肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「三菱東京UFJ銀、留学基金の外貨運用 大学に提案開始」日刊工業新聞

 

 

BTMUが大学に外貨建の留学基金積立・運用を提案しているという
ニュースにかんたんしました。

 

www.nikkan.co.jp

 

 

いい着眼点ですね。

言われてみれば、もっと早くからこんな取組みがされてても不思議ではないのに。
ありそうなサービスでもなかなか思いつかないものだと再認識させていただきました。



 ※円建で留学奨学金基金を1億円貯めていたとします。

  1ドル100円なら100万ドルになりますが、
  1ドル120円なら83万ドルに目減りしてしまいます。

  留学生一人を送り出すのに仮に1万ドル必要だとしたら、
  1ドル100円なら100人送り出せますが、
  1ドル120円なら83人しか送り出せません。

  円建の積立てではこのような不安定さが付きまといます。


  だったら初めから外貨建で基金を運用したらいいんじゃないすかという
  発想がこのニュースです。

  定期的に円を外貨に換えていけば投資も安定しますし、
  外貨建の方が運用利回りもいいですしね。   
  



既に関西では提案を採用した大学も出てきているようです。

通じる保護者さんには通じるでしょうから、
上手くPRすれば学生集めにも繋がることでしょう。


この取組み、買い手によし。

 


留学をきっかけに外貨口座を開いたり外貨送金機会が増えたりすれば
BTMUもしっかり手数料稼ぎができるでしょうし。

奨学金基金を外貨で運用すればそっちでも手数料を確保できるでしょうし。
リーマンショック時に問題になりましたが、大学ってけっこうな額の資金を
運用している大口資産家なんですよ。


この取組み、売り手によし。

 

 

現状、日本の海外留学生の数は世界22位、受け入れでも7位と後れを取っている。

福本秀和副頭取は「日本の企業や経済にとってグローバル人材の育成、確保は重要な課題。留学生制度の発展に寄与したい」と語った。

 

仰る通り、別に学生全員が留学する必要もありませんけど、
一定数のグローバルセンスを有する学生は不可欠です。

為替変動に左右されず安定した数の学生を海外に送り出せたら
良質な人材基盤が蓄積されていきますよね。


この取組み、世間によし。

 

 

まさに三方によしだと思います。

銀行の商売が苦しい時代ですから、立派な取り組みをしている時くらいは
惜しみない称賛を送って差し上げたいものであります。

(当件、あんまり話題になってませんけど)




上手く普及すれば……

奨学金サイドだけではなくて、意識の高い親御さんへのリーテール提案にも
繋がっていきそうですね。


今後、早くから我が子を留学させるビジョンを持つ親は増えていくでしょう。

それこそ幼稚園・保育園段階の時点で目指せアイビーリーグ的な。


そんな方々やそんな方々の親(祖父母)に、外貨で学資積立てしましょうよと。

これから日本は低成長時代、円建の貯蓄・学資保険だけやったら
二十年後には為替負けして思ったような国に送り出せないかもしれませんぜと。

まず外貨口座を開くでしょ、ああ運用は米国債と豪国債とこの投信の組み合わせで
いきましょう、子どもが大きくなったら感謝されますよ慧眼を尊敬されますよと。


高学歴だけど資産ストックの薄い、都市部エリート層にウケそうじゃないすか(笑)。

 

 

親から子どもへの贈与・相続財産については、伝統的に貯金・保険・株・不動産が
主流でしたね。


全部円ベースの。


ドメスティックに暮らしていく分にはまあいいかもしれませんが、
日本が低成長で海外が高成長でずっと推移していったら、
これら財産は実質的には目減りしていることになります。

留学するかどうか抜きにしても、これからは外貨建(できれば複数通貨)の
資産を遺してあげる……というスタンスが必要かもしれませんよ。



お年玉あげるでしょ。

取り上げるでしょ。

お母さんが貯金しといてあげるからって言うでしょ。

そこで半分を円で、半分を米ドルで積立て・運用ですよ。

二十歳の誕生日にそれを渡すんですよ。

留学するなり海外でたこ焼き屋やろうとするなり考えてたお子様は
感謝感激雨あられですよ。

うちのママすげぇ! ドルコスト平均法を使いこなしてらぁ! てなりますよ。



妄想はどこまでも広がりますね。

ひょっとしたら外貨ではなくビットコインで積み立てた方がよかったりして。

 

 

こうしたインフラ整備も一助となって、立派な若い衆が巣立ったり
帰ってきたりしてくださいますように。

 

 

「まなざしの長さをはかって」カルロ・マッツァクラティ監督

 

