肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「スナック経営への参入」プレジデントの記事より

 

 

 

プレジデントで、21歳でスナックを開業した若者の話と、
スナックって上手くやればそれなりに儲かったり社会貢献になったり
するよねという記事が載っていてかんたんしました。

 

president.jp

 

 

なんか最近、“スナックってなんだろう?”“スナックいいよね”という
ネット記事が増えてきている気がします。

あちこちにある割に行かない人はまったく行かないから、
「街の小さな不思議」的な好奇心を呼ぶのかもしれませんね。

 

 

私はスナックを経営した経験はありませんが、
客としてであったりスナック経営者の知人であったりという立場から
スナック経営について思うことをつれづれ書いていこうと思います。

 


儲かるの?

 


記事でも試算されている通り、一定数の常連客がつけば
安定的に収益を出していくことはできると思います。

無理して大箱を契約したり女の子を多数揃えたりしなければ、
酒とツマミの利益率は大変よろしいので。


東京都心部ならともかく普通の街で1人5,000円のセット料金は
よっぽどなウリがないとしんどいとは思いますが……。


記事の試算では

 ・ツケの存在(客層にもよる)

 ・常連客や地域とのつきあいに伴う出費(けっこう大きい)

などが入っておりませんので、あらかじめ踏まえておいた方がいいでしょう。

 

なお、スナックという商売はノウハウの一般化が難しい業態ですので、
支店を出すとかフランチャイズ化するとかの事業拡張性は低いです。

「でっかく儲けてビッグになりたい」というよりは、
「一国一城の主となって細く長く続けたい」寄りのビジネスと言えるでしょう。

(もちろん軌道に乗って二軒目三軒目を出す人もいます)

 


どうやったら常連客がつくの?

 


本当に一般化が難しいビジネスなので私見レベルの話になります。


まず、どんなスタイルのお店であれ清潔が前提です。
暗いからと思わず、店先も店内もキッチンもトイレもきれいにしましょう。

知り合いのママ曰く

「汚い店は100%潰れる。仕事を舐めてる」

とのことです。


その上で分かりやすいウリ、コンセプトが立ってる方がいいかとは思います。

理想形はママの絶大な人間力に惹かれて自然と人が集まってくるお店なんですが、
そんなこと言っても参考にならないですしね(笑)。

 

 

 

若くてかわいい女の子


分かりやすいですね。

ビジネス街近くや繁華街などの立地……客層が若いお店なら、
まず考えられるのがこちらです。


ただ……この場合、女の子のレベルはもとより、人数が重要になってきます。
超美人が一人いたとしても、お客全てを相手にすることはできません。
構って貰えないお客様は確実に不満を抱きます。

女の子の人件費が膨らむことはもちろん、女の子のシフトや配置や心情を
上手く管理するスキルが必須になって参ります。
この手のマネジメント経験がない人がいきなり手を出すのはリスクが高いですよ。

女の子をアピールするお店にするなら、その手のお店で事前に修行することが
望ましいと思います。


カウンターだけの小さなお店とかでしたら、雇う人数も少なくて済みますので
負担は下がります。



カラオケ

 

どのお店にもカラオケはありますが、ステージをつくるとか
生演奏を入れるとかイベントをやるとかカラオケを前面に押し出した
店づくりをする方も多いです。

とりわけ、音楽関係の経験があるオーナーなどが好きですよね。


カラオケは根強い人気があり、聴き手の雰囲気やイベントづくりの妙味などで
常連になってもらいやすいというメリットがあります。

オーナー・ママがカラオケ好きなら一人で練習できるという付加価値もあります。


ただ、音楽関係は「意外と場所を取る」「意外と銭を生まない」という
デメリットもございまして。

ステージや楽器を入れてハコのキャパを圧迫するだとか、
歌うのに夢中で誰も酒を飲まないとかになってくると本末転倒です。


要領よくマネタイズする運営が肝要かと思います。



料理


安い材料でおいしい料理をつくる腕があるのなら。
料理人を雇うとかはおすすめしません。固定費は少しでも削るべきです。

上手くやれば晩飯代わりに来店する独身者を掴むことができます。


地味におすすめなのが「お婆ちゃんがつくりそうな田舎料理」
「低糖・減塩料理」などで、この辺を数皿常備できる店は強いです。

 

 

営業

 

