肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「透明人間の骨 4巻(最終話)感想」荻野純先生(ジャンプ+)

 

以前紹介した「透明人間の骨」という漫画が完結し。

「現代版“罪と罰”」とも言うべき透徹にかんたんさせていただきました。

 

 

人を殺したいと思っている方はこの作品を読んでみることをおすすめします……。

 

 

shonenjumpplus.com

 

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↓連載が始まった直後の感想

「透明人間の骨 第一話・第二話」荻野純先生(少年ジャンプ+) - 肝胆ブログ

 

 

 

以下、作品のネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「DVで家族を苦しめる父親」を殺した少女の物語。

少女は1話で父親を刺し殺し、2話から22話(最終話)までずうっと自身の罪と向き合い続けるのです。

 

単行本4巻分というボリュームできれいにまとまっており、最後は少女が自首しに行く場面で幕を下ろします。

 

ちなみに舞台は愛知県豊明市界隈でして、背景が非常にリアルですのでご当地の方には特におすすめします。名古屋のmozoなんかも登場しますよ。

 

 

 

 

作品の特長として。

 

テキストでの説明は極力絞りつつ、「登場人物の表情や背景、会話の間、構図、色の濃淡等で心情・テーマを雄弁に表現する」……漫画の作り方が出色です。

 

これこそ漫画でしかできない表現だとかんたんいたしました。

小説でも絵画でもこの作品は描けないと思います。

映画ならば可能性はありますが、超高度な演技演出が必要になるでしょう。

 

 

 

その上で主人公の少女「花(あや)」さんが一貫して……「罪は償わなければならない」「失くしたくないもの、戻りたい場所があってこそ罰に意味がある」という信念に従っている点が素晴らしい。

 

どうやったらこんな真っ当な娘に育つのだろう。

 

この罪と罰に対する姿勢は人間として非常にプリミティブな規律意識だと思います。

いわゆる逮捕・起訴・裁判・服役といった現代社会の仕組みに囚われることなく、それでいて人のあり方の中心線をきちんと捉えているのですよ。

 

最終話を読んで、「花さんの罪を警察や検察官はどうやって証明するのだろう」と疑問を抱いた読者も多いことでしょう。

が、そういった社会の仕組み上の話はこの物語のテーマの埒外にありまして、主題はどこまでいっても花さんが自分自身の罪と罰に向き合えるかどうかだったのだろうと私は思っております。

 

人の手で傷ついた花さんは人を殺めるに至るも、やがて人の手で癒され、素晴らしき音楽に出逢い、確かな幸せを胸に抱きます。

 

幸せを得てから罰を受けようとする花さんの覚悟はただただ気高い。

 

そして、人の幸福をもたらすものが覚悟や納得なのだとしたら、花さんは罰を受けてもなお幸福なのだと言っても許されるのではないでしょうか。

 

最終話の「っ…はい…」という花さんのセリフ。

もらい泣きしそうになるほど崇高でした……。

 

 

 

ラスト2回で唐突に「父の両親(花さんの祖父母)」の話が出てきて、最終話で祖父が登場してくるのもよかったですね。

 

漫画的には「伏線なしのご都合主義展開」と言われるかもしれませんけど、「罪と罰」というテーマにおいては唐突な登場がかえってよかったと思うのです。

 

人を傷つける・殺すとき、加害者は被害者にも家族や大事な人がいるかもしれないなんて想像できません……。

そうした被害者にとってかけがえのない第三者の存在は加害者が罪に向き合う時になって初めて意識できるもので、罪の輪郭をハッキリとさせてくれるもので。

 

祖父の登場は花さんの変化を象徴しているのではないかな……なんて思っちゃいます。

 

 

 

重い内容をいろいろ書きましたが、登場人物の女性たちはどなたもかわいく魅力的で、仲睦まじい様子を眺めているだけでも悲しくなれてイイですよ。

コーデ対決は右(先輩)に軍配を上げたいです。

 

 

また、各話のタイトルに音楽味があるのも情緒深いんです。

参考に1話~最終話のタイトルを記載しておきますので、ピンとくる方はピンを楽しみましょう。

 

