肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「ファミマがコインランドリーに参入」日経新聞の記事より

 

ファミリーマートがコインランドリーに参入するというニュースにかんたんしました。

 

www.nikkei.com

 

 

これはいいですね。

 

コインランドリーは本当に便利で、雨の日に家族全員の洗濯物をまとめて乾かしたいときとか、スポーツ系ユニフォームをがっちり洗いたいときとか、記事にもあるように布団を突っ込みたいときとかに重宝しています。

 

近所でもコインランドリーが増えている実感があります。

食べ物屋さんから商売替えしたところもあります。

維持費はそれなりにかかるんでしょうけど、人件費が少なくて済みそうなのも大きいんでしょうね。

いまは人を雇うのがいちばん大変です。

 

 

 

コインランドリーで時間を過ごすのが好きです。

備え付けの古いジャンプを読んでみたり、持参した本やPSPを触ってみたり、スマホでいかがわしい情報を検索したり、自販機で炭酸飲料を飲んだりしているのって心地よいんですよね。

 

ごわんごわんという独特の響き、洗剤と乾燥機のむせるような香りも楽しいもんです。

 

 

そんなコインランドリーがファミマ併設となったら最高ですよ。

 

雑誌読み放題。

ファミチキ食べ放題。

ビールは……さすがに風紀上アレですけど、コーヒーならOKか。

 

ますますコインランドリー通いが楽しくなりそうです。

 

 

 

さいきん、ファミマは攻めてますね。

社長が変わった影響でしょうか。

 

セブンはともかく、元気のないローソンが気になります。

店舗数の遅れに気を取られているうちに、クオリティや収益性でセブン・ファミマに差をつけられていったりして。

三菱系らしい緻密な巻き返しプランを期待したいところです。

 

ちなみに私はデイリーヤマザキ派です。

 

 

 

ファミマコインランドリーが駐車場のない都市部の店舗にも拡がっていきますように。

 

 

 

 

 

 

信長の野望 大志の「デモ版」

 

信長の野望 大志のデモ版が配布されていてかんたんしました。

 

www.gamecity.ne.jp

 

 

上記リンクからダウンロードすることができます。

お使いのPCでうまく動作するか確認できるやつです。

 

 

デモ版ですので実際のプレイ仕様とはいろいろ違うと思いますが、触ってみて印象に残ったことを書いてまいります。

 

 

畿内の配置は据え置き

前作「創造」から畿内制覇の重要性が高まりました。

「人口」概念の導入もあって、畿内制覇勢が圧倒的に強大になる感じなのです。

 

この「大志」でも人口概念は引き続き存置しており、五畿内の人口は引き続き高めに設定されているようです。

新登場の「商圏」概念でも畿内はたぶん手厚く設定されているでしょうし、ありがたいことですね。


とはいえ、畿内の城配置は創造からあまり変わっておりません。

芥川山城……越水城……。 

 

一方、近隣では地味に「淡路」(や「佐渡」)が一国化しています。

素晴らしい。

 

また、紀伊南部や大和南部に、「十津川温泉」「吉野金山」「熊野神社」「勝浦湊」などの施設が大量追加されているのも気になります。

こうした施設がどの程度プレイに寄与するのか分かりませんが、いままでのように関西南部が「空白」という訳ではなさそうなのです。

紀伊南部の「手取城」が意味のある拠点になるのかも……!

 

  

三好家や河内畠山家・六角家武将の能力は据え置き

ざっと見ですが、畿内武将が再評価されたりはしてなさそうです。
(各拠点を左クリックすると所属武将の詳細を見れます)

三好三人衆や篠原長房さん、畠山高政さん、六角義賢さんなど、いままで通りの低スペック人材として登場しています。

デモ版では三好四兄弟は全滅していて能力は分かりませんが、この分だと急上昇していたりはなさそうですね。

仕方ありませんが残念。

 

細かいところを言えば、三好義継さんが松永家所属になっていて面白かったです。

三好義賢さんは「実休」にあらためられていますね。

 

また、内藤如安さんの実父で松永長頼さんの登場が確認できて安心しました。

 

三好康長さん、三好長逸さんの実父が「三好之長」さんになっているのも興味深いです。

之長さんと元長さんがPKで登場したらいいなあ。

 

 