イタリア映画「まなざしの長さをはかって※」の主演女優、
ヴァレンティーナ・ロドヴィーニさんの美しさにかんたんしました。

 

 ※イタリア映画で原題は「LA GIUSTA DISTANZA」。
  直訳したら「正しい距離感」とか「適切な距離感」でしょうか。



youtubeで検索したらオフィシャルトレーラーが出てきました。

www.youtube.com

 

 

 

2時間弱の映画で、イタリアはポー河周辺の鄙びた村を舞台にした
青春映画のような恋愛映画のようなサスペンス映画のような内容になります。



以下、ネタバレを含みます……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


ざっくりとしたあらすじを最初に申しますと。



ポー河を空撮する素晴らしい眺めのカットから始まります。

この映画、最初から最後まで景色が素晴らしい。
オープニングの風景だけでレンタル代のもとが取れるくらい。

 

臨時教師としてマーラさん(ヴァレンティーナ・ロドヴィーニさん)が
村に赴任して参りました。

大変な美女ですから、田舎の村にとっては刺激が強過ぎます。
バスから降りて道を練り歩くだけで村人みんなが釘付け。

匂い立つような美女というのは彼女のような人のことを言うのでしょう。

 

主人公のひとりジョバンニくん(記者志望)も
主人公のひとりハッサンさん(自動車工)も
村人たちはさっそく夢中になってストーカー化します。

マーラさんのお家を覗いたりメールに不正侵入したり。

こええよ田舎町。

 

マーラさんは都会の人生経験豊富な美女ですから、
田舎暮らしは退屈です。

ですので、ストーカーのハッサンさんと付き合うことにしました。

マジかよ。

 

マーラさんは新鮮な刺激を求める美女ですから、
今度はブラジル勤めの話を受けて村を離れることになりました。

ハッサンさんと別れ話をせざるを得ません。



     (ここまでで1時間20分)


……翌朝、マーラさんの遺体が発見されました。


えっ、これそういう映画?



後半30分はジョバンニくんによるサスペンスものになります。

無実の罪でハッサンさんが投獄されたり自殺しはったりしましたので、
ジャーナリスト志望のジョバンニくんが真犯人を追跡します。

 

そして……

 

無事に真犯人(序盤から登場しているアイツです)は捕まり、
ジョバンニくんは大手新聞社へ就職することが決まって
村から旅立ちました。


立派になったねジョバンニくん(元ストーカー)。



めでたしめでたし。

 

 

……支離滅裂ですが、実際この通りのストーリーなので仕方ありません。


TSUTAYAでは「ラブストーリー」の棚にあったのですけど、
実際はラブストーリーとその他いろいろをチャンポンにして
水で1/5に薄めたようなストーリーです。


「まなざしの長さ」「適切な距離感」という妙に洒落たタイトルから
深い何か、玄人のおしゃれ味を得られそうな雰囲気ながら……


たぶん「単に脚本でしくじった映画」なんだと思います。


都会・田舎のギャップとか移民問題とかジャーナリズムのあり方とか
一見深そうな因子はあちこちに散らばっていますけど、
散りばめただけで設計や構築は未着手なイメージ。

無理して「深い!」という必要はないでしょう。




ですが。

この映画は値打ちものです。


主演女優ヴァレンティーナ・ロドヴィーニさんを始めとした
役者陣の素晴らしい演技っぷり。

それらとイタリアの美しい風趣風景をズパズパ収めた熟練のカメラワーク。


この2点だけで充分にお釣りが出ます。

 



マーラさんが本当によかった。


最序盤はちっとも面白くないのですが、彼女が出てきてからの
画面の華やぎっぷりが半端ない。

ネット接続を村人に頼んで家の中をうろうろしているだけで
異常にキュートでエロい。


エロい。

 

下心丸出しのおっさんを上手に笑顔であしらう所作がしなやかにエロい。


ストーカー男に「コーヒー飲んでく?」と誘いを入れる仕草が凄い。
これまでの男性キャリアを存分に察知させるほどエロい。


ストーカー男(チュニジア人)の家にクスクスをつくりにいって、
現地の花嫁衣裳コスプレをする愛嬌がめちゃくちゃかわいくてエロい。

そのまま初セックスに雪崩れ込んだ際のディープキスがまたたいそうエロい。


なんやかんやで痴話喧嘩してからの仲直りセックスがストレートにエロい。
初セックス時にヌードを温存しておいて、2回目の濡れ場では乳首まで
惜しげもなく見せてくるのが天晴れエロい。

 

 