 1話  烏兎

 2話  記念撮影

 3話  透明少女

 4話  「言う」

 5話  Sea and The Darkness

 6話  極北の食卓

 7話  バケモノ

 8話  いつのまにか

 9話  夜明け前

 10話 γ

 11話 ひとりごと

 12話 邂逅

 13話 手の中の残り日

 14話 66号線

 15話 未だ見ぬ明日に

 16話 回転盤

 17話 蝶々結び

 18話 “Thank you,my twilight”

 19話 親愛なるきみへ

 20話 その日、一日。

 21話 Receivers

 22話 Sea and The Darkness Ⅱ(Totally Black)

 

 

私も聞いたことない曲が多いので、ちょっと試してみたくなりました。

 

 

 

 

以上、非常にアトラクティブな作品だとあらためて思いました。

お金が動機の罪と罰よりも、現代人にはこちらの罪と罰の方が胸に来るものが大きいかもしれないです。

本当に、人を傷つけちゃう前に読んでおきましょう。

 

 

人知れず朽ちている透明人間の骨なんてどこにもありませんように。

 

 

 

「拳銃無頼帖 抜き射ちの竜」野口博志監督(日活)

 

赤木圭一郎さん主演のハードボイルドバイオレンス「抜き射ちの竜」が想像以上にカッコよくてかんたんしました。

 

www.nikkatsu.com

 

 

主人公「抜き射ちの竜」こと「剣崎竜二」さんがヤク中になったり中国人ヤクザに雇われたり恋したり決闘したりする内容の映画であります。

 

ストーリー的にはいかにもこの頃のバイオレンスものっぽい感じが漂いますが、この映画の魅力は役者方のケレン味たっぷりな演技とセリフ

 

 

 

まずは主人公の赤木圭一郎さん。

「抜き射ちの竜」というだけあって早撃ちで知られる一匹狼系のヤクザなんですけど、相手を殺さず肩口を撃ち抜くだけに留めるんですよね。

苦労して育ったような背景もあるようで、ヤクザなんてやりつつ心根のきれいな部分も隠し切れない魅力的なオトコなんです。

それだけに悪いやつに利用されたりもしがちなんですが……。

 

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その純朴まじりの端正な顔立ちと、凄腕のガンマンぶりとのギャップがイイのですよ。

 

いろいろ戸惑いながら演技しているような印象で、それも含めて若手俳優のアピールポイントやなと思いました。

 

 

 

続いてケレン味が濃すぎる宍戸錠さん。

演じるのは抜き射ちの竜のライバル「コルトの銀」であります。

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殺し屋に新境地開く。

どうですかこのオリジナリティあふれる笑顔。

 

この銀さんが劇中終始目立っててよございましたよ……。

「お前は肩。俺は心臓。いつか言ったとおりになったな」

「これでこないだの借りは返したぜ」

 

書き起こすとクサく感じるようなセリフが、宍戸錠さんの芝居とセットになると引き込まれるような輝きを放つのであります。

大人の中二病という感じで大好き。

 

 

 

中国人ヤクザ「楊社長」を演じる西村晃さん。

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漫画のような中国人日本語を話します。

「抜き射ちの竜いうレテル……アナタ死なない限り消えませんね」

 「アナタの手ごらんなさい。ハジキなくても自然にフトコロいてる。習慣ですねェ」

 

一見アホっぽく見えるセリフなのですが、西村晃さんの怪演が伴うと奇妙な迫力が立ち昇ってくるんですよ。

 

いい悪役でした……!

 

 

 

ヒロインを演じたのは浅丘ルリ子さん(直虎の寿桂尼さんです)。

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「お待ちするのは少しもつらくないわ」

 

なんてやや古風な言葉遣いに独特の色気がございました。

この頃からさすがですね。

 

 

 

振り返ると宍戸錠さんと西村晃さんの演技がスゲェ濃厚で、そんな中に若々しい赤木圭一郎さんや淑やかな存在感を放つ浅丘ルリ子さんやらが混じって大変なことになったような映画だったように思います。

 

途中の展開でも、唐突にダイナマイト満載のトラックとかが出てきて笑えましたし。

 

