肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

イギリス「ブレジグットによるテイクアウト料理店のピンチ(CNNより)」と日本「外国人留学生に支えられる飲食・コンビニ業界」

 

 

CNNのニュースを眺めていたら庶民的なブレグジットの影響が
紹介されていてかんたんしました。

 

www.cnn.co.jp

 

難しい重要政策の話をしたいのではなくて、
重要政策による庶民の暮らしへの影響についてつれづれ書きます。



私はイギリスに行ったことありませんが、
ロンドンに留学したり勤務したりしていた友達たちによれば
「イギリスは外食が高い。テイクアウト(テイクアウェイ)料理が不可欠」
とのことであります。

お気に入りのカレー料理店・中華料理店を見つけることが
クオリティオブライフに直結するのだとか。

 


今回CNNで紹介されているのは、
イギリスのテイクアウト料理店の店員採用は移民に頼っていて、
もともと人手不足なのにブレグジットで更に悪化しそう、
このままでは閉店が続出しそうだ、というニュースです。


ブレグジットを議論している頃から、イギリスの低賃金業界は
たいてい移民に頼っている、移民お断りはイギリス人が受けるサービスの
質の低下にもつながるんだぞ、とは警告されておりました。

とは言えブレグジットはフィッシュ&チップスやカレーや中華料理の
持ち帰りを念頭に置いて決めたことではありませんので、
その辺の影響はあまり重視されてこなかったんでしょう。

とりあえず勢いでブレグジットを可決したんだけど、
冷静に考えたらテイクアウト料理店が潰れるのは困るなあと
庶民が実感し始めた頃合いということなんだと思います。

 

 

 

一方、日本では。


移民受け入れには消極的ですが、
代わりに外国人留学生の招聘には積極的です。

この外国人留学生さんたちがコンビニや居酒屋等の利便性高いサービスを
支えてくださってますので、彼らが今後も安定的に日本に来てくれるかが
日本の庶民の暮らしにとって重要だと思います。

外国人留学生の採用強化=人手不足に対応、海外で研修も-コンビニ:時事ドットコム



日本への外国人留学生は年々増加していて、
'16年5月1日時点で約24万名と、5年前から5割くらい増えています

24万名といえば寝屋川市の人口くらいですからね。
たいした人数であります。


日本企業のグローバルな成長を支えてもらいたい、
日本と諸外国を結ぶ人材ネットワークを強化したいという大望もあり、
政府は'20年までに30万名程度まで増やしたいそうです。



いまは企業だけでなく大学もグローバルに競争する時代ですので、
優秀な学生、お金持ちの学生は世界中で獲りあいになっています。


日本への留学は


 ・治安がいいので国元の親御さんが送り出しやすい
 ・世界トップクラスではないけれどそこそこ学力が高い
 ・アニメや漫画等の独自文化が魅力的
 ・いまは円安


などのメリットがある反面、


 ・日本経済の低成長ぶりは際立っており、これから大きく発展する気がしない
 ・中国企業等と比べ、日本企業は世界で見れば数が少ない規模が小さい
 ・日本で日本企業に就職するのはまだまだ留学生にとってハードルが高い
 ・日本語は日本でしか通じない(学ぶなら英語や中国語の方が便利)


などのデメリットがありまして、
そんな中でじわじわ留学生を増やせているのはたいしたものだと思います。

留学受け入れ系の対応をしている関係各位の尽力の賜物なんでしょうね。

 


いま、都市部のコンビニで、100%日本人で回している店は少ないです。
ファーストフード店も同様、居酒屋も同様です。


もし、これから外国人留学生が急激に減るようなことがあれば、
いままでのような品質のサービス、あるいは24時間営業などは
維持できなくなる公算が高いと言われています。

我々が甘受しているサービスは、実は「外国人留学生」という
サステナビリティの低い人材基盤で成り立っているのです。



まあ、よくも悪くも日本社会は変化が小さいですから……。

ちょっとやそっとで留学生が急減することはないと思います。
さすがに本気で攘夷とか言い出す人は少ないでしょうし。

 

ただ、テロや天災は怖いですよね。

「日本はテロとは無縁の国」というイメージが崩れると、
留学生は一気に減少しそうです。

また、東日本大震災原発問題のときもそうでしたけど、
海外の方は天災や原発の恐怖に敏感です。
富士山なんかが一発ドカンと噴火したら留学生は一気に減少しそうです。


あとは、アジアの他国でゴールドラッシュのような経済大成長があれば、
やはり留学生はそっちに行ってしまうことでしょう。

対外要因でも留学生の数はおおいに変動します。



こうしたリスクは要覚悟と言えそうです。
宅配業界で起こっているのと同じような問題が
そのうちコンビニや居酒屋で起こるかもしれません。

もとより外国人留学生招聘政策はコンビニや飲食業界のためではありませんが、
いまではこれら業界を根っこから支えるファクターになってしまっております。

庶民の暮らしに密接に関係しますから、頭のどこかに入れておいても
無駄にはならないと思います。



人手不足が急激に進んだとき、深夜営業や24時間営業はやめてくれてもいいけど、
店舗の数はなるべく減らさないでほしいものです。

やっぱり飲食店が多いと町が活気づきますし、
身近なコンビニは抗えないほどに便利です。



引続き、外国人留学生の選択肢に入れてもらえる留学先でありますように。

 

 

 

信長の野望201X「山城までの初心者向けストーリー攻略」

 

 

信長の野望201Xをだらだらプレイし続けてきましたが、
ようやく第1部のストーリーをオールSでクリアできてかんたんしました。

 

www.gamecity.ne.jp

 


山城クリアまでは1箇月くらい前に辿り着いていたものの、
イザナミさんだけA評価で留まっていたのです。


山城ブーストキャンペーンということで久しぶりに特攻してみたら
たまたま縦陣の揃いもよくてS評価取れてしまいました。



山城オールS(青い丸になっています)

f:id:trillion-3934p:20170718230219p:plain



イザナミ撃破メンバー(この面子+フレンドの信長さんで撃破)

f:id:trillion-3934p:20170718230040p:plain

 

