肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「歴史秘話ヒストリア 三好長慶回の感想」(NHK、2019/6/19放送)

 

NHKのヒストリアで三好長慶回が放映されていてかんたんしました。

歴史コンテンツ界においてヒストリアはトップクラスにメジャーな媒体ですから、今後の長慶さんの知名度アップに弾みがつくかもしれませんね。

 

www.nhk.or.jp

 

 

放送はざっくり次のような内容でした。

 

  • 三好長慶って知られてないけどスゴイ人なんだよ。
    織田信長のだいぶ前に鉄砲ばんばん使ったりキリスト教認めたりしたよ。
  • 11歳の時にお父さんが主君に疎んじられて成敗されちゃったよ。
  • でも、生きていくために親の仇の主君に仕え続けることにしたよ。
  • 西宮を拠点に、実力主義の人材登用、法華宗と連携した交易、弟たちとの協力体制構築等で実力をつけていったよ。
  • 横暴な主君に対する地域国人衆の不満が溜まっていたので、国人衆の利益を保護する新たな存在として主君に叛旗を翻したよ。
  • 元主君に味方する足利将軍とも戦ったよ。
  • 足利将軍からは暗殺者を送られたりしたけど一旦は許したよ。
    長慶は応仁の乱以来の足利氏などの分裂を止めようとしていたんだよ。
  • でも足利将軍からの嫌がらせが終わらないので、仕方なく京から追い出したよ。
  • 戦国時代、足利将軍を擁せずに京を統治したのは長慶が初めてだよ。
    当時は、「天下」という言葉は五畿内を指していたので、畿内の支配者となった長慶のことを「最初の天下人」と評することもできるんだよ。
  • 長慶の統治は公平で、水争いの裁判等を通じて民からも支持されていたよ。
  • 長慶の実力は正親町天皇からも認められ、永禄改元を足利将軍の代わりに武家の代表として執り行ったり、桐紋を拝受したりしたよ。
    元は阿波の守護代に過ぎない三好家がこんな待遇を得るのは異例のことだよ。
  • でも、弟と息子が急に亡くなってしまい、長慶はショックを受けるよ。
  • 長慶は九条家の血を引く甥を養子にし、求心力が分裂しないように生き残っていた弟を上意討ちにしたよ。
  • そして、ほどなく長慶も病死したよ。享年42歳。
  • 長慶死後、結局三好家は分裂してしまい、養子は織田信長に滅ぼされたよ。
    織田信長足利義昭と上洛したとき、まっさきに長慶がいた芥川山城に入って、三好の後継者アピールをしたんだよ。
  • ちなみに長慶は江戸時代初期まではすごく評価されていたけど、江戸時代後半、日本外史という頼山陽の小説がブームになった頃から評価が下がっていき、一方で織田信長の評価はどんどん上がっていって今に至っているんだよ。
  • 長慶ゆかりの高槻市は去年の台風被害からの復興に頑張っているよ。
  • 長慶ゆかりの大東市では長慶の住民票をもらえるよ。

 

 

……以上、あらためて振り返るとかんなり濃密です。

 

 

役者方の好演やイラスト・有識者解説、構成の工夫等により、これだけの、しかも一般に知られていない内容の数々が、分かりやすく伝わる放送だったと思います。

50分で詰め込められるだけのものを詰め込んで、かつ、一般視聴者にも詳しい人にも満足いただけるような番組づくりを目指している姿勢が伝わって参りますね。

 

さすがプロの製作陣。

 

別に三好長慶さんに限りませんが、「50分で、一見さんの興味を引くキャッチ―さと、有識者の批評に耐えうる確からしさを両立させよ。当然予算も納期も縛りあり」というお題で歴史コンテンツを毎週作り続けるというのは……

大変なご苦労なんだろうなあ。

 

 

個人的には、三好長慶役の役者さん(矢口恭平さん)がイケメンだったのと、

細川晴元役の役者さんがいい感じに小憎らしかったのと、

足利義輝役の役者さんが幼さを強調していたのと、

安宅冬康役の役者さんの死にっぷりのよさと、

要所要所のイラスト解説の出来ばえの素晴らしさが印象的でした。

 