予告編のこんな一幕も意味違いを誘発しそうで不穏ですし。

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男子高校生とかが反応してしまいそうな字幕だなあ。

 

 

 

 

コミックのような内容でありながら演技の力に吸い込まれてしまう、色あせない名作だと思います。

 

赤木圭一郎さんや宍戸錠さんのカッコよさが若い人たちにも知られますように。

 

 

 

 

新世代みかん「はるみ」に嵌まってしまう

 

近所のスーパーに進出してきたみかんの新品種「はるみ」ちゃんが美味しすぎてかんたんしました。

 

嵌まってしまって既に3回買っています。

 

 

↓JAしみずの「はるみ」紹介ページ

www.ja-shimizu.org

 

 

ちょっと前に長崎産の「味っ子」最高やなとか言っておきながら今度は若い子に夢中だなんて私もとんだ尻軽やなとか思いつつ。

 

長崎県西海市のみかん「味っ子」 - 肝胆ブログ

 

 

 

「はるみ」は2000年代に入って市場に出回り始めた新しい品種とのことです。

温州みかんとオレンジのかけ合わせ「清見」と、南国のみかん「ポンカン」を更にかけ合わせたものだそうで。

 

温州みかんと変わらない大きさで、オレンジやポンカンよりも明らかに小さいサイズ。

皮はオレンジやポンカンから受け継いだやや分厚い手触り。

 

でも、オレンジ等と違って……

 

めっちゃむきやすいんです。

子どもでも容易にむけます。

 

しかも中の袋(薄皮)は極薄でそのまま食べられます。

サイズもお手ごろだから1~2個余裕で食べられます。

 

それでいて味わいは最高にジューシーなオレンジ。

 

言うなればみかんのノリでむきパクできるオレンジ、

包丁の要らないオレンジなんですよ。

 

 

 

こいつあ驚きました。

 

 

むいた姿は一見普通のみかんなのに、果肉はむっちんむっちんの弾力に富んでいます。

見た目はみかんなのに食感はむちプリジュワァですからね。

 

普通の温州みかんが「情の深い女」、オレンジやポンカンやネーブルデコポンが「HAHAHAと笑ってそうなビッグサイズアメリカンガール」だとすれば、はるみちゃんは「見た目は地味なのに脱いだらすごい」であります。

 

 

こらええわ……。

春先が旬というのもベネベネ、真冬のみかんよりもちょっとテンション上げていこうという気分の食味が快いです。

 

1袋500円くらいしますがまったく惜しくありません。

これは今後も見つけたらマストバイやなと決めております。

 

春の楽しみがまたひとつ!

 

 

 

まだまだ栽培が広がっていないそうなので、市場で受け入れられて生産農家が増えて流通チャネルや値段がいい塩梅になっていきますように。

 

私の近所ではるみちゃんを扱っているスーパーは1件だけなので、はるみちゃんのために他のスーパーを裏切ってしまいました。

浮気性な消費者でごめんよ。

 

 

 

「働かないふたり 登場人物の変化(13巻感想)」吉田覚先生(くらげバンチ)

 

ほのぼのニートコメディ「働かないふたり」の最新巻がいつもながら笑えたのですが、だんだん登場人物に変化が出てきたなあと感慨深いものがあってかんたんしました。

 

www.shinchosha.co.jp

 

↓どんどん表情が多彩になっていく倉木さんが好きです。

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働かないふたりはニート兄妹「石井守」さんと「石井春子」さんを中心に据えたギャグマンガで、社会人年齢の登場人物がいつまでも少年少女時代のような無邪気な暮らし・掛け合いをしている姿がどうしようもなく愛しい内容になっています。

 

ニートを題材にしていますが特に悲壮感はありません。

8割がたギャグで、ときどきホロっときたり考えさせられたり家族愛にあたためられたりするようなドラマが混じっている感じです。

 

 

以前は作者さんの個人ブログで掲載されていたのですが、スカウトがあったようで現在はくらげバンチで連載されています。

毎週ちゃんと更新していて凄いんですよ。

ニート漫画なのに作者さんは誰よりも勤勉という。ありがたいことであります。

 

 