イザナミ戦リプレイ

 ⇒QUAH-BP5A-SAFG-WCGF

超下手ですが、こんなんでもS評価だということで。

縦陣を温存しようとしてたら吉兆マスを破壊されたり、
斜陣でマヒらせて攻撃叩き込んだら回復されたりと
失敗事例も豊富です。

勝てたのはフレンドさんのLv100信長のおかげです。
ありがとうフレンドさん。

 


何はともあれめでたしめでたし。
もう少し控え武将を育てたら四国へ渡ろうと思います。

 


攻略メモ

 


去年の11月からプレイし始めたので、9箇月ほどでここまで来た感じです。

この「信長の野望201X」は攻略wikiが充実しているので
あまりニーズはないと思いますが、せっかくなので攻略メモを書いておきます。

最近ようやく異聞のエクストラステージをクリアできるようになりましたが、
いまだ四神降臨や強行戦等のエンドコンテンツには手を出していない
中級者の発言ですのでご留意ください。

 


ストーリーの流れとして、
駿河あたりまでは特に何も考えなくても楽々だと思います。
伊勢辺りからちょっと手強くなってきて、
紀伊の石魔鬼でけっこう難儀する感じでしょうか。

その後は信濃の危死虫でめっちゃムカつくものの、
以降は特段大きな障害はないと思われます。
順当に戦力増強あるのみです。

 


何はともあれまずはパーティを揃える必要があります。


リセマラ……私はやりませんでした。

手に入れたのは武田信繁さんで、この方は後に趣味の三好長慶さんを育てるのに
役立ってくださったのですが、戦力的には微妙と言わざるを得ません。

手間でなければ、リセマラはやった方がいいと思います。

大当たりは「朝倉宗滴さん(全体攻撃)」

当たりは
柴田勝家さん(獣向け単体攻撃)」「井伊直政さん(鬼向け単体攻撃)」
寿桂尼さん(良バフ・良特性・かわいい)」

といったところだと思います。
全体攻撃武将はガチャ(課金)なしには手に入れづらいので、
可能なら宗滴さんを手に入れることをお勧めします



※2018/9/27追記

 見直し版の開幕ガチャは、どの武将もそれぞれ見どころがあるようになりました。

 とはいえ、初プレイの方にとっては、やはり全体攻撃武将がおすすめです。

 

 

 

パーティとして欲しいメンバーは


 ・全体攻撃(宗滴さん、あるいはガチャ等で入手)

 ・ランダムX体攻撃(全体より攻撃力高。ガチャ等で入手)

 ・危死虫対策(全体orランダムX体に獣特攻と起死回生と鎮魂をつける)

 ・単体物理アタッカー(ドロップの松平清康さん・十河一存さんでOK)

 ・単体術アタッカー(勾玉の孝蔵主さんでいいかも)

 ・単体無属性アタッカー(越前ドロップの真柄直隆さんでOK)

 ・バフ(適当な薬師&戦術家、遠江ドロップの岡部元信さん等)

 ・デバフ(足が速い射撃手。ただしこの中では優先順位低)


といったところです。

バフ・デバフは☆1・☆2でしばらくは充分ですし、
アタッカーは☆3あたりでしっかり活躍できます。

そういう訳で、手に入るガチャ予算(紹介状・余った石)は
全体攻撃・ランダムX体攻撃の☆4武将ゲットへ優先的に使いましょう

 

安芸・山城あたりまで進んで、使えるコストも増えてくる頃には
肉壁と呼ばれる薬師武将や兵器特化武将も役に立ちますが、
当面は考えなくて大丈夫です。

回復役も序盤中盤は要らないです。
やられる前にやるの精神が正解です。
播磨でドロップ別所長治さんが手に入るまでは考えなくていいでしょう。
手に入る薬師は回復役ではなく、バフ役として捉えましょう。

 

 

特性は攻撃役には無骨者と心眼と●特化、
支援役には馬印をつけておけばいいと思います。
余裕ができてくれば獣・鬼・屍それぞれに特化アタッカーをつくると
ボス戦が楽になってまいります。

世間の攻略情報を見ると「☆4武将の固有特性移植」が当たり前のように
語られていて心が折れかけますが、あれはあくまで上級者の趣味です。
ストーリークリアまでなら「☆3武将の特性移植」で充分いけますよ。



クラスチェンジも攻撃役は基本上、
支援役は基本下がいいでしょう。
中途半端に何でもできる人をつくろうとせずに、
一芸に特化していく感じの方がいいんじゃないでしょうか。

 

 

あくまで私のプレイパターンですが、
信濃に突入する頃までに一定まとまったパーティを揃え、
なおかつレベル50~80程度まで育て切った方が楽だと思います。

このゲームは無理にストーリーを進める必要は薄く、
しょっちゅう異聞等のイベントもやっていますので、
基本はストーリーよりも育成やイベント消化に霊力を使い、
そこで☆4武将や突破師範を集めていく方が結果として効率的です。

突破師範の入手については、デイリーダンジョンと遠征でコツコツ溜めるほか、
緊急フィーバーと迎撃戦参加(迎撃の証を突破師範代に交換可能)で
まとまった数を集められると思います。

また、同じ武将を重ねることでレベル限界突破することも可能です。
この点からもドロップ入手可能な武将は有用ですよ。

 

石の使い道については、プレミアム天の購入をベースに、
緊急フィーバー・訓練強化・迎撃戦の霊力回復あたりに優先して使う感じです。

無理にストーリーを進めてコンティニューに石を使うのはもったいないです。

ガチャやアイテムパック購入に石を使う必要性は薄いと思います。
ただ、キャラゲーなので欲しい武将がいる時は遠慮なく使いましょう。
私は課金した石をほぼ全て三好長慶で使い切りました。



クレジットの使い道は訓練(月1回の強化週間に集中投入)とスポンサー投資です。
スポンサーは早期にヤマザキ石油あたりに投資してクレジット収入を増やし、
その後フィットネスルガ(訓練効率up)、オプティクステラ(ゴーグル)、
梅蕾やクレーターラテ等の敏捷upアイテムに投資するといいと思います。