三好長慶大河ドラマ化などは、娯楽感に乏しそうという理由で悲観的だったのですが、こうして映像化していただくと思いの外しっかり面白くて、あれ、意外と史実ベースの三好家も娯楽コンテンツとして成立するんじゃね? 大河ドラマとかの題材にも成り得るんじゃね? と新鮮な驚きを味わった思いであります。

 

 

 

 

素朴に、知名度って大事だと思うんですよね。

 

とりわけ三好長慶さん界隈は、歴史題材の中でも知らない人は全く知らない、知っている人も従来イメージ派と最新研究派の隔たりが大きくて話が噛み合わない、という定説感の薄さが際立っておりますし。

 

 

そんな中、こうしてメジャーメディアで取り上げていただいたことで。

 

 ・まったく三好長慶を知らない人

   ⇒名前だけは認知

   ⇒潜在的三好長慶ファン層/マーケットの裾野が広がる

 

 ・三好長慶に関心はあったけど詳しくは知らなかった歴史ファン

   ⇒三好長慶新説の理解が広がる

   ⇒前後の政権との連続性や畿内以外の地域史との関連付けが進む

   ⇒中世史研究が盛り上がる

 

 ・三好長慶天下人説に違和感を覚える人

   ⇒天下人の定義や細川・織田との比較等に関心が集まる

   ⇒中世史研究が盛り上がる

 

 ・「ギリワン」「暗殺」「爆死」松永久秀ネタに馴染みがあって、
  松永久秀登場に盛り上がるも、終盤の三好一族連続死にまったく
  関連付けられず拍子抜けした人

   ⇒最近の松永久秀研究に関心が集まる

   ⇒長慶・久秀主従の関係性や
    忠臣・梟雄ハイブリッドver.松永久秀の人気が高まる

   ⇒信長の野望201Xのユーザーが増える

   ⇒新たな三好主従コンテンツも増える

 

 ・放送内容に物申したき儀がある足利家ファン・六角家ファン等

   ⇒SNS等で畿内史系の発信が増える

   ⇒畿内史への関心が集まる

   ⇒中世史研究が盛り上がる

 

 ・放送内容に物足りなさを感じる三好ファン・畿内史ファン等

   ⇒SNS等で畿内史系の発信が増える

   ⇒三好周辺ニーズの高まりが認知される

   ⇒続編放送決定

 

 ・天野説に反論や批判がある研究者

   ⇒天野説の注目が高まると、反論への注目も高まる

   ⇒中世史研究が盛り上がる

   ⇒ゼミ生や出版機会やセミナー講師依頼が増えていく

   ⇒安心して研究を続けられる

 

 ・三好家ゆかりの地の住民

   ⇒地元が取り上げられて嬉しい

 

 

などなど、大きくはいいことだらけだと思うのです。

 

まあやっぱり、三好家の知名度が高まる過程で、変に他の戦国時代の人気者に乗っかったりディスったりするような、どのジャンルにもありがちな流れになったらどうしようみたいな心配はなくもなくですけれども。

 

できれば健全に知名度が高まって、結果として三好に留まらず歴史研究全体によい刺激になって、研究を踏まえた楽しいコンテンツも増えて、またファンが広がって……という美しいサイクルになっていってくださいますように。

 

三好ファン自身も理世安民めざして歴史趣味者の分裂を回避するようなアレで。

 

 

 

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(雑感)

 

ガチで「天下人」の定義がよく分からないんですよね。

 

長慶さんも同時代~江戸時代初期頃に「天下執権」とか「天下主」とか言われているので、天下人っぽい存在だったとは言っていいと思うんですけど、現代で言う「天下人」ってそれ以上の意味も付帯しているっぽい風潮じゃないですか。

 

私の場合は、平安時代頃までの大王・天皇はもちろん、藤原道長白河院平清盛も北条得宗家も足利将軍も細川高国大内義興細川晴元三好長慶も三英傑も秀忠さん以降の徳川将軍も明治時代以降の総理大臣あたりも、みーんな天下人……要は各時代の政権で随一の実力者=天下人……くらいのイメージだったんですけど(だから実は「最初の天下人」という言い方には違和感があったり)。

 

現代人の多くがイメージする天下人は「戦国時代に全国規模の支配をした(しかけた)人=三英傑」なのかな?