ここまでセクシーかつ快活な美しさを丹念に拝ませていただくと、
視聴者にとってもマーラさんがすこぶる尊い存在になって参ります。

 


そのマーラさんが殺されて河に浮かぶ


これは心情的に許容できるものではありません。
何としても真犯人に刑場の泥を舐めさせねばという気持ちになります。



サスペンスなストーリーとしてはまったく見るべきものはないのですが、
マーラさん尊さに真犯人探しにはついつい身を入れて観てしまうのです。

 

まあ、真犯人に殺された経緯も、彼氏と別れた後に他の口説いてきた男を
家に上げてワインまで飲ませて……というものだったんですが(笑)。

マーラさん、恋と色に奔放過ぎましたね。

 

 


マーラさん(ヴァレンティーナ・ロドヴィーニさん)の輝きが群を抜いておりますが、
他の役者陣も皆さん好演でしたよ。

雑貨屋の憎めないおっさんとか胡散臭い先輩ジャーナリストとか
ジョバンニくんの人間臭いおばさんとか。

 

個人的に一番気に入ったのは、ハッサンさんの同僚のおっさん。

マーラさんがハッサンさんを訪ねてきたらさりげなく席を外すし、
ジョバンニくんが村を出ていくときには一人だけ見送りに来てくれるし。

「適切な距離感」を一番体現していた登場人物は
この脇役のおっさんだと思います。

マーラさんはこのおっさんと恋に落ちればよかったんじゃないか。
経験豊富でも男を見る目が育っているたあ限らないというやつか。

 

 


ストーリーは雑の一言ですけど、役者陣と風景とカメラワークは最高の作品。
なによりヴァレンティーナ・ロドヴィーニさんが眼福そのもの。

なかなかおもしろいイタリア映画でした。
ミニシアターとかでレイト上映するなら1-2回は行ってしまいそうです。

ひょっとしたらストーリーが分からない前提で原語版を観た方がいいのかも。

 

 


どなた様もストーカー被害や色情狂被害に遭いませんように。

 

 

 

テニスの王子様「学園祭の王子様(PS2) 亜久津仁・黒羽春風」KONAMI

 

テニプリの恋愛ゲーム「学園祭の王子様」にかんたんしてしまいました……!

 

テニスの王子様 -学園祭の王子様-

 

 

 

諸事情あってテニプリの布教を受け続けております。

 ⇒「テニプリ布教集会」に参加してみた結果 - 肝胆ブログ

 


このゲーム……通称「学プリ」も友達に借りてプレイさせていただきました。


内容を平たく言えばときめきメモリアルガールズサイドのテニプリ版」です。
あの頃のコナミさんの卓越した恋愛ゲームノウハウが詰め込まれております。


攻略対象キャラは34人+隠しキャラの幸村さん(立海全クリアで登場)。

この手のゲームとしてはけっこうなボリュームです。
もちろんフルボイスで、各キャラ数枚のCGあり。

んんーっ、エクスタシー!
(残念ながら比嘉中四天宝寺中は登場いたしません)

 


はじめに友達のプレイを見せていただいたのですが、
攻略難易度は極めて低いゲームです。

ゲーム慣れしていないプレイヤーでも充分に浸れます。



ときメモと違い、相手は所詮中学生なのです。

落とすまでに3年もかける必要はありません。
2週間で充分です。

毎日顔を合わせて気のありそうなことを言っておけば
どいつもこいつもデレデレしてきよります。




しかもプレイヤーの分身たる主人公の女の子は超猛者です。

言うなれば「童貞を殺す少女」です。

 


パラメータ育成要素なんてありません。

初見で「かわいい」と皆からちやほやされるルックス。
ところどころでドジっ子を出しつつ一瞬で挽回できる行動力と発想力。
天然のように見せかけて男の懐に飛び込んでいくあざとさ。


プレイヤーは「誰と話すか」「何の話題から入るか」を選ぶだけ。

あとは主人公の女の子が勝手に籠絡していってくださります。

この主人公にかかれば、あの皇帝さんですら「真田チョロ一郎」と
化してしまうんですよ。

実時間で言うとわずか1時間程度で各キャラをベタボレさせていくその勇姿、
世紀末覇者ラオウさんの歩みが如しです。

 

 

 

コントローラーを渡されましたので、
とりあえず無没識で話題になっている阿久津さんにちょっかいかけてみました。

エイトセンシズに目覚めるとはますます聖闘士星矢に近づいてますねこの漫画。

 

 


……1時間後。


チョロかった!

あの阿久津さんですらチョロかったですよ!

