおうち(教会)に集まり、
数百曲あるというキャラソンがエンドレスで流れる中
各キャラクターの名場面ダイジェストをひと通りDVDで鑑賞。

だいたいの感覚が掴めてきたところで出前のお寿司を食べながら
劇場版 テニスの王子様 英国式庭球城決戦!」を観るという流れです。


総計でだいたい10時間くらい。
冷静に考えると軟禁というものに近いのかも。


なお、3次元のミュージカルまで範囲に入れると収拾がつかなくなるので
勘弁してもらいましたが、信者的にはミュージカルこそ見てもらいたいそうな。

いずれ第2回集会が開かれる予感がします。

 


そもそもテニプリとは。

詳しい解説は省きますが、テニス、あるいはテニヌと呼ばれる
スポーツで競い合う少年たちの物語です。

 テニヌ - Google 検索

テニスらしくスコアを積んで6ゲームを先取したり
テニヌらしく相手をKOしたりしたら勝利になります。


特徴は、登場人物がほぼ全員美少年であること。

美少年がよく分からないことを見開きで叫びながら
よく分からない技を繰り出すと相手が空へ吹っ飛んで落ちてくる感じです。

おおきくは聖闘士星矢の後継者的な漫画と思ってください。

 


私は「COOL」「COOL」「COOL」と連呼していた時代から原作を読んでいるので
だいたいのストーリーは知っています。

格好いいところもネタとして笑うべきところもなんとなく分かります。


しかし、まったくの未経験者である子羊ちゃんにはこの時点で
そうとう刺激が強かったようです……

審判台の下を経由するブーメランスネイクの軌道、
「破滅への輪舞曲」というネーミングと技の内容、
光の速さで動いたり相手の五感を奪ったりする黄金聖闘士級の奥義

目にするたびに

「なにこれ」
「なにこれ」
「あたしの知っているテニスと違う」

と爆笑しつつ、跡部さんと真田さんのイケメンイケボイスぶりに
やられて雌の顔をさらけ出してやがりました。

 

かくいう私も、アニメ版やキャラソンはまったく未経験です。

アニメはまあ原作がイケボイスをまとった感じなので
まだ平常心でついていけたのですが、
キャラソンの世界観には完全にやられました。

 テニスの王子様 キャラソン - Google 検索

 

なんぞこれ。

いったいなんぞこれ。

こんな世界があったのか。


司教と子羊の推しが一致したので跡部さんのキャラソンを中心に
リピードしていたのですが、なんとも言えない中毒性があることは
認めざるを得ません……!

チャームポイントは泣きボクロ
ゴージャスホクロ~♪


……お、おう。せやな。そうやな。

 

アッア ア アアッ "アーン?"


ドラえもん超えてるよね!?」
「これやばーい、やばーい!!」
「…………」

 


すごい。

惹きこまれるというか、引きずり込まれるような引力を感じます。

キャラソンとはこれほどの力を有していたのか。



個人的にはイケメンキャラたちよりも四天宝寺中の皆さん、
特に金ちゃんと銀さんがあらためて気に入ったので
「浪速のソーラン節」をもっと聞いていたかったです。

かわいいよね金ちゃん。

 

 

この時点で7時間くらい経過していて、さすがに疲れてきたところに
パウロさんとお寿司が届いたのでまったり映画を観ることにしました。


この映画がまた、笑いどころだらけで……!!


極めてテニプリらしい、ファン的にはたまらないであろう映画でございました。
敵の本拠地に殴り込んでいくのが人気キャラばかりでしたしね。
(金ちゃんがハブられたのが納得いかない)


不二さんが白馬で登場するところのキラキラぶりには一同悶絶していましたし、
ハンターハンターの無限四刀流の人みたいな戦い方をする敵や
“気”を放ってリョーマ君を吹っ飛ばしてくる敵には厚いテニヌ味を感じましたよ。


この頃にはすっかり子羊ちゃんの洗脳も完成していて、
いちいち的確なツッコミを入れながら堪能してはりました。

 

布教集会、ちゃんと成果を上げているじゃないか。

 

 

 

かくして集会は夜更けにまで及び、明日が早い私だけは一足早く
失礼してきた次第です。


ああ、えらいものに遭遇した一日だった。


テニプリが有するエネルギーというかカロリー、
尋常ではありません。

近づくだけでも相応の覚悟が必要ですね。

 

 

とは言えたいへん楽しかったので、もう1回くらいなら布教集会に
顔を出してもいいかなと思ってしまってもいます。


次回は四天宝寺や「新」の高校生が着目されますように。

 

 

 

日経新聞より「テンセントを真っ向批判 人民日報、ゲーム自殺騒動で」

 

 