「天下人」って、当時の基準ベースでなく、現代人ベースの言葉のような気もするし。

 

かなりもやもやするワードになっちゃってるような。

 

 

 

なんかですね。

三好長慶さんの存在、研究の進展って、

江戸時代から脈々と築いてきた日本人の「戦国時代観」を揺さぶるというか、

趣味やロマンに近かったジャンルに直球正論をぶつけるような異物感というか、

うーん、なんとなくの消化不良を呼んでいる面もある気がするんですよね。

 

や、三好長慶さんに限らず、近年の一次史料ベース研究の進展全体がそうなのかもしれませんが。

 

こういう時、最新の研究を知っていたり、科学的な理解ができたりする側の人は、どうしても啓蒙的立場になってしまうのだけれども、人々の感情、受容、変化……は理屈だけで動くものじゃないですし……。

 

戦国時代ファンって、若き日に夢中になった講談、時代劇、小説、ゲーム、当時の研究等の、ノリや熱気やわくわく……をピュアに懐かしみたい、ていう気持ちを持っている人も多いと思うんですよね。

実際は違うんですけど、歴史ネタって、世代を超えた不変の教養と思われがちだし。

 

歴史研究にも「おくすり飲めたね」が必要だと言いたいのか、

という訳では決してないのですが。

 

 

なんしか、世の中って、平和に、やわらかに漸進していく感じがいいなあ。

 

 

 

 

「承久の乱 真の「武者の世」を告げる大乱 感想」坂井孝一さん(中公新書)

 

中公新書の「承久の乱」がさいきんの史実研究を丁寧に紹介してくれつつ、ポエジーな和歌等の解釈も楽しめる良本でかんたんしました。

 

www.chuko.co.jp

 

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源実朝さんや後鳥羽上皇の人物像を再評価しつつ、どのような経緯で承久の乱が勃発し、どのような要因で鎌倉幕府方が大勝利を収めたか、そして武家と公家の関係にどのような変化をもたらしたか、を教えていただける本になっています。

 

 

ありがたいポイントの第一として、そもそもの平安時代後期における「院政」の成立から話を始めてくださるのが本書の特徴です。

いきなり後鳥羽上皇の話から始めずに、院政のはじまり⇒武家の存在感の高まり⇒鎌倉幕府へ、という流れを追っていくことで承久の乱に至る経緯の説得力が増しているんですね。

 

 

源実朝さん、後鳥羽上皇の再評価を促す厚い記述ぶりも特徴です。

源実朝さんを自立した将軍権力の担い手として、いかに鎌倉幕府の中で大きな役割を担っていたか、そしてどれほど朝廷(後鳥羽上皇)も源実朝さんを重視していたか、だからこそ源実朝さん暗殺が朝廷・武家にとってどれほどのショックだったか、を説明いただけます。

同様に、後鳥羽上皇も、いかにエネルギッシュで、学問・儀礼・和歌・蹴鞠等広い方面に才を示し、英邁であったかを丹念に描写いただいた上で。承久の乱も、鎌倉幕府全体を滅ぼそうとした訳ではなくて、北条氏を排除しようとしただけだったのだが……という観点で乱の経緯を説明いただけます。

 

 

後鳥羽上皇の英邁ぶりをじっくり描写いただいた後なので、承久の乱で大勝利する鎌倉幕府サイド各重鎮のキレッキレぶりも引き立ちます。

三浦義村さん、北条義時さんによる情報操作(院宣の押収・秘匿)。

大江広元さん、三善康信さんによる積極戦略の進言(受け身になると不利っすよ)。

北条政子さんの有名な演説。京方の「北条排除」を巧みに「鎌倉幕府全体への攻撃」にすり替えるレトリック。

そして北条泰時さんの決死の出撃と。

各人が存分に実力を発揮しているさまが実に恐ろしいですね。

保元・平治の乱治承・寿永の乱のとき以上に、武家がこれほどの実力を有しているとは、武家自身も自覚していなかったんじゃないの的なポテンシャルを感じます。

 

かくして承久の乱鎌倉幕府が大勝利、後鳥羽上皇たちは流され、京には六波羅探題が、西国など各地には新補地頭が……と、鎌倉幕府の統治体制が出来上がっていく訳ですね。

 

 

 

こうした史実説明の合間合間に、解説いただける和歌や物語がまたいいんですよ。

 