……と、上に料理やらカラオケやら女の子やらと書きましたが、
その辺については大抵の店が取り組んでおりますので絶大な効果は生みません。


一番大事なのはお店づくりよりも人脈づくりかと思います。


ベッタベタのドブ板系なんですが、

地域の祭や行事に積極的に参加して中高齢者に顔を売る、
先輩格のお店に挨拶・応援に行ってハシゴ需要を分かちあう、
お客様の仕事内容や景況を学んで接待・愚痴相手需要を取り込む、
ゴルフコンペなど店外イベントを開いてお客様同士の付き合いを深める

そうした店外活動で抜きんでることが重要かと……。
(特に一見客が少ない地方部は)


この辺はスタートダッシュが肝心で、早いうちに「コミュニティの中心」に
なることができれば、やがて「この店に行けばいつもの仲間がいる」
「この店に行けば知らない友達ができる」という空気も醸成されてまいります。


地域の人々にとってセカンドハウス」「大人の部室」「夜の公民館」のような
存在になっていけたら何よりです。
なっていくためには受け身では駄目で、自ら能動的に行動しましょい。

 


気を付けるべきことは?

 


お酒の入るお仕事ですから、どれだけ客層の質がよくてもトラブルは起こります。
反社会的勢力の方が来店することもあります。

まあその辺は誰しもパッと思いつくことでしょうが……。

一国一城の主として、毅然とした対応を心掛けましょう。

 

個人的に「怖い」と思うことを三点書いておきます。



①男女のトラブル

 

やっぱりと言うかなんと言うか、一番多いトラブルという印象がございます。

お客様と女の子のトラブル……ストーカーだとかむしろ女の子が騙したとかも
ありますけど、「オーナーと女の子がデキちゃってママ宙ぶらりん」というのも
多いんですよね……。


ママが100%出資してお店を開いていればいいんですが、
現実の問題として共同出資者がいらっしゃるお店はけっこうあります。

で、オーナーがお店の女の子とデキてしまう。

オーナーが「ほんならママ追い出してお前の店にしたるわ」とか抜かしよる。

金銭面のケジメをつけてくれるならまだマシな方で、
無茶苦茶なやり方でママを追い出すような輩もいよる。


お店の子とデキてるのがバレて、ママ(しかも妻)と子どもに見捨てられて、
ついでにお店もつぶした男を知っております。


基本中の基本ですが、初期消火に努めましょう。



景気変動リスク

 

お爺ちゃんお婆ちゃん相手に住宅街近くでやっている店はむしろ安心なんですが。

特定業界の現役世代顧客に支えられているお店は、その業界が傾いたら
一緒に傾いてしまうリスクがございます。


例えばちょっと昔の建設不況の頃、建築系のおじさんにいさんを相手にしていた
スナックがばたばた潰れたことがありました。

工場とかの移転の影響も深刻です。

最近では某パナソニックさんが門真脱出を唱え始めてはりますから、
近辺のスナックは吐血していることでしょう。


常連さんの商売を理解した上で、貯めれるうちに貯めておく、
ヤバいと思ったらその業界以上のスピードで店を畳んで別の土地でやり直す、
そういった心構えが重要かと思います。



③自分の人生観が変わってしまうリスク

 

ベテランのママさんとかとこういう話になることがあります。


人様を応対するお仕事で常連さんをつくるということは、
自分もまたお客様の人生の常連になるということです。



若い頃に思っていた以上に……


お客様の人生の影響を受けてしまうのです。

 


良いも悪いも両方あるのですけど。

開店・事業計画を描いていた頃と人生観が変わってしまって、
仕事を続けられなくなってしまう方もいらっしゃいます。

あるお客様の人生を支える道を選んだ……とか……。



人との出会いは変化を生みます。

己の変化はある意味「細く長い経営」の敵になります。

まあ与太話として、そんな観点も頭に入れておいていただければ。

 

 

 

 

以上、スナックについて少し書いてみました。

書いたこと以上に、いろいろと思い出したことも多いです。

 

多様化が進む時代、スナックという業態はけっこうフィットしてると思うんですよね。

どのお店にもそれぞれの特色があって、画一的でなくて。

記事にあるような若い世代による開店も増えて、色んなコミュニティが形成されて、
以て色んなお客様が癒されてまた明日から頑張れる感じになりますように。

 


それにしても記事を執筆された安倍次郎さんの文末自己紹介文、
玉袋筋太郎番”ってめっちゃ面白いですね。