シレッと井伊家が独立勢力化 

大河ドラマ効果か、「井伊直虎」さんが独立勢力になっています。

小野政次」さんや「近藤康用」さんも出ています。

 

しかし全員能力がしょっぱい……。

ご祝儀的な能力上げ底はないようです。

大河ドラマで描かれた「(真田昌幸さんのような)有能人材がいない中小国人」のリアリティがそのまま反映されています。

 

これ、井伊家プレイはけっこう楽しいかもしれませんね。

周辺は一流大名ばっかりで。

外交を駆使してどう生き残るか的な遊びができそうです。

 

ちなみにデモ版では武田家に滅ぼされていました。

 

 

また、近隣の今川家武将「岡部元信」さんの顔グラが刷新されていて感激しました。

統率82・武勇76・知力82といい感じに強そうですよ。

朝比奈泰朝さんともども、もう一声強くなってほしいくらいです。

 

 

北条家に速攻で滅ぼされる里見家、その次に狙われる小田家

ぜったい狙ってやっていると思います……(笑)

製品版では両家とも史実通りの粘り腰を発揮されることを祈ります。

 

というか北条家の伸びっぷりがすごい。

ぜんぜん関東地方だけで満足する気がありません。

 

 

動かない上杉家

関東・東北を北条家が蹂躙する中、上杉政虎さんはピクリとも動きません。

戦は強いようで、侵略してくる北条家や武田家を幾度も撃退しているんですけど。

上杉家の領地がぜんぜん増えないのです。

 

志のせい……?

武田家はけっこう勢力を伸ばすのですが。

 

最後は北条家と織田家の挟み撃ちで滅んでいきました。

 

 

毛利家(中国地方)がすごく強そう

「革新」「天道」のリベンジなのか……

中国地方の城が多い気がします。

志か何かの効果なのか、兵数もやたら多い。

 

中国地方の覇者」って、これまでのシリーズだと「九州の覇者」と「畿内の覇者」のサンドイッチに遭ってジリ貧になるのが常でしたが。

 

デモ版では毛利元就さんが周辺地域を次々に制圧。

三好家も毛利家が四国に上陸して滅ぼしました。

長宗我部家もそのまま滅ぼされました……。

 

今回の中国地方は強そうですね。

四国勢もがんばれ……。

 

 

北畠具教さんのイケメン化

なんか……「北畠具教」というより「北畠顕家」という感じの顔グラに!

がぜん贔屓にしてしまいたくなってきました。

デモ版では筒井家・鈴木家・松永家を滅ぼしてしまっていましたよ

最後は信長さんに史実通り滅ぼされていましたが。

 

 

南部家の恐怖再び?

南部晴政さん、九戸政実さん、大浦為信さんの顔グラがそろって凶悪化。

天翔記の猛威を思い出さずにはおれません。

近隣の安東愛李さんがダンディ化しているのと対照的です。

 

とはいえ、東北勢は人口問題もあって今回も伸びなさそうです。

容赦なく北上してくる北条家にはかないませんでした……。

 

 

エイメン!

大友宗麟さんが出陣するだけで面白いです。

でも毛利家に滅ぼされました。

史実のようにはいかないようです。

 

 

 

そして、1600年までデモを放置した結果

天下を統一する大名は現れませんでした……。

ある程度の勢力がある同士だと戦で一進一退を繰り返すようで、CPUだけだとなかなか●●家一色に全国が染まることはなさそうです。

 

創造のときからそうなのですが、革新・天道のようにCPUが全国の兵を前線に集めないことが原因なのでしょう。

(前線周辺地域の兵だけで争う感じ)

 

 

 

 

1600年時点の勢力図を申し上げます。

 

兵数1位は毛利家(毛利元就)で、兵数は56万人。

中国・四国を完全制覇、九州の半分を制覇。

 

兵数2位は北条家(北条氏康)で、兵数は55万人。

関東・東北・越後を制覇。

 

兵数3位は織田家(織田信長)で、兵数は29万人。

濃尾・伊勢志摩・畿内を制覇。意外と伸び悩みました。

 

兵数4位は武田家(武田信玄)・島津家(島津貴久)で、兵数は17万人ずつ。

それぞれ甲信・東海と南九州を制覇。北条家と毛利家の侵攻を食い止めました。

 

 

毛利と北条が圧倒的でしたね。

中国地方と関東地方に他の推し大名がいる方はご注意ください。

 