気づけば13巻。

この最新巻ではいままで以上に登場人物に変化が出てきていて、内容はとても面白いのですが、物語を畳みにいっているのかと少し不安になってしまいました。

きれいに終わってほしいと願う一方で、ずっとこのゆるい空気感に接していたいと思うのは読者のワガママというものでしょうか。

 

 

備忘も兼ねて、登場人物の特徴や13巻での活躍、感じた変化などを書いていきます。

ネタバレを含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

石井守

ニート界のエリート……“エニート”と妹から称されるスーパーお兄ちゃん。

頭脳明晰、コミュニケーション上手、行動力あり、運動神経よし、芸術得意、料理得意、工作得意、ゲーム得意、ユーモアセンスあり、恋愛経験あり、海外放浪経験あり、漫画を描けば入賞、殺気を察知可能、親孝行、妹を守る、お年寄りにも友達にも優しいなどなど……

「なんでニートしてるの」と言わざるを得ない非現実的傑物です。

 

13巻では縁あって他のご家庭のニートを救うという活躍をされていました。

スゲェ。マジありえねぇ。

 

本当になんでニートしているのかいまだに分からないのですが、おそらく自分のできること・やりたいこと・やるべきことを冷静に見極めているんじゃないでしょうか。

あるいは、自分が社会に出てしまったら妹の支えがなくなってしまうから……?

 

あくまで私の印象ですが、初期の頃よりもその能力を様々な人のために使い始めている気がいたします。丸山くんや倉木さんを始めとして、兄妹ともども世間との接点が増えてきていることが大きいのかもしれませんね。

 

漫画家になって多くの読者を勇気づけるような存在になっていくのかなあ。

 

 

 

石井春子

ニート妹。兄と違って本当にエデュケーションもトレーニングもされていない感じ。

かわいくて巨乳なのでなんとかならんかなと母親は願っている模様。

 

彼女は対人恐怖症もちで、ニートになるべくしてなったような存在です。

が、兄や倉木さんなど心を開いた方に見せてくれる表情はまことに呑気なかわいさがあって魅力的なんですよ。

 

13巻では、お友達のユキちゃんの恋を応援するという、これまでの彼女からすれば考えられないような勇気を見せてくださいました。

私が親だったら泣いていたと思います。

 

丸山くん、倉木さん、ユキちゃん、友晴くんと、少しずつ世の中に触れられるようになってきて、街を出歩くこともできるようになっていって……

あたたかな社会復帰ドラマを見てきたことにあらためて気づきました。

 

 

 

倉木さん

石井家の隣のアパートに住むOLさんで、アホな石井兄妹を眺めているうちに心が癒され不眠が治り、いつしか兄妹と一緒に遊ぶようになったという。

冷静に考えると危ない人のような気もしますが(笑)、石井兄妹に救われた登場人物の代表であり、その後は石井兄妹によき影響を与え続けている社会人でもある方です。

とりわけ春子さんとユキちゃんに健全な女子力を与えているところが素晴らしい。

 

13巻では「石井家バーグその後(単行本おまけ)」と「冬至(#808)」が好き。

#805で春子さんに頭突きされていたのもキュートでした。

 

 

 

丸山くん

いつも石井兄妹&倉木さんと遊んでいる社会人。

人が良すぎて損をしがちですが、友人からの好感はすこぶる高いタイプの男性です。

 

彼は初期の頃から一貫して「いい人」で、実はこの漫画では数少ない「石井兄妹から影響を受けたというより、石井兄妹に安心を与え続けている」貴重なキャラなんですよ。

そんなキャラは石井家両親とこの丸山くんくらいであります。

この方がいなければ、兄妹のニート生活はもっと荒んだものになっていたのやも。

 

13巻でも「ひみつきち作るぞー」という守さんの呼びかけ一発で駆けつけてくれる安心感がもう最高でした。

こんな友達が一人いてくれるだけで精神がどれほど健やかになることか。

 

 

 

遠藤くん

守さん&丸山くんの友人でイケメン、彼女も美人という。

 

これまでは影が薄かったんですけど、13巻では急にとんでもない行動を。

こんなズレた感性の持ち主だったんですね……。

 

 

 