例えば和歌。

源実朝さんの「時により 過ぐれば民の 嘆きなり 八大龍王 雨やめたまへ」を、天候の記録、音の面白さ、両面から鑑賞いただいたり。

後鳥羽上皇隠岐「我こそは 新島守よ 隠岐の海の 荒き浪風 心して吹け」を、哀切の歌なのか、帝王の気概を示す歌なのか、解釈の違いを検討いただいたり。

 

また、鎌倉時代における軍記物語の成立について、承久の乱の犠牲者の鎮魂という側面を取り上げてくれたり、承久の乱におけるエピソードが平家物語の描写に転用される様を紹介いただけたりと、史実が物語として人々に受容されていく文化史的な優れた記述を楽しめたりとですね。

 

こういう記述が、この新書に立体感を与えてくれていていいなあと思うんですね。

 

 

中公新書さんはさいきん「乱もの」の良著をたくさん出してくださっていてありがたいですね。

今後も中世史を深掘りしていただきつつ、フェイントで大塩平八郎の乱とかも出版されますように。

 

 

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ところで、

あらためて「源実朝さん暗殺⇒九条家から招いた九条頼経さんを四代将軍に」という流れを追っていると、16世紀の「足利義輝さん暗殺⇒三好義継さん台頭」の流れを思い起こさずにはいられないですね。

 

三好義継さんが「足利将軍に代わる武家の棟梁になることを目指して」まで考えていたかどうかはやや懐疑的なのですが、故事に詳しい九条稙通さんなんかは好む好まざるにかかわらず九条頼経さんのことが頭によぎったのは間違いなかろうと想像します。

 

どんな心境だったんでしょうね、九条稙通さん。

 

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信長の野望201X「蓮淳さん現る」(真・九尾の狐降臨攻略)

 

201X本願寺に蓮淳さんが星4で登場するというサプライズがあってかんたんしました。

 

↓真・九尾の狐降臨イベントのリリース

nobu201x.gamecity.ne.jp

 

 

期間限定イベントをクリアすることで、蓮淳さん(星4)と蓮如さん(星3)を手に入れることができます。

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wikiによれば、

蓮淳さんの全体攻撃は倍率0.75、蓮如さんの3体攻撃は倍率1.3だそうです。

開眼しやすいドロップ武将ということもあり、そこそこな性能ですね。

 

個人的には、蓮淳さんが因縁の相手である三好元長さんと似たような性能になっているのが趣深いなと思います。(後述)

 

 

 

真・九尾の狐攻略

九尾の狐は、毎ターン即死凶兆攻撃と、連続単体攻撃(中列はスライドずらし付き)を繰り出してきます。

よって、即死マスを避けるか即死耐性を付けるかしつつ、壁キャラに前列で頑張ってもらいながら単体アタッカーなり兵器アタッカーなりでダメージを与えていくのが有効ではないでしょうか。

 

 

こういう時のために育てておいた松永長頼さん。

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カッチカチなので、単純な物理・術攻撃ではそうそう死にません。

謹厚な太守の後ろ姿、頼もしいですね(ギュオォォン↑)。

 

 

即死マスでうっかり十河一存さんと援軍武将さんが天に召されたため、長頼さんに守っていただきながら波多野参謀たちが兵器を打ち続けるという単純な戦い方をしましたが、初見でもなんとか特級勝てました。但しB評価。

 

 

九尾の狐さんの攻撃から皆を守る長頼さん(と殿)。

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先代丹州太守とも言うべき波多野参謀の兵器でダメージを稼ぎます。

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期せずして噛み合わせのよい丹波衆になったのがいい感じ。

 

 

最後は実休さんがシメてくれました。史実の逆をいくスナイプぶりです。

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蓮淳さんとは

蓮如さんは超有名人なので紹介は省きますが、蓮淳さんも本願寺の歴史、あるいは畿内戦国史の中ではビッグネームなんですよ。

 

蓮如さんの息子で、証如さんの祖父、顕如さんの曽祖父に当たる人物でして。

紆余曲折はあったものの、人生後半には本願寺の中枢で辣腕を振るうことになります。

 