 

 

太くて真っ直ぐ派の阿久津さん。

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情婦(イロ)になれと迫る東映ヤクザ風の阿久津さん。

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モンブランの栗の産地を当てられる阿久津さん。

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楽勝でした。

コツは「原作で仲のよいキャラっぽくふるまう」ことのようです。


阿久津さんの場合、太一くんのように接していけばOK。

「運営委員だから」「待ってます」程度に、控えめだけどしつこい感じに
選択肢を選んでいけば好感度がいい感じに上がっていきましたよ。

 

 

 

 

続けてプレイしたのは黒羽さん……通称バネさん

よく攻略対象キャラに入れてくれたものです
四天宝寺等の登場でますます目立たなくなっている六角中
再び輝く日はやってくるのでしょうか。

 

 

この方も楽勝でした。

相方のダビデさんっぽく、しょうもないダジャレを言っておけば
めきめき好感度が昂ぶっていきます

無敵の主人公が「熱でもあるんですか?」と額に手を当てる頃には
完落ちされております。

 


ただ、この方は他のキャラ以上にこちらをときめかせてくれました。

 

 

デートに誘われ、行ってみた先は海。

 

 

海。

 

 

 

「磯遊びしよう!」

 

 

 

「磯遊び」

 

 

 

?????

 

 


「ほれ、やどかり」

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「やどかり!!!」

 

 

 

……~~~!! ///

 

 

 


胸がドゥクゥンとしてしまいました……!

 

いい。いいよ。


それでこそ中学生。

これこそが六角中の青春。

穢れた大人がプレイしてごめんね。

 

 

 

 

 

以上。

 

さくさくテンポのあまあま空間、
すぐれた乙女ゲームだと思いました。

もう10年も前のゲームですけど、
テニプリ好きなら一度は触れてみるべき秀作だと思います。


そろそろコナミが恋愛ゲーム市場に戻ってきてくださいますように。

スマホの恋愛ゲーム、とりわけ乙女ゲームの盛り上がりを思えば、
いまこそコナミが……
再び喫茶ALUCARDでバイトしたい人も多いはずだ……!

 

 

 

「桶狭間合戦時に織田信長と六角義賢が同盟していた説」読売新聞より

 

 

全国紙で六角-織田同盟説が取り上げられていてかんたんしました。

 

www.yomiuri.co.jp

 

今回初公開されたのが「桶狭間合戦討死者書上」という文書だ。江戸時代に書かれたものとみられ、今川軍はこの戦いで、今年のNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の井伊直虎の父、井伊直盛ら総勢2,753人が戦死したと記載されている。一方で、織田軍の戦死者も990人余りとしている。

「興味深いのは、織田軍の戦死者のうち272人が近江国滋賀県)の大名・六角氏からの援軍だったと書かれていることです」と、展覧会を担当する原史彦・学芸部長代理は話す。

 


江戸時代(1603年~)の記録をもとに桶狭間合戦(1560年)の真実を
語っていることになる訳ですが史料の検証って済んでるんですかね。

現代人が「太平洋戦争の記録つくっといたで!」というのとあんまり
変わらない気がいたしますけど……。


インパクトが強い内容ですから、「間違いのない事実」と受け止める人が
続出しちゃうかもしれません。

歴史に限らず、学問関係のニュースって難しいです。
新説が報道されること自体は本来何の問題もないはずなのに、
「新説=検証済の新事実」と解釈しちゃう受け手側のリテラシー問題がしばしば。

それで新説が「残念ながら間違っていました」って真摯に発表したら、
「騙しやがってクソが!」と激昂する人までいるんですよね。

科学文明はいまだ浸透途上であります。

 

 

'19.7.29追記 ↓この本ではやはり「偽史」扱いされていますね。

「六角定頼 感想」村井祐樹さん(ミネルヴァ書房) - 肝胆ブログ

 

 


そんな微妙な話はさておき。


この記録が1560年当時の史料を書き写したりしたもので信ぴょう性が高いのか、
江戸時代の高度な六角マニアがクリエイトしたものかは分かりません。

分かりませんが、事実だったらおもしろいので事実だった場合の事情や背景を
つれづれ妄想したいと思います。


以下の内容は素人の思いつき、上品に言っても仮説でございます。
しかも三好家等畿内戦国史好きの意見であることを割り引いてご覧くださいね。

 

 


桶狭間の戦いが起こった1560年前後は、戦国時代の流れを変える出来事が
続出したタイミングでございます。

六角家と織田家に関連することだけ取り上げても……


1558年

 六角義賢の仲介で足利義輝三好長慶が和睦。
 畿内の平和ムードが高まる。

 六角義賢が従属させている浅井久政の子に賢政と名乗らせる。

 

