肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「道頓堀川」宮本輝さん(新潮文庫)

 

 

宮本輝さんの「道頓堀川」という小説にかんたんしました。

 

www.shinchosha.co.jp

 

カネなし、コネなし、単位なし。極貧学生邦彦。就活は書類落ちの日々だけど、コーヒーを淹れさせたら、絶品なのだった。哀しみとネオンが川面に滲む大阪文学の金字塔。

両親を亡くした大学生の邦彦は、生活の糧を求めて道頓堀の喫茶店に住み込んだ。邦彦に優しい目を向ける店主の武内は、かつて玉突きに命をかけ、妻に去られた無頼の過去をもっていた。――夜は華やかなネオンの光に染まり、昼は街の汚濁を川面に浮かべて流れる道頓堀川。その歓楽の街に生きる男と女たちの人情の機微、秘めた情熱と屈折した思いを、青年の真率な視線でとらえた秀作。

 


昭和56年に発表された作品です。

上記概要のとおり大阪の道頓堀を舞台とした小説でして、登場人物それぞれの人生の機微を刻々と描写している点が特長かと思います。

 

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

主人公は二人です。


一人目は大学生の邦彦くん。
両親に先立たれ、道頓堀・戎橋近くの喫茶店「リバー」でバイト・居候しています。
老成しているところがあって年上の男女に愛されるキャラクター。
物語の開始時点では童貞で、就職先も決まっておりません。


もう一人は喫茶店「リバー」のマスター、武内さん。
戦後の復興期は玉突き(ビリヤード)バクチで生計を立てていた方で、玉突きの腕では並ぶ者がおりません。
現在は喫茶店経営に身を落ち着けており、玉突きからは遠ざかっております。
かつて自身の暴力が(間接的な)原因となって妻を亡くしており、その経緯もあって息子の政夫くんとの関係はぎこちない感じです。

 

 

邦彦くんの役割は狂言回し的で、物語の中で彼はさまざまな人物に出会っていきます。
武内さんの息子で玉突きにハマっている政夫くん、死んだ父親の愛人だった女、ゲイバーで働くかおるさん、ヌードダンサーのさとみさん、死んだ父親の世話になったという料理屋の主、金持ちの妾であるまち子さんと、まち子さんが拾った三本足の犬……などなど。

社会に出る直前の彼が“道頓堀らしい”人生の数々に触れて何を思い、どのような道を選ぶのか。

結末は明記されておりませんが、彼は「この街にいてはいけない、抜け出さないと」と決心したように思えます

 



武内さんは実際にストーリーを動かしていく役目です。


武内さんの人生は壮絶で……


 ・玉突きバクチで生計を立てていたこと

 ・拾った女に気まぐれで銭を与えてやったこと

 ・その女は現在焼肉店を経営していて成功していること

 ・一方の自分は小さな喫茶店の主で終わってしまいそうなこと

 ・妻との出会い

 ・妻が貧乏画家の杉山さんに寝取られたこと

 ・生活に困窮して戻ってきた妻を本気で蹴り飛ばしたこと

 ・蹴られた妻は腎臓を悪くして早くに亡くなったこと

 ・喫茶店「リバー」に死んだ妻が選んだギヤマンの水指を飾ったこと

 ・ギヤマンは杉山さんが書いた海の絵の色とそっくりだと気づいたこと

 ・息子の政夫くんがかつての自分と同じく玉突きで生計を立てていること

 ・息子の政夫くんは赤ん坊の頃に杉山さんに懐いていたこと


などなど……

一見そこそこ繁盛している喫茶店のマスターなんですが、内面はドロッドロ、「受け容れられない」「消化できない」ことだらけのお方なのです。


物語終盤、彼は息子の政夫くんと玉突きで勝負することになります。
勝敗は明らかではありませんが、「政夫が勝ったらビリヤードの店を出してやる」だなんて言い出しはります。
玉突き勝負を経て息子との確執は溶けつつあるも、逆に玉突きバクチの世界に再び引き寄せられつつあるように思えます。

同時に、武内さんは息子同然と可愛がっているバイトの邦彦くんを「自分のところに引き留めておこう」と決心しはります。



物語の最終局面、「道頓堀から離れよう」としている邦彦くんと、「邦彦くんを道頓堀に留め置こう」としている武内さん。

この対比が絶妙だと思います。

 

 


……物語の冒頭。

邦彦くんの主観において、道頓堀に対してこんな描写が入ります。

夜、幾つかの色あざやかな光彩がそのまわりに林立するとき、川は実像から無数の生あるものを奪い取る黯い鏡と化してしまう。不信や倦怠や情欲や野心や、その他まといついているさまざまな夾雑物をくるりと剥いで、鏡はくらがりの底に簡略な、実際の色や形よりもはるかに美しい虚像を映し出してみせる。だが、陽の明るいうちは、それは墨汁のような色をたたえてねっとりと淀む巨大な泥溝である。

あぶくこそ湧くことはないが、ほとんど流れのない、粘りつくような光沢を放つ腐った運河なのであった。

 



また、同じく邦彦くんは物語の中で、こんな詩に出会います。

船に乗って行く
別々のところで生まれた
別々の心の
俺という数千人が
同じ船に乗り合わせて
流れて行く

 

 

川と船の違いはありますが……


思うに、道頓堀や詩の中の船は、武内さんたち道頓堀で生きる人々の象徴なのではないでしょうか

夜の街にせよ玉突きバクチにせよ、きらやかで艶やかな魅力はあるのだけれど……。



武内さんなんて、人生のあれこれにより濁りに濁った魂の持ち主になっております。

息子の政夫くんも玉突きバクチにハマってどっぷり泥溝に浸かっています。

ゲイバーのかおるさんは相当濁っていますが、道頓堀から脱出しようとしています。

ヌードダンサーのさとみさんは明け方の喫茶店リバーで全裸で踊り、泣きじゃくります。

「私なんか、毎日、頭が変になってるわ」

そう絞り出すさとみさんからは、濁りつつある若い女性の魂の慟哭を感じます。

妾をしているまち子姐さんは旦那が超高齢者なので乾いた泥のような状態です。
その乾きに応えて邦彦くんは優しく接しますが、濡れた彼女の正体も結局は泥なのです。

 

「泥のように濁っている=悪で是正すべき」という訳ではないですよ。
濁りとは……世俗の垢、悔い、煩悶、鬱屈、傲慢、悲痛、そういった大人になった誰もが持つものの総称と考えています。

道頓堀に限らず、人が集まって暮らせばそうなるんだろうと思います。
だからこそ、この小説は人の世の真実を正面から書き表している凄味があるのです。

 

 