あくまでデモ版の結果ですが、あんがいPKまではこういうバランスなのかもです。

 

 

 

 

 

いろいろ書きましたが、一番大事なことを申し上げると「はやく自分でプレイしたい」に尽きますね。

やっぱり信長の野望は触っていて楽しいです。

 

三好家→南部家→龍造寺家→相馬家あたりの流れでクリアしていきたいと思います。

 

もう大丈夫だと思いますが、予定通り来週に発売されますように。

 

 

絵本「曾我兄弟」文:砂田弘さん・絵:太田大八さん(ポプラ社)

 

図書館にて、よい子の絵本コーナーに「曾我兄弟」という死には死をもって報いよ的な物語が紛れていてかんたんしました。

 

www.poplar.co.jp

 

f:id:trillion-3934p:20171121215841j:plain

 

 

あの曾我兄弟です。

能や歌舞伎を好きな方にはおなじみのストーリーですね。

 

気の毒な男(工藤祐経さん)が土地と嫁を奪われます。

気の毒な男は、土地と嫁を奪った父子を報復に暗殺します。

暗殺された父子には曾我兄弟という子どもたちがいました。

大きくなった曾我兄弟は、気の毒な男を報復に斬殺します。

曾我兄弟も兄は斬り死に、弟は斬首されます。

残された曾我兄弟の母と恋人は供養の旅に出かけます……。

 

というあらすじ。

みごとなくらい誰も幸せになっていないですね。

 

 

日本の仇討ち物語のなかでも屈指の知名度を誇りますが、江戸時代や明治時代と違って、現代では工藤祐経さんにも充分な事情があったことや北条時政さん周辺のもろもろの陰謀なんかが明らかになっておりますので、なかなか曾我兄弟だけをヒーロー扱いもできないんですけど。

忠臣蔵と同様に)

 

それでも……

単純な勧善懲悪ものとしてではなく、無常観・虚無感に触れることができる武士のあわれの物語として、この曾我兄弟はいまもなお独特の輝きを放っているように思えます。

 

 

 

この物語をちびっ子向けの絵本に忍ばせているのがいいですね。

子どもたちがこの絵本を「読んで~~」と持ってきたときは目を疑いましたよ。

 

小学校低学年や幼稚園児に理解できるんだろうか……と思いながら読んであげたら。

 

……想像以上に食いつきがよかったです。

 

 

たぶん、子どもたちからすれば異世界ファンタジー以上の異世界感があったんでしょう。

 

日ごろ彼らが接する物語とは道徳も価値観も違いすぎますからね。

 

 

源頼朝さんの命令

「ただちに ふたりをとらえてまいれ。首をはねる」


 ↓
子どもたちのリアクション

「え!? なんで殺されなあかんの!?」

 

 


……まったくその通りであります。

 

子どもたちよ。

幕府と格好よく言っても実態は軍事政権。

粛清に次ぐ粛清こそがその本質なのだよ。

幕府ができましためでたしめでたしじゃないんだよ。

平家との闘いよりも粛清で死んだ人の方が多いのかもしれないよ……。

 

とは心の中で思いつつ。

さすがに頼朝さんや時政さんの恐ろしさを一言で説明するのは難しいです。

 

 

物語の締めくくりのセリフも

「それにしても、ひとのいのちのなんとはかないことか」

ですからね。

 

ごっついインパクトを子どもたちに与えた様子でした。

 

子どもたち自身、何が面白かったのかうまく言えない感じでしたけど……

「なんかおもしろかった!!」

と喜んでおりました。

 

 

 

現代に生きる子どもにとっては、ひょっとしたらこの絵本は“毒”かもしれません。

 

でも、子どもたちの記憶の奥深いところに、こうした日本古来の情とあわれを染み込ませておくことは。

やがて子どもの視野や関心を広げたり彩ったりすることに繋がるかもと思いました。

 

きれいで健やかなものばかりインプットしてもちょっとですしね。

 

 

 

曾我兄弟という物語は、この500年くらいずっと親しまれてきたんです。

暴力や報復が許されない現代であっても、人の琴線に触れる力はあんがい変わっていないのではないでしょうか。

 

 