1559年

 六角義賢家督を義治に譲る。

 織田信長尾張を統一。

 足利義輝の帰洛を受け、織田家・斎藤家・長尾家が続々と上洛。
 斎藤義龍は「一色」を名乗ることを許され、家格が向上。 

 三好家臣松永久秀が大和に侵入。

 

1560年

 桶狭間の戦い(六角家が援軍を派兵していた?)。

 野良田の戦い六角義賢が浅井賢政(長政)に敗れる。

 三好長慶が河内を制圧し、畠山高政紀伊に逃れる。

 

1561年

 三好長慶細川晴元六角義賢の義兄弟)を幽閉。

 畠山高政六角義賢が三好討伐の軍を挙げる。

 一色(斎藤)義龍が死亡。

 

1562年

 久米田の戦いで畠山高政三好実休を討ち取る。

 六角義賢が京を制圧。

 三好長慶教興寺の戦い畠山高政を破り、六角義賢は京から撤退。

 織田信長と松平元康が清州同盟を結ぶ。

 

1563年

 細川晴元が死亡。

 六角家で観音寺騒動が勃発。

 三好義興が死亡(三好長慶も急速に衰え翌年死亡)。

 北畠晴具が死亡。

 

という感じでイベントが起こっております。




1560年前後の周辺勢力の雰囲気としては、


 ・織田信長尾張を統一し、今川家を破り、急速に存在感を増している

 ・六角義賢は地域の実力者として周辺秩序の回復に努めている

 ・浅井長政(賢政)は従属していた六角家からの独立を図っている

 ・斎藤家は一色家に姓を改め家格を向上させるも、義龍が急死し、
  龍興への代替わりで家中が揺れている

 ・北畠具教は父を失うも堅調に勢力を充実させている

 ・三好家は五畿内を制覇しようとしているが不幸ラッシュも始まっている

 ・足利義輝三好長慶のもとで傀儡となっている

 ・細川晴元三好長慶のもとで幽閉されている

 ・畠山高政は河内奪還に向け六角義賢の力を欲しがっている


といったところでしょうか。

 

織田信長さんについては有名なので説明を端折りますが、
六角義賢さんについてかんたんに行動パターンを補足いたしますと。

この方、「極めて模範的な守護様」であります


足利義輝細川晴元といった幕府の偉い人を積極的に支援。

美濃で土岐様が追い出されるby道三と見るや下剋上けしからんと圧迫。

畿内で三好家が勢力を増してくると下剋上けしからんと圧迫。

領地で浅井家などが独立しようとするとそんなんけしからんと弾圧。


六角家は室町時代を通してけっこうロックな暴れん坊だったのですが、
六角定頼・義賢期あたりは極めて親幕府、忠実で有能な守護として
地域秩序の安定に奔走してはった訳です。



↓イメージ図

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観音寺騒動後の六角家は三好三人衆に味方しちゃって信長さんにぶっ飛ばされたり
ゲリラ戦法を続けるもパッとしなかったりで精彩を欠くのですけど、
1560年当時の六角義賢様はグレートでマーベラスな守護様だったんですよ。

「信長上洛時の雑魚敵」としての六角家は、三好家や浅井家にしてやられて
家中でも紛争が起こってボロボロになっちゃった後の姿なんです。



そういう訳で、桶狭間合戦に六角家の援軍があったとしたら
織田家にとっては勇気100倍、今川家にとってはマジかようぜーだったことと
思われます。

 

しかもニュースの中、織田軍戦死者が990人、うち六角家が272人って……

「兵が1割死んだら潰走」とか俗に言われますけど、勝った側の織田家
仮に兵が1割死んでいたとしたら、総兵数は1万人、うち六角家が3,000人とかに
なっちゃいますね。

桶狭間の戦いのイメージが確かにずいぶん変わってしまいます。
そりゃ今川義元さんも全力で襲いかかってくるわという兵数です。
当時の六角家なら弓も鉄砲も充実しているだろうし。

 

 

じゃあなんで六角家は織田家と同盟していたんでしょう?