私見ですが、邦彦くんはこのあと一旦道頓堀を離れ、どこかの土地で暮らし始めるも……
結局は道頓堀に戻ってくる気がいたします。

そしてそれは、まさしく武内さんが現在進行形で進んでいるような、人生が道頓堀と化していく道なのだと思います。

 

 


演歌でも、大阪エレジーでも、ミナミの帝王でも描写された道頓堀。

美しい表面が1割と、濁った因業が9割のような世界。


底知れないですね。


この作品から35年の時が経ってますが、いまも道頓堀はそんなに変わっていないように思えます(笑)。

そんな道頓堀の雰囲気が私は好きです。

 

 

 

さまざま書きましたが、宮本輝さんならではの筆の冴え、人生と人生が交錯する迫真を感じ取れる素晴らしい作品だと思います。

以前錦繍という作品にも深く感動したことがあるのですが、この方の描く文章は「実在する誰かの人生の結晶」のような抒情がありますね。

他の作品も積極的に読んでみようと思います。

 

 

近年、少しずつ大阪の水辺がきれいになってきています。
中之島周辺の景観なんて驚くほど様変わりしましたよね。

「水の都」大阪の洗練が、泥のような庶民ひとりひとりの喜びにも繋がりますように。

 

 

 

 

↓ご参考:物語に出てくる幸橋はこちらです。なにわ筋の一本西側。

 

Google マップ

 

 

 

 

「利休聞き書き「南方録 覚書」全訳注」筒井紘一さん / 原著:立花実山さん(講談社学術文庫)

 

 

千利休の「わびの思想」を伝える書……とされている「南方録」にかんたんしました。

 

bookclub.kodansha.co.jp

 

千利休が確立した茶法、茶禅一味をめざす草庵茶の精神を伝える『南方録』は、利休の高弟南坊宗啓が、利休居士からの聞き書きをまとめたものとされる。経済の発展とともに茶道が広がりを見せた元禄期、筑前福岡藩黒田家の家老、立花実山によって見出され、その自筆本が伝世する。本書はその巻一で、利休の茶法の根本が書かれた、「覚書」の全訳注。その精神性と美意識を端的に伝える、平易な現代語訳とわかりやすい解説。実山自筆書写本を底本とする原文は、総ルビ付きですらすら読める。

 

 

南方録。

茶道を学んでいる方には有名な書籍です。


もともと知られていた原典の由来としては、堺南宗寺の塔頭「集雲庵」第二世の南坊宗啓さんが千利休さん本人から聞き取った茶の湯作法の秘伝ということでした。
そのため、かつては「茶道聖典」とまで言われていた時代もあったそうです。


ところが、昭和中期から研究者たちによる真偽検証が入った結果、現在は「南坊宗哲さんなる人物は実在せず」「元禄時代筑前福岡藩家老 立花実山さんが利休百年忌のタイミングで創作したもの」であることが判明しております。


残念……キツい言い方をすれば「偽書」でございました。
茶道の世界でも着実に一次史料ベースの検証が進んでいるんですね。

南宗寺の名を借りたということは、それだけ当時から茶道界では南宗寺がビッグネームだったのでしょう。
私の中で堺の南宗寺は三好長慶が父元長を供養するために創建した寺」ですが、一般的なイメージは千利休が修行した寺」あるいは大坂の陣で戦死した徳川家康が葬られた寺(マジかよ)」または「近所のかん袋のくるみ餅がおいしい」であることは否めません(笑)。

 

 

とは言え、この「南方録」の価値が崩壊したかといえば、そんなことはありませんよ。

利休さんの没後100年の時を経ているとはいえ、この書は元禄時代茶の湯関係資料を駆使して創作されたことも明らかになっておりまして。
千利休時代の息づかいをかなりの確度で現代に伝えてくれる貴重な書であることには変わりないのです。


少し長いのですが、著者筒井紘一さんの学術文庫版あとがきを一部引用いたします。

同時代的に利休茶法を教えてくれる代表的なものがあるとするならば、利休消息や茶会記、さらには『山上宗二記』を挙げることもできよう。また、江戸時代に入ると、『長闇堂記』をはじめ『茶湯秘抄』『茶道四祖伝書』などにも利休の逸話は記載されているが、利休に特化した茶書ではない。
『南方録』が発見されたとされる元禄三年(一六九〇)より十年ほど以前の延宝八年、利休時代の『利休茶湯書』(六巻六冊)なる本が出版される。巻一は「利休七荘秘伝茶湯書」の内題をもつ手前、巻二~四は書院、棚、長板、台子手前、巻五は「利休聞書秘法」、巻六は利休百会の茶会記である。この構成を実山が知らないはずはなく、『南方録』七巻を編集する際の参考にしたと考えられる。
こうして成立した『南方録』は、利休茶法を多方面から解明しようとしてまとめられた茶書であり、『利休茶湯書』を大きく凌駕することができたのであった。それゆえにこそ、『南方録』は茶道史にかがやく重要な茶書なのである。唯一、利休百年忌の元禄時代にまとめられた書であるということを除けばのはなしであるが。

 


歴史研究における「太平記」や「甲陽軍鑑」の位置づけに近いのかもしれません。

一次史料とは言い難いものの、肝心の一次史料が乏しいこともあって、注意を払いつつ重用されている。
何より、内容がおもしろいことまでは否定できない。

そんな印象の本でございました。

 

 

 


本の中身に移ります。

一  宗易ある時、集雲庵にて茶湯物語ありしに
二  宗易へ茶に参れば、必ず手水鉢の水を
三  宗易の物がたりに、珠光の弟子、宗陳・宗悟と
四  客・亭主、互の心もち、いかやうに得心して
五  露地に水うつ事、大凡に心得べからず
六  露地の出入は、客も亭主もげたをはくこと
七  小座敷の花は、かならず一色を一枝か二枝
八  花生にいけぬ花、狂歌に、花入に入ざる花は
九  夜会に花を嫌ふこと、古来の事なりしを
一〇 或人、炉と風炉、夏・冬茶湯の心持、極意を
一一 暁の火あいとて大事にす。これ三炭の大秘事
一二 惣じて朝・昼・夜ともに、茶の水は暁汲たるを
一三 易云、暁会、夜会、腰掛に行燈を置くべし
一四 易云、雪の会は何とぞ足あと多くならぬやう
一五 雪の夜会には、露地の燈籠は凡とぼすべからず
一六 ー深三畳と、長四畳、根元を分別すべし
一七 小座敷の道具は、よろづ事たらぬがよし
一八 名物のかけ物所持の輩は、床の心得あり
一九 掛物ほど第一の道具はなし
二〇 小座敷の料理は、汁一つ、さい二か・三つか
二一 飯台はつくゑのごとくして
二二 葉茶壺、小座敷にもかざることあり
二三 捨壺といふ事あり。小嶋屋道察に真壺を 
二四 風炉にて炭所望して見る事なし
二五 つるべはつくばひて下にをき、その所を
二六 真の手桶は手を横に置、つるべは手を竪にをけ
二七 不時の会には、いかにも秘蔵の道具など
二八 小座敷の花入は、竹の筒、籠・ふくべなどよし
二九 めんつのこぼし、とぢ目を前にせよ
三〇 せい高き茶入は袋を下へ、ひきゝ茶入は
三一 野がけ・狩場などにて茶会を催すことあり
三二 野がけは就中、その土地のいさざよき所にて
三三 紹鴎わび茶の湯の心は、新古今集の中
三四 右覚書、心得相違も候はゞ 