あとは対幽魔電極棒・ボディアーマーを購入して主力に装備。

兵器は長門クリアまで無理に買う必要はありません。
お好みレベルです。



戦闘は、雑魚敵は全体攻撃・ランダムX体攻撃武将に
薬師・戦術家の吉兆マスを使わないバフを重ねて撃破、
その間単体アタッカーは溜め、かつ縦陣を揃えながら進んでいき、
ボス戦時はアタッカーにバフを重ねて撃破する感じです。

wikiを見ればボスが獣か鬼か屍か書いてますので、
属性に合ったアタッカーを連れて行きましょう。

大事なのは中途半端にアタッカーを増やさないことです。
攻撃役を絞り、残りの人は全員バフがけで乗算的に攻撃力を
高めていくのがコツです。




……以上、こんな感じで態勢を整え、時間さえかければ、
たいていの面はクリアできるようになっております。


で、安芸・山城になったら急にボスが強くなりますので、
この辺で「壁武将」「防御バフ」「敵攻撃デバフ」「全体回復」
「連携攻撃付きファウスト連鎖」などを補充すれば何とかなります。

 

 

ストーリーが極めてよくできているゲームですから、
少しでも多くの方にプレイしてもらいたいと思います。


こんな雑情報でも誰かのプレイの役に立ちますように。

 

信長の野望201X「四国の攻略とストーリー」 - 肝胆ブログ

 

 

-----------------------------------------------------------------------------------------------------

 

おまけ 山城の一部ネタバレ(わしの殿)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

f:id:trillion-3934p:20170718230306p:plain

f:id:trillion-3934p:20170718230323p:plain

 

 

大河ドラマ「寿桂尼」……に近かった「おんな城主直虎 28話 死の帳面」

 

 

 

昨夜の大河ドラマ「おんな城主直虎」、寿桂尼回にかんたんしました。
再放送をもう一度見てみたいくらい面白かったです。

 

↓あらすじ

www.nhk.or.jp

 

寿桂尼役の浅丘ルリ子さんインタビュー

www.nhk.or.jp

 

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の28話「死の帳面」は実質的に寿桂尼さんが主役で、
井伊の方々はほとんど出てきません。


寿桂尼さんが自ら甲斐に出向いて武田信玄と折衝、
更には北条家(使者:北条幻庵)の支援を引きだし、
義信室の鈴さんを武田家から取り戻す、
武田家との一旦の和平を勝ち取る、等の外交成果を上げはります。

加えて、上杉家とも寿桂尼さん主導で同盟に向けた交渉を開始。
武田家への牽制を強めます。

更に更に今川氏真の性根を立ち直らせるわ、
今川家中の離反抑止に向けた国衆との個人面談を重ねるわと、
臨終直前の病体で八面六臂の活躍を見せるのです。

 


浅丘ルリ子さんの演技、凄かったですねえ……!

せっかく武田信玄松平健さん)初登場回だったのに、
寿桂尼さんに喰われてしまっていました。

もちろん「寿桂尼でないと止められない」と思わせるだけの
貫禄は充分に出ていましたけれど。




寿桂尼さんの活躍について、ざっくり見どころを紹介します。

 

武田信玄との折衝。


既に信濃や西上野を支配下に置き、「信玄」と名乗ってオラつき盛りの相手に
「久しぶり、晴信」と前名で呼びかける。

孫娘返還を渋る信玄に向かって「お前の父ちゃん、最近信長と仲イイらしいな」
尾張の若造に上手いことやられたら恥ずかしいなあ」と煽る煽る
息子を自害に追いやったばかりの相手に追放した信虎さんの存在をチラつかせて
遠回しに「お前、人としてどうなん」と言っているかのようです。


外交上の援軍として登場した北条幻庵さん(品川徹さん)もよかったですね。
がぜん重厚な歴史ドラマになってきた気がします。
再登場に期待です。

 


今川氏真の教育。


自分無視で外交が進んで拗ねる氏真さんに辛辣な諫言。

「お見苦しや!」
「泣き言を言うた者から負けるのです」

……これはきつい。正しいからこそきつい。

この場では氏真さんが更に拗ねるだけだったのですが、
この後寿桂尼さんの容態が悪化し、良妻早川殿の叱咤もあって、
氏真さんが覚醒し始めるのです。

氏真さんが意識不明の寿桂尼さんのために楽をかき鳴らすシーン、
その音を聞いて寿桂尼さんがかつての夢を見るシーン、
寿桂尼さんが「取り戻したい」と絞り出すシーン、
めちゃくちゃよかったです。

ここ数年の大河ドラマの中で一番感動しました。
僅か三十分ほどの尺で今川家の栄枯盛衰を十二分に表現していたと思います。

 


タイトル「死の帳面」……デスノート


唐突に直虎さんが寿桂尼さんに呼び出されます。

寿桂尼さんは直虎のことを「娘だったらよかったのに」と、
なんだか急に、涙ながらに持ち上げはじめます。

ここで、「なんだ、いつもの女性大河ドラマか……」
「はいはい、英雄は死に往く前に主人公を思い出すんですよね」と
江疲れした視聴者をがっかりさせておいて……。


実は離反しそうな国衆を見定めている、死の人事面談でした。

直虎さんについても「自分と似ているから危ない」と×をつけられています。
粛清待ったなし。

続く。


寿桂尼さんすごいですね。
ぜったい朝比奈さんにも岡部さんにも「そなたは息子同然」とか言ってますよね

 

 


以上、最初から最後まで寿桂尼さん劇場でした。

とても面白かったです。

大河ドラマ寿桂尼」の方がよかったんじゃねーかと思う人も多いと思います。

でも、そうしたら寿桂尼役は浅丘ルリ子さんではなくて若手女優になるだろうし、
氏親も氏輝も義元も若手イケメンになっちゃって雰囲気がだいぶ変わるんだろうなあ。

ベテラン役者中心回は見応えがあっておもしろいけど、
それだけで1年回して若手視聴者取り込むのは難しいんだろうし。
大河ドラマは子役・若手俳優を起用してこそだし。

うーん……。

 


「直虎」、歴史ファンには評判いいですね。

最近の研究を反映したリアルな中小国人の暮らし、外部の大きな力に
成す術なく振り回されている感じ、とてもよくできていると思います。

前述の直虎-寿桂尼会談のように、従来大河ドラマのくっさい演出への
アンチテーゼみたいな表現も多くて、大河ドラマのイメージを変えたいという
スタッフの意気込みも伝わってきます。