 ・琵琶湖商売と津島湊商売の連携?
  これならひょっとしたら織田信秀-六角定頼期まで遡れるかも。

 ・斎藤家への対策?
  これも織田信秀-六角定頼期まで遡れるかも。


ですが、こういう目的の同盟なら大国今川家との戦に
何千名も援軍を送る気にはなれないようにも思えます。

とりわけ織田家は「守護代の更に下」という家格ですから、
尾張守護斯波氏の影響が残っている段階では六角家は対等な
おつきあいをしてくれないでしょう

こう考えると、織田-六角同盟があったとしても、
1560年からあまり昔には起源を求められなさそうですね。



そうすると……


 ・1559年の信長上洛を契機にした、足利義輝の斡旋による同盟


という筋が思い浮かんでまいります。


六角義賢さんなら足利将軍の頼みは聞くでしょうし、
織田信長さんなら足利将軍に巧みな請願をするでしょう。


信長さんの上洛は尾張統一を認めてもらうだけでなく、
せっかく安定しかけている尾張をこれ以上乱さないように
幕府として今川家対策やってくださいよほらほら献金するからみたいな
交渉をするためだった。

将軍義輝さんも積極的に各地方の紛争を鎮めて幕府力をアピールする
姿勢ですから前向きにOKしてよっしゃ後は六角が面倒みたれと捌いた。

義輝さんを操る長慶さんも六角が尾張の方を向くならちょうどええわ
いまのうちに河内と大和を奪ったれとほくそ笑んでいた。

六角義賢さんは皆から頼りにされてニコニコしていた。
ひょっとしたら今川家に侵略やめろと勧告したり無視されてならば戦だと
援軍送るのを決意したりといった流れだったのかも。

浅井長政さんは六角家の兵力が尾張の方に向いて消耗するなら
チャーンスと考え独立準備を進めていた。

 

桶狭間で六角家の兵力が損耗
 ↓
浅井長政野良田の戦い六角義賢を破る
 ↓
六角義賢が無理をして三好長慶討伐の兵を挙げる
 ↓
一時的に京を制圧するも結局撤退する羽目になる
 ↓
六角家配下の国人衆「頑張ったのに何もいいことねーぞ!」
 ↓
六角氏と配下国人衆の関係がこじれる
 ↓
観音寺騒動

 

……無駄に説得力が出てきました。一応は繋がってしまう。



ただ、そうなると今川家って足利幕府から危険視されていたの?
足利を助けるのが今川っていう話だったじゃん。

という話になってきちゃいますね。


例えば、今川家に対してはニュートラルでも、武田晴信北条氏康
三国同盟を結んだ段階で「東国に巨大勢力誕生(現代のEUみたいな)」という
受け止め方をされたりとか、武田・北条の日頃の行いからまとめて危ない連中と
見做されたりとか、そういう空気があったんでしょうか。


足利幕府は長尾景虎さんとも仲が良いですから、武田家の悪口を景虎さんから
吹き込まれまくっていた可能性はあります。


この頃の幕府が北条家をどう見ていたのかも興味ありますね。
1562年に北条家の実家筋の伊勢貞孝さんが滅ぼされていますし、
もとより北条家は関東の足利勢力をいいように扱っていますし。

幕府と関東足利氏の関係もそもそも伝統的によくないから、
どうも関係性がすっきり見えてきません。


いずれにせよ、このニュースが真実だったとすれば、
義元さんが信長さんに中央政権への外交競争で遅れを取った、
という見方も出てきちゃいそうです……。

こんなところにも太原雪斎さん死去の影響があったりして。

 

 


以上、いろいろ書きましたがすべては妄言です。
本気になさらないでくださいまし。


これから実証的研究が進んでどんな解釈がなされていくか、
楽しみに見守りたいと思います。

織田信長さん近辺は人気があって研究進展も速いので、
その余波で六角家研究や幕府研究が加速するといいですね。


国盗り系大名や拡大戦争系大名ももちろん魅力的ですが、
六角義賢さんのような「守護としての務めを誠実に果たしていた」方の
魅力も認知されていきますように。

 

 

 

 

「童貞」豊島与志雄さん(青空文庫)

 

豊島与志雄さんの小説「童貞」にかんたんしました。



青空文庫リンク
豊島与志雄 童貞

 

童貞喪失前のもだえる内容ではなく、
童貞喪失を描いたけしからん内容でもなく、
童貞喪失直後の自我の暴走を描写した小説となります。


わあ……。

 


詳しい説明はありませんが、友達の井上くんという方に連れられて
八重子さんという女郎を抱いてきたようです。

身体にこな白粉の香りがまとわりついているという描写がありますので、
おそらく相手はプロかセミプロでしょう。



それで夜遅くお家に帰ってきたところから小説が始まるのですが。


のっけからラストまでずぅーーっと自我が暴れ狂い盛りなのでございます。



……母は何にも感づいてはいないんだな。
だが……天井からぶら下ってる電燈、茶箪笥や長火鉢、父の読み捨ての夕刊、それを丹念に読んでる母……昔からその通りで、そしてこれからも永遠に……。畜生、何もかも……。