 

以上三十四の項目について、「古文ベースの原文」「現代語訳」「解説」がつけられております。

原文も元禄期の文章ですので平安・鎌倉期などの文章に比べると読みやすいですね。
論語のような感じで、「●●と質問しました。利休いわく~~と答えてくれました」という形式の文章になっていて内容も理解しやすいと思います。

 


個人的に感じ入ったものを幾つか紹介いたします。

 

七 小座敷の花は、かならず一色を一枝か二枝
   ――わび茶の花は軽く生ける

小座敷の花は、かならず一色を一枝か二枝かろくいけたるがよし。勿論花によりてふわふわといけたるもよけれど、本意は景気をのみ好む心いやなり。四畳半にも成りては、花により二色もゆるすべしとぞ。


【現代語訳】

利休が言われました。
「小間の茶席の花は、必ず一種類の花を一枝か二枝ぐらい、軽く生けてあるのがよろしい。もちろん、花によっては、ふさふさとたっぷりめに生けるのもよいけれど、軽く生けるということの本意は、わびた小間の席では見た目の華やかな様子ばかりをよいと思って生ける心はよくないということです。四畳半にもなれば花によっては二種生けるのもよいでしょう」

 

解説では、村田珠光さんのお言葉「花の事 座敷のよきほとかろかろと有べし」も紹介されております。
「かろかろ」という語感がいいですね。

座敷の広さに応じて軽く生ける。
しみじみとした味わいのある姿勢だと思います。

この他、解説では千宗旦さんの椿のエピソードも紹介されております。
とてもいいお話ですので、興味のある方は当書などで調べてみてください。

 

 

十四 易云、雪の会は何とぞ足あと多くならぬやう
    ――雪の茶会の心得

易云、雪の会は何とぞ足あと多くならぬやうに心得ばし。とび石のうへばかり水にてそゝとけすべし。手水鉢の水は入れずしてはかなはぬ事なれば、見よきやうに水をかけてけすべし。但、手水鉢の石、またはその辺りの木どもに景気おもしろく降つみたるには、そのまゝ置て、手水は腰掛に片口にて出すもよし。

十五 雪の夜会には、露地の燈籠は凡とぼすべからず
    ――雪の夜会には灯籠をともさない

雪の夜会には、露地の燈籠は凡とぼすべからず。雪の白きにうばはれて見所なく光うすし。但露地の木だち・様子によりて一向にも云がたし。

 

ともに雪の日の茶会についてです。

なるべく足あとをつけない、灯籠のあかりをともさない。
客を白い雪景色でもてなすための真摯な心づかいなのでしょう。

 

 

十八 名物のかけ物所持の輩は、床の心得あり
    ――名物の掛物に対する床の心得

名物のかけ物所持の輩は、床の心得あり。横物にて上下つまりたらば床の天井を下げ、竪物にてあまるほどならば天井をあげてよし。別のかけ物の時、あしき事少もいとふべからず。秘蔵名物にさへ格好よければよきなり。絵には右絵・左絵あり。座敷のむきによりて、床のつけやう心得て作事すべし。


【現代語訳】
名物といわれる掛物を所持する茶人には、床の間の心得が必要です。その掛物が横物の軸で、上下丈が短ければ、床の天井を下げて調整するのがよい。また竪物の掛軸で、長さが余るほどであるならば、天井を上げるのがよいでしょう。他の掛物をかけた時に具合が悪いのは、少しも気にすることではありません。秘蔵する名物の掛物にさえかっこうがよければそれでよいのです。また掛絵には右絵と左絵というものがあります。座敷の向きによって床の位置を考えながら建築しなければなりません。

 

すごい……。

名物の掛軸に合わせて茶室を建てろ、とのお言葉です。
先人の手を経てきた「名物」というものに対する心構え、緊張感が伝わってくるかのようです。

 

 

 

二二 葉茶壺、小座敷にもかざることあり
    ――小座敷の茶壺の飾り方

 
解説の余談が面白かったところなので、原文・訳は省略します。


筒井紘一さんの解説によれば、茶壺は茶道具の中でもっとも浮沈が激しいそうです。

書院茶時代には唐絵ほど重く扱われず、
わび茶時代(利休時代)には珍重されたものの、
江戸時代には再び軽く扱われるようになり。

現代では流通と冷蔵庫の発達により茶壺の存在意義が……とのことで。

なるほど……確かになあ。
本当に、冷蔵庫とはドえらい発明ですね。

 

 

三〇 せい高き茶入は袋を下へ、ひきゝ茶入は
    ――茶人の袋の外し方

せい高き茶入は袋を下へ、ひきゝ茶入は茶入をうゑへ。


【現代語訳】

背の高い茶入は、袋の方を下に抜くのがよく、背の低い茶入は、茶入の方を上へ持ち上げながら袋から抜くのがよいでしょう。


おお……こんなところにまで秘伝が。

解説でも

茶入を動かすか、仕服(袋)を動かすかの違いである。この微妙さが茶道の真骨頂ということになるのだろうが、その妙味は私にもわからない。利休に聞いてみたいものだと考えている。

と正直に「分からない」と仰っていてかんたんしました。


背の高い茶入は袋の方を抜くことで動じない「デン」とした感じを見せて、
小さな茶入は「プリッ」とかわいい感じに袋から出すということなんですかね。

うん、分からない(笑)。

 

 

 

三三 紹鴎わび茶の湯の心は、新古今集の中
    ――わびの心

 
長い文章なので引用は省略します。

人口に膾炙しているエピソード……

 見わたせば花も紅葉もなかりけり 浦のとまやの秋の夕ぐれ(藤原定家

 花をのみ侍らん人に山ざとの 雪間の草の春を見せばや(藤原家隆

の歌が茶の湯の真髄を表している、というものになります。

 

当時の侘び数寄において、新古今はおおきな影響を与えていたようですね。

同時代に流行していた連歌でも、新古今和歌集をベースに歌を学び、案を練ることが多かったそうです。


この辺りはとりわけ平安王朝文化からの距離を感じるところですね。

 

