肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「ブラックティガー4話 乱逆の「消える列車」事件 前編&後編」秋本治先生(グランドジャンプ '18.6-7号)

 

秋元治先生のブラックティガー4話も引き続き大層面白くてかんたんしました。

 

grandjump.shueisha.co.jp

 

前話

「ブラックティガー 3話 溟海の銃撃手」秋本治先生(グランドジャンプ) - 肝胆ブログ

 

 

初の前編後編構成です。

映画的な作品(映漫画……シネマンガと捉えているそうです)ですので、個人的には読切形式で載せていただいた方が没入感が増してありがたいのですけど。

その辺は雑誌売り上げとかとの関係もあるのでしょうからしゃあないですね。

 

 

以下、ネタバレを含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

こたびの内容は鉄道輸送車強奪事件です。

列車強盗ですよ列車強盗!
西部劇の王道題材を惜しみなく投入してきてくれるのが嬉しいですね。

 

 

目玉となる鉄道の描き方が素晴らしいんですよ。

引き込み線を使った「消える鉄道」トリック。

敵方「旧南軍」の転車台付き巨大基地の精密な作画。

ティガー姐さんによる機関車の構造を踏まえた敵方攻略。
「あのあたりが重油だな」という一言の凄みが凄い。

 

ブラックティガーはギミックや場面設定の練り込み方に毎回かんたんさせられます。

 

 

加えて、今回は敵役の「エリオット(ビリー・ザ・ハイド)」さんがよかった。

超よかった。

有能な実務家、かつ大量殺人鬼という特異性。

 

「人殺しは楽しい!!

 蘇ってきたぜ…」

 

「幼い頃の…
 人を殺す快感が忘れられなくてなぁ

 ハハ…

 自分じゃあもう…
 止められない!」


「安心しろ

 俺が止めてやる」


「いいね!
 
たまんねえ…

 殺し合いは最高のスリルだぜ…」

 

ティガー姐さんとの掛け合いも含めて最高の悪役でした。

いいね! の表情、秋元治作品の新境地感がして好きなコマです。

 

2話のブラックジャガーさん(超有能だけどロリコン)といい、この作品の強敵は業が深くていいですね。

分かりやすい記号化されたような悪党でもなく、闇に堕ちるに至った分かりやすい事情がある訳でもなく。

ある種「わかっちゃいるけどやめられない(スーダラ節)」にも通じるような、人間味の迫真性を備えた敵役が1話で退場していくという贅沢さ。

いや本当に贅沢な作品だとあらためて感じさせられます。

 

 

更に、エリオットさんの足が不自由という設定。
これがまた絶妙な「間」を生み出していましたね。

 

ラストの戦い、敗れたエリオットさんが一瞬“ヒョコ”と足のバランスを崩してから落ちていく場面描写がたまんないんです。

 

秋元治先生は昔からセリフを使わない「間」の表現がめちゃくちゃ上手ですよね。

下手な読み手でも分かるほど、明瞭に余韻を味わわせてくださいます。

こち亀で言うと「祭太鼓(スリの唐沢さんのやつ)」や「親心…(部長と飲みに行くやつ)」、「浅草物語」などのラスト場面なんかを思い出していただくと分かりやすいと思います。

 

 

 

 

 

今週のグランドジャンプ、「そしてボクは外道マンになる」が猿渡哲也さん関係でごっつい展開を見せてくださっていたのや、「イノサンRouge」などが印象的でした。

 

イノサンのダントンさん(6号で登場)素敵過ぎてときめきました。

今週のサンソン家の宿命とスミレのサシェの対比感がまた尊くて。

表紙の殺し合いしているお婆さんもイイ感じにおぞましくて怖くて。

次号以降は悲しい展開になりそうでいまからつらいです。

 

「ノイズ」の心がざわざわする感じも面白いです。

ご近所の農家「横田庄吉」さんの目力がえぐい。

 

「こううんりゅうすい」のそうそう河内ってこの頃は湿地帯だよね描写は個人的に納得感が高かったです。あと、本宮ひろ志先生の「きれいな女の人を見ても、「パンツを脱がすのが面倒だ」で終わりです」というご発言の納得感もすごくて笑いました。

 

そう、不倫食堂ドラマ版の袋とじがついていて、開けてみたら安達祐実さんや岩佐真悠子さんなどの濡れ場画像が入っていましたよ。

個人的には濡れ場シーンよりもどうまん蟹をしゃぶってる安達祐実さんがポイント高いなと思いました。

 

 

 

 

最近のグランドジャンプは満足感が増し増しです。

 

ブラックティガーの連載がこのクオリティを保ちながら続いていきますように。

次回の先住民蜂起っぽい話も楽しみです。