肝胆ブログ

かんたんにかんたんします。

「福岡市博物館 黒田侯爵家の名品展」と「水城、大野城、基肄城、大野城心のふるさと館」

 

いい機会なのでちょっと九州に行ってきまして、ねんがんの「岩切海部」や「水城跡」を見ることができてかんたんしました。

 

museum.city.fukuoka.jp

 

www.onojo-occm.jp

 

 

 

黒田侯爵家の名品展

 旧福岡藩主、黒田家の貴重なコレクションは、昭和53年(1978)9月、黒田家から福岡市に寄贈されました(一部は寄託・購入)。

 福岡市美術館に所蔵された黒田資料のうち、歴代藩主の甲冑や国宝金印「漢委奴国王」、名鎗「日本号」のほか、刀剣、古文書類は福岡市博物館に移管されています。

 本来の黒田家のコレクションは現在福岡市が所蔵するものだけでなく、より多数の古美術品を含むものでした。これらは江戸時代に収集されたものを基本として、明治時代から昭和時代戦後に至る間に新たに「家宝」として整理され、一部は売却・譲渡されました。

 本展は初代藩主黒田長政の没後400 周年を記念して、明治時代から昭和時代戦後における黒田家のコレクションのうち、「家宝」とされた貴重な資料を集めたものです。現在のコレクションを形作った、近代黒田侯爵家の「家宝」のあり方を、国宝・重要文化財を含む約140 点の資料から紹介します。

 

ということで。

 

三好家ファンの私としては「101 岩切海部」「39 安宅切」が目当てでして、いずれも想像以上のオーラににまにまできて大変よございました。

やっぱり現物を見たことがあると思い入れもひとしおでいいですよね。

 

当展では「42 圧切長谷部」「43 日光一文字」「31 黒漆塗桃形大水牛脇立兜」「32 銀箔押一の谷形兜・黒糸威五枚胴具足・小具足付」等の有名武具が出ていますし、通常展では金印(漢委奴国王)や日本号も見れますしなので、歴史好きなら間違いなく楽しめる素敵なところであります。

 

通常展の最後の方、福岡の街独特の文化・風俗展示も好きでした。

放生会の紹介や、豊臣秀吉さんの人気が高いという紹介なんかが印象的。

 

豪商嶋井家ゆかりの展示品コーナーも面白かった。

「投銀(なげがね)」という海上保険の先祖みたいな仕組みを当時から嶋井家は活用していて、自らは船に乗らずにポルトガル人等の船乗りに出資していたというエピソードが印象深いです。ポルトガル人が利息を払えずに嶋井家に詫びているとか、ちゃんとした契約関係が成り立っていたのもすごい。

九州の戦国時代はワールドワイドだわ。

 

 

ちなみに黒田侯爵家の名品展のなかで、目当ての三好家関係以外で気に入ったのを5つ選ぶとしたら次の通りです。

  • 67 古瀬戸肩衝茶入 銘「夏山」
    落ち着いた景色と色合いが好き。
  • 70 磯千鳥図屏風
    ひたすら千鳥がかわいい。ほしい。部屋に飾れば癒し度最高やと思う。
  • 77 黒漆塗三十二間総覆輪筋兜・紺糸威五枚胴具足・小具足
    現代のスーツ文化につながるような落ち着いたシックな色合い・デザインが格好いい。
  • 88 大手鑑「筆陣毫戦」
    古今の名筆家が勢ぞろいで豪華さがエグい。圧倒されます。
  • 94 太刀 銘「國村」
    スラっとした長身がイケメンすぎる刀。

 

 

水城、大野城、基肄城、大野城心のふるさと館

古代日本の国家築城を代表する水城、大野城、基肄城。

白村江の戦で大敗した古代日本が各地に山城を築いたという話は高安城を擁する関西人もよく知るところでありますが、大宰府を守護する水城、大野城、基肄城はそのスケール感が素晴らしいですね。

 

大野城心のふるさと館の2階で6分程度の分かりやすいプロジェクションマッピング動画を見せてくれる(しかも無料)ので超おすすめ。

特に水城の、他の時代でもあまり見られないシンプルにして大胆な選地・設計っぷりは必見です。

 

大野城市のHPでも紹介されています通り

www.city.onojo.fukuoka.jp

 

水城が築かれたのは平野の最も狭くなる場所です。交通の要衝にあたるこの部分に堤防を築くことで、効率よく敵の侵入を防ぐことができたと考えられます。

 

大宰府北側のいちばん狭くなる平野を選んで、平野すべてを塞ぐ堤防(土塁)と水堀をつくりました。水城を抜かれたら大野城や基肄城に逃げよう。という発想のスケール大好き。

みんなが想像する「城」というよりは、万里の長城とか運河要塞とかのたぐいに近いと思いますが、平野すべてを塞いじゃうといういかにも国家事業らしい雄大さがひたすらいいですよねえ。

大宰府は若い頃にもお参り&お餅食べに行ったことありましたけど、あの頃の私に大宰府防衛網の魅力を語って聞かせてやりたいぜ。

 

 

なお、これらお城群のうち、登りやすそうな基肄城については実際にてっぺんまで登ってみましたが、思いのほか斜面が急でけっこう大変でした笑

 

きれいに草が刈られているので足場はいいんですけどね。

登り切ってみれば素晴らしいパノラマ景観を楽しめて爽やかです。

 

大伴旅人さんが遊びに来たというのも納得な気持ちよさ。

 

「花散る里」の語源となる地でしたか。

勉強になった。

 

 

 

 

古代も戦国時代も九州は文物豊富ですから、ぜひ九州以外の人々にも広く魅力が知られてほしいですね。

 

新幹線なりリニアなり飛行機なり、九州と本州の交通が今後もいっそう便利になっていきますように。