稲森さん

その遠藤くんの彼女。

美人でナイスバディで突き抜けた陽気さの持ち主……陽の気がめっちゃ強くて、他の漫画の主人公がゲスト出演しているかのような立ち位置のキャラです。ある種ドラえもんみたいになんでもできてしまいそうというか。

登場しすぎると漫画のトーンが変わりかねないんですが、私はそんな彼女の活躍も心待ちにしています。

 

13巻での活躍は控えめでしたが、彼女は重要な伏線を繋ぐ役割を持っていますのでどこかで大きく動いてくれることを期待ですね。

 

 

 

ユキちゃん

春子さんの友達で、男のような風貌の女子大生。

実際ケンカがとても強いのだけれど、本人は女らしく生きたいと願っている感じです。

 

13巻での彼女は実に乙女でした。

彼女は春子さんと同じく他人に気持ちを上手く伝えられないタイプだったのですが、そんな彼女がついにここまでという。

彼女と春子さんの成長は多くの読者を喜ばせたのではないでしょうか。

 

 

 

アキさん

ユキちゃんの姉で人間凶器。職業不詳。

 

基本的に人を寄せ付けない存在ですが、そんな彼女が守さんの前ではちょっとだけメスっぽくなってきているのが面白いですね。

武力的な強弱だけでは推し測れない守さんという存在に惹かれているようです。

 

守さんが渡してくれた石は、守さんによって厳選されたよく飛ぶ石だったのかなあ。

 

 

 

ユキ父

ユキちゃん・アキさんの父親で無職。

職業的な意味ではなくスト2的な意味でトレーニングし続けているオッサンです。

 

おおきくはダメな大人ですが、油断しているとたまにいいこと言うから侮れません。

13巻末のおまけ漫画では油断していたら泣かされそうになりました。

 

 

 

戸川さん

ここ数巻のメインコンテンツと呼んでも過言ではない方。

 

石井父の会社の部下で、趣味で小説を書いています。

さまざまな縁あって守さんと出会うのですが……。

 

10巻の「また書こう」から12巻の「みじめ」、13巻の「にっ」まで、創作をするような方にとっては共感しまくりの激しい魅力を発揮してくださいました。

いまだどう着地していくのか不明ですが、現在進行形で大きく変化している彼女の姿はとても刺激的で、強い引力を感じます。

 

 

彼女にかけた石井父の言葉も、部下に対する真摯と息子に対する信頼とが凝縮されていてめっさよかった……!

 

 

 

 

守さんの活躍が更に広がり、春子さんとユキちゃんの確かな成長が見られ、戸川さんの新たな一歩を目撃できるという、良い意味での変化に富んだ13巻でございました。

石井兄妹はほんま様々な人の表情を豊かにしていきますね。

 

丸山くんや倉木さんが安定していて、遠藤くんが迷走していて、ユキ父が番外編的に活躍しているのも楽しいです。

 

このままイイ感じに連載が続いていきますように。

 

「働かないふたり 14~20巻 感想 旅をする木」吉田覚先生(くらげバンチ) - 肝胆ブログ

 

 

 

「劇場版ウルトラマンジード つなぐぜ!願い!!の感想 ガイさんとジャグラーさんなど」坂本浩一監督(松竹)

 

今年のウルトラマン映画も良作で、しかもガイさんとジャグラーさんの活躍っぷりが半端なかったのでかんたんしました。

 

m-78.jp

 

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以下、ネタバレを含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

あらすじとしては、最近の人気メカ怪獣「ギャラクトロン」さんの地元が分かる話で、おおきくは「ウルトラマンゼロ外伝 キラー ザ ビートスター」と同じように人工頭脳&機械軍団が知的生命体を滅ぼそうとしてくるというものです。

 

敵ボスは巨大人工頭脳「ギルバリス」、配下は大量のギャラクトロン軍団。

ギガバトルナイザーや新武器ギガファイナライザーもこやつらを生み出したクシア文明由来とのことで。

 

地味に驚いたのはジードの宇宙にも「太平風土記」が存在すること。

ギャラクトロンの謎という伏線は今回解かれましたが、太平風土記ってそもそもなんやねんという伏線が強化されたようで今後の展開に乞うご期待という印象です。

 