何も変わっていない日常に苛ついたり。



向うの室から、放笑しそうなのをじっとこらえた顔付で――眼付で、お千代が見ていた。そのぽっちりした赤い頬辺に、飛んでいってかじりついてやったら……母の眼の前で。


女中さんを性的な対象として見てみたり。

 

 

身体中がねとねとして気味悪かった。


自分から清浄が失われたような気がしたり。

 

 

湯殿から飛び出しかけた。が、……茶の間をぬけて寝室の方へ行くのには、母の前を通らなければならなかった。着物を抱えて真裸のままで母の前を……。
そんなこといつだって平気だったんだが……。
ふと、咽せ返るような追想に、足が竦んでしまった。
意気地なしめ、なあに……。
擽ったいような気持で、歯をぎりっと一つやって、猛然と突き進んでいった。


なんだか急に母親の視線が気になっちゃたり。

 

 

盛り盛りです。

ロストバージン直後にあるようなないような感情のうねりが次々と。
自我、強いです。強過ぎです。

 


そのまま翌日も、大人ぶってレストランで酒を飲んでみたり
道行く大人がみんな馬鹿っぽく見えたり
本を買うからと両親を騙して大金を手に入れたり……

いっこうに鎮静の兆しがございません。


なんだその金、八重子さんのところにまた行くつもりなのか。
ご両親が泣くぞ。

 

 

往来の石ころを、下駄の先で蹴飛して歩いた。ころころとよく転った。
そんなもんだ。そんなものだ、童貞なんて。大切でも何でもないただ円い玉、どこへ転ってゆこうと平気だ。溝の中へでも、青空へでも、勝手に転ってゆけ……。

どうしたら……畜生……。しきりに石ころを蹴飛してやった。

 

若いって大変です。
穏やかでない勢いを感じます。

「やあ、素人童貞くん」とか声かけたら刺されそうですね。

 



性に対する価値観は人それぞれです。

童貞・処女の喪失をどう捉えるかも人によって違いますが、
異様なほど重きを置く方もしばしばいらっしゃいます。

その価値観の相異が恋人の間に諍いを招いたりもしますしね。
明け透けな元彼とのロストバージン話をして今彼がプチーンしたり。


いまの時代は特殊な性癖だとか持って生まれたLGBTだとか
いろんなファクターが知られてきておりますから、
ますます性の価値観をすり合わせることが難しくなってきています。

特定宗教とかのもとで一律同じような価値観が強制されていたら
社会秩序的にはシンプルですけど、いまさらそんな時代にも戻れません。


性の話はオープンにしにくいところもあって、
悩みや葛藤を抱えている方も多いんでしょうね。

オープンにすればいいというものではまったくありませんし。




それにしても、こうした性の葛藤を克明に描写したこちらの小説――
しかも戦前の作品――すごいことだと思います。

発表したとき、アホな連中からアホなイジリを受けなかったんでしょうか。
個人のリスクよりも文学的価値を優先したということでしょうか。

気高い、気高いよ!

 


現童貞の方、童貞喪失直後の方は謹んで拝読いたしましょう。

悶々も突き詰めればアートに昇華し得るのですよ。


悶々……モンモンモン……
モンモンモンの感動的なラストがもっと評価されますように。

 

 

 

 ※そう言えば昔、ヤングサンデーBバージンってありましたね。

  あれも作者さんの歪んだパッション・コンプレックスが充満していて
  異様に尖った作品でした。

  思想的にまともかどうかは一旦置いておいて、
  作者さんの屈折や情念が籠もりまくっている作品は稀有です。
  実にあの頃のヤングサンデーっぽい。

 

 

 

セブンプレミアムの「金時豆 2個入」

 

 

セブンイレブンなどで販売されているセブンプレミアムの金時豆が
しっかりした味と便利なサイズでかんたんしました。

 

7premium.jp

 

 

小分けにされた金時豆が2パックセットで販売されているものです。

値段はざっくり150円。

 

けっこう甘めの味付けで、金時豆らしい金時豆かと思います。

上品系ではなく庶民系の味です。
疲れた脳を甘やかしてくれる類の味であります。

舌触りもしっとり染み染みしていて快適ですよ。

 