月夜を飛ぶ雁の家族を見て涙する曾我兄弟。

仇討ちを煽ったことを後悔し嘆く母。

ほのかな疑念だけでためらうことなく処刑を命じる頼朝。

曾我兄弟の助命を嘆願する畠山重忠和田義盛、梶原景季、千葉常胤ら善玉御家人

曾我兄弟をバックアップする一見優しい北条時政

残された女たちの哀しみ。

 

 

印象的な場面の数々は、いまも人々を惹きつけてやみません。

 

家族を思う美しい気持ちと、人間社会の因果応報、とめどない寂寥……

こうしたモチーフが時を超え、これから先の人々にも語り継がれていきますように。

 

 

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ちなみに曾我兄弟の物語は戦前まで教科書に載っていたそうです。

教科書から外すときは、やっぱり「曾我兄弟を消すなんて日本史のロマンがなくなる」「日本人の美しい心を冒涜するな」「ゆとりか」的な声が殺到したんでしょうか。

物語と学問の区別という概念が浸透していないのは今も昔も一緒なのかもです。

 

 一方、教科書から外れたこともあって曾我兄弟がマイナーになっていったのも事実だと思います。

自分の推し偉人を教科書に載せておきたい気持ちそのものはよく分かりますね。

 

 

「星の王子さま 第9話」漫☆画太郎先生(ジャンプ+)

 

ただでさえ好き嫌いの分かれる漫画太郎先生が、ますます好き嫌いの分かれるような展開をぶっ込んでいてかんたんしました。

 

shonenjumpplus.com

 

 

漫☆画太郎版「星の王子さま」。

 

これまでの展開もたいがい糞漫画(誉め言葉)でしたが、この9話では画太郎先生にしては珍しい角度のネタを披露いただいています。

 

以下、今週のネタバレを含みます。

画太郎先生が苦手な方はスルーしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

ストーリーはあってないようなもんですが、ものすごく大きな視野に立ってみれば原作通り展開しているように見えなくもない……いややっぱり原作は崩壊しているのですが原作に出てきた地理学者をとりあえずぶっ●して生き返らせようとしているのが現在です。

 

で、王子が唐突に「日本は来年滅びる」と言い出したのですよ。

 

相方の「パヤオ」(たぶん元ネタは宮崎駿)が理由を聞いてみると……

 

来年日本中の老人がゾンビになって若者を食べてしまう

 

という頭のキレたことを王子が語り始めます。

 ※この作品はサンテグジュペリ星の王子さまが原作です

 

 

そんで、さらにパヤオが詳細を問い詰めてみたところ。

王子が語った内容はざっと次の通りでした。

 

老人のゾンビ化は薬漬けによる延命治療が原因

日本の老人の薬摂取量は世界一

自己負担の低さと医者の荒稼ぎが原因

一度にたくさんの薬を飲むと副作用リスクがハネ上がる

つまり日本の老人はいつゾンビ化してもおかしくない

 

 

…………。

 

 

予知夢で見た人がいるから間違いない

日本政府に訴えたが厚労省にもみ消された

薬が売れなくなったらワイロや天下り先が減る

日本人は永田町の古狸に化かされてきたんだ

 

 

…………。

 

 

こーなったのはパヤオたちにも責任がある

NHK偏向報道だけを見て分かった気になり

インターネットを見てこなかったからだ

 

「それはねパヤオ

「ネット社会は
 どこかにひとつ
 真実を
 かくしているから
 なんだ…」

「いちばんたいせつな
 ことは」

「地上波では
 見れないんだよ
 パヤオ

 

 

…………。

 

どーした漫☆画太郎!!(笑)

 

 

というのが今週の展開でした。

 

画太郎作品とは思えないほどのテキスト量。

絶妙に原作(とアキラ)からインスパイアドフロムされた迷言の数々。

パヤオさんの驚愕ヅラの画力の高さもあって醸し出される無駄な説得力。

 

 

画太郎先生って……こんなアジテーターの才能があったんだなあ。

 

 

…………。

 

 

さすがにそのまま受け取る人なんていないと思いますが。

 

星の王子さまよろしく風刺漫画っぽい体裁になってはいますが。

 

いまから話すことはあくまで私の解釈ですが。

 

 

これ、政治やマスコミを風刺してませんからね。

 

風刺されているのは我々読者ですからね。

 

画太郎先生はアホな話を描きますがアホじゃありません。

 

 

 

 

そうだったのか!!!