日経新聞が報じた中国のゲーム・IT大手「テンセント」の記事に
かんたんいたしました。

 

www.nikkei.com

 

 

テンセントという中国の企業をご存知でしょうか。


たぶん知らない人の方が多いと思います。

現在世界時価総額ランキング10位。
アリババ社に次ぐ中国企業ナンバー2。
すなわちアジア企業としてもナンバー2。

世界時価総額ランキング2017 ― World Stock Market Capitalization Ranking 2017


残念ながら規模面では任天堂ソニーが束になっても叶わない、
世界トップクラスのゲーム・IT企業さんなんですよ。


中国のゲームマーケットというと日本の人気ソフトの海賊版
露天で並べられていて当局に内緒でこっそり楽しんでいるような
アングラなイメージがあるかもしれませんが、この10年ですっかり
様変わりしておりまして。

このテンセント社、アメリカの大手ゲーム会社を次々と買収したり
色んなゲームで採用されているゲームエンジンを提供したり
AI活用を積極的に研究したりと手広くブイブイいわせてはります。



今回のニュースは、そのテンセントさんの株価が急落したという内容です。


どうしたかというと、同社のスマホゲームが中国内で人気出すぎて、
親に叱られた13歳の少年が飛び降り自殺を図ったり
11歳の少女が盗んだクレジットカードで170万円も課金したりと
不穏な事件が続いたものでしたから、ついに当局機関紙の人民日報が
同社をバッシングしまくったという経緯なのであります。


……なんか、日本でもありそうな(あったような)話ですね。

廃課金問題とかコンプガチャ問題とか。


これからVRが普及したら、狂四郎2030みたいなサービスが出てきて
ますます少子化が進んでますますゲーム?業界が叩かれるんだろうな。

 


どこの社会でもどんな領域でも、王者という立場は品格や責任を
求められるものです。

トップ企業は高い水準の社会貢献やお客様サービスやコンプラコストを
要求されますし、大臣さんは不倫がばれたら失職してしまいますし、
横綱は変化したら叩かれてしまう訳です。


中国社会でもそうあるべきとされているのでしょう。


中国当局というところは頭のいい方々ですから、
こうしてトップ企業をときどき叱って、
業界全体の引き締めやモラルアップを図っているんでしょうね。
自分たちに民の矛先が向かないよう計算しつつ。

 


……中国当局、本当に頭がいいです。動きも早いし。

このテンセント社のサクセスストーリーでもそうですけど、
外資企業への参入障壁のかけ方が天才的です。

凄まじい人口を有する巨大マーケットの魅力をチラつかせて、
「ちょっとだけ」外資企業を参入させて、コツを吸収して、
「オラオラァッ」と自国企業を大成長させる。

有形無形、当局による様々な形のバックアップ。
センスが高過ぎます。
これは卑怯と言ってはダメで、むしろ見習うべきでしょう。

 

 

これからも中国企業の日本進出が続くんだろうなあ。


「中国製品なんて買わんし」って思う人も多いかもしれませんが、
違うんですよ。

中国クラスのマーケットでてっぺん取った企業って、
莫大なマネーマネー資本を蓄積できますから。

わざわざ中国でウケた商品やサービスを日本向けにローカライズするとか、
手間かかる割に儲からないことなんてしませんよ。


……日本の儲かる企業を次々に買収していくんです。


さいきんクラッシュした郵政のオーストラリア企業買収だとか、
バブル期の日本勢によるアメリカ企業買収だとか。

日本クラスのトップ企業ですらそういうことができるのです。

中国クラスのトップ企業なら、どんな企業でも買収できちゃいます……。

 

まあ、日本は低成長社会ですから、わざわざ日本企業を買収するよりは
他地域の企業買収を優先するでしょうけど。

それでも最近までの不動産価格高騰はだいぶ中国マネーの影響が
ありましたし、引続きある程度は買収されちゃうんだろうなあ。
先端技術や独自技術があるところほど。

シャープとかシャープとか。

ゲーム業界で言えばコーエーのような企業が狙われるかも。
是非とも「大志」を傑作にしていただいて、高株価を維持してほしいです。

 

こういう潮流を受けて、案外、10年くらいしたら
企業間の株式持ち合いが復活するかもしれませんね。

日本企業の純潔を守れ、的な。


いやいや、んーむ。
安直で下策な匂いがする。


日本式の、新たな参入障壁の築き方が求められているんだろうなあ。

21世紀型の築城術。
求む軍配者。
いい案を編み出せたらどこの企業にも仕官できますよ。

 

 

冗談はさておき、日本も中国もゲーム業界が健全に成長して
世間様の理解を得られますように。

若者も食い物にされるばかりではなくて、
たまには大人をぎゃふんといわせてやれますように。