後に信長さんと激しい戦いを繰り広げる伊勢国長島の願証寺を開いたり。

本願寺(含む加賀一向一揆)の内紛に際して反対派を粛清したり。

細川晴元政権の内紛に協力して三好元長さん・畠山義堯さんを始末したり。

制御不能になった畿内一向一揆が大和や京で狼藉を重ねた末、本拠地たる山科本願寺を失うことになってしまったり。

それでも証如さんを支えたり本願寺の権勢を再び回復させたりと。

 

享禄・天文の乱ともいわれる本願寺の濃密な時代を率いていた方とされている訳です。

諸説あって、何でもかんでも蓮淳さんがやっていた訳ではなくて、本願寺の他の幹部方(下間氏の皆様等)の功罪とごっちゃになっているんじゃないかというフシもありますけどね。

 

ともあれ、世にあまり知られてはおりませんが、201Xに星4格で登場するには充分すぎるほどの実績のある方とは言えるでしょう。

「即死効果付き」というのも納得感が高い。

 

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一方、蓮如さんが星3なのは違和感があるかもしれませんが、この方を強く設定して皆が使用することになって「201Xは蓮如ゲー」みたいになると色んな意味でややこしくなる気がしますので控えめにしておいた方がいいのかも。

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ところで私見ですが、伝統的な三好家物語の目線からすると、蓮淳さんと木沢長政さんの位置づけがけっこう似ているんですよね。

元長さん敗死の主因と見做されつつ、近年はフォローの声が入っている辺りが。

 

二人とも「河内の有力者」という重要な共通点があるのは間違いないので、俗説通りに実際この二人が組んでたんじゃねという陰謀論的決めつけってしやすいんだよなあ。

 

戦国時代の河内は応仁の乱のきっかけのひとつになったり浄土真宗が盛んになったりキリスト教が早くに普及したり木沢長政さんが現れたりと、独特の思想信条風土を感じますのでその辺もう少し詳しく学びたいなと思っています。

お隣の京都奈良堺となんか雰囲気が違いますよね。

 

 

まあ真相がどうであれ、複雑怪奇な畿内史のある瞬間、武家のドンたる細川晴元さんサイドにとっては政権の和を乱しまくる元長さんを、本願寺のドンたる蓮淳さんサイドにとっては法華宗の太いスポンサーたる元長さんを、「ぶっ●したい」で頭が一致していたかもしれないというのはむしろ元長さんにとって栄誉なんじゃないかと思ったり思わなかったり。

 

 

 

それにしても、現代の浄土真宗に迷惑やよからぬイメージを与えてもよくないですし、歴史ファンが本願寺をこんな風に明け透けに語っていいんだろうかと思うことってありませんか。

やや年寄り染みた感性ですが。

浄土真宗の信徒でない私ですら、蓮如さんに能力値だとかステータスだとか設定したり武将キャラとして戦闘に出したりすることに罰当たり感を覚えることがあります。

 

だからという訳でもないのですが、戦とか乱とか内紛とか粛清とか一揆とかの目立つ面だけでなく、それこそ蓮如さんの布教の経緯、御文章、一般人目線での教化の配慮等々、本願寺のまっとうな面も同じように歴史ファンに広く知られていきますように。

 

 

 

信長の野望201X「伊達家④&安東家ストーリー攻略 羽後」と「今更ながら兵器特化って便利っすね」

 

201Xの4周年で実装された羽後攻略にあたり、兵器特化人材等を育ててみたところ期待以上に活躍してくれてかんたんしました。

もっと早く確保しておけばよかった。

 

 

↓羽後・陸奥実装リリース

nobu201x.gamecity.ne.jp

 

 

羽後のマップ。

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詳しい人が見たら、安東家重視と分かる感じですね。

 

安東家は海に向かって突き出している男鹿半島を挟んで、北側の檜山安東家と南側の湊安東家がなんやかやを繰り返してきた歴史があります。

北斗七星みたいだねと讃えられた安東愛季さんは、この両安東家を統合し、更には近隣の大宝寺家や戸沢家と争って勢力を拡張していった人物ですね。

安東愛季さんは外交が得意で、織田信長さんや羽柴秀吉さんや公家と仲良くして高い官位を得たり、蝦夷畿内との交易に励んだりされています。
(一方、南部晴政さんや九戸政実さんや津軽為信さんのことは苦手です)

 

 

201Xの安東愛季さん。

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なぜか笛吹きキャラになってはります。なんか元ネタあるのかなあ?