こうした努力がSNS等で拡散し、一定の支持は得ていると思うのですが……。


視聴率は振るわない状況であります。

普通の視聴者は歴史上のリアルさ正確さなんて興味ないですしね。
「直虎? 誰やねん」というファーストインプレッションがすべてかもです。

かと言って、よく知られた英雄を題材にして、よく知られたイメージ通りに
演出したら歴史ファンから「最近の研究と違う」って叩かれるんでしょうし。


個人的には、日曜夜の大河ドラマは「ちょっとリアル目なファンタジー」で
よかったんじゃないかと思います。

実際の歴史は飛び抜けた天才がひとりでつくったはずはなくて、
様々な人の動きや思惑が折り重なって、その中で運と才のあった人が
たまたま目立って、というものだとは思うんですけど。

日曜の夜に、経済環境・外交背景・歴史的経緯・あの人この人の思惑、
すべてを踏まえたうえで主人公はこう動いて、運もあって成功して……
なんて複雑シリアスなドラマ、たいていの人は観たくないですよね。

それなら、講談チックに「すごい人がすごいことしたんです!」「すごい!」が
いちばん収まりよいじゃないですか。

平成に入って、一次資料ベースのまっとうな歴史研究が進んだ段階で、
大河ドラマ」は難しい位置に追いやられてしまったんでしょう。
昔ながらの英雄物語は信ぴょう性が薄い、
事実を基にしたリアル物語は小難しい、
これじゃあヒット娯楽ドラマなんてつくれないです。

スタッフの方々のご苦労が偲ばれます。

 

まあ、全体の視聴率がどうだろうと、私はおもしろければ観ます。
当代一流の役者さん方のよい演技を見せていただければ満足感謝なのです。

その点でも、今回の寿桂尼さん回は素晴らしかったです。


いよいよ寿桂尼さんがお亡くなりになる時が来ますが、
素晴らしい死にざまをみせてくださいますように。

寿桂尼さんや小野政次さんの死後も「直虎」がクオリティを
保っていけますように。

 

次回は「女たちの挽歌」だそうです。

白鳩が飛び交う中での二丁火縄銃、待ったなし。

 

 

「武田氏滅亡」平山優さん(角川選書)

 

 

「武田氏滅亡」という大著にかんたんして、ぼろぼろ泣いちゃいました。

 

www.kadokawa.co.jp

 


某本屋さんでプッシュされていたので買ってみました。

約750ページという異常な厚さだったので躊躇もしたのですが……
鞄に入れて運ぶのも電車で読むのも難儀する重さだったのですが……

買って、読んでよかったと心から思っています。

 

帯にはこんなことが書かれています。

稀代の英雄か、暗愚な後継者か――
新たなる勝頼像と大国滅亡の真相に迫る決定版

武田勝頼を主軸に据え、武田家が滅んでいく経緯を厳選史料をベースに
丹念に記していく内容の本になります。

主役は武田勝頼さんですが、織田信長徳川家康上杉景勝北条氏政といった
近隣実力者に加え、信長包囲網や関八州にまつわる人物が数多登場してきます。

 

私の感想としては、真の主役は「動揺する国衆たち」ではないかなと思いました。
恐怖し、右往左往し、皆どうしているかなと辺りをキョロキョロし、
大きな流れができた瞬間に雪崩を打って離反していく姿。
あまりにもリアルで、人間的で、説得力があります。

戦国時代の歴史本ではありますが、同じような調査手法を以てすれば
雪印滅亡」も「タカタ滅亡」も「山一證券滅亡」も描ける気がするのです。

ひとつの巨大組織があっという間に、
当事者も敵対者も想像できなかったほどの速さで滅んでいく描写の迫真。
知れば知るほど「誰か一人の責任」「人間性や精神性が原因」とは言えない事情。


私はむしろ企業経営者などに読んでいただきたいと思いますね。

 

 

以下、いろいろ書きますが長いのでご留意ください。

 

 

 

本書のざっくりした内容

 


ものすごくかいつまんで紹介します。
(素人の頭の整理なので理解を間違っている可能性も高いです)

詳しくは買って読んでください。

 


序章 諏訪勝頼から武田勝頼


よく知られている話ですが、もともと勝頼さんは武田信玄の跡取りでは
ありませんでした。
武田家中が対今川戦略で割れ、信玄嫡男の義信さんがお亡くなりになったので、
急遽跡目として登板してきたのが勝頼さんなのです。

もともとは「諏訪勝頼」として扱われていましたし、家中もそう思っていました。
昔のイエ文化において、一度養子として本家から出ていった子どもは
基本的に二度と本家の子として扱われません。

勝頼さん、のっけから足下が不安定です。

しかも親の信玄さんは、織田信長と戦うことを決意し、徳川家康三方原合戦で
おおいに破って決定的に西方外交を破綻させてからお亡くなりになってしまいました。

勝頼さん、のっけから未来が見えません……。

 


第一章 長篠合戦への道


勝頼さんが武田家当主となりましたが……。

信玄さんの遺言にはこんなことが書いてありました。

 ・自分の死を三年間秘匿せよ
 ・勝頼は嫡男(信勝)が成人したら速やかに家督を譲るように
  (勝頼はあくまでピンチヒッターだからね)
 ・勝頼は武田家当主の証である「旗」等を使っちゃダメよ
 ・あ、諏訪の旗や兜は使ってもいいよ


……むごい。実にむごい。

武田家中の反発を防ぐには仕方ないのですが……。
こういう遺言を残すあたり、信玄さんも武田家中の統制には
よくよく注意を払っていたんでしょうね。


こうして、勝頼さんは相続直後から家内統制に苦慮することになりました。


とは言え勝頼さん、徳川家康の領地をどんどん攻めていきます。
この頃は信長さんが河内で三好康長さんにてこずっていたので
織田の援軍はないやろと思っていたのですが……。

康長さんがあっさり降伏した(情勢を見極めて自分を高く売ったんだと思います)
せいで、信長さんが急遽駆けつけてきます。

世に名高い長篠合戦です。
世に名高い大敗で、武田家自慢のベテラン勢がことごとく討ち取られました。


いきなり大ピンチですが、敗戦後、勝頼さんは上手に家中をまとめ直します。
織田・徳川軍は武田領地に深入りすることはできませんでした。
老臣が減ったことで自分の権力を高めることもできたようです。

 


第二章 織田・徳川の攻勢と武田勝頼


家康さんに遠江、信忠さんに美濃を攻められてじりじり後退していく武田家。

勝頼さんは国境防衛の配置を再編成し、粘り強く対峙していきます。

 


第三章 甲相越三国和睦構想と甲相同盟


足利義昭さんが頑張って「武田・上杉・北条同盟」を実現しようとしますが、
この頃はまだ「上杉謙信」さんがご存命なので交渉が上手くまとまりません。

謙信さんは関東管領職として北条家と死闘を繰り広げてきた方ですから、
上杉-北条ラインの関係改善が難しいのです。
これも武田家にとっては辛いところですね。

まずはということで勝頼さんが北条夫人(氏政の妹)を娶り、
甲相同盟だけは成立しました。

北条家と組めば東方は安全です!