 

映画はとても面白かったですし、ちびっ子受けが更によくなっていたように思います。

子どもたちの間でウルトラマン人気が着実に回復しているようで何より。

フォームチェンジするたびに「●●だ!」と叫ぶ子どもがいて微笑ましかったです。

 

 

 

個人的に一番よかったのはクレナイガイさんとジャグラスジャグラーさんの存在。
石黒英雄さんと青柳尊哉さんです)

 

まず、冒頭でジード世界に危機を知らせにやってくるのがジャグラーさんというね。

この時点で混ぜるな危険感が凄いんですよ。

比較的爽やかなジードメンバーの中にアク塗れなジャグラーさんが混ざってると浮きっぷりがうんごいの。

例えば伊賀栗レイトさんの尻を揉みしだくジャグラーさん。
今作もジャグラーさんはケツフェチのようです。

 

「劇場版 ウルトラマンオーブ 絆の力、おかりします!」田口清隆監督 - 肝胆ブログ

 

 

 

ガイさんの登場シーンも格好良すぎます。

いつもの曲をオーブニカで吹きながら登場。

ちびっ子たち大盛り上がりでしたよ。

「来た!」「ガイさん!」みたいな声が上がりまくってました。

 

ガイさんがチンピラ宇宙人たちを無視してバーテンダーからラムネを受け取るシーンのイケメン力はもうガチです。ガチイケメンです。

しかもそのままジャグラーさんとコンビでアクションシーンを披露してくださるという……。

 

ジードの朝倉リクさん(濱田龍臣さん)が成長途上の青年的演出でしたので、大人の喜ぶ格好良さはガイさんとジャグラーさんが担ってくださっておりました。

リクさんに自身の経験まじりのアドバイスを送るガイさん、「お兄さん」な魅力がめっちゃ出ていてほんまよかったです。

 

 

ガイさんとジャグラーさんの複雑かつ愛しい関係が、この映画でますます高まったように思えますね。

 

特にグッときたのが、オーブのピンチにジャグラーさんが「ガイ!」と叫ぶシーンと、ジャグラーさんのピンチにオーブ(しかもオリジン)が現れて手を差し伸べるシーン。

二人の来歴を知っている者はこんなん興奮せざるを得ないです。

 

他にも選ばれたものだけに力を与えるというギガファイナライザーに対して「またこのパターンかよ」と寂しそうな顔をするジャグラーさんとか、ギャラクトロンを二体屠るという活躍を見せながら「飽ーきた」と言って途中離脱するジャグラーさんとか、もうなんか誰のための映画やねんと思わざるを得ないくらいガイ×ジャグラー物語の続編感に満ちてございました。

 

要はこの二人が好きなら絶対見た方がいいですよということであります。

 

 

 

ジード関係では、ジードプリミティブとオーブスペシウムゼペリオンとのW変身がよかったのと、ウルティメイトファイナルのデザインがベリアルアーリータイプの発展形のような洗練感があってようございました。

 

戦闘シーンもフォームチェンジを次々と繰り出して、しかもジード・オーブ・ゼロのタイプに共通感を出して戦う演出が続いたので満足度が高かったです。

まさかシャイニングウルトラマンゼロ(公式チート)まで出てくるとは思わなかった。

 

光線技の発射シーンが豊富な一方で着弾シーンの省略が目立ったのはちょっと残念でしたけど、それ以外は総じて見応えのある戦闘・特撮でしたよ。

 

 

ライハさん(山本千尋さん)とモアさん(長谷川眞優さん)もサービス感があって素敵でしたし、シャドー星人ゼナさん(岩田栄慶さん)も集合シーンのハイジャンプっぷりが何度か強調されていて素敵でした。

レイトさん(小澤雄太さん)家族といい、ジードメンバーは本当に爽やかで好感度高いです。

 

 

 

あと最後に、ウルトラマンタロウさんスゲェ」という感想。

 

今回の大ボス「ギルバリス」さん、過去にタロウさんに追い詰められていたようなんですよね。

ストリウム光線を浴びせるまでいったものの、光線技は効かない、倒すにはギガファイナライザーが必要、という設定のために逃げられたんですが。

 