これを小分けで販売してくれているのがありがたい……。

甘味がウリの金時豆や塩味がウリの昆布など
味が濃いことで敬遠されがちな食べ物については、
味を薄くするのではなく少量だけ食べるのがお利口かと思われます。

薄味の金時豆をどんぶりで食べるくらいなら、
ばっちり甘い金時豆を数粒だけ食べる方が幸せですよね。


ごはんやメインディッシュのボリューミィは嬉しいですが、
小鉢系サイドディッシュは少量多品種がよろしいかと。


この金時豆は1パック65g入りの120kcal。

いい大人にはこれでもちょっと多いくらいです。
食べ切りするには2-3人でシェアしてもいいでしょう。

 

 

多少割高でも、こういう味のよい小分け食品を支持したいと思います。

メーカー側は手間ばかりかかって利幅が薄いかもしれませんけど……。


以前、セブンイレブンのちょい足しサラダを「売れる!」と
確信したことがありました。

 ⇒セブンイレブンの「ちょい足し!ねばねばサラダ」 - 肝胆ブログ


しかし、あっという間に販売停止になっちゃいました……。

消費者にとっては手ごろな値段と量と味で喜ばしかったものの、
工場・店舗側は製造・包装・荷卸し・陳列・レジの手間ばかりかかって
たぶん儲からなかったのでしょう。

残念。

かといってあんまり高くしたら売れないだろうし、
なかなか難しいものでございます。

 

 

この金時豆は定着してくださいますように。

 

 

 

 

「ドローン鳥瞰写真集 住宅街・団地・商店街」著 小林哲郎さん / 監修 東地和生さん(玄光社)

 

ドローンで空撮した日本の街並み写真集が出ていてかんたんしました。

ドローン鳥瞰写真集 住宅街・団地・商店街 « 書籍・ムック | 玄光社

 


世界各地の絶景をドローンで空撮した写真集は以前から出ていましたが、
いよいよ日本の日常風景への応用が始まりましたね。

眺めているだけでも楽しいですし、
子どもの視野を広げる刺激に活用するのも有用ですし、
漫画やイラストなどの資料に使ってみるのも適切だと思います。




構成は以下の通りになります。


1章 住宅街

2章 団地

3章 町並み・商店街

4章 橋・川

5章 繁華街・雑踏

6章 学校

7章 アミューズメント施設

8章 日本家屋

9章 室内

10章  神社・寺



明記しているものは少ないのですが、撮影対象は関西地方中心ですね。

1-3章の町並み系は兵庫県中心かと思われます。

4章の橋・川は京都の由良川等、
5章の繁華街・雑踏は神戸、尼崎、淀屋橋大阪駅
6章の学校は尼崎の園田学園

7章は豪華で和歌山のマリーナシティ、阪神競馬場、尼崎競艇場
姫路の太陽公園と白鳥城、太陽の塔通天閣ナガシマスパーランド
ひらパー生駒山上遊園地天保山の大観覧車。

8-9章は不明。

10章は三木の大宮八幡宮、東光寺(どこのだろう?)、琵琶湖の白髭神社



見たことあるような風景を見たことないような角度で眺める楽しみ。
新鮮な娯楽ですね。

 

町並みは日本家屋のコピー&ペースト感がおもしろいです。

団地は幾何学立体的な構造に迫力があります。

商店街は空から見ると地味です。

踏切や橋を渡る電車の写真はわくわくします。
こんな写真を見せられるとダメな撮り鉄が続々とドローンを導入しそうで不安です。

空から見ても淀屋橋は相変わらず壮麗で大阪駅は相変わらず澱んでいます。

ナガシマスパーランド通天閣、鉄骨を空撮するとこんなにきれいなんだと
驚かされます。

学校や家屋、喫茶店や漫画喫茶の内部でドローンを飛ばして
インテリアを空撮するのはおもしろいアイデアだと思います。
鳥瞰というより猫瞰っぽいです。

白髭神社を湖面側から広角で撮るのは最適なように思われます。



一点脇道の話ですが、生駒山の遊園地っていまでも営業してたんすね……。

てっきり遥か昔に潰れたものだと……
大変失礼いたしました。

 


巻末で「なりすまし」や「悪意ある使用」「建築物や本のイメージを落とす使用」
等を除けば、「絵としてトレース・二次使用するのはOK※」という趣旨のことを
書いていただいているのも親切です。

本当によい資料だと思います。

 ※建築物によっては別途許可が必要なケースもあるため、
  もちろん確認を取ることが望ましい(商業利用する場合は特に)

 

 

ドローン利用には様々な規制・ルール・世論がございますけど、
だんだん活用が広がって暮らしが豊かになっていく方向に進むといいですね。


しょうもないルール違反系のトラブルが頻発せず、
健全な普及が進んでいきますように。

 

 

「夜の工場百景 ~ドローン空撮写真集~」小林哲郎さん(一迅社) - 肝胆ブログ