学園武田家でのゲスト出演には笑わせていただいたので、これはこれで好き。

 

 

まつりさんがいつも通りコンパクトに人物紹介もしてくださります。

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羽後のストーリーは、この安東愛季さんを主軸に、近隣国人衆との諍いや湊騒動を再現していくような流れになっております。

詳細なネタバレはしませんが、安東愛季さんや戸沢盛安さんが味わいのある実力者として描かれていますので、秋田県戦国史好きにとっては満足度が高いことでしょう。

 

そもそも、安東愛季さんのまともな娯楽作品自体がレアなので、まっとうにストーリーやセリフを与えてくれているだけで嬉しい。

(201X以外では小説「斗星、北天にあり」しか知らないです。良心的な作品ですよ)

 

 

 

ストーリーでは、相変わらず南部家が恐れられています。

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愛季さん時代の南部家、実際に強大ですからねえ……。

 

 

 

 

 

攻略面に移りまして。

 

羽後は屍の国です。

201X序盤の屍は生命力が低くて朝倉宗滴さんに一掃されるだけの儚い存在でしたが、羽後の屍はやったら少数精鋭の強敵揃いでして……

 

こんなんや

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こんなんが

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高敏捷からスライド攻撃等の意地悪をしてきたり、

 

 

挙句の果てにはこんな

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ひとり2000万パワーズみたいなヤカラが出てくる訳であります。

何してくれてんのという感じですね。

 

 

この怒首皇祖(どすこーそ)さんはどうしても長期戦になりそうなので、いままで放置していた別所長治さんを育てることにしました。

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現時点で全体を8000くらい回復してくれます。

十河一存さん50%を実現したら、次は別所長治さん30%に着手しようかなあ。

 

ちなみに、実は別所家は三好家に臣従していた時期があるので、もの凄く広い意味では別所長治さんも三好家パーティと言えなくもないんですよ。

 

 

あわせて、キャプテン・ナガヨシさんを鍛えて屍向けにしてみました。

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……が、こちらは怒首皇祖さんの生命力が高すぎて不死鳥飛天掌の追撃が発生せず、若干ほろ苦いメジャーデビューとなりました。

話は変わりますが、確かに長慶さん期までのミヨシ家は不死鳥感ありますね。

 

 

 

最後に、勾玉武将開放を受けて、波多野稙通さんを兵器特化武将にしてみました。

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いずれボス特化の兵器特性が欲しいところですが、まずは比較的手に入りやすい特性で固めてみた次第です。

勾玉交換で雑賀孫一さんの火筒の極も手に入りますし、兵器ダメージ特性を集めるのは意外と難しくありません。

 

 

本当は兵器特化武将はバッファー(それこそ長慶さんのような全体バフ持ち)とかで作った方がいいのでしょうが……

 

波多野参謀が

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あまりにも嬉しそうに弾薬をいじっているので、つい。

いずれは波多野顧問にしようかなあ。

 

 

 

結果として、羽後攻略ではこの波多野参謀が大活躍されまして。

 

先に紹介した厄介なボスたちも……

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と、次々とちゅどーんしていってくれました。

これは丹波でんぢゃらすじーさんと呼ばざるを得ない。

6連鎖、縦陣ありだと1000万ダメージも視野に入ってくるとは。

 

本当に今更なんですが、兵器特化人材って便利ですね。

敵の敏捷や吉兆マス破壊を無視してちゅどーんできるし。

 

来年の勾玉開放では六角定頼さんも50%にして兵器特化人材にしてみようかなあ。

レジェンド畿内史武将が現代兵器で凶悪な連鎖をしていく光景、楽しそう。

 

 

 

 

以上、羽後攻略は大変だよ、兵器人材がいると便利だよ、というご紹介でした。

 

 

次の南部家も楽しみですし、 

陸奥の次には蝦夷の蠣崎家も登場して、安東愛季さんが再登場しはりますように。

 

 

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映画「祖谷物語 -おくのひと- 感想」蔦哲一朗監督

 

祖谷物語という不思議な映画にかんたんしました。

 

iyamonogatari.jp

 

 

 

 

 