映画の中でギルバリスさん&ギャラクトロン軍団の強さが強調されればされるほど、過去に彼らを追い詰めたタロウさんもスゲェよなとオールドファンは満足できますよ。

 

 

 

 

春は子ども向け映画のライバルが多いので大変だと思いますが、このジード映画もいい映画だと思いますのでヒットしていただきたいものです。

 

このままウルトラマンシリーズが好調に続いていってくださいますように。

 

 

 

 

「ブラックティガー4話 乱逆の「消える列車」事件 前編&後編」秋本治先生(グランドジャンプ '18.6-7号)

 

秋元治先生のブラックティガー4話も引き続き大層面白くてかんたんしました。

 

grandjump.shueisha.co.jp

 

前話

「ブラックティガー 3話 溟海の銃撃手」秋本治先生(グランドジャンプ) - 肝胆ブログ

 

 

初の前編後編構成です。

映画的な作品(映漫画……シネマンガと捉えているそうです)ですので、個人的には読切形式で載せていただいた方が没入感が増してありがたいのですけど。

その辺は雑誌売り上げとかとの関係もあるのでしょうからしゃあないですね。

 

 

以下、ネタバレを含みますのでご留意ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

こたびの内容は鉄道輸送車強奪事件です。

列車強盗ですよ列車強盗!
西部劇の王道題材を惜しみなく投入してきてくれるのが嬉しいですね。

 

 

目玉となる鉄道の描き方が素晴らしいんですよ。

引き込み線を使った「消える鉄道」トリック。

敵方「旧南軍」の転車台付き巨大基地の精密な作画。

ティガー姐さんによる機関車の構造を踏まえた敵方攻略。
「あのあたりが重油だな」という一言の凄みが凄い。

 

ブラックティガーはギミックや場面設定の練り込み方に毎回かんたんさせられます。

 

 

加えて、今回は敵役の「エリオット(ビリー・ザ・ハイド)」さんがよかった。

超よかった。

有能な実務家、かつ大量殺人鬼という特異性。

 

「人殺しは楽しい!!

 蘇ってきたぜ…」

 

「幼い頃の…
 人を殺す快感が忘れられなくてなぁ

 ハハ…

 自分じゃあもう…
 止められない!」


「安心しろ

 俺が止めてやる」


「いいね!
 
たまんねえ…

 殺し合いは最高のスリルだぜ…」

 

ティガー姐さんとの掛け合いも含めて最高の悪役でした。

いいね! の表情、秋元治作品の新境地感がして好きなコマです。

 

2話のブラックジャガーさん(超有能だけどロリコン)といい、この作品の強敵は業が深くていいですね。

分かりやすい記号化されたような悪党でもなく、闇に堕ちるに至った分かりやすい事情がある訳でもなく。

ある種「わかっちゃいるけどやめられない(スーダラ節)」にも通じるような、人間味の迫真性を備えた敵役が1話で退場していくという贅沢さ。

いや本当に贅沢な作品だとあらためて感じさせられます。

 

 

更に、エリオットさんの足が不自由という設定。
これがまた絶妙な「間」を生み出していましたね。

 

ラストの戦い、敗れたエリオットさんが一瞬“ヒョコ”と足のバランスを崩してから落ちていく場面描写がたまんないんです。

 

秋元治先生は昔からセリフを使わない「間」の表現がめちゃくちゃ上手ですよね。

下手な読み手でも分かるほど、明瞭に余韻を味わわせてくださいます。

こち亀で言うと「祭太鼓(スリの唐沢さんのやつ)」や「親心…(部長と飲みに行くやつ)」、「浅草物語」などのラスト場面なんかを思い出していただくと分かりやすいと思います。

 

 

 

 

 

今週のグランドジャンプ、「そしてボクは外道マンになる」が猿渡哲也さん関係でごっつい展開を見せてくださっていたのや、「イノサンRouge」などが印象的でした。

 

イノサンのダントンさん(6号で登場)素敵過ぎてときめきました。

今週のサンソン家の宿命とスミレのサシェの対比感がまた尊くて。

表紙の殺し合いしているお婆さんもイイ感じにおぞましくて怖くて。

次号以降は悲しい展開になりそうでいまからつらいです。

 