またしてもネットで真実を知ってしまった……!!

 

とかリアクションしたらダメですよ。

 

 

たぶん画太郎先生はいつも通りのテイストで

 

「おめーら平成生まれの
 変換ゆとりバカは
 こーいうのがいいんだろ!?

 うひゃひゃひゃひゃ!!!」

 

と笑ってはりますからね。

 

ギャグマンガが読者のリテラシーをギャグにしているんですよ。

 

 

……マジで一流の風刺じゃねえか。

 

 

 

 

なんか画太郎先生にしてやられた気分です。

私だけでしょうか。

 

 

 

いつトラック落ちが始まるか分かりませんが。

この作品がどう転がっていくか、引き続き楽しみに見守りたいと思います。

もちろん単行本も買う予定です。

 

単行本にこんどこそ重版がかかりますように。

 

 

 

 

 

「こううんりゅうすい<徐福> 1-2巻」本宮ひろ志先生(グランドジャンプ)

 

こううんりゅうすいの単行本がようやく発売されてかんたんしました。

かなり渋い漫画ですが私は好きです。

 

grandjump.shueisha.co.jp

 

f:id:trillion-3934p:20171118171836j:plain

 

 

ジャンルは歴史漫画になります。

歴史漫画といっても本宮ひろ志御大の作品ですから、壮大なスケール感・大風呂敷感を楽しむ内容です。
細かな考証とかは突っ込まないようにいたしましょう。

 

いうなれば本宮ひろ志版の「まんが 日本の歴史」

秦の始皇帝から不老不死の霊薬を探してこいと言われた「徐福」さんが、日本に辿りついてうっかり2,500年の寿命を手に入れてしまい、その後の日本の歴史を見守ることになってしまうというストーリーです。

秦の時代は紀元前200年ころですから、そこから2,500年というと現代日本のさらに未来まで生きることができる計算です。

 

「赤龍王からサラリーマン金太郎までの時代をミルフィーユに仕立て上げるようなもんですから、なんかとんでもない作品をつくろうとしているんだなということが察せられます。

気宇壮大ですね。

 

 

このたび発売された1-2巻では、徐福さんが倭に辿りつき、2,500年の寿命を得、卑弥呼(作品内では「日弥呼」)さんの邪馬台国成立を見守るまでを描いてはります。

 

ちなみに邪馬台国は九州説を採用されています。

が、このまま日弥呼さんが皇室のルーツになりそうな気配が漂っていますので、途中で古事記よろしく東征に出るんですかね。

百年単位で時間を飛ばしていく漫画ですから、ややこしい論争を呼びそうな細かい描写はカットされるかもですが。

 

この日弥呼さんが登場する2巻から作品が盛り上がり始めます。

1巻は壮大な舞台を整える基礎工事の段階です。

 

日弥呼さんはよいキャラクターですよ。

ドSだし尊大だし崇高だし。

天照大神のごとく太陽(日食中)に命令する姿は名シーンで、その時代の民からすれば堪らないものがあると思います。

「はあああああーーーっ」「いっやああああああーーーーっ」という本宮作品っぽい叫び声も大好きです。

「我は
 お前の下僕ではない
 お前を司る者じゃ」

「命令する」

「ただちに元の姿に戻れ」


「太陽に仕える巫女」ではなく「太陽を司る巫女」。

このカリスマはただごとではありません。 

 

3巻か4巻くらいで日弥呼さんの出番も終わることになると思いますが、消えるにはもったいないキャラであります。

 

日弥呼さん率いる邪馬台国と奴国(師升さん)が争う展開も古代ロマンのある話です。

徐福さんなどがもたらした中国文化が、平和だった倭に争乱の種をもたらしたという経緯も本宮御大らしい構想だと思います。

 

 

合間合間に中国を中心とした世界の情勢が入るのもいいですね。

ストーリー的には端役ですが、項羽さんがめちゃくちゃ格好よかったです。

龍王版よりも格好よいと思います。

曹操さんも登場していましたが、こちらは天地を喰らう版の方がイケメンでした。

 

グランドジャンプ本誌の方ではローマ帝国の衰退が描かれていましたし、そのうちイスラムとかモンゴル帝国とかも出てくるんでしょうね。

 

 