 

 

第四章 御館の乱武田勝頼


謙信さんが突如お亡くなりになり、有名な御館の乱が始まりました。
上杉景勝さんと上杉景虎さんが跡目争いをするやつです。

この経緯が下手な上杉本よりも詳しく書かれていておもしろかったです。
どうも景虎さんは「反景勝派」に担がれてしまったみたいですね。


北条氏政さんは景虎さんの兄貴なので、当然景虎派になります。
介入します。
ただ、介入がどうも中途半端で……。
北関東情勢(主に佐竹義重さん対応)が心配で、景虎支援が後手後手です。


勝頼さんは、甲相同盟があるので景虎派になるのかと思いきや……。
なんと、「景勝・景虎両方に中立」「俺が間に入ったるから和睦せいや」という
スタンスで介入していきます。

これが色んな人(当時の人含む)から「景虎を助けなかったのが武田家滅亡の原因」と
言われてしまう行動なのですけど……。

一時的に景勝・景虎間の和睦が成るものの、結局景虎さんは滅んでしまい……。

 

 

第五章 甲相同盟の決裂と武田勝頼


同盟を結んだばかりですが、武田家と北条家の関係は急速に悪化します。

そりゃそうです。
景虎さんは滅び、ちゃっかり勝頼さんは上野で領地を拡大しているのです。
氏政さんが怒っても仕方ありません。
(じゃあ氏政自身で景虎助けに行けよという突っ込みもありますが)

結局断交と相成り、武田家は上杉景勝佐竹義重と同盟を結び、
北条家は織田家・徳川家と同盟を結びます。


さっそく武田家と北条・徳川連合が戦になったりもします。
面白かったのが、

 勝頼:決戦しよーぜ! かかってこいよ!
 氏政:嫌どす

というやり取りがなされている場面。
北条家は堅陣を組んで出てきませんし、徳川家は勝頼が接近すると退却します。


どうも、この後もそうなのですが、勝頼さん直轄部隊は長篠後であっても
周辺諸国からそうとう恐れられていたようですね。

勝頼さんは決戦ではなく、外交と調略で追い詰められていくのです。

 


第六章 苦悩する武田勝頼


関東圏での武田-北条戦争は武田家優位で進んでいました。

しかし、西方情勢が不安なのは言うを待ちません。
勝頼さんは密かに信長さんとの和睦の道を模索し始めます。

ただ、信長さんサイドは次々と包囲網参加チームを打ち破っており、
いまさら武田家と和睦するメリットなんてなく……。

 


第七章 武田勝頼北条氏政の死闘


いよいよ二つの大きなダメージを喰らいます。


一点目。

上野の沼田城を攻め取ったのですが、攻め取るために国衆へ恩賞を約束し過ぎ、
戦勝後に恩賞不足が発生してしまいました。

もともと増税で評判が悪いところに、ますます国衆の信頼が揺らぎます。

小さな太平記を見ているようです。


二点目。

遠江における武田方の要衝「高天神城」が遂に陥落します。

家康さんの調略・付城戦術もさることながら、
家康さんに指示を出す信長さんの計略が冴えわたっています。

第六章の通り勝頼さんに対しては和睦をチラつかせ、後詰めを牽制。
高天神城からの降伏申し出についてはキッパリ拒否。

籠城勢を全滅させ、勝頼が見捨てたとおおいに喧伝すれば、
武田勢力圏の動揺は計り知れないものになるという冷徹な計算が
なされているのです。

織田家PR戦略の贄となって滅んでいく守将の岡部元信さんたち。
哀し過ぎます。


本題からそれますが、この本では岡部元信さんの「海の武将」属性
紹介されていて興味を引かれました。
岡部元信さんいいですよね……桶狭間でも201Xでも実に尊い

 


第八章 斜陽


勝頼さんは部下の反対を押し切って新府城に本拠を移したりしますが、
とうとう信長さんが本腰を上げて動き始めます。

やばい……やばいよ……。


ちなみに、第七章・第八章では武田家全体が綱渡りの中、真田昌幸さんだけは
実にイキイキと調略したり暗殺したり活躍してはります。
大河ドラマのせいで楽しそうに悪いことをしているイメージがついてしまいました。

 


第九章 武田氏滅亡


この章は涙なしには読めません。

日記や新聞記事のように、日単位でその日にあったことを粛々とまとめていて、
何層にも悲哀を畳みかけてくるのです。


地すべり的に離反していく国衆・一門衆。
巻き込まれて命を落としていく女・子ども・老人。
最後まで奮戦する数少ない忠臣。
勝頼・北条夫人・信勝の最期。


詳述はしませんが、「滅びの美学」と呼ぶにはあまりにも悲しい、
こんなものが美しさであってたまるかという気持ちを抱きます。


印象的なのは、信長さんも氏政さんも、そんなにあっけなく武田家が
傾く訳がない、慎重にことを進めよと現場に指示しているところ。

敵にとっても味方にとっても、武田家の滅亡はあまりにも意外な
スピードだったのでしょう。

浅間山噴火もありましたが、まさに天災のような、人智を超えた
崩壊だったのだろうと思います。

 


