肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「流浪のグルメ 東北めし 3巻」土山しげる先生遺作(双葉社)

 

単行本化を諦めていた「流浪のグルメ」最終巻が発売されていてかんたんしました。

土山しげる先生の冥福を心よりお祈りいたします。

 

双葉社サイト

http://www.futabasha.co.jp/booksdb/smp/book/bookview/978-4-575-31375-8/smp.html?c=20998&o=date&type=t&word=%E5%9C%9F%E5%B1%B1%E3%81%97%E3%81%92%E3%82%8B

 

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流浪のグルメは、ハンター錠二こと獅子戸錠二さんがトラッカー仕事をしながら東北地方のグルメを満喫しはる内容の漫画です。

 

ハンター錠二をご存じない方は大人気大食い漫画「喰いしん坊!」をお読みください。
Vシネマ版はあまりお勧めしませんがBGMは癖になります。

 

どうも喰いしん坊!の前日譚という位置付けのようで、地味にミスターマスクマンこと熊田剛さんも登場してきはります。

トラッカー出身者多いんだなTFF。

 

 

漫画の特徴としては、起伏のないストーリー……

というと聞こえがよくないかもしれませんが、ハンター錠二さんが元気のない若い衆なりサラリーマンなりカップルなりを人助け的な形で東北地方の実在する食べ物屋さんに案内し続けるという流れで、1話内の起承転結や盛り上げや引きにこだわることなく、自由なリズムで食べものを楽しみ続けるのがなかなか独特で味わい深いのですよ。

 

東北グルメといっても観光客向けの店は少なく、地元の人が嬉しくなるような店・食べ物が取り上げられることが多くていいですね。

既刊の1-2巻でもよく知られた名物料理ではなく各土地に根差した食堂やパン屋さんなんかが多く取り上げられていて好感度が高かったです。 

取り上げられた舞台の中では仙台編がいちばん好きかなあ。

じゃじゃ麺に対する地元人と県外人との温度差の描写とかも印象的でした。

 

 

この3巻では、前に登場したカップルや「姫トラお京」さん、「早トチリの兆治」さんなんかが再登場しつつ、ハンター錠二さんのソロ大食い回が多くて楽しいです。

 

八戸名物の「グラタンフライ」という総菜パンを食べてから、

「やっぱり1個じゃもの足りねえ!」

クシャッ(ビニールを握りしめる音)

 

とスーパー前でやってる焼き物移動車でにしんとホタテとイカを買い食いしているのが愛しくて格好いい。

競技大食いもいいですけど好きに自由に買い食いしている錠二さんもいいですね。

 

青森で早トチリの兆治さんにご馳走していた「ほたて貝焼きみそ定食」もすこぶるおいしそうでした。

青森行きたい。

 

 

土山しげる先生が今年5月に急逝されたので単行本化するほどまとまった原稿はないんだろうな……と思っていたところ、20回分、ちょうど単行本1冊分程度のストックはあったようで、無事に3巻が発刊されたのは何よりでした。

 

最後の擬音とセリフが土山しげる節感のある

サフッ

ハフハフ

モクモク

「うまっ♬」

「カレー足りねェー!!」

「あたしもっ!!」

 

だったのもよかった。

ほんまよかった。

 

モクモク、ていう土山擬音いいですよね。

 

 

急逝されたときは本当にショックでした。

友達から一報を受けたときはしばらく茫然としてしまいました……。

最近も精力的に作品を出されていたから、ご体調が優れないなどとは露も思わず。

 

数か月経って、ようやく落ち着いて作品に向き合えるようになった心持です。

 

 

他の連載中だった作品も、どうにか単行本化なされますように……。

 

あまりに惜しい。

早すぎます……もっと新作を読みたかった……。

 

安らかに……。