 

 

 

以上、南方録のかんたんな紹介でございました。



それにしても、あらためて千利休さんは謎が多いお人だと思います。

茶会記の出席記録を除けば、秀吉期以前の史料なんてほとんどないですもんね。
基本的には市井の人なので仕方ないのですが。


現代に残る利休さんの逸話は三千家の方々由来のものが多いようですし、そのせいか宝心妙樹さん(利休さんの前妻で三好長慶の妹?)や千道安さん(利休さんと宝心妙樹さんの息子で三千家とは別系統)の存在もやや乏しめられがちな印象があります。

宝心妙樹さんとは夫婦仲が悪かったとか、道安さんは乱暴だったとか。

もちろん事実そうだったかもしれませんし、仮に脚色が入っていたとしても三千家の周辺の方々が勝手に「忖度」しただけなんでしょうけど。

 

利休さんの若い頃の史料でも発見されれば、戦国期の堺・畿内の雰囲気がよく分かって絶対おもしろいと思うんです。

そのうちひょんなところで発見されますように。

 

 

 

 

「そしてボクは外道マンになる 1巻」平松伸二先生(グランドジャンプ)

 

 

平松伸二先生の自伝的漫画「そしてボクは外道マンになる」のコミックがついに発売されてかんたんしました。

 

そしてボクは外道マンになる|集英社グランドジャンプ豪華連載陣

 

grandjump.shueisha.co.jp

 

 


若い人の中には平松伸二先生をご存じない方もいらっしゃるかと思います。

 


「ド外道が~~~!!(射殺)」

「地獄へおちろ~~!(刺殺)」

「我が心すでに空なり……空なるが故に無(浮遊)」

「け けだもの~~~!!(ヒロインレ●プ)」

「フフフ セーラー服は……いい!!(変態)」

「いんだよ細けえ事は!!(復活)」

「牙を突きたてろ(殺人許可)」

「きさま~ ふたなりか!?(マッスルコントロール)」

「ア~~どす恋 どす恋(ジゴロ)」

 

 

などなど、デビュー以来かずかずのアグレッシブ名言付き外道殺しバイオレンス漫画を生み出してきたお方です。

各作品の主人公が格好いいことにも定評があって、1970年代のジャンプでは随一の女性ファンを有してはったんですよ。

 

 

 

この「そしてボクは外道マンになる」はグランドジャンプPREMIUMで好評連載中の、平松伸二先生の自伝的な漫画になります。

フィクション・脚色が混じっているとは思うのですが(たぶん……さすがに……)、70年代ジャンプにおける漫画家・編集者の熱気が伝わってくる激しい内容となっております。

超こち亀の対談でも思いましたが、この世代の漫画家方のコメントって熱いんですよね。

 


1巻のあらすじとしては


 16歳で漫画家デビュー(新人漫画賞受賞)

  ↓
 
 18歳で上京し、アストロ球団」の中島徳博先生のアシスタントに

  ↓

 ドーベルマン刑事で連載デビュー(1975年……こち亀連載開始の1年前

  ↓

 読み切りや増ページで疲労困憊のうえ、先輩漫画家たちから嫉妬の嵐に……


という流れになっております。

 


平松先生、デビュー超早いです。

あらすじだけ見ると「漫画界のエリート物語」という感じですね。

 

 

しかしそこは平松伸二節。

どんな漫画でもドぎついケレン味を付加することに余念がありません。


この作品では、「当時のジャンプ編集者の恐ろしさ」表現などが突き抜けております。

「立っている」箇所を少し紹介しますと……

 


権藤狂児さん(担当編集)

  

「ボクはまだまだ未熟です…だあ~~?」
「そんな事ア分かり切ってんだよ~!」

「いいか! 『少年ジャンプ』の連載はなア何百…いや」
「何千もの新人が血眼になって狙ってるんだ!!」

「その千載一遇のチャンスがいらねえんだったら」
「とっとと荷物をまとめて」
「岡山のド田舎に」

「帰りやがれエエエ~!!」
バキィッ(殴打)
ガッ ボゴッ(平松先生が吹っ飛び壁に大穴が空く)

「やる前から弱音吐きやがって!」
「とんだ期待はずれだぜ!」
「ボケが」(帰る)

 


……連載デビューって大変なんですね。


この後、ドーベルマン刑事連載が決まった平松先生に対して、権藤編集がやったことがまたすごい。

作品に「怒り」が足りない、「外道」を知らねばならないと指導し……
なんとヤクザを雇って平松先生をボコボコにし、更には刑務所で連続殺人犯に面会させたのです。


このことが確かに平松先生を覚醒させたのですが……。


怖ええよジャンプ編集部!!

 

 

中剛裕次郎さん(編集長)

 

人気が出てきたドーベルマン刑事の増ページを権藤編集に命じます。

権藤さんは「いまの平松くんの力では毎週20ページが限界」とかばってくれるのですが(実は優しい権藤さん)……

 

「誰が限界だと決めたんだ アア~ン!?」

「権藤よオ どうして少年ジャンプは「ジャンプ」なんだよ~~~!?」

「「マガジン(雑誌)」や「サンデー(日曜日)」の名前はどうでもいい」
「「チャンピオン」と「キング」は王者や王様になった時が限界だ!」

「だけどなア ホップステップジャンプの」
「ジャンプには…」
「限界がねえんだアアアア~!!」

「平松には自分で自分に限界を作るなと言っとけエエ~~~~ッ!!」
「次週から毎週大増31ページに決定だアアア~~~ッ!!」

 


……ほんと怖いよジャンプ編集部。

ちなみにジャンプしているイメージの絵がブラックエンジェルズの雪籐さんが外道を殺すときのジャンプの仕方と同じで格好いいです。

 

 

仁死村繁樹さん(副編集長)

 

「地獄へ堕ちろ」しか言わない!

超怖い!!

 

 

本宮ひろ志先生(ジャンプ漫画の大先輩)


と、そんな感じで当時のジャンプは恐怖政治で統制されていたようなんですが(笑)。

この御大だけはそんな編集者たちを歯牙にもかけておりませんでした。


編集者のひとりを編集室から廊下までブッ飛ばしたうえで、

「オメエらよオ 一体 誰のお陰で飯が喰えてると思ってやがるんだアアア~~~!?」
「漫画家がよオ 必死こいて血ヘドを吐きながら」
「漫画を描いてるからだろうが~!!」

「テメエらには」
「漫画家に対する敬意ってモンが」
「足りねえんだよオオオ~~ッ!!」

スパァーッ(日本刀でデスクを両断)


と、編集者一同を恫喝し去っていきます。


さすが……!