第十章 勝者のふるまい
終章 残響


……は、エピローグ部ですので詳しい紹介は省略します。
第九章までを読んだ上での味わいだと思いますので。


本筋に関係のないところでひとつ興味を引かれたのは、織田家の圧迫で
畿内から逃れてきた人が武田家に多く匿われていたというところ。

丹波波多野氏の縁者っぽい人とか、
六角義賢さんの二男っぽい人とか、
美濃国を追われた土岐頼芸さんとか、

色んな方の名前が出てきます。

武田家の武名はそうとうなもので、各地の敗者から頼りにされていたんでしょうね。




その他個人的な感想

 


人の上に立つ人というのは、
とりわけ継承者という立場の人は、
自分の「夢」や「野望」よりも、「周囲の期待」に応えることを
大事にする傾向があると思います。


私は武田勝頼さんは優秀な後継者だったと思いますし、
武田信玄が背負っていた期待」に引き続き応えようとされていたのではないかと
想像しています……。


そのことが顕著に出ているのが外交で、御館の乱での介入の仕方は
名門武田家当主・甲斐国守護として相応しい振舞いを心掛けていたように
映りますし、北条家との和睦・断交の流れなんてまさに信玄スタイルです。

その一方で、外の国にいい格好をするためにも、
自国内では無茶に無茶を重ねるのも信玄スタイルです……。

これは武士や騎士、高い家柄に生まれた者としての誇り高いあり方だと
思いますから、単純に武田家の作法を非難しようとは思えません。

 

 

もう少し粘っていたら、武田氏滅亡がなくても本能寺の変があったのなら、
上杉家のように生き残ることもできたかもしれません。

単純に自身が生き残るためだけなら、
今川氏真さんや山名豊国さんのようなスタイルだってあるのです。


ただ、詰まるところ武田勝頼さんは毛利家・長宗我部家・上杉家と比べても
「手強い」「対応優先度が高い」と思われていたからこそ、
あのタイミングで激しい調略を受け、族滅に遭ったのでしょう……。

勝頼さんは優秀だった、信玄さんみたいだった、
だからこそ中央政権の覇者としては滅ぼさざるを得なかった
ということだと私は解釈しています。


後の秀吉・家康路線がまさにその通りですけど、
中央の覇者としては、東国の……武田家・北条家・上杉家のうち、
2つ程度には絶対に滅んでもらう必要があったんだと思います。

この3つの家は武名が高過ぎる。
地域の求心力になってしまうリスクが高過ぎる。

3つ全部を滅ぼしたらそれはそれで地域の安定が崩れますから、
2つを滅ぼし、1つは弱めて置いておくor国替えを命じる……と、
考えてしまうのは自然なことです。

優秀な人が生き残る人だとは限らない……という自然法則を
思い起こしてしまいます。




この本を読んだ方の中には、武田家配下国衆の離反祭に
眉をひそめる方もいるかもしれません。

武士の風上にも置けねえぞ、と。


想像してください。

ローカルな豆腐屋さんが、地場のスーパーと長年付き合いがあるからって。
スーパーの社長は同級生だからって。
スーパーの社長とは年に1回ゴルフで懇親を深めているからって。
スーパーの社長とはライオンズクラブでも一緒だからって。

イオン・セブンイレブン連合のような圧倒的資本力に、
更に皇室御用達という権威と、政府与党とズブズブという迫力と、
巨大宗教信者が支える購買力とを付け加えたようなメガ企業が進出してきて、
「うちと取引しろ。他の取引先は切れ。そうすれば悪いようにはしない」と
迫られたら、あんた断れますかっちゅう話ですよ。


大きな力は怖い。
怖いと混乱もする、迷いもする、裏切ったり間違ったりもする。

これは人間としてごく当たり前の反応です。
武田家が特別なのではありません。


一旦裏切ったり見捨てたりした後に、死んだ方々の遺骸や遺品を弔い、
悔やんだり泣いたり悼んだりするのも、同じ国衆たちです。

のちに徳川家が武田家を顕彰してくれたときに、
嬉しくて馳せ参じてきたのも同じ国衆たちです。


むしろ、武田家は一定の結束があったからこそ、
織田信長という超巨大プレッシャーに対してもしばらくは耐えられた。

耐えて、耐えて、耐えて……ついに閾値を超えてしまったとき、
雪崩のような、崩落のような、超スピードの離反現象が起きた。

弱っちい組織なら、早くからぽろぽろぽろぽろ崩れてたはず……
頑丈だったからこそ、壊れるときは一気に壊れる……。

そんな解釈もできるかもしれません。

 



最後に

 


以上、単なる歴史研究書というよりは、壮大な人間ドラマに出会える本、
後世に伝えるべき含蓄に富んだ本だと思います。

繰り返しですが、歴史ファンや武田家ファンだけでなく、
リーダー・マネジメント層のような見識を深めるべき方々にもおすすめです。

 

一個だけ残念だったのは、年表を巻末付録につけてほしかったなあということです。

良著なので、この本をベースに研究する方も創作する方もいると思うのです。
年表がついているだけで、ありがたみが数割増しになるに違いありません。

贅沢な要望を言っていることは自覚しています。



著者の平山優さんは、勝頼が滅んだ地「田野」にゆかりがあるそうです。

ご自身のルーツがある土地の歴史を調べ、公平に周辺地の歴史も調べ、
細部解析と大きな流れの両方から成果を残していく……。

素晴らしいですね。


こういう立派な研究者が地域社会から正当に評価されますように。
こういう立派な研究者が三好家周辺にも増えていってくださいますように。

 

 

装甲騎兵ボトムズ「ペールゼン・ファイルズ OVA版」高橋良輔監督(サンライズ)

 

ボトムズOVA「ペールゼン・ファイルズ」の殺伐ぶりとATギミックに
かんたんしました。

 

ボトムズWeb|ペールゼン・ファイルズ

 


テレビ版のボトムズに惹かれてシリーズを観始めましたが、
けっこう巻数が多いものですね。

こちらのペールゼン・ファイルズ(OVA)は全6巻・12話。

本編シリーズは全部見るつもりですが、外伝までは手が回らなさそうです。

 

 

感想としては、戦闘シーンは見応えがあってめっぽうおもしろい!
一方で人物描写・ドラマはそれほどでもない、というところです。


以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘シーンの魅力

 

 

