肝胆ブログ

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「ビビ式歩行住宅 感想 この読切がスゲェ」影革先生(くらげバンチ)

 

くらげバンチの読切漫画「ビビ式歩行住宅」がめっちゃ面白くてかんたんしました。

 

ビビ式歩行住宅 - 影革 / ビビ式歩行住宅 | くらげバンチ

 

※但し冒頭ゴキブリ描写があるので苦手な方は注意

 

 

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

発明家の少女ビビさんが、自宅のアパートをロボットに改造して歩けるようにして、街は大騒ぎ……という内容になります。

 

読切なので深い伏線とか複雑な設定描写とか多くのドラマ性とかを詰め込んではおらず、シンプルに「描きたいものを描いた!」感のある清々しい作品。

 

それでいて主人公の「何でもアリ」にできそうな技術力、街の住民の異常に高い許容力等々の描写を踏まえれば、いくらでも続編を展開できそうで今後に期待してしまいますね。

Dr.スランプこち亀と同じような方向性の魅力を感じます。

 

 

 

スゲェなあと思う点がたくさんあるのですが、

まずは何と言っても主人公ビビさんのキャラクター造形。

 

ロボットの制作・操作にはしゃいでいるところ、

表情含め全身に感情が表れるところ、

「ヒュッ ホ ヒュッ ホ」「パパ大好き」「説明? 喜んで!」等々、

絶妙にかわいらしい面と、

 

「ゲキョキョキョ」という謎の笑い声、

やたら高い承認欲求等々、

絶妙に面倒くさい面

 

そして、やりたいことをやり通す意志の強さと比類なき技術力、

何より卓越した自己肯定力という、

素晴らしく爽やかな面があって、とても魅力的です。

 

こういう娘がいると楽しいですよね。

 

個人的には、とりわけ自己肯定感の強さがいいと思います。

自分の能力をついつい周囲との調和とか、空気を滑らかにする方向に使いがちな現代社会にあって、「やりたいことをやるんだよ」の一心で動ける人を見るとただただ気持ちいいですよね。

 

 

 

そして、そんなビビさんのキャラクターと、「歩くアパートロボ」というデカブツとが最高にマッチしていると思うんです。

めっちゃよくないですか、歩くアパートというコンセプト。

ン階建てのデカい建物が歩くんですよ。ジャンプするんですよ。

 

あどけない主人公がキャッキャはしゃぎながら、

デケェアパートがズシーンガシャーンですよ。

 

こんなん絶対おもしろいやつじゃないですか。

 

 

操縦桿がSFCのコントローラーなとことかの細部もいいのですが、

アパートロボのデザイン自体がまず素直に好きです。

 

デカい歯車がムキ出しなのがいいですよね。

 

最終ページの普及型歩行住宅の脚部はいかにも量産に成功した後のデザインという感じですけど、ここはやっぱりビビさんのつくった第1号機の無骨スチームパンクなデザインを推しておきたい。

(普及後のデザインも、多脚型とか出てきたら心揺らぎますけど)

 

 

 

これらナイスな美点を、

テンポのよいコマ割り・構成、

しっかり個性の乗った各人物のセリフ、

色・トーンを抑えた読みやすくて味のある作画等々で

勢い良く完成度高く楽しませてくれる。

 

スゲェ読切であります。

著者「影革」さんの名前を憶えて次回作を楽しみに待とう、と秒で刻みました。

 

 

 

多くの読者の目に触れて評価されて、更に素敵な続編や次回作に繋がっていきますように。