きっと実話なのでしょう。

 

 

読者も怖い

 

ドーベルマン刑事はたちまち人気漫画になりましたが、第一話のファンレターはけっこう辛辣なものも多かったそうです。


特に多かったのが、主人公加納刑事の愛銃「ニュースーパー・ブラックホークの仕様について描き間違いを指摘する内容だったとか。
ブラックホークはシリンダーが外に出る仕組み(スイングアウト)ではなく、シリンダー・ゲートから一発ずつ弾丸を入れるのが正解ということで。
読者もすげぇ……。


他にもカミソリ入りやら、「ジャンプのレベルも落ちたな~~~!!」「あなたは岡山県人の恥です~!!」「「ダーティーハリー」のマネすんじゃねえ」といった罵詈雑言が続々と到着。
当時、ファンレターの内容にショックを受けて飛び降り自殺した漫画家もいると噂になっていたようですが、10代の少年がこんな手紙を読んだら確かにショックが深そうです。

現代はSNSとかでかんたんに読者リアクションを見ることができるので、やはり繊細なクリエイターはしんどいんでしょうね。

 

 

 

 

以上、「そしてボクは外道マンになる」の紹介でした。

まじめな部分と平松節の部分がいい塩梅にブレンドされていておすすめですよ。

2巻も9/19に出るようですしありがたい限りです。

 

 


現在発売中のグランドジャンプPREMIUMにはブラックエンジェルズ 雪藤ですが...何か!?」が掲載されていました。

内容は最近の平松作品っぽく、ワイドショーからネタを拾ってきたようなギャグ寄りの読み切りでしたが……。



久しぶりに、シリアス寄りのバイオレンス作品も始まりますように。

 

 

 

「そしてボクは外道マンになる 2巻」平松伸二先生(グランドジャンプ) - 肝胆ブログ

 

 

 

信長の野望201X「永禄の変 異聞 ~二人の将軍と天下人~」

 

 

信長の野望201Xで待ち望んでいたイベント「永禄の変 異聞」が開催されていてかんたんしました。


↓イベントのお知らせページ

お知らせ

三好三人衆らによる足利義輝襲撃をモチーフとした、足利義輝足利義昭という二人の将軍と、阿波の天下人と呼ばれた三好長慶が織りなす物語が展開します。封印された京都魔境を突如覆った霧に突入、混迷を極める京都を救い、室町幕府最後の征夷大将軍足利義昭(☆4)」を仲間にしましょう!    

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私は201X後発ユーザーなのですが、早い時期に開催されたこのイベントが畿内史ファンの中で評判がよいことを耳にしていたので、復刻開催されることを願っていたのです。

 

さっそくクリアしてみましたので、以下で紹介させていただきます。

難易度が高いイベントではありませんので、攻略に役立つ内容は載っていません。

 

 

一部ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異聞の内容は京の街に三好長慶足利義輝足利義昭、幽魔が同時に存在するというカオスなストーリーになっています。

足利義昭さんに仕える「細川幽斎」さんと足利義輝さんに仕える「細川藤孝」さんが同時に存在していたり、そのせいもあって「三好家が足利義輝を弑逆しに来るんじゃないか」疑念が湧いていたり、足利義輝さんが「自分は横死するが弟が跡を継ぐ」ことを認知してしまったり、201Xの中でも屈指のタイムパラドックスな内容でございました。

 

人気の高い細川刑部家(幽斎さんや忠興さんやガラシャさんなど)のあたたかい家族物語もご覧いただけます。

難易度も低いですし初心者中級者にもおすすめのイベントですよ。

 

 

 

さて、ここから本題です。

私は三好家好きが動機で201Xを始めた人間ですので、このイベントに関わる三好家メンバーについてかんたんに触れていきたいと思います。

素人の私見をふんだんに含んだ内容となっておりますのでご留意ください。

 

 

 

 

 三好長慶

 


足利義輝さんと足利義昭さんがそれぞれ「京を守るのは自分だ」と先駆け争いをしているところに堂々と割り込んでいってくださいます。

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たいへん格好いいです。

この201Xでは各大名からもまつりさんからも足利幕府はかなり敬われております。だからこそ、将軍に「黙ってろ」と言える長慶さんは特異な存在になっているのです。

 

そして……。

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格好いいだけでなく、オチまでつけてくれるのが201Xの長慶さんです(笑)。

介錯芸人としても人気者なんですよ。

 

 

 

しかしですね皆さん。

この長慶さんの一連のコントコメント、これ、実は深いんですよ。


「将軍と将軍の争い」。


織田信長さん以降の戦国時代後半戦ではあまり注目されない言葉なのですが、これこそが戦国時代前半戦(応仁の乱明応の政変以降~三好政権まで)の超重要ファクターなのです。

応仁の乱で足利将軍と畠山家が分裂して、明応の政変で足利家分裂が決定的になって、永正の錯乱では細川家までが分裂して。
偉い人たちの分裂は、100年に及ぶ地獄の畿内戦国史を生み出したのです。

果てのない戦と権威喪失により……土一揆一向一揆法華一揆が起こるわ、木沢長政・遊佐長教という「河内のヘル・ミッショネルズ」みたいな怪物が生まれるわで、世の中は大変なことになってしまいました。

そも、三好長慶さんの父親三好元長」さんも、この「将軍と将軍の争い」「細川家と細川家の争い」の中で命を落としています



三好長慶さんの生涯は……

「戦国時代の原因となった腫瘍を摘出し」「噴き出した血と膿を一身に浴びる」ようなものでした。

 

そこに父母の早世、妻との離縁、弟・息子の不幸が重なるんですから、そりゃ長慶さんも早死にするわと思います。

 

こうした背景を踏まえると、「目の前で二人の将軍が争っている(ガチじゃないですけどね)」という事態は、三好長慶さんのお心を傷つけるには充分すぎるということがお分かりいただけるのではないでしょうか。

 


でも。
楽しそうにシャンパンおじさんしている姿を見るとそんな暗い話も忘れちゃいますね。

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(ちなみに戦国時代に乾杯という習慣はありません)

 

 

 

松永久秀

 

河内和泉ストーリーと山城ストーリーの間ということで、徐々に「長慶さん大好き属性が露わになってきている」という趣深い描写でした。
姉川で言っていた「外の国の薬を持ってこい」の元ネタも分かりました)


永禄の変の実行犯ではない、という史実も反映されております。

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まあ息子の久通くんが参加している時点で、まったく無関係でもないんでしょうけど。

 

 

 

「長慶さんをあくまで利用してるだけ」という久秀さんに対してブッこむまつりさん。

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久秀さんも隠さなくなってきています。

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松永久秀忠臣説のせいでダーティーヒーロー久秀の魅力が薄れる、という声もあります。