今作では、ATがすべて3DのCGで描かれています。


このことによって見た目は薄そう・軽そうになっているのですが、
思った以上にボトムズの世界観に合っているんですよね。

カンカンカン(数発被弾)⇒爆発(死亡)というATっぽい運命に
絶妙にマッチしています。


加えて、CGにしたことでATの数が異常に多くなった、
様々なギミックで魅せられるようになった、というメリットを感じました。


ボトムズの世界はひたすらに人命が軽いのです。
たぶん一組の夫婦から10人以上の子どもが生まれてるんじゃないでしょうか。

アホみたいな数のAT(人命)を用意して、「誰か一人成功しねえかな」みたいな
無謀作戦が次々に繰り出されます。
以前のシリーズからそういう風潮はありましたが、今作では特に、意識的に
この傾向を補強していますね。


例えばラストの作戦は、「1億2千万名の兵士を投入」という
気が触れているような内容でした……。

こうした馬鹿馬鹿しい設定が、今回はドラマ面での鍵でもありましたので。

ストーリーの評価はともかく、ストーリーとAT・戦闘描写のマッチっぷりは
すばらしいと思いました。



CGを活用した戦闘ギミック、よかったですねえ……。


全話通じてみても、1話の渡河作戦がいちばんおもしろかったです。

大量のATが敵陣地を攻めるために大河を渡るのですが。


味方の飛行船が大量の杭を落とす。
うっかり当たって味方の一部が死ぬ。
 ↓
向こう岸に刺さった杭にワイヤーを巻きつけて渡河に励む。
敵の反撃で味方がたくさん死ぬ。
 ↓
なんとか向こう岸に辿り着いたら、持ち運び可能坂道用カタパルトみたいな
ぐるぐる巻きのアイテムを坂に据えて、懸命に斜面を登る。
敵の反撃で味方がほとんど死ぬ。
 ↓
キリコさんだけが生き残る。


という一連の流れ、それぞれでCGギミックを堪能できるのです。

こんなに惚れ惚れする渡河作戦映像を観たのは初めてだ。

 

以降の話でもポリマーリンゲルの交換とかポリマーリンゲルのブレンドとか
ポリマーリンゲルの爆発とか、燃料まわりの描写が気に入りました。

雪上戦闘、白いATが入り乱れるシーンは一種のアート味がありましたし、
前述のラスト3話でのアホみたいな人数を投入した作戦はお祭り感ありましたし、
どれもこれもようございましたよ。


戦闘シーンではありませんが、全体的に米軍映画みたいな雰囲気があって
(エンディングテーマとか特に)その辺も楽しかったですね。

 

とにかく、バトル・AT描写が大変優れたOVAでございました。

 

 


人物・ストーリー

 


時間軸としては「野望のルーツ」と「テレビシリーズ」の間。

「異能生存体」「ペールゼン閣下」を軸とした内容になります。

 

ペールゼン閣下の研究成果を横取りしたい情報省の偉い人が、
キリコさんと、キリコさん同様に「死なないっぽい人」4名、
計5名で「死にません部隊」を組成。

 ↓
無茶な作戦に次々と送り出して本当に死なないか実験してみよう。
 ↓
誰も死なへんやん! こらぁ本物やで!
 ↓
せっかくやからアホみたいな規模の作戦立案して注目集めたろ!
こいつらおるから成功するやろ!
 ↓
作戦大失敗でした……。
キリコさん以外の死なないっぽかった人たちも全員死にました……。
(本物の異能生存体はキリコさんだけでした)
 ↓
それどころか情報省の偉い人は初めからペールゼンさんの
掌の上で踊っていたのです……。


という特に誰も幸せになっていないストーリーです。
この辺は実にボトムズっぽい。

最後の作戦大失敗(目標惑星大爆発)は、これもまたキリコさんの異能力なのか、
それともワイズマンの意志が働いたのか、意見が分かれそうですね。

 

 

キャラクターの魅力面では……

死なない系仲間の皆様とか、
カン・ユーさんの類友であるワップ少尉とか、
ロッチナさん(改名前)の最終話でのイキイキした表情とか、

魅力ある人物はけっこう出てくるんですけど。


肝心のキリコさんが、全編通じて「受け身」なんですよね。

そりゃそうなんです。
フィアナさんにもまだ出会っていないし、
バニラ・ゴウト・ココナというお友達も登場していないし。

キリコさん本人に生きる目的とか、やりたいことがないんです。


言われた通りに淡々とミッションを遂行してくるのみ。

キリコさん(テレビシリーズ以前)の設定には合っているんですが、
合っているからこそ人間味や魅力が見えてこないという皮肉。

12話も使う長い物語だからこそ、この流され感が目立っちゃいます。


唯一「おっ」と思ったのは、11話で仲間に異能生存体について語るシーン。

キリコさんが自分から異能について語るとは。

ひょっとしたら、この頃には「こいつらも本当に異能生存体ちゃうか」と
信じたくなってたのかもしれません。

「俺はひとりじゃない」「同種の仲間がいる」という思いを抱きたかった、
結果としてそれは幻想だったけど……
ちょっとだけキリコさんの願いが透けていたように思います。


とは言え、作品全体ではキリコさんの戦闘能力&異能生存力以外の
魅力はあまり出ていませんでした。
イプシロンさんのようなキリコさんを外側から掘り下げてくれる
ライバルも出てこないですし。

私はフィアナさんが絡んだ瞬間に戦闘力が300%くらい跳ね上がる
キリコさんの意志の力が好きなので、その辺は物足りなかったです。

 

 

 

まとめ

 


ボトムズの殺伐とした世界観、AT挙動、あるいは異能生存体という設定に
魅力を感じる方にとっては最高傑作、キリコさんの人間味ある物語に魅力を
感じる方にとってはもうひとつ、という評価になるかと思います。


いまにして思えば、テレビ版クメン編やOVAラストレッドショルダーなんかは
上記魅力の両方が高い次元で融合していたんですね。



とりあえず残すOVAは「孤影再び」と「幻影篇」です。

ラストレッドショルダーの高い壁を越えてくださいますように。

 

 

「装甲騎兵ボトムズ(TV)」高橋良輔監督(日本サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「ザ・ラストレッドショルダー」高橋良輔監督(日本サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「ビッグバトル」高橋良輔監督(日本サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「レッドショルダードキュメント 野望のルーツ」高橋良輔監督(サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「赫奕たる異端」高橋良輔総監督(サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「孤影再び OVA版」高橋良輔監督(サンライズ) - 肝胆ブログ

装甲騎兵ボトムズ「幻影篇」高橋良輔監督(サンライズ) - 肝胆ブログ

 

 

 

 

大阪府岸和田市「匠屋の水なす漬」

 

今年の水なす漬もおいしくてかんたんしました。

毎年、友達一押しの岸和田市岡山町「匠屋」さんの水なす漬
送っていただいています。

↓タウンページ情報。
https://itp.ne.jp/shop/KN2704082100000596/

 


今年の水なすは特に美味しかったので調べてみたのですが、
なんとネット上にまったく情報がない……!