これから先の展開も楽しみです。

本宮ひろ志御大がどのような切り口で日本の歴史描写をセレクトしていくんでしょう。

 

日本という国の成り立ちを考えれば、次は仏教伝来や白村江の戦い律令制など、その次は平安と女性文学、その次は清盛と頼朝と鎌倉新仏教、その次は元寇、その次は南北朝、その次は応仁の乱と侘び寂び、その次は秀吉と家康、その次は江戸と庶民文化、その次は明治文化、その次は日清日露、その次は帝国主義、その次は敗戦と高度成長、その次は現代……というあたりがメイントピックでしょうか。

 

戦国時代あたりで連載に飽きて、信長さんと夢暴丸さんが全世界を統一する話に切り替わったら笑いまくりますけどさすがにそれはないでしょうしね。

 

 

学問的な話とはまた別の立ち位置で、日本という国の歴史の流れを俯瞰してみるというのも楽しい試みだと思います。

かなり骨の折れる作業ですのに、個性的なエンターテイメント作品として成立させてしまえる本宮ひろ志先生の器量と腕力には敬意を表します。

 

 

現代に近づくほどスケールの大きい展開を描くのが難しくなってくると思いますが、このまま本宮節全開で現代まで描き切ってくださいますように。

 

 

「こううんりゅうすい<徐福>3-4巻感想 卑弥呼さんいいよね」本宮ひろ志先生(グランドジャンプ) - 肝胆ブログ

 

 

 

祝!「中華一番!極 第1話」小川悦司先生(マガポケ)

 

大好きな料理漫画「中華一番!」の続編が始まっただけでも嬉しいのに第1話のクオリティがめっちゃ高くてかんたんいたしました。

 

pocket.shonenmagazine.com

 

 

ありがたいことです……!

 

一世を風靡した料理漫画「中華一番!」&「真・中華一番!」。

清朝末期の中国を舞台に、少年特級厨師リュウ・マオシンさんの活躍を描く作品ですよ。

ハッタリとケレン味に満ちた演出の数々、「ウマそうさ」の謎の説得力。

とりわけ真・中華一番になってからはシェルさん&レオンさんの女性人気も相まってアニメ化されるほどの人気になりましたね。

(「将太の寿司」を連載していた寺沢大介先生も当時は脅威を覚えていたくらい)

 

私も単行本全巻持っていました。

シェルさん派です。

ベストバウトはラコンさん戦です。

最食べたい料理はチョウユさんの酢豚です。

アメイジング料理はマジカルパンダマーボです。

 

 

 

このたび始まった「中華一番!極」第1話は。

 

中華一番!シリーズの魅力をしっかりと継承しつつ、「すしいち!」「浅草人」で魅せていただいた「情の深さ」までをも取り込んだ傑作でございました。

 

 

翡翠玉衡担々麺(エメラルドユイホンたんたんめん)」、めっちゃ美味しそうです。

 

「肌筋復活!!!!!!(マッスルリザレクション)」のサービス力も素晴らしいですね。

 

「人体北斗七星」の変態百足感もマニアには堪らないものがあります。

 

 

次回以降ではシェルさんやレオンさんも登場してくださるようですし、表紙を見るとメイリィさんが更にべっぴんになってはります。

フェイさんは相変わらずクール系のイケメン。

地味にジュチさんも表紙にいましたが健康は大丈夫でしょうか。

 

今回登場しはったゲストキャラのユイランさんもいいですね。

客たちに問い詰められた時の困り顔がとてもキュートでしたし、「行っちゃった…」もたいそうキュートです。

 

マオさんは相変わらず料理の構成要素を分析する能力が半端ない。

故人が遺した器の残り香から料理を再現していました。

第1話にしてジュチさんの立場が危ういです。

マオさんとシロウさん二人の話をテンポよく回すコンビ力もさすがであります。

 

第1話に四川系料理を持ってきたことで、「原点回帰」感もある構成でした。

中国大陸に味の架け橋をつくりに旅だったマオさんたちがこれからどんな物語を繰り広げていくのか、今後も目を離せないですね!