しかしながら、「三好主従萌え」という新たなジャンルが開拓されつつあると思えば、むしろキャラが更に立ってきていると評することもできそうですね。

 


というか、史実の三好家中って弟も息子も松永兄弟も三人衆も近隣文化人も、みんなで長慶さんの寵愛を得ようと躍起になっているように見えることがあります。

(篠原長房さんはちょっと違うかも)


三好政権とは長慶さんを囲むTo LOVEる的な何かだったのかもしれませんね。
長慶さん死後は安全弁がなくなってダークネスが発現しちゃいましたが。

 

 

 

三好長逸

 
三好長逸さん。

三好家の長老格として長慶さん死後の三好家を主導していきます。
生没年不詳ですが、久秀さんと同じく長慶さんの一世代上くらいの歳ではないでしょうか。


おそらく、三好元長さんの敗死から、三好家の逼塞、長慶さんの登場と活躍、政権誕生までのすべてを見てきた人なんだろうと思います。
(三好康長さんと同じようなポジションですね)

 


史実の長逸さんは実際に

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と義栄さんを擁立しはりますが、これが長逸さんのアイデアなのか、篠原長房さんたち四国三好家の意向だったのか、脱出した義昭さんが脅威だったから対抗馬を擁さざるを得なかったのか等、長慶さん死後の行動・判断ひとつひとつがイメージしづらいお方でもあります。

 


長逸さんはけっこう朝廷に気に入られていた節があり、浅慮で動く人ではないような気もするんですが……。


足利義栄さんを擁立した。

いったん阿波に逃れ、再び畿内に上陸した。

石山本願寺を口説き、大規模な一向一揆織田信長さんに差し向けた。


これでは完全に細川晴元さんの再来」です。

 


長慶さんの生涯を見守ってきた方が、人生の最晩年にこのような振る舞いをした訳です。

長逸さんはどんな気持ちで久秀さんや信長さんと戦っていたんだろうと思い描くと、私はとても悲しくなります。

 

 

 

三好政康

 

三好政康さん。


実は「政康」は誤りで、「政生」あるいは「宗渭(出家後)」が正当だと言われております。

そもそも三好家は名前の誤伝が多く、あの有名な三好実休さんも……とか早口で語りだすと一般の歴史ファンからは三好オタうるせえと言われてしまいますので注意しましょう。



201Xでは

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と晴れやかな長慶さんに心からの忠誠を捧げているようで何よりであります。

 


この方は宗三左文字で有名な三好宗三さんの息子で、1549年の「江口の戦い」では宗三さんとともに長慶さんと死闘を繰り広げた間柄になります。

言うなれば、長慶さんは政康さんにとって「父の仇」なんですね。

 


江口の戦い後も政康さんは丹波・若狭に潜んで、波多野家や香西元成さんとともに、松永兄弟や三好長逸さんを幾度も打ち破ります。

最終的には長慶さんに降伏するわけですが、おそらく、本人としては相当に忸怩たるものがあったことでしょう。
受け入れた松永兄弟たちも内心穏やかではなかったかもしれません。


宗三さんの遺徳もあってか、三好家復帰後の政康さんはメキメキと立場を強めていき、帰参して間もないのに「三好三人衆」という大幹部にならはります。

こうして政康さんを重用していたことを踏まえれば、長慶さんが「江口の戦いで宗三さんを殺すのを躊躇っていた」という逸話はあんがい事実だったのかもしれませんね。

 

 

 

石成友通

 

三好姓じゃないけど三好三人衆、石成友通さん。

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「許したから」「臣になってあげた」!

 


この方は松永兄弟同様、無名の出自ながら長慶さんに見出されて三好政権大幹部まで出世しはった経歴の持ち主です。
戦は得意じゃなさそうなので、たぶん実務系の能力が評価されたんでしょう。


三好長慶さんや織田信長さんは「家柄にとらわれず、実力本位で人材を登用した」と評されることが多いですね。

これは、一面では「長慶さんも信長さんもたいした家の生まれじゃないから、立派な家の人を部下にしにくかった」という事情もあったんだと思います。
大名本人の実力を以て地域の信頼を勝ち取り、中小国人層から人材を見出していく……現代のベンチャー企業にも通じるような大変さがあったことでしょう。


イメージ論ですが、秀吉さんは「農民生まれ」という説が充分に浸透しているので近所の子どもを家来にしたような逸話がすんなり理解されやすいのですが、長慶さんや信長さんの家柄の低さとそれに伴う苦労というのはあまり認知されていないように感じます。

 


友通さんが江戸時代まで家を残すことができていたら畿内ドリーム」だったんですけどね。

久秀さん同様、悪名だけが(やや歪んだ形で)しっかり残ったという点では気の毒なお方であります。
当時の取次や奉行仕事の文書なんかが発見されて、お仕事頑張ってはった側面が評価されていくことを願います。

 

 

 

 


以上、永禄の変 異聞に登場した三好家の方々の雑感でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ところで、やっと畿内ガチャ2倍が来てくれました。

喜んで回してみたら、石1,200個で長慶さんが2人登場してくれました。
過去の投資分と合わせて長慶さんの開眼完了(30%)であります。

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さあ、本格的に201Xでのプレイ目標がなくなりましたよ。

あとは長慶さんと一存さんをレベル100にするくらいしか……(でも石500個で突破錬士を買うのもなあ)。

 

 

三好家の星3・星4人材やストーリーが充実してくれますように。

やっぱ人気ないのかなあ、売れ行き悪いのかなあ三好家。

 

 

 

 

 

 

アフタヌーンティーの「オレンジアールグレイ アイスティー」

 

 

 

アフタヌーンティーでいただいたオレンジアールグレイのアイスティーがべらぼうにおいしくてかんたんしました。

 

shop.afternoon-tea.net

 

www.afternoon-tea.net

 


フレーバーのついた紅茶って、けっこう「ワザとらしい」味のものがおおいですよね。


「流行ってるからとりあえずつくってみたけど、紅茶とフレーバーが喧嘩してる」
「1+1が1のまま、下手したら0.7くらいになってしまっている」


そんな代物も見受けられます。

 

 

ところが、アフタヌーンティー(ティールームの方)で注文したこちらの「オレンジアールグレイ アイスティー」は。


……1+1が「3」くらいになっているのです!