完全に地元民相手に特化したお店なのかもしれません。

写メをアップしようかと思ったのですけど、
せっかくなので隠しておくことにします(笑)。



おいしいんですよ、ここの水なす。

ヌカと一緒にパッケージされていて、水洗いしてから
手で割いて召し上がれという感じなのですが。


よい水なすを使っているのか、形はぷっくり丸々しく
味はじゅわっと瑞々しく。

紫色の美しい表面、ほんのり黄・緑の和やか内面。

疲れがとれる、食欲が湧く、ごはんにも酒にも合う。
旬を味わった喜びに食卓が笑顔になる。


お店の案内には

お好みで、しょうがやゴマをつけ、醤油をかけてお召し上がりいただくのも格別です。

と静かな自信がみなぎるコメント。


そう、しょうが醤油がいいんですよ。
実にいいんですよ。


更に更に、京都吉兆風に水なすスライスの上に辛子をちょいと乗せ、
紫と黄色ひと雫の色彩を楽しんだところに醤油をちょいつけすれば。

もう最っ高です。

うっとうしい蒸し熱さが吹っ飛んで、夏の夜もいいよねっていう気になります。

 

 

岸和田界隈にはおいしい水なす屋さんがたくさんありますが、
私が知っている中ではこのお店のものが一番口に合います。

ありがとう友達。

近くには行基さんや太平記や三好実休さんで有名な久米田寺もございますね。
岸和田はヤカライメージの強い土地ですが、実際はけっこう特色ある
歴史文化があるんですよ。

自分でも久しぶりに足を伸ばしてみようかな。

 

でも、その前にもう一回送ってもらおう。

そして、来年の水なすも上出来でありますように。

 

 

大阪府岸和田市の「三好実休戦没地」「貝吹山古墳」「久米田寺」「久米田池」 - 肝胆ブログ

 

「メジロの鳴き合わせ会が鳥獣保護法違反の疑いで書類送検」NHKニュースより

 

 

メジロの鳴き合わせ会が摘発・書類送検されていてかんたんしました。

 

www3.nhk.or.jp

 

メジロというかわいい野鳥はその辺をウロウロしていますが、
基本的に飼育NGです。

保護だとか海外産だとか一部の例外を除いて、
飼うのは鳥獣保護法違法ですからお気を付けください。

 

 

こちらのニュース、メジロの「鳴き合わせ」……どの声が
いちばん美しいかを鑑賞する会がガサ入れをくらって
書類送検されちゃったという内容です。


捕まったのは59歳から80歳までの高齢者気味な愛好家グループ12名。
全員が容疑を認めているとのこと。


メジロ大阪府内の山林で鳥もちや籠をつかって捕獲していたそうです。
昭和の頃はカスミ網猟とかヤクザのシノギというイメージがありましたが、
自力で獲ってはったんですね。
自力で獲っててもダメなもんはダメですけどね。

 


何が驚いたって、いまでも「鳴き合わせ会」なんて風流な文人趣味を
続けている集団がいたことです。

 

野鳥の飼育といえば、昭和の文鳥ブームあたりを最後に絶えて久しい
イメージがあります。
鳥山明さんもDr.スランプ文鳥飼育の魅力を熱弁していましたね。


現代では下火になっておりますが、実は歴史の深い趣味ジャンルですから
戦前や江戸時代の文献にはしばしば野鳥飼育が登場いたします。

例えば谷崎潤一郎さんの「春琴抄」ではツンツンヒロインの春琴さんが
鶯や雲雀の声を賞玩しております。

幕末を舞台にした「ブシメシ!(酒井伴四郎日記)」でも偉い人への
手土産に鶯を捕まえたりしていました。


ラジオもCDもyoutubeもない時代、鳥を飼育して朝な夕なの鳴き声に
心を慰められる人はずいぶん多かったのでしょう。


 

 

素人が鳥の鳴き声を学ぶには、サントリーさんのサイトが
とてもよいと思います。

日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動


メジロはこちら。
お馴染みの方も多いと思います。

メジロ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

 

「これなんの声?」と質問される鳥ナンバーワンのキジバトさん。
べーべぼーぽぽー。

キジバト|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動


ちなみに私はシジュウカラが好きです。

シジュウカラ|日本の鳥百科|サントリーの愛鳥活動

 

 


ともあれ鳴き合わせとは。

鶯にしろメジロにしろ、よい声で鳴く鳥には何百万円という値がついたり
よい声の鳥同士で掛け合わせてブリーディングに励んだりと
そうとうディープな世界です。


お爺ちゃんたち、若い頃に流行していた野鳥趣味をやめられずに
ついつい続けちゃったんかなあ。

数十年前はこういう保護法もなかったようですから、
オールドファンは余計に諦められないのかもです。

 

鳴き合わせ会では米やラーメンなど日用品を持ち寄り、優勝者などの景品にしていたと説明しているということです。


……供述通りなら、金満道楽という感じじゃなさそうですね。
供述をそのまま信じる訳にもいきませんけどね。

 

 

警察サイドも、ガサ入れした5月から今日まで押収した170羽のメジロ
「こいつは国産(アウト)か……海外産(セーフ)か……うーむ……」と
1羽1羽目利きしてはったんでしょうから、労の多い捜査だったことと思います。

お疲れ様でした。

 

なお、鳥獣保護法に違反した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。

昔はどうだったとかあるにしても、やはり法律を守ってこその風流であります。

 

 

それにしても……鳴き合わせ会かあ。

いっかい見学してみたいものです。
合法な鳴き声鑑賞会がいつか開催されますように。