 

ぜひぜひマガポケの看板漫画として長期シリーズになりますように。

 

 

「中華一番!極 8巻感想 シェル・レオン再び」小川悦司先生(マガポケ) - 肝胆ブログ

 

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本日'17年11月17日はマンガ読みには最高の1日でございました。

 

こちらの「中華一番!極」がマガポケで開始したことだけでなく。

 

講談社からは金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿」単行本が発売。

カイジ系といい、最近の講談社漫画はスピンオフが元気です。

 

集英社からは「こううんりゅうすい」「透明人間の骨」単行本が発売。

こううんりゅうすいについては頭を整理して、明日記事にしようと思います。

透明人間の骨ははらはらしながら展開を見詰めています。

 

そして……週刊漫画ゴラクミナミの帝王」が神回でした。

ストーリーは1ミリも進んでいませんが、勢いがキレッキレで素晴らしい。

「何いいいッ村野校長が乳首ーーーーッ!?」

「ハゲとるやんけーーーーッ!!」


この浪速のデリヘル王シリーズも、完結したらまとめて記事にするつもりです。

が、このライブ感はぜひ立ち読みででもいいから味わってほしいですね。

みんな、ゴラクを読もう。

 

週刊漫画ゴラクは関東と関西で発売日が違うので、金曜までネタバレしないのが
 紳士淑女のお約束です。

 

 

 

 

 

 

「教科書から坂本龍馬や武田信玄や上杉謙信が消えるかもの件」

 

表題のニュースが盛り上がっていてかんたんしました。

それぞれ各地域を代表する偉人ですから、案の中身を理解もせずに文句をつける政治家さんとか出てきそうですね。

 

www.asahi.com

 

 

盛り上がっていますが、「坂本龍馬」「武田信玄」「上杉謙信」「クレオパトラ」といった固有名詞が消えるかもということばかりが取り上げられていて、この案を作成した「高大連携歴史教育研究会」の発表資料を具体的に読んでみた人は少なそうです。

 

www.kodairen.u-ryukyu.ac.jp

 

こちらの歴史系用語精選の提案(第一次)を読めば、日本史も世界史も具体的な提案が分かります。

 

個人的にはけっこう納得感の高い趣旨・案だと思いますね。

 

趣旨としては、歴史教科書の収録用語数がどんどん増えていて「歴史=暗記科目」になっており、生徒も先生も大変だという点、結果として歴史の流れを掴む思考力を育む余裕がない点などが課題として挙げられています。

大学受験との関係も強く、入試問題でマニアックな用語が出ると、教科書にもマニアックな用語が載るようになる、次の入試ではもっとマニアックな用語が出て……という背景もあるようです。

 

 量的増加以外に、従来の「用語の暗記」は2つでの点で、質的に深刻な問題を含んでいます。第一にそれらの用語について、基本的な流れや時代の特色とその個別具体例 などの階層分けが明示されないため、生徒たちはたとえば「フランス革命」もその中の各事件の名前も重要度を区別せずに、平面的・羅列的に覚え続けることです。第二は、従来の「用語」が人名・事件名など固有名詞や事実に関する用語に偏っていることです。フラ ンス革命を理解するために不可欠な「市民革命」などの歴史・社会に関する一般概念や、 資料から歴史を考察するために必要な「一次史料」などの方法概念には、「用語」の扱いを受けていない(索引や用語集に立項されていない)ものがきわめて多く、それらをどこまで授業で用い習得させるかについては、何の基準もありません。これを語学にたとえれば、 必要な文法用語や基本文型の選定を一切せずに、ただ覚えるべき単語の数だけ増やしている状態に等しいのではないでしょうか。

 

ごもっともであります。

 

 

私個人の意見としましては、

 ・「社会人」としては大賛成

 ・「学生」としてはやや反対(学生じゃありませんが)

です。

 

社会人として若者教育に求めるものは会がおっしゃっている通りのことです。

用語マニアよりも、自分なりに物事の大まかな流れを粗掴みして語れる方がいい。
正確な知識を得るための調査手法まで思いを馳せられる方がいい。
歴史から得た教訓を今に生きる自分の身に投射できる方がいい。

歴史に限りませんが、企業であれ研究室であれ、こうした人材の方が活躍できる可能性は高いことでしょう。

とりわけ、世間の流行や先入観や固定観念同調圧力に迎合しない、「リテラシー」を伸ばす姿勢は重要だと思います。
義務教育の小学生中学生ならともかく、高校生向けの教科書ですからね。
学問的・科学的なアプローチ重視で適切かと。

 