「ノイズ」の心がざわざわする感じも面白いです。

ご近所の農家「横田庄吉」さんの目力がえぐい。

 

「こううんりゅうすい」のそうそう河内ってこの頃は湿地帯だよね描写は個人的に納得感が高かったです。あと、本宮ひろ志先生の「きれいな女の人を見ても、「パンツを脱がすのが面倒だ」で終わりです」というご発言の納得感もすごくて笑いました。

 

そう、不倫食堂ドラマ版の袋とじがついていて、開けてみたら安達祐実さんや岩佐真悠子さんなどの濡れ場画像が入っていましたよ。

個人的には濡れ場シーンよりもどうまん蟹をしゃぶってる安達祐実さんがポイント高いなと思いました。

 

 

 

 

最近のグランドジャンプは満足感が増し増しです。

 

ブラックティガーの連載がこのクオリティを保ちながら続いていきますように。

次回の先住民蜂起っぽい話も楽しみです。

 

 

 

 

雑誌Themのグラビア「FAMOUS DEX(フェイマスデックス)さん格好良すぎ問題」

 

男性ファッション誌「Them」の巻頭グラビアに登場しているFAMOUS DEXさんが格好良すぎてかんたんしました。

久しぶりに男性ファッション誌をジャケ買いしてしまいました。

 

themmagazine.net

 

↓FAMOUS DEXさんが表紙です。

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さいきんブラックカルチャーに対する関心を高めておりますが、私はヒップホップやラップやR&Bに詳しい訳ではありません。

 

ですが、そんな私にもビシビシ伝わるほど今月号のThem、FAMOUS DEXさんは素敵すぎました……!

 

 

直近の雑誌エリアの中ではThemの存在感が際立っておりましたので、立ち読みであっても是非ご覧いただきたいと思います。

PHOTOGRAHY BY TAKAY、STYLING BY CHRISTIAN STROBLEということですので併せて記憶に刻んでおくつもりです。

よくこんなイケてる写真を撮れるものだとかんたんしました。

個人的なお気に入りは36-37ページと46-47ページの写真です。

 

モードファッションに興味があろうがなかろうが、格好いいものは格好いいんだから仕方ありません。

だって格好いいんだもん。

 

 

 

 

痺れたのでFAMOUS DEXさんのyoutubeも一通りチェックしてしまいました。

www.youtube.com

 

 

どの動画もたまんない……!

いちど生でパフォーマンスを見てみたいものです。

 

↓特にお気に入りの動画。

 

 

 

 

 

 

 

FAMOUS DEXさんは人間的には素行に問題がある気がしていて、現にDV疑惑でプーマの契約を解除されたりもしております。

 

率直に言って、リアルにお付き合いをしたり、契約を締結したりしたい相手ではありません。残念ながら。

 

でも、だからといって、パフォーマンスの素晴らしさや格好良さの高みまでを否定しようという気にもならないのです。

日本でも芸能人の不倫話題がずうっと続いておりますが、リアルな倫理観としてけしからんと言うのと、半ばフィクションの存在として芸能人のファンになる心理との狭間でもやもやしている気分であります。

 

例えば島耕作さんがどんなけワンナイトラブを楽しもうがヒソカさんがどんなけ無辜のハンター試験受験生を虐殺しようがあんまりに気にならないじゃないですか。

彼らはフィクションの存在ですから。

(リアルにパナソニックの会長が不倫しまくったら大問題になるに違いない)

 

芸能人や音楽関係者はリアルとフィクションの間で生きている存在だと思いますから、何をどれだけ厳密に求めればよいのかが難しいですね。

特に結論や強い主張のない文章で申し訳ないのですけど。

 

 

 

とりあえず世界にはスゲェ格好いい人がまだまだいるんだなあということにかんたんした次第です。

願わくばFAMOUS DEXさんがこれ以上問題を起こさずイイ感じに音楽やファッションのカルチャーを前に進めてくださいますように。

 

 

 

 

'18.4.24追記

 

「JAPAN」という新しい曲のビデオが笑えて楽しいです。