ジャンプギガの'18冬版をvol.1~vol.3まで通して読んでみました。
もともとは漫画太郎先生を読みたいだけで手に取った雑誌でしたが、どの掲載作品もクオリティが高く大満足です。
その中でも、いちばんかんたんしたのが「水球どんぶらこ」という作品でした。
タイトルの通り「水球」をテーマにした漫画で、全3話の続きモノです。
おおまかなあらすじとしては、もともと水泳で活躍していた「鬼ヶ島」さんが諸事情あって「顔を水につけられない」状態に陥ってしまったところ、「水球」(顔を水につけなくても活躍しようはある的な)に出会ってチームプレーの面白さに目覚めつつ活躍し始める……といった流れ。
1話で水球との巡り合い、2-3話で夏の大会を描いてはります。
大会ではスポーツ漫画定番の「無敗の王者として君臨する高校」といきなり当たることになって、勝てるはずはないんだけどそこを主人公とチームメンバーの力で……と。
展開自体は王道なんですけど、この漫画は鬼ヶ島さんを始めとした各キャラクターの扱いや魅せ方が非常に上手く、バランスよく。
読んでいて清々しい気持ちになれるハイクオリティストーリーに仕上がっております。
王道展開だからこそ、作者さんの力量がもろに出ますよね。
例えばスラムダンクを同じストーリー同じキャラクター配置で他の漫画家さんが書いてみても、井上雄彦さんの作品と同じ満足度にはならないと思うのです。
ジャンプGIGAは若手・新人漫画家さんの読切作品を集めた雑誌で、よくも悪くも個性が前面に出た作品が多いのですが、この時点でこんなにきれいに作品をまとめてはるのは凄いなあと唸らされてしまいます。
作画がまた魅力的なんですよ。
読んでみて思い知りました。
水球って、漫画にしたらめっちゃ映えますね。
ボールを扱う場面はバスケ・サッカー漫画的な激しく勢いのあるアクション。
一方、泳いで移動する場面は静かで流麗な美々しいアクション。
片方の属性は「風」、片方の属性は当然「水」という。
この対比のメリハリが見事で、それぞれの作画で読者をときめかせてくれるのです。
百聞は一見に如かずですので、一読していただけると言わんとするところがお分かりいただけるかと思います。
キャラクターもいいですよ。
半裸の美青年尽くし。
味方の「桃山部長」さんやライバルの「雨色流善」さんが特にいいですね。
前者のボールプレイ、後者の水泳プレイは抜群の格好良さです。
その他周辺メンバーも個性的なポテンシャルを感じさせつつ全体バランスを踏まえた程よい活躍ぶりで作品の完成度を高めてはります。
更に凄いのがvol.1からvol.3にかけて、ストーリーも作画も右肩上がりに盛り上がっていくところ。
「1話がピーク」にならず、面白さを加速させていけたというのは大変なことだと思います。
個人的にはとても気に入りましたので、この作者さん二人の作品がまた近いうちに発表されますように。
ジャンプ本誌なりSQ.なりでも登場してほしいなあ。
今回のvol.3では、「エンマ様の弓矢」(石井来愛先生)という読切作品も印象に残りました。
同じく部活ものですが、珍しい切り口で面白かったです。
こういう読切、好き。