実務者的にも、長年かけて膨れ上がったモノを可視化して効率化しようというスタンスには好感と共感を抱きます。

(どんな領域であれ、放っとけば実務は膨れ上がるものです)

 

 

一方、元学生としては……

ぶっちゃけ暗記優先の方が楽でよかったなあ、という思いはあります。

用語数が多ければ多いほど暗記力で点数に差をつけられますし。

思考力や構成力を問う問題(論述等)だって、結局は用語……知識のとっかかりがたくさんあった方が誤魔化しやすいですしね。

 

たぶん大学受験の問題・採点を担う人も、暗記系の方が楽だと思います。

論述なんていちいち採点してられない。

 

歴史は教科書に載っている「定説」と直近判明している「新説」にかなりギャップがあるのも問題です。

詳しい学生が新説ベースの論述をして、数十年前ベースの教科書定説と食い違いがある場合、試験官はマルするべきなんでしょうかバツするべきなんでしょうか。

自分の気に入らん説だったらバツとか、恣意的な運用にならなきゃいいんですけど。

 

 

 

 

資料の9ページ以降に具体的な学習用語案が載っています。

世界史ファンも日本史ファンもお目通しいただくとけっこう楽しいと思いますよ。

 

 

例えば古代ローマ

 

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政治領域の個人名はカエサルさんとオクタウィアヌスさん、コンスタンティヌスさんのみ。

確かにクレオパトラさんはいません……ていうかこの3人を相手にしたらそりゃ載る余地はないですね。スキピオさんやハンニバルさんやポンペイウスさんたちすら載っていないんだもの。

「3頭政治」とかも一過性のものだから省略していいやろということなんでしょうね。

 

 

 

日本史の戦国時代。

 

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という感じです。

 

武田信玄」さんや「上杉謙信」さんの名前は確かに消えていますが、「武田氏」とお家は紹介してくれる感じみたいですね。

「上杉氏」が戦国大名のところにありませんが、これは分国法とかとの関係でしょうか。

 

代わりに、室町幕府の守護体制では関東管領としての上杉氏を紹介いただけるようです。

 

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太平記の英雄たちも名前がほとんどありませんし、別のページでは鎌倉時代の有力御家人の名前もありませんし。

このバランス感ならば、信玄さんや謙信さんの名前がないのもまあ妥当な気はします。


現行の教科書でも

 ・北条早雲戦国大名の先駆けになりました。

 ・また、甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信が激突したりもしました。

と、取り上げられ方に唐突感があったのは否めませんし……。

 

そういえば北条早雲さんは北条早雲さんのままなんですね。

また、大内氏が取り上げられていないのはさすがに気になります。

 

細川政権や三好政権も触れてほしいという思いはなくはないのですが、最近の細川・三好研究は定説になったとは言い難い段階ですから、教科書に載せるのは向こう数十年無理だろうなあ。

着実な議論の進展を待つことにいたしましょう。

 

 

 

幕末。

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幕末で活躍した人はほぼ名前なしです。

坂本龍馬さんや吉田松陰さんだけでなく、高杉晋作さんなんかもいないですね。

新撰組はもちろんいません。

明治期に入ってからの活躍として大久保利通さん、岩崎弥太郎さん、西郷隆盛さん、木戸孝允さんなんかが登場してきます。

 

よかったじゃないですか高知県の方。

岩崎弥太郎さんがしっかりいらしゃいますよ。

 

 

 

けっこう眺めていると楽しいです。

 

また、47ページ以降には作業ファイル(載せるか載せないかの議論シート)が掲載されていてこちらも楽しいです。

 

個人的には

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の、金瓶梅リストラの流れがツボでした。

三国志演義水滸伝西遊記は「人口に膾炙、現代にも読者」。

文化系は「人口に膾炙でOK」だけど人物名は「人口に膾炙程度だとNG」というのは世間理解をやや得づらいポイントかもしれませんね。

 

 

 

 

「●●さんは教科書に載せる価値なし」といったアレな角度の報道が出ているようですが、全体のバランスを見ればそんなに変な内容ではないと思います。

 

でも、趣旨や全体バランスを見ずに「何事だ! ゆとりか!」とか騒ぐ人はたくさん出てくるでしょうから、会の方々も大変ですね。

 

歴史教育に何をどの程度のレベル感で求めていくのか、地に足のついた議論となりますように。