企画演劇集団ボクラ団義による松永久秀主役の演劇、
「飛ばぬ鳥なら落ちもせぬ」にかんたんしました。
企画演劇集団ボクラ団義 » ボクラ団義最新作は時代劇!!『飛ばぬ鳥なら落ちもせぬ~梟雄と呼ばれた男 右筆と呼ばれた男~』
ネットにこんなことを書くのは初めてですが、
松永久秀ファンや三好家ファンや畿内戦国史ファンの方々に向け、
緊急・拡散希望と声を大にして言いたい。
「松永久秀忠臣説」「天下人三好長慶」を主題とした演劇が、
いまなら東京の吉祥寺で観ることができるのです。
これは、戦国時代ファンにとっては大変な事件だと思いますよ。
私の中では戦国時代展以上の衝撃でした。
ネタバレしない程度に、あらすじを書きます。
主人公は松永久秀。
死の直前である天正五年(1577年)、
三好長慶家臣であった弘治~永禄年間(1550~1560年代)、
そして現代を行ったり来たりしながら、
「松永久秀って実はこんな人」を解きほぐしていくストーリーです。
同じく主役クラスとして「楠木正虎」「風魔出身の飛脚」が据えられており、
三好長慶祐筆としての松永久秀、
松永久秀祐筆としての楠木正虎、
彼らの手紙を携え駆け抜ける飛脚、
の三者をメインに物語が展開して参ります。
その過程で、三好長慶の生涯も色濃く描かれていきます。
途中途中では主役を喰うくらい長慶兄弟が活躍していましたよ。
こんなコアな戦国時代ファンにしか受けなさそうな物語を、
企画演劇集団ボクラ団義が見事に熱演されていました。
評判は耳にしたことがあったものの、実際に彼らのお芝居を観るのは初めてです。
劇場は満席。客層は老若男女様々。
相当の人気がある劇団のようで、常連っぽいファンもちらほら見受けられました。
たぶん三好家目的で観に来ているのは私くらいで、
基本的には劇団のファンや演劇好きの方がいらっしゃっているのでしょう。
演技も、流した稽古の汗の量、込めた熱意の丈が伝わってくるような充実ぶり。
主役級の方々はもちろん、脇役や、セットを目まぐるしく運用する裏方さんまで、
心を波打たせるような素晴らしいパフォーマンスを見せていただきました。
チャンバラものの舞台を見るのは久しぶりですが、
アクションシーンは見応えがありました。
会話シーンも役者さんたちがよく動くので見飽きるということがなかったです。
2時間40分の長いお芝居ですが、時間の長さはまるで感じませんでしたね。
よかった。
よかったんです。
本当に誰も彼もが好演でした。
観客に強烈な「美」を見せつけてくれる松永久秀(鵜飼主水さん)。
舞台全体を悲哀と狂気で埋め尽くすかのような三好長慶(佐藤修幸さん)。
知恵もチャンバラも切れ者な癖に実は血が熱い楠木正虎(沖野晃司さん)。
活気と元気を濃縮したようで芝居に勢いを与えてくれる飛脚(竹石悟朗さん)。
何をやっても面白い現代人兼三好之虎兼筒井順慶兼細川晴元(添田翔太さん)。
実直で誠実で、全体を引き締めてくれるような存在の島左近(吉田宗洋さん)。
挙げていったら切りがないほどです。
面白い場面ではしっかりと劇場全体が笑い、
緊迫した場面では劇場全体が息を呑み、
哀しい場面では劇場全体が静まりかえり、ときに鼻を啜る音が聞こえてくる。
想像してごらん。
シュッとした大都会のお客さま方が、松永久秀や三好家のストーリーに
笑い、涙し、感動している光景を。
「三好家の物語が真っ当な人々に受け容れられている」
「若くて実力あるイケメンが三好家武将を演じている」
正直、私としてはそれだけで動悸が止まりませんでした。
こんな時代が私の生きているうちに訪れるなんて。
「踊る三好長慶」(オープニング)を目撃するなんて、最初で最後かもしれません。
アフターパンフレットと言って、ネタバレつきの詳細な配役パンフを
終了後に配ってくれたのも素晴らしいです。
こういう細やかな心配りをされると、また違うプログラムも観に行きたくなります。
繰り返します。
松永久秀ファン、三好長慶ファンは観に行きましょう。
戦国時代ファンでなくても観に行きましょう。
純粋なお芝居としても、極めて完成度の高い内容です。
笑えます。泣けます。感動できます。
残酷な事実をここで申し上げますが、'17/4/16までです。
ああ、なぜ東京公演だけなのだろう。
絶対に関西・四国でも演るべきだ。
三好家・松永家のお膝元で演るべきだ。
きっとこの劇は、(少なくとも三好クラスタの中では)伝説になる。
語り継がれるものになる。
早くDVD化されますように。
私は買う。
君も買おう。
↓(追記)観劇三昧で観れるようになりました
「観劇三昧」で松永久秀演劇「飛ばぬ鳥なら落ちもせぬ(ボクラ団義)」 - 肝胆ブログ
……ここからは更に私情を吐露します。
痛い話なのですが、私は以前「きょう、」という三好長慶を主人公にした小説を
書いて、ネットにアップしたことがあります。
内容は素人丸出しなのですが、それでも、自分なりに三好家にかかわる場景を
あれこれと想像した訳です。
自分の思い描いていたイメージが、まさに舞台の上で演技となって表れていた。
そのことに、心底から深い感動を覚えました。
汚い関西弁を使う、長慶のことが大好きな松永久秀。
宏大な狂気を身に宿し、遺された者たちまでをも苦しめる三好長慶。
「虎兄」「冬兄」などと呼び合う仲良し三好四兄弟。
離縁してからもかつての夫と幽かに繋がっている長慶の妻。
(ちなみに、役どころは違いますがあまねさんという女性も登場しました)
ひょっとしたら私の書いた駄文を読んでくれたのかもしれない(思い上がり)。
あるいは、私の発想と波長が合っていたのかもしれない(キモい)。
客観的に見たら随分とアレですが、どちらにしても私は嬉しい。
とても幸せな気分なのです。
こんなに面白いお芝居をありがとうございました。
まったく、いい時代になったものだ!!