 


紅茶の風味とオレンジの香り、どちらも無理に目立とうとせず、一体になっている。

紅茶とオレンジ、どちらの素性にも信が置ける。

紅茶とオレンジが融合した、新たなマテリアルと化している。

 


これはすごい……驚きました……

 


聞けば、夏場の時期に大人気なアフタヌーンティー自信作とのことです。

さもありなん。

 


今後の人生。
きっと、夏になると「オレンジアールグレイが飲みたい……」と渇いてしまう。

それくらいのインパクトがございましたよ。

 


ティールームで注文して、冷たいのがやってきて、シロップをちょっとだけ入れて。

ひと口飲めば嫌なことも憂いことも霧散してくれる飲み物です。
超オススメです。

 

 


ただ、アイスティー全般に言えることですけど、時間が経って氷が解けてくると印象がボヤけてまいります。

一瞬で飲み干すのも野暮ですが、長っ尻して飲みどきを逃すのもイマイチですよね。

気持ちの涼むスピードに合わせてさらさらと味わいましょう。

 

 

 

アフタヌーンティーはちょっとお値段高めですが、ごはんは美味しいし見栄えもいいしサラダがうまいし小物はかわいいしで素敵なお店だと思います。

特にタンブラーやエプロンのデザインがいいですよね。

自分づかいにも、ちょっとした贈り物にもありがたやです。

 

 

日本市場はコーヒーが人気ですが、「紅茶」市場もじわじわ伸びていきますように。

 

 

 

 

 

 

 

信長の野望201X「四国の攻略とストーリー」

 

相変わらず、ぼちぼちと201Xをプレイしております。

思惑通り三好長慶さんによる四国解放報道をゲットできてかんたんしました。

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私の201Xプレイ目標は三好長慶さんを手に入れる」「三好長慶さんの手で京と四国を開放する」でしたので、これですべて達成したことになります。


これからは三好家絡みの異聞・ガチャが来るまで石と紹介状を温存するつもりです。
(て言うか畿内2倍ガチャすら開催されなくなったので、石も紹介状も貯まる一方になってしまい困っています)

 

 

以下、四国ストーリーの一部ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四国については、安芸や山城よりも攻略がかんたんでしたね。
山城激戦後の箸休めのようなポジションなのかな。


伊予は屍、讃岐は鬼、阿波は獣と屍、土佐は鬼の国になります。

讃岐と土佐が鬼オンリーなのは十河一存さんと長曾我部元親さんリスクペクトなのでしょう。

 

ややこしい敵は讃岐の天邪鬼くらいです。
鬼のくせに術攻撃が通用しません。今川義元さんや武田信玄さんや沼田麝香さんでは処理できませんので、鬼特効をつけた物理系の全体攻撃役・ランダム5体攻撃役(朝倉宗滴さんや陶晴賢さんや学園太原雪斎さんなど)でやっつけるといいと思います。

 

道中の雑魚敵は生命がけっこう多いので、全体攻撃役やランダム●体攻撃役にバフを重ねるのが重要です。

 

 

ボスはどの国もたいして強くありません。
伊予と阿波は十河一存さんが、讃岐と土佐は武田信玄さんが屠ってくださいました。


特筆すべきボスは伊予と土佐でまみえる「志藝山津見(シギヤマツミ)」さんくらいでしょう。この方は八雷神に代わる神様で、実力も山城の八雷神並です。


伊予は8戦目に現れますので縦陣を事前準備しやすいのですが、土佐では1戦目での勝負ですから大変です。
縦陣の用意がしにくいし、戦闘数が少ないと「S評価」が取りづらいですよね。S評価を取るためには「スキルオンリー」「ノーリカバリー」あたりを意識して狙っていく必要が出てまいります。
(この辺は山城の八雷神と同じです)

 

 

参考に土佐での志藝山津見戦画像を貼っておきます。
なお、出陣前に「江戸前にぎり寿司」を食べています。

 

 

1ターン目は太原雪斎さんと三好長慶さんで雑魚散らし、アタッカーは溜め。念のため岡部さんが防御バフを担当しています。

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どの国でも長慶さんと雪斎さんのコンビは雑魚を撃滅してくれるので助かっています。(長慶さんは3体×2回攻撃、屍特効付。雪斎さんは無骨・鬼特効・固有で手裏剣装備)

 

 

2ターン目。縦陣は揃いませんでしたが、バフを重ねた信長さんが強烈な一撃を入れてくださいます。(一存さんは1ターン目で天に召されました)

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レベル100の信長さんはフレンドさんによる援軍です。
いつも本当にありがとうございます。

 

 

3ターン目。トドメを刺して終わりです。

f:id:trillion-3934p:20170821214206p:plain戦闘後、冒頭の報道に繋がります。

 

 

その後土佐魔窟も制覇し、無事に四国オールSを達成しました。
見づらいですがすべて青丸になっています。

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攻略面はそんなところです。

 

それよりもストーリー面。

長曾我部家が中心で、期待していた三好実休さんや篠原長房さんや細川持隆さんの気配は残念ながらありませんでした。

 

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しくしく。

三好家は長慶さんと久秀さんだけじゃないですよ。

四国三好家(細川家)にも光を……!

 

 

ただ、じゃあ長曾我部家がストーリー的にめっちゃ優遇されているかというと、長曾我部家は長曾我部家でけっこう微妙な扱われ方でした。


もちろん土佐のラストでは「長曾我部家すごい」という感じに立ててくれるのですけど、そこに至るまでは……。

他の地方有力大名……今川、武田、上杉、尼子、毛利……などのこれまでの扱われ方よりも、一段劣るというか「未熟者」扱いというか「鳥なき島の蝙蝠」扱い推しというか。

 

三好家は既に滅び、残った長曾我部家と河野家・香川家……四国の連中はたいしたことないな感がありました。

 

うーん。
これまでの201Xシナリオっぽくない。



あと、本能寺後の年代設定なのに、香川家だけ「元景」さんの代なのはどうしてなんだろう。香川家ってあんまり長曾我部家と争うイメージないですよね。(こんな細かい内容、リスペクトしている「201X」のシナリオにしか言いませんよ。普通の歴史ものにはいちいち指摘しません)

 


素直に四国三好家をストーリーに組み込むのは難しかったのかなあ。

実休さん率いる四国三好家はすこぶる強大で、それと互角に戦える(仮想です)長曾我部家もすごい! 的な。

四国は畿内の喉首に突き付けられた刃だ、的な。

 

そうすれば四国三好家ガチャも実装されていたりして……!