徳島県三好市の祖谷を舞台にした映画です。

祖谷といえば平家の落人伝説であったりかずら橋であったり201X三好長慶さんのスキル鍛錬であったりで有名ですね。

(映画のクレジットによれば三好長慶武者行列の方々も参加されているようです)

 

 

 

ストーリーはあってないようなものです。

後半はファンタジー寄りですが深く考えなくてもいいと思います。
流れ、モダンアート、視聴者の心がなんらか揺らめければそれでいいんじゃないかと。

物語よりも、ひたすらに祖谷の原風景、過剰なくらいにオールドな時代の生活ぶりを、すんごい美麗に撮影してくれておりますので素直に受け止めて楽しみましょう。

 

印象としては、もののけ姫ラストの蘇る緑のシーンを2時間半かけて眺めていたような映画でした。いかにも海外の賞で評価されそうな。

祖谷の空気感をこれだけ繊細にリアルにフィルム収録できているのがすごい。

緑の草むらを走り抜けるシーン、雪原を彷徨するシーン、原チャで集落を駆け抜けるシーンなど、どれもこれもが満足度高いカメラなのであります。

ラストシーンもいいですね。

 

 

 

主に寒さ方面で体当たりの演技をされている武田梨奈さん、

うぶい農作業や田舎ヤンキーとの会話温度の演技が光る大西信満さん、

そして圧倒的存在感を醸し出す田中泯さんと、役者陣も好演でございました。

 

とりわけ田中泯さんと、この映画、祖谷との噛み合いっぷりは半端ないですね。

全編に亘ってセリフが一切なく、それでいておおいなる神秘性をまとってるんですよ。

後半に差し掛かる辺りの田中泯さんがさまようシーンの動き、あれは常人にはできないと思います。

歩く円空彫りwith苔むし的な佇まいにめっちゃ惹かれました。

 

 

誰にでもおすすめできるような映画ではありませんが、祖谷の四季の空気感、祖谷に惹きつけられる病んだ人々の空気感、神秘と不浄が交わるもおおきくは神秘のまま、的な雰囲気を味わってみてもいいかなと思える方にはおすすめです。

 

撮影に協力した三好市の方々の大半は、当初、出来上がった作品を観てポカーンだったんじゃないかなと予想しつつ。

でも、時々見返したくなる故郷アルバムのような映画として今は受け止められていたりするんじゃないでしょうかね。

 

 

四国の山間や清流って、美しいと思うんですよね。

こうした映画を通じて四国の魅力が広く伝わっていきますように。

 

 

 

 

 

「かわいいこわいおもしろい 長沢芦雪」岡田秀之さん(新潮社)と「新美の巨人たちで“虎図”」

 

長沢芦雪さんの特集本を読んでいたらテレ東でも「虎図」が取り上げられていてかんたんしました。

なんというシンクロニシティ

 

www.shinchosha.co.jp

 

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www.tv-tokyo.co.jp

 

 

※本の表紙の虎図と、新美の巨人たちで取り上げられた虎図は別のものです。

 本の表紙の虎図は「水呑虎図」という絵です。
 かわいいですよね。水面に口元が映っているのもチャーミング度高し。

 

 

長沢芦雪さん(1754-1799)。

丹波篠山、あるいは京都の淀あたりで生まれ育ったっぽい人。

丸山応挙さんの弟子で、応挙さんとも違う独自の境地を開いた画家。

 

さいきんは本のタイトルにもある通り、かわいい路線で注目を集めているようです。

同時代に活躍した伊藤若冲さんも息の長いブームにありますし、この頃の日本画の味わいや斬新さが現代人の感覚になんかフィットするみたいですね。

 

私の場合は10年ちょい前に奈良県立美術館の応挙と芦雪展で、「虎図」の躍動感とかわいさの両立っぷり、「白梅図屏風」の枯じけと艶気の両立っぷりに圧倒されてから長沢芦雪さんの画風に惹きつけられたクチです。

あれはよい展覧会だったので、応挙・芦雪ファンをグンと増やしたに違いない。

 

 

 

さて、「かわいいこわいおもしろい 長沢芦雪」という本ですが。

著者の岡田秀之さん、新美の巨人たちでインタビューされてましたね。

当著も代表作として紹介されていました。

 