 

 

 

異聞などで四国勢にフォローが入りますように。

 

 

信長の野望201X「山城までの初心者向けストーリー攻略」 - 肝胆ブログ

信長の野望201X「大友家(筑前・豊前・豊後)の攻略とストーリー」 - 肝胆ブログ

 

 

 

「東京の池袋 少年誌キャラおよびテニプリキャラの女性人気調査レポート」'17.夏時点

 

池袋が自分の知っている池袋でなくなっていてかんたんしました。

友達はテニプリの真田グッズが一切売っていなくてひたんにくれれていました。

 

 

詳しい人には常識らしいのですが、いつの間にか池袋が「女性の2次元・2.5次元好きの聖地」になっております

東京の、更には日本のアニメ・ゲームカルチャーといえば秋葉原なイメージですけど、女性向けについては池袋が本場とのことで。

 

 

友人は最近までテニプリ……「テニスの王子様」について全く無知(子羊)だったのですが、信者の懸命の布教によりいまではすっかりテニオタになってしまいました。

跡部様→手塚くん→皇帝真田という感じで推しキャラが変遷していったそうです。
友達の年齢相応に推しキャラが老けていっている気がいたします。



確かに真田さんは魅力的だと思います。
実力とネタ、双方で最高クラスの力を有してはりますもんね。

光速で動けるし。
黒色のオーラを纏ってはるし。
ブラック・エンジェルズ読んではるっぽいし

挑発に弱いし。
奇声を上げるし。
ナンパの風林火山を使いこなせるし。

幼少時はすごいかわいいし。

こち亀両さんを小僧扱いするし

もうなんか盛り過ぎていて一言では紹介できません。


とりあえずテニミュの「風林火陰山雷」は名曲だと思います
少年誌のライバルっぽさがいい。
友達は初代の兼崎健太郎さんが好きとのことです。



その友人が「今更テニプリに嵌まってしまうと、グッズもろくに手に入らない。どうせなら池袋に遠征してグッズを漁りたい」と仰るのです。

私はテニプリめっちゃおもろいなと思ってはいますがキャラクターが若過ぎるので致命的なハマり方はしていません。
とは言え、池袋の乙女向けショップには関心があったので喜んで同伴させていただきました。
少年誌のキャラショップということで、あわよくば天地を喰らうのグッズでもあれば買おうかなと考えていたのです。
(ありませんでした)

 

 

訪問したショップは以下の3店です。

 

K-BOOKS | 店舗案内 | 池袋キャラ館

池袋のアニメショップ・専門店 - アニメイト池袋本店

池袋の同人誌・アニメグッズや中古ゲームの買取 | らしんばん池袋本店5号館(B1F)


時間の制約もあったので、この3店を集中的に見てまわることになりました。
これらのお店は池袋の同じエリアに固まっているので便利ですね。



店に入る前、通りを歩いている時点で確かに雰囲気が違います。

女子、女子、女子。
10代くらいから50代くらいまでの趣味良き女性がたくさん徘徊しています。
みんな瞳が輝いています。

わお。
これが聖地か。

 

 

そして調査の結果……分かったことは。


テニプリは残念ながら女性人気の最前線にはいない。

テニプリ勢の中で真田は残酷なほど女性人気がない。


の2点であります……。

 


私の印象ベースにはなりますが。

少年誌系※のキャラものの人気としましては、現在……


銀魂黒子のバスケ・ハイキュー>弱虫ペダルテニプリ>ワンピース>ジョジョ>>幽遊白書


といった情勢の模様です。

刀剣乱舞おそ松さん忍たま乱太郎などは除く

 

銀魂・黒バス・ハイキューは本来横並びくらいなのかもしれませんが、映画のせいか銀魂に勢いがありましたよ。

地味に幽遊白書グッズがいまだに売っているのにもかんたんしました。
根強いですね……。



テニプリは既にアニメ放映が終わっていることを思えば充分健闘していると言うべきですが、この時点で友達は落胆しておりました。

 


更に……


テニプリグッズはなおけっこうな量がラインナップされているものの、
真田グッズがまったくない

ない。

本当にない。

 

テニプリ勢としては跡部・幸村・丸井・白石・手塚・不二・木手……といった面々が人気なのはもとより承知しているのですが。

物理的な真田ロスっぷりが半端じゃありませんでした。


K-BOOKSのキャラ館は、テニプリ各キャラのアイテムを多数揃えていたんですよ。
ちょっと人気があるキャラならせめて缶バッチ程度は置いているんです。

それなのに真田グッズだけがない。
(コアな真田ファンが買い占めた直後だった可能性はあります)




友達が必死に探したところ、棚の中に「真田弦一郎」コーナーを発見しました。



!!!



そこには一個だけ缶バッチがのこっていました……!



近づいてよく見てみると……!!



「真田弦左衛門」



まさかの祖父!

祖父はあって本人はなし!!

なにこれ……イリュージョン……!?

 

 

立海、だいたいのキャラは揃っていて、「浦山しい太」くんですらバッチがあったんですよ。


立海の在庫は……


幸村>丸井>仁王>>赤也>>柳・柳生・ジャッカル>>浦山しい太>>真田弦左衛門>0=皇帝


という結果でございました。

 


これには皇帝も憤死を免れません。
この地は「カノッサです。

「池袋の屈辱」であります。

 



そんなこんなで友達はわざわざ池袋くんだりまで来て大ショックを味わうことになったのですが、まあ話のネタにはなるし真田グッズは新品を死ぬ気で確保しておけという教訓も得られましたし。

まったくの無駄足でもなかったと思います。

 

ちなみに友人はその後、K-BOOKSキャスト館で初代真田役の兼崎健太郎さんのブロマイドを買って機嫌を直してはりました。

2.5次元の世界ではテニプリはいまも筆頭クラスの人気勢力なようです。

 


ていうか、お店もお客もみんな普通に2.5次元という言葉を使っていて驚きました。

アニメ・ゲーム作品系のミュージカルとかをそう呼ぶんですね。


2次元と3次元の狭間と聞くと、エクスデス的なものしか頭に浮かびませんけど。

池袋の女性客たちはみんな「無の力」に魅入られているのかもしれません。


テニミュファン」……
「刀ミュファン」……
12の武器を持つ勇者達でもかなわない……
しずかに、次元のはざまに、眠らせておくべし……
決して、かたりかける事なかれ。

 

 


以上、高尚な趣味を有する女性の街、池袋の偏ったレポートでした。


私は大きなブックオフウルトラマンの50周年ビジュアルブックを入手できたので大満足であります。
よい旅でした。



それにしても、あらためて冷静に観察すると女性向けアニメ・ゲーム・ミュージカルの世界もすっごい競争激しいですね。
完全にレッドオーシャンであります。

それぞれ作品の質はとても高いのでしょうけど、商売として収益を維持していけるのでしょうか。


私としては次元大介のようなイケてるおっさんキャラが増えてほしいのですが、まともなビジネス感覚のある経営者ならニッチなファンよりも海外市場を求めて旅立ちそうです。
どの作品でも、そのうち外国市場を見据えたキャラが増えていく気がします。


あれ?

て言うことは、テニプリU-17ワールドカップやってるのはそういう狙いもあるのか。

いや、考え過ぎか。
(ネタに走っている国が大半ですし)

 

 

 

そのうちテニプリのアニメなりOVAなりが再開して、皇帝グッズも少しは生産されますように。