美の巨人たちは30分という短い番組で、一枚の絵画にフォーカスする構成上、画家の作風や生涯などはサラッとした紹介になります。

今回の虎図回でも、「芦雪っぽさ」という言葉が何回か出てくる一方で、番組を見るだけでは「芦雪っぽさ」とは何かが充分に理解できないのはしゃーないじゃないですか。

 

そこでまさにこの「かわいいこわい~~」の出番でして、この本を読めば「芦雪っぽさ」にしっかり入門することができようと思います。

125ページ、フルカラー、長沢芦雪さんの代表作はたいがい収録、有識者の対談や年表等による知識インプットも豊富、1600円とこの手の本では妥当な価格という。

 

私は「芦雪っぽさ」とは「かわいいこわいおもしろい」をぜんぶ内包するような、スケールの大きな「(漫画的)楽しさ」だと思いますが、そもそも長沢芦雪さんの絵には、ご覧になる方それぞれで「芦雪っぽさ」を好きなように言語化していただいたらいいんじゃないというおおらかさがある気がしますね。

 

 

個人的に好きな作品は次のとおりです。(ぜんぶ本に収録されています)

 

  • 虎図・龍図襖
  • 白梅図屏風
  • 唐子遊図
  • 海浜奇勝図屏風
  • 富士越鶴図
  • 蛸図
  • 蹲る虎図(即興で描いたという演出込みで好き)
  • 水呑虎図
  • 拾得図
  • 一笑図
  • 布袋・雀・犬図
  • 梅月図
  • 出山釈迦図(神々しくないのがイイ)

 

 

多いですね。

虎図が代表作として推されることが多いですし、私も大好きですが、長沢芦雪さんの作品はひとつに絞るよりもたくさんの作品を見て「芦雪っぽさ」をふんだんに味わうのが何よりも幸せなように思います。

 

 

そういう点で、番組でやっていたような南紀の寺々を巡っての長沢芦雪作品巡り、あれいいですねえ。

素直にうらやましい、やってみたい。

どの寺もふだん作品を公開している訳じゃないのがなあ。

 

 

またどこかで、長沢芦雪さんの大規模な展覧会が開催されますように。

でもなんか次回は混みそうだなあ。

 

 

 

学研の図鑑「キン肉マン 超人」の感想

 

話題作となっている学研の図鑑「超人」にきめ細かくかんたんしました。

 

gkp-koushiki.gakken.jp

 

 

↓表紙のリアル気味なアトランティスでもうダメだった。

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キン肉マン愛が詰まっているとの評判どおり、本当に見応えのある図鑑になっていて、パラパラ読んでいるだけで嬉しいですね。

 

マニアックな超人も取り上げられていますし、完璧超人始祖が優遇されていますしで、昔からのファンもさいきんのファンも喜べる構成。

オモシロ起源説などのツッコミ前提特集もふんだんにあり。

実物大のロングホーンやベアクローを眺められるという学研らしさも満載。

 

キン肉マンファンの知性の高さが伺えようというものです。

こんな本を与えられて育った子どもは将来立派な超人を目指すことでしょう。

 

 

 

小ネタが多い本なので、読む人それぞれでツボに入るポイントは違うと思いますが。

 

※以下、図鑑のネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の場合、次のようなところにクッときました。

 

  • ザ・フィッシャーズとスニゲーターのうろこの違い
  • ヒカルドはピラニア由来
  • ガゼルマンは文才がある
  • ネプチューン・キングのオーバーボディは保湿保温が目的
  • カラーのザ☆農村マンがけっこう格好いい
  • コクモ(180万)の超人強度ハンゾウ(147万)より高い
  • 難敵BUKIボーイの超人強度が意外と低い(97万)
  • 超人の中には社会の犠牲者もいるが、超人には立ち上る強さが必要
  • デーク・棟梁はフィンランド出身(やはり北欧だったんですね)
  • スプリングマンは4000歳
  • 作画殺しのサイコロマン
  • 羅刹という格好いい完璧超人。アビスマンの後継者になるのだろうか
  • 不動ファイター(超人強度1800万)なる正義超人もイイね

 

 

キン肉マンはけっこう読み込んでいたつもりですが、全然知らない・記憶にない超人もたくさんいて、楽しい驚きであります。

こういう情報量が多いファンブックはいいですね。

 

 

これからもキン肉マンが長く続いて、当図鑑の